カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ishq】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2012/03/08 21:18   >>

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 2本続けてアマラ・ポールさん出演の映画が観られたかと思うと、次はニティヤ! 私にとってこの2週間、ポンガルとウガディが一緒に来たようなめでたさだ。
 ヒーローはニティン。ニティンといえば、邦人テルグ映画ファンの間では「お猿のニティン」と呼ばれることが多く、人気は低いが知名度は高い(かな?)。彼が「お猿」と呼ばれるようになった経緯は私は知らないが、おそらく代表作にアンジャネーヤ(ハヌマーン)神を主題とした【Sri Anjaneyam】(04)があるからだろう。もっとも、彼自身に、ルックス、はたまたおつむのほうもサル並、と思わせるものがあるからかもしれない。(しかし、現地での人気は意外に高かったりする。)
 【Jayam】(02:テージャ監督)で華々しいデビューを飾ったニティンだが、その後はもっぱらフロップ続き。RGV監督に引っ張られて、ホラー映画【Agyaat】(09)の主役を務めにムンバイまで出かけたものの、やはり大失敗。同世代のテルグ若手スターから大きく水をあけられてしまったニティンだが、幸い、この【Ishq】は好評のようである。

【Ishq】 (2012 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Vikram K. Kumar
出演 : Nitin, Nithya Menon, Ajay, Sindhu Tolani, Nagineedu, Sudha, Supreet, Ali, Ravi Prakash, Rohini, Satya Krishnan, Duvvasi Mohan, Srinivasa Reddy
音楽 : Anoop Rubens, Aravind - Shankar
撮影 : P.C. Sreeram
編集 : Sreekar Prasad
制作 : M. Vikram Gowd

《あらすじ》
 デリーで学生生活を送っているラーフル(Nitin)は、ハイダラーバードに帰省するために空港へ向かう。途中、交通渋滞で車が動かない中、ラーフルは斜め前に止まっていたオート三輪に乗っている女性に関心を持つ。顔は見えなかったが、バングルをたくさんはめた左腕が彼の目を引いた。その女性はプリヤ(Nithya Menon)という名で、やはりハイダラーバードへ行くために空港へ向かう途中だった。ラーフルは、道に落ちていたぬいぐるみを歩道橋の上の少女に返してあげる。その様子を見たプリヤはこの親切な青年に関心を持つが、もちろん顔も名前も分からない。ただ、彼が落としていった帽子を拾う。
 ラーフルとプリヤは空港で出くわす。プリヤの左腕を見たラーフルは、彼女がオート三輪に乗っていた女性だと気付き、気を引こうとする。プリヤはそんなラーフルを気持ち悪く感じる。
 二人の乗った飛行機は、ハイダラーバードが天候不良のため、ゴアに着陸する。運悪く機内に携帯電話を忘れたプリヤは、嫌々ながらラーフルの助けを受ける。しかし、拾った帽子を介して、プリヤはラーフルこそがあの親切な青年だと悟り、彼に対する認識を改める。
 たまたまゴアでラーフルの親類の結婚式があったため、彼はプリヤも連れて式場へ行く。そこでプリヤはラーフルの叔母(Rohini)に気に入られ、欲しかったバングルをプレゼントされて、有頂天となる。夜、一人でビーチに出かけたプリヤは悪漢に襲われそうになるが、ラーフルに救ってもらう。そんなこんなで、二人はすっかり恋仲となる。
 さて、二人はハイダラーバードに到着するが、ラーフルはプリヤを出迎えに来た彼女の兄を見て驚く。それはシヴァ(Ajay)という男で、3年前にラーフルの姉ディヴィヤ(Sindhu Tolani)に惚れ、振られていた。その時、シヴァはディヴィヤに嫌がらせを働いたため、ラーフルがこてんぱんに痛めつけたという経緯があったのである。
 プリヤとの恋を成就するためにシヴァが大きな障壁となることは間違いなかった。しかしラーフルは怯まず、シヴァも含めてプリヤの家族に気に入られるための行動を開始する、、、。

   *    *    *    *

 もう、何と言いますか、ニティヤが可愛い!
 私がこれまで見たニティヤの中でも最高レベルの可愛さだったと思う。前半はゴアでのラーフル(Nitin)とのやり取りがハイライトだが、まったく、彼女のようなエキゾチックな容貌はインド西海岸の海によく映える。

 ストーリー的には特に新奇なものではなく、いくつかのヒネリを除いては、単純すぎるとも言える。にもかかわらず、シーンごとにフレッシュなものが感じられ、観終わった後の感覚はとても気持ちが良い。
 前半と後半とでムードが変わる(上のあらすじは前半まで)。前半はお洒落な、、、とまでは行かないにせよ、フィール・グッドなコメディータッチ・ロマンスで、ちょっとテルグ映画っぽくないのだが、後半でアジャイが顔を出してからは一気に馴染みのテルグ路線に傾き、うれしくなった。といっても、その後半もやや変化が加えられ、激しすぎる従来のテルグ型アクション・ロマンスとは趣を異にしている。

 監督のヴィクラム・K・クマールについては、名前が記憶になかったので、これまた新人か?と思ったが、実はヒット・タミル映画【Yavarum Nalam】(09:ヒンディー語版は【13B】)を撮った人だった。【Yavarum Nalam】はこってりとしたホラー映画だったが、そんなのを撮った人がよく本作のような軽妙なタッチのロマンスが撮れるもんだと、感心した。

 とにかく、本作の魅力は「ちょっとしたやり取り」、「ちょっとしたヒネリ」にあったと思う。ラーフルとプリヤ(Nithya)の知り合う前の経緯とか、空港でのやり取りは面白かったし、後半のカー・チェースのシーン、プレ・クライマックスとクライマックスのアイデアもなかなか良かったと思う。
 こうした点にちょっと新風を感じないこともないが、しかし虚構性の強い保守的な南インド型映画で、前回紹介した【Kadhalil Sodhappuvadhu Yeppadi】とはずいぶん違う。【Kadhalil Sodhappuvadhu Yeppadi】は面白いとはいえ、ちょこざいな感じのある若者層向けの作品だが、この【Ishq】はもっと幅広い層が安心して楽しめる作品だと思う。

◆ 演技者たち
 ニティンくんには申し訳ないが、本作はどう見てもニティヤちゃんの映画なので(実はこれは公平性を欠く見方だが、私はどうしてもそう言いたい!)、ニティヤから先に書かせてもらうと、、、
 本作の企画が発表されたときは、関係者(?)一同から、あの脚本本位の知的な作品を好むニティヤが「なぜお猿主演のテルグ映画に?」、「もしや【Drona】のプリヤちゃんの二の舞か?」と、大そう心配する声が上がったものだが、蓋を開けてみると、彼女にとってテルグ作品では【Alaa.. Modalaindi】(11)に並ぶ代表作となることだろう。やはりきちんと脚本を選んでいたことが分かった。
 私はニティヤのファンだし、「地元(バンガロール)のアイドル」として応援したい気持ちが強かったが、インド映画の女優として見た場合、非凡な才能がありつつも、やや頭でっかちな嫌いもあったので、諸手をあげて評価していたわけではなかった。ところが本作ではそういう「青くささ」がなく、実に好い色気を出しているのである。色気といっても、フェロモン発散系のそれではなく、品が良く、カワユいものなのだが、それでいて十分エロい。タマンナーも同じような変化をたどったと記憶しているが、ニティヤちゃん、本作の成功でギャラが2,3倍上がるね。
 ちなみに、吹き替えはおそらくニティヤ自身がやっているものと思われる。
 (写真下:例えばこんな色っぽい仕草が何度か見られた。)

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 しかし、ニティヤが可愛ければ可愛いほど、引き立て役(すまん!)のニティンも男前に見えてくるから不思議なものだ。
 相変わらず表情が乏しく、ダンスも下手なニティンだが、本作のラーフルは悪くない。(下)

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 ネガティブ・ロールのアジャイが効いている。
 また、意表を突いたスプリートの登場にも注目したい。
 プリヤとシヴァの父親役のおっさんがどこかで見た顔だと思っていたら、【Maryada Ramanna】(10)に出ていたナギニードゥだった。
 その他、ラーフルの姉を演じたのはシンドゥ・トラーニだが、彼女はもうこの手の役しか来ないのかね?
 また、ラーフルの叔母を演じたのは、【Alaa.. Modalaindi】でナーニの母親役だったローヒニー。相変わらずのでかい鼻が素敵だった。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽は良い。しかし、音楽監督が誰なのか、私はよく分かっていない。アヌープ・ルーベンスとアラヴィンド&シャンカルの名前が挙がっているが、都合3人で担当したということだろうか。もちろん、どの曲が誰で、BGMは誰ということもさらさら分からない。
 アヌープ・ルーベンスについては【Poola Rangadu】(12)でも良いと感じた。特に凄い曲を書いているわけではないし、どちらかというと古めかしい音なのだが、大衆ウケする感じの曲調が良い。

 撮影と編集はP・C・シュリーラームとシュリーカル・プラサードで、ヴィクラム・クマール監督は【Yavarum Nalam】でもこの二人を使っている。

◆ 結語
 【Ishq】は、基本テルグ・ロマンスに新味をうまくミックスしたフレッシュな作品。まずはニティヤのフェイス・エクスプレションを称えるべきだが、お猿のニティンくんをうまく使った監督の手腕も評価したい。ちょっとお勧め。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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内 容 ニックネーム/日時
私のアーンドラ人インフォーマントは口をそろえて「これは当るよ」と言ってたものの「関係者(?)一同」の一人として大丈夫かいなと疑心暗鬼でしたが、川縁さんの評価を読んで安堵の胸を撫で下ろしました。日本でも上映するようにそっちの方の関係者に強く働きかけておきます。

撮影はちょうど”180”と同時期でしたから、たぶんニティヤの水平方向への拡張のいちばん激しい時期にあたっていた筈なんですが、その点は気にならなかったですか?まあファンとしてはどっち方向へ拡張しようとも可愛いことには変わりないんですがw

もう一点気になることは、最後のソングの撮影が遅れに遅れてニティヤがぶうぶう文句言ってたんですが、どこで撮ったもののようでしたか?一時は中国という案も出てたようなのですが、たぶんそれはなかったですよね。
メタ坊
2012/03/08 22:05
>日本でも上映するように・・・

日本で、字幕つきで上映されることになったらいいですね。

>撮影はちょうど”180”と同時期でしたから、

はい、ぷっくりとしていましたが、ほとんど気になりませんでした。

>最後のソングの撮影が遅れに遅れてニティヤがぶうぶう文句言ってたんですが、どこで撮ったもののようでしたか?

一番最後に出て来る音楽シーンのことでしょうか。
何であれ、まったく覚えておりませぬ。中国ではなかったと思いますが。欧州かどこかの雪国の場面があったんですが、何番目のソングだか忘れました。
 
カーヴェリ
2012/03/09 20:08

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