カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Endukante... Premanta!】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2012/06/14 02:38   >>

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 トリウッドのカルナーカランは私の好きな映画監督の一人だが、そう言えば、このお方の作品も今まで映画館で鑑賞したことがなかった。そもそもはDVDで【Ullasamga Utsahamga】(08)を観たのが縁の始まりだが、その後、同じくDVDで【Happy】(06)を観ていたく気に入ったものの、【Darling】(10)の公開時はヒロインがカージャルだという理由だけで見送ってしまった。しかし、同作はヒットし、後にDVDで観たら面白かったので、やはりカルナーカランの作品は劇場で鑑賞し、このブログにも鑑賞記を上げておくべきだと後悔した。
 そのカルナーカラン監督の新作がこの【Endukante... Premanta!】。主演は【Kandireega】(11)が当たってイケイケ・モードのラームくん。ヒロインはタマンナー。私的にはこのペアというよりも、カルナーカランとタマンナーの取り合わせに注目したい。
 題名の「Endukante Premanta」は「どうして愛する」といった意味。

【Endukante... Premanta!】 (2012 : Telugu)
物語・脚本・監督 : A. Karunakaran
出演 : Ram, Tamannaah, Suman, Sayaji Shinde, Anu Haasan, Rishi, Kona Venkat, Nagineedu, Raghu Babu, Brahmanandam, Satya Krishnan, Krishna Bhagavan, Melkote, Kalpika, Dharmavarapu Subramanyam, Suman Shetty
音楽 : G.V. Prakash Kumar
撮影 : I. Andrew
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
制作 : Sravanthi Ravikishore

《あらすじ》
 1980年、大学生のクリシュナ(Ram)は腕にその名前を刻むほどシュリーニディ(Tamannaah)のことが好き。シュリーニディも密かにクリシュナを強く愛していた。しかしある日、バスの事故でクリシュナは死亡し、シュリーニディは深い悲しみに落ちる。
 ・・・
 時は下って、現在。お気楽大学生のラーム(Ram)は無責任な行動で警察沙汰になることもしばしば。困り果てた父(Sayaji Shinde)はビジネスの勉強のためにとラームをフランスのパリへ送る。しかし、それは父の仕組んだ罠で、ラームはパリでとんだ苦労を嘗めさせられることになる。一刻も早くハイダラーバードに戻りたいラームだが、パスポートを取り上げられていたため、それも叶わない。
 そんな時に、彼は医大生のシュラヴァンティ(Tamannaah)に出会う。シュラヴァンティの父(Suman)は在仏インド大使で、その社会的立場上、彼女も自由に振舞うことが許されなかった。この窮屈な環境から抜け出すために、シュラヴァンティはラームと手を結ぶ。彼女は巧みに父を動かし、ラームのパスポートを再発行させる代わりに、ラームにも自分を助けてくれるよう依頼する。二人は一緒にハイダラーバードへ行くことにするが、しかし、パリの空港にシュラヴァンティは現れなかった。
 ラームは独り虚しくハイダラーバードの空港に降り立つ。ところが、そのラームの前にシュラヴァンティが一瞬姿を現し、「ガンディー病院のサヴィタ医師を訪ねるように」と指示して消える。ガンディー病院を訪れたラームは果たして病室に横たわるシュラヴァンティを見出す。サヴィタ医師(Satya Krishnan)の話では、1週間前に交通事故で搬送されてから昏睡状態が続いていると言う。じゃあ、自分がこの1週間パリで会っていたのは誰なんだ、と怪しむラームの前にもう一人のシュラヴァンティが現れ、事情を説明する、、、。

   *    *    *    *

 ネタは割らないほうがいい作品かなぁと思い、あらすじは前半の手前で止めた。と言いながら、ボカシすぎるとこの記事も書きにくいので、いくつか要点を記しておくと(ネタバレ注意)、本作はハリウッド映画【Just Like Heaven】(05:邦題【恋人はゴースト】)の翻案で、オリジナルと同様、病院のベッドに昏睡状態のまま横たわっているのがシュラヴァンティ(Tamannaah)の実体(肉体)で、ラーム(Ram)の前に現れたのは彼女の生霊(魂)という設定になっている。この生霊というのは誰にも見えないし、声も聞こえないのだが、ただ一人、ラームにだけは知覚される。実はシュラヴァンティは悪しきグループに命を狙われているのだが、誰にも訴えることができない。そんな中で、唯一自分を認識してくれるラームに出会い、救いを求めるという展開。なぜラームにだけシュラヴァンティの霊が見えるのか、その理由は30年前のクリシュナ(Ram)とシュリーニディ(Tamannaah)のエピソードに関連付けられる、というややこしい物語構成になっている。

 カルナーカラン監督はほとんどの作品で自らストーリー・脚本を書いているが、それが【Happy】のようなリメイク作品であっても、オリジナルのタミル映画【Azhagiya Theeye】(04)に大胆に追加・変更を加え、あたかも自分のオリジナルであるかのようにまとめ上げている。
 それは本作でも同じ。基本的な部分ではオリジナルのハリウッド映画に準じていながら、巧みにインド的/インド映画的要素を練り混ぜ、見事にインド(テルグ)映画として翻案している。この辺は上手い、というか、厭わず頭を使っている。

 レビューの評価はイマイチなようだが、私的には面白いと思ったし、目頭が熱くなる場面も何度かあった。カルナーカラン監督作品らしい、心地よい感動もある程度得られる。
 ただ、本作は完成度が高いかというと、どうもそんな感じがしない。たぶん本作を観た人はほぼ同じ感想を持つと予想されるが、1本の映画作品として調子が揃っていないように思われた。特に、タマンナーのエモーショナルな場面はドラマティックで何だかインド映画とは思えない質感があったのに、ラームのコミカルな場面は正調テルグ映画節で、この2つがどうもうまく溶け合っていないのである。本来、インド映画というのはマサラ映画で、異質なモジュールを器用に連結するという離れ業をやってのけてきたのだが、本作の場合はそうしたモジュールが互いに足を引っ張り合っているように見えた。結果、個々の部分はよくできているのに、最終的に大感動を与えてくれるには至らなかったのかな、と。

 どうもカルナーカランはタマンナーのシーンを作るに当たって芸術的野心を抱いてしまったようで、かといって、ラームを使った大衆路線も捨てられないし、ジレンマの中で舵取りを誤ったのかもしれない。今さら気取ることなく、これまでどおりすちゃらかちゃんちゃんなテルグ型ラブコメ路線を取っていれば、安心して観られる作品になったものを、、。個人的な好みで言うと、ラームとシュラヴァンティのロマンス展開をもっと丁寧に描き、それと30年前のクリシュナ/シュリーニディの恋物語との関係をもっと太くストーリー化すれば、面白い映画になったのではないかと思う。

◆ 演技者たち
 相変わらずのコミック・キャラで、今回も「Energetic Star」の冠タイトルに相応しい働きを見せたラームくんだが、【Kandireega】よりは落ちるという印象だ。本人も試写か何かを見て、「自分の強みが薄められている」と感じたことだろう。ただ、この人も【Ready】(08)の頃に比べると、ずいぶん頼もしくなったものだ。

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 タマンナーについては、毎度のことながら、可愛い、きれい、エレガント、そして上手かった。加えて、本作では生霊まで出してしまうほどの妖しさで、もはや「タマちゃん」と気安く呼ぶよりは、「玉藻の前」とお呼びしたい!
 それにしても、タマンナーはインド人なのに、パリジェンヌと混じっても違和感がなかったというのは、これいかに?

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 脇役陣では、ラームの叔母で、女医のレーヴァティを演じたアヌー・ハーサンが印象的。
 【Dammu】(12)では祭壇の奥で25年間も蟄居していたスマンだが、本作では在仏インド大使の役をそれらしくスマートに演じていた。
 あと、トリウッドの台詞ライターとして有名なコーナ・ウェンカットが悪役コーカの役を演じていた(演じたというほどでもないが)。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はG・V・プラカーシュ・クマールの担当。歌よりもBGMのほうに力が入っていたように思うが、ちょっと力を入れすぎたかもしれない。
 音楽シーンは上で指摘した本作の欠点をもろに象徴していて、個々の出来は良いのに、挿入のタイミングが悪く、全体として効果的だったとは言えない。
 1カット2分の長回しショットを入れた面白い趣向の曲もあった。

◆ 結語
 カルナーカラン監督作品とすれば、失敗作になろうかと思うが、脚本の練りの悪さを我慢すれば、1回ぐらいは観てもいい。ラームとタマンナーのパフォーマンスは楽しめる。

・満足度 : 3.0 / 5

《 勝手トレイラー 》
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ラーム 「トリウッドの『ラーム』と言えば、、、?」
みんな 「ラ〜ム・チャラン・テ〜ぢゃ!」











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ラーム 「なんでやねん、、、オレやろ、オレっ! (オレと言うてくれ〜、みんなぁ)」











 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
では、玉姫様と呼びましょうw
メタ坊
2012/06/15 10:15
戸川純を思い出しました。
 
カーヴェリ
2012/06/16 01:43

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