カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Maduve Mane】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2011/11/14 21:19   >>

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 【Vinayaka Geleyara Balaga】を紹介したとき(8月上旬)に、今年のカンナダ映画界はビジネス的にうまくいっている、というようなことを書いたが、その後も好調さは続き、それ以降も【Krishnan Marriage Story】、【Lifeu Ishtene】、【Kalla Malla Sulla】、【Saarathee】【Paramaathma】などのヒット作が現れている。(【Jogaiah】は評価が芳しくなく、ヒット作と言うには抵抗があるが、話題性が勝って、一応客は集めた。)
 ヒットすべき監督・スターの努力の賜物とも言えるが、そんな中で置いてきぼりを食らいそうなのがゴールデンスター・ガネーシュだ。【Maleyali Jotheyali】(09)のヒット以降、【Aenoo Onthara】(10)、【Kool...Sakkath Hot Maga】(11)と、2作続けてフロップに終わっている(【Maleyali Jotheyali】自体が久々のヒットだったのだが)。
 そんな訳で、ガネーシュのこの新作【Maduve Mane】も期待していなかったのだが、レビュー及び巷の評価が上々だったので、観ておくことにした。

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 監督のスニール・クマール・シンは、映画監督としては新人だが、長らくテレビドラマの監督をしていた人らしい。
 題名の「Maduve Mane」は「結婚の家」という意味だが、「結婚する者がいるために、その準備などでばたばたしている家族」のことを指すらしい。

【Maduve Mane】 (2011 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Sunil Kumar Singh
出演 : Ganesh, Shraddha Arya, Jugaari Avinash, Sharan, Tabala Naani, Spoorthi, Hanumanthe Gowda, その他
音楽 : Manikanth Kadri
撮影 : Shekhar Chandru
編集 : Sounder Raj
制作 : H.A. Rehaman, Ruhina Rehaman

《あらすじ》
 スマ(Shraddha Arya)は結婚を2日後に控え、幸せ一杯だった。彼女の婚約者は警官のドゥシャント(Avinash)で、狙撃の名手として名高く、マスコミからも英雄扱いされている人物だった。
 スマとその家族は結婚式場のある町へ行くため、列車に乗る。その列車にスーラージ(Ganesh)という若者も乗り込んでくる。彼は、スマが列車から落ちそうになったところを救ったため、家族に気に入られ、結婚式に招待される。ところが、結婚式場でスーラージは何だかんだと言ってスマにまとわりついたため、彼女はスーラージのことを毛嫌いするようになる。
 いよいよ式が始まり、新郎のドゥシャントがスマの首にマンガラスートラを結ぼうとしたその時に、ドゥシャントの携帯に電話が入る。それは爆弾テロを予告するもので、ドゥシャントは電話の声の命ずるとおりに、スーラージにスマと共にジープに乗って避難するよう指示する。
 スーラージは訳の分からぬまま出発するが、途中でテロリストに狙われていることを知らされる。彼はジープを走らせ続けるが、ガソリンがなくなったため、車を乗り捨て、付近の森に避難する。
 二人は森の中で時を過ごすことになるが、その過程で、スーラージのことを毛嫌いしていたスマも彼に対して心を開くようになる。
 ドゥシャントは爆弾テロの捜査を開始し、容疑者を片っ端から射殺する。また、音信の途絶えたスマの行方も捜し始める。そこへテロリストから脅迫電話がかかってくる。だが、その電話の主はスーラージだった。森の中でスマはスーラージがドゥシャントに脅迫電話をかけているのを目撃し、彼を問い詰める。スーラージが「プリーティ(愛)のためだ」と答えたため、彼女は彼を崖から突き落とす。
 スマは付近の村に逃げ込む。しかし、その村はスーラージの自宅のある村で、彼女は怪我を負ったスーラージと再会することになる。スーラージはスマに、どうして彼女を誘拐したか説明する。
 ・・・
 スーラージにはプリーティ(Spoorthi)という非常に聡明な妹がいた。彼女は自身が学んだことを村人たちに教えたため、その村は識字率が100パーセント、子供から老人に至るまで新聞を読み、時事問題に精通していた。また彼女は米航空宇宙局(NASA)への就職が決まっていた。だが、プリーティがアメリカへ出発するためにバンガロール空港に来たとき、ドゥシャントのフェイク・エンカウンターの流れ弾に当たり、命を落とす。絶望したスーラージは、ドゥシャントに対しプリーティの復讐を誓うのであった。
 ・・・
 脅迫電話の声から、ドゥシャントは容疑者がスーラージであることを割り出し、彼の村に乗り込んで来る、、、。

   *    *    *    *

 一見したところ、レビュー及び巷の評判ほど良いとは思われなかったが、インド映画らしいモラルのある好感の持てる作品だった。ガネーシュのパフォーマンスもまずまずで、中ヒットぐらいは記録しそうだ。彼のヒット作に【Mungaru Male】(06)と【Maleyali Jotheyali】があるために、題名の頭文字「M」がラッキーとされ、本作も縁起担ぎにわざわざ【Maduve Mane】という題名にしたそうだが、その作戦(?)は当たったようだ。(ちなみに、他に【Mussanje Maatu】や【Moggina Manasu】のヒットもあり、サンダルウッドでは「MM」の頭文字が縁起が良いとされる。)

 ウィキペディアの記述によると、本作がヒンディー映画【Dilwale Dulhania Le Jayenge】(95)のリメイクではないかとの噂が流れた際に、製作チームはそれを否定し、『ラーマーヤナ』の現代的翻案だと表明したらしい。さすがに【DDLJ】とは全然違っているが、そう言われれば、『ラーマーヤナ』とは対応関係がある。警官ドゥシャントがラーマ、スマがシーター、スーラージがラーヴァナ、プリーティがシュールパナカーということになるが、人物関係や場面設定を借りているだけで、言わんとすることはスニール・クマール・シン監督のオリジナルであるようだ。
 『ラーマーヤナ』の現代的翻案と来れば、マニ・ラトナム監督の【Raavanan】/【Raavan】(10)が思い出されるが、ここではどちらが面白いかは言わない。ただ1点、両者ともラーヴァナに当たる人物が善玉で、ラーマに当たる人物が悪玉と描かれているところが興味深い。

 スーラージにとって自慢の妹である聡明なプリーティが、名声欲に凝り固まった警官の行き過ぎたエンカウンターの犠牲になる、というのが本作のミソで、プリーティの人物像や識字率100パーセントの村の素描など、絵に描いたような「理想」が堂々と提示されるところがインド映画らしくて良い。
 割と面白く脚本化されていたが、なにせストーリーが単純なので、2時間20分の上映時間では無駄な部分が多すぎた。コメディーは面白いのだが、ストーリーとはほとんど絡まず、後半では不必要な音楽シーンが入りすぎた。これが本作を秀作とできない点だ。

◆ 演技者たち
 ガネーシュは非常に良い仕事をしている。前半のコメディー調の「冗舌」はいつもの彼の強みだし、後半の謎めいた調子でスマに迫る部分も良くできている。フィルムフェアー賞の主演男優賞にノミネートぐらいはされるかもしれない。

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 スマ役はシュラッダ・アーリヤという女優で、カンナダ映画は初登場。男っぽい攻撃的な美人で、私は好まないが、スマの役柄には合っていた。

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 ドゥシャント役のアヴィナーシュは、有名なベテラン俳優のアヴィナーシュではなく、【Jugaari】(10)で注目されたAvinash Diwakarのこと(つまり、往年の名コメディアン、ナーラシムハラージュの孫だったりする)。今回は悪役だったが、きちんと役目を果たしている。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽は【Savari】(09)や【Prithvi】(10)などで評判を取ったマニカーント・カドリの担当。しかし、本作ではガネーシュのイメージに合わせたのか、賑やかなポップ調の曲が多く、1曲を除いてまったく彼らしさがなかった。

 撮影は良いが、音楽シーンはコンセプトがはっきりせず、これも本作の欠点。

◆ 結語
 【Maduve Mane】は倫理的な好感の持てる作品で、私は好きだが、やはり日本人に広くお勧めとは言えない。カンナダ・ファミリーに頑張って観てもらいたい。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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