カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kalpana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2012/10/24 14:13   >>

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 カンナダ映画界では今年に入って【Naagavalli】、【12 AM】、【Chaarulatha】と3作のホラー映画が作られ、ちょっとしたブーム。今回紹介するウペンドラ主演の【Kalpana】も、ローレンス監督・主演のヒット・タミル映画【Kanchana】(11)のリメイクということで、ホラー作品となる。あのバカ受けしたコメディー・ホラーをウッピでリメイクしたらどんなものになるか、大方の予想はつくだけに、観るモチベーションはやや低かったが、題名の「Kalpana」というのが気に掛かったし(つまり、往年の有名なカンナダ女優カルパナーと関係があるのか否か)、また、サーイ・クマールの「ヒジュラー」の演技もぎょっとするものに違いないので、観ておくことにした。
 監督は超ベテランのラーマ・ナーラーヤンで、本作が氏の125本目(!)の作品となるらしい。

【Kalpana】 (2012 : Kannada)
物語 : Raghava Lawrence
脚本・監督 : Rama Narayanan
出演 : Upendra, Sai Kumar, Lakshmi Rai, Umashree, Shruthi, Achyuth Kumar, Babu Antony, Shobharaj, Satyajit, Om Prakash Rao, Bullet Prakash
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : K.S. Selvaraj
編集 : Rajakeerthi
制作 : Sri Thenaandaal Films

《あらすじ》
 ラーガワ(Upendra)は、昼は喧嘩も強い威勢のいい男だが、何よりも幽霊を怖がっており、夜には一人でお手洗いに行けないほどだった。彼は母(Umashree)と兄(Achyuth Kumar)、兄嫁(Shruthi)、及びその子供たちと一緒に暮らしていた。彼はまた、時折遊びに来る兄嫁の妹プリヤー(Lakshmi Rai)に惚れていたが、プリヤーもラーガワのことがまんざらではなかった。
 ある日、ラーガワは友人たちと空き地でクリケットをしようとするが、彼がまさにウィケット棒を打ち込んだ土中には3体の死体が埋められてた。そうとは知らずに、ラーガワは血糊のべっとり付いたウィケット棒を家に持ち帰り、結果的に3体の幽霊を家中に招き入れてしまうことになる。
 その夜からラーガワ家で奇怪な現象が起きる。怯えた母と兄嫁が僧侶に相談した結果、家に幽霊が住み着いていることが分かる。そうこうしているうちにラーガワの様子もおかしくなる。彼は急に女のように振る舞い始め、またヒンディー語を話したり、意味不明のことを喋り出したりする。
 母と兄夫妻はラーガワをダルガーへ連れて行き、ファキール(Satyajit)に診てもらう。ファキールの術のおかげで、ラーガワにはカルパナー(Sai Kumar)という名のヒジュラーの亡霊が憑依していることが分かる。姿を現したカルパナーは、自分と養父アクバル(Babu Antony)及びその息子が非業の死を遂げ、今なお成仏できない理由を語って聞かせる、、、。

   *    *    *    *

 カンナダ流のリメイク映画といえば、オリジナルをぴったりなぞったコピー映画、つまり、良く言えばオリジナルに最大限の敬意を払い、その限られた自由度の中で俳優が個性を発揮する、悪く言えば手抜き、といったものがほとんどで、本作の場合はどうかなぁと期待したが、やはりオリジナルに忠実なものだった。
 どのくらい忠実かというと、1曲目の音楽シーンは、オリジナルの【Kanchana】では障害者がダンスを見せるという特殊なものだったが、【Kalpana】でも同じことだった(踊った障害者も同じ)。あれは‘Larencce Charitable Trust’という慈善団体を主宰しているローレンスだからこそ効いてくるネタだと思うのだが、あれをもなぞるか(それとも、リメイクにあたって、ローレンス・サイドからたっての要望があったのだろうか)。
 主要登場人物の役名も、カーンチャナ/カルパナーを除いてはほとんどが同じ。ヒロインのプリヤー、カルパナーの回想シーンに出てくる養父アクバルとその息子、及びカルパナーの養女ギーターは演じている人も同じだった。
 ここまで手抜きというのもあっぱれだが、おかげでオリジナルが面白かった分だけ面白い。

 そんな訳で、オリジナルとリメイクの優劣という点では基本的に差はないのだが、演技陣はけっこうカンナダ版のほうが健闘している。やっぱりこういうややこしい役をやらせるとウペンドラは様になる。特に得意技の「目キョロ」は、亡霊に取り憑かれた人物には効果的だった。ただ、さすがにダンス・シーンとなるとウッピは苦しく、ローレンスの完勝だった。

 こうして改めて【Kanchana】/【Kalpana】を観てみると、やっぱり面白い。【Kanchana】の鑑賞記では「完成度はべらぼうに低いけど、面白い」みたいな評価をしたが、今回、この両作品に簡単には軽んじることのできない美しさ(?)を感じた。説明はしにくいのだが、血みどろの復讐ホラー映画でありながら、私が両作品に感じる「安らぎ」(!)の感覚は、著名な寺院やアシュラムを訪れたときに感じる感覚とそっくりなのだ。これはもう宗教的な次元の「愛」に置き換えられる感情だと思うが、こういう映画が作れるローレンスという人は、ちょっとした「聖人」なのかね?(持ち上げすぎだろうなぁ。)

 なお、題名の「Kalpana」が女優カルパナーと関係があるか否かという点だが、映画中ではまったく言及・関連付けはなかった。すると、どうしてヒジュラーの役名がカーンチャナからカルパナーに変わったのか(他の登場人物名はほぼ同じなのに)気に掛かるが、ここでは詮索しないことにする。

◆ 演技者たち
 上述のとおり、ウペンドラのパフォーマンスは気合いも乗っていて、十分楽しめるものだった。ただ、気掛かりなのは、ウッピは今年に入って【Aarakshaka】【Katari Veera Surasundarangi】【God Father】と、けれん味の強い役ばかりやっていることだ。これらはヒットし、ファンも喜んだだろうけれど、インドの場合、ファン(大衆)というのはスターと共に成長していくみたいな性質があるので、ウッピもそろそろ大人な側面をファンに見せていくべきではないかと思う。
 参考に、養父アクバルの霊が憑依した際にラーガワが喋るヒンディー/ウルドゥー語は、バンガロールのムスリムが多く居住するシヴァージーナガルという地区で飛び交うヒンディー/ウルドゥー語らしい(現地人はシヴァージーナガル・ヒンディーと呼んでいる)。

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 ヒジュラーの役は、オリジナルのサラット・クマールも衝撃的だったが、本作のサーイ・クマールも負けず劣らず素晴らしい。サラット・クマールのカーンチャナ以上に見てくれはいかつかったが、さすがサーイ・クマールはセリフが上手く、スピーチのシーンでは泣けた。

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 プリヤー役はオリジナルと同じくラクシュミ・ライがやっている。ストーリー上それほど重要な役でもないし、彼女にしても簡単にやっているという感じだったが、カンナダ人でありながらカンナダ映画では業績を残せていない彼女のこと、ここで1発ヒット作が出たことは、彼女にとってもサンダルウッドにとっても朗報だろう。

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 何かとかしましい姑と嫁(オリジナルではコーヴァイ・サララとデーヴァダルシニ)は、ウマーシュリーとシュルティだった。ウマーシュリーはコメディエンヌでありながら、【Gulabi Talkies】(08)で国家映画賞主演女優賞を取ったほどの実力者。他方、シュルティはそもそもカンナダ映画界でヒロインを張っていたほどの女優だが、同じく国家映画賞を取った【Puttakkana Highway】(11)で主演を務めた(彼女自身は受賞していないが)。そう考えると、実はこれは贅沢な取り合わせ。ウマーシュリーはコーヴァイ・サララのコピーみたいな演技をしていたが、シュルティのほうは上手かった。
 (写真下:左よりShruthi、Achyuth Kumar、Umashree。)

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 他の脇役陣では、カルパナーの義父アクバルはマラヤーラム俳優のバーブ・アントニーがやっていた。
 また、映画監督のオーム・プラカーシュ・ラーウがプージャリ役で特別出演している。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はハリクリシュナが担当している。オリジナルの曲をそのまま使うことはしていないようだが、似たようなコンセプトの曲にしている。あまり良い出来ではない。

 撮影は良かったと思うが、特撮はレベルが低かった。

◆ 結語
 オリジナルの【Kanchana】とほぼ等価の作品なので、ウッピのファンでなければ、特に観る必要はない。【Kanchana】が未見なら、すでにDVDの出ている【Kanchana】のほうを鑑賞することをお勧めする。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
サーイ・クマールさんの台詞回しが大好きなので、ディスク化したら是非観たいです!
あいや〜
2012/10/25 08:34
いいですねぇ、ダイアローグ・キングさん。独特の面構えも好きです。
ディスクには、単品ではならないかもしれませんが、3-in-1なら出ると思うので、ぜひご覧ください。
カーヴェリ
2012/10/25 10:09
見ました。
わたしもサーイ・クマールという役者さんに魅了されました。
あのスピーチ、良かったです。
他にこの役者さん、どんな作品に出ているのでしょうか。
お勧めの作品、ありますか?

最後の復讐ダンスにも目を奪われました。

面白かったです。
やっほー
2013/08/06 13:10
また渋いとこに食い付いて来ましたね。
サーイ・クマールは主役というのがそう多くなく、私もよく見ていないので、お勧めしにくいです。カンナダ映画の「Police Story」、「Police Story-2」が良いらしいですが、私は見てないので何とも言えません。見たのでは、カンナダの神様映画「Sri Renukadevi」が印象的でしたが、今もDVDがあるのかなぁ。あと、テルグ映画の「Prasthanam」。
 
カーヴェリ
2013/08/07 00:40

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