カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Mynaa】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2013/03/01 09:55   >>

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 【Sanju Weds Geetha】(11)が大ヒットし、サンダルウッドの注目の若手監督となったナーガシェーカルの新作がこの【Mynaa】。【Sanju Weds Geetha】はラミャの熱演の光ったヒロイン本位の作品だったが、本作ではヒロインにニティヤ・メーナンを迎え、前作同様に期待が持てる。
 ヒーローはチェータン・クマール。【Aa Dinagalu】(07)や【Suryakaanti】(10)で注目されたものの、トップスターにはほど遠いチェータンだが、ここらでヒット作がほしいところだ。
 なお、タミル映画にも【Mynaa】(10)という作品があるが、本作はそれのリメイクというわけではない。両作品ともヒロインの名前が「マイナー」で、それをそのまま題名としている。(ややこしいことに、タミル映画の【Mynaa】は【Shyloo】という題名でカンナダ版リメイクが作られている。)

【Mynaa】 (2013 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Nagashekar
出演 : Chetan Kumar, Nithya Menon, Sarath Kumar, Ajay, Suman Ranganath, Arun Sagar, Malavika Avinash, Suhasini Maniratnam, Anant Nag, Tabla Naani, Raju Thalikote, Sadhu Kokila, Bullet Prakash, Jai Jagadish, Ravishankar, Sumithra, Nagathihalli Chandrashekhar, その他
音楽 : Jassie Gift, Sadhu Kokila (BGM)
撮影 : Satya Hegde
編集 : John Harsha
制作 : N.S. Rajkumar

題名の意味 : マイナー(ヒロインの名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス
公 開 日 : 2月22日(金)
上映時間 : 2時間29分

◆ あらすじ
 カルナータカ州の大物政治家サンジャイ・デーサーイ(Arun Sagar)の弟で、医師のアニルド・デーサーイ(Ajay)が行方不明となるが、ほどなく他殺体となって発見される。B・B・アショーク・クマール(Sarath Kumar)をリーダーとする警察の捜査チームは直ちに容疑者としてサティヤという男を割り出す。捜査チームはサティヤの知人レーヴァティ(Malavika Avinash)の協力を仰ぎ、チェンナイにいたサティヤ(Chetan Kumar)を逮捕する。チェンナイからバンガロールへと搬送される途上で、サティヤはアショーク・クマールに事件に至る経緯を語り始める、、、。
 ・・・
 サティヤは孤児だったが、壮健な若者で、今しも500万ルピーの賞金を懸けて、テレビのリアリティーショー撮影のために北カルナータカのキャスルロックへと来ていた。彼はゲームの一環として、足のない不具の乞食のふりをし、列車の中で乗客にお金を乞う。その乗客の1人にマイナー(Nithya Menon)という名の美しい女性がいた。マイナーはサティヤに100ルピーを施し、「変なことに使っちゃダメよ」と諭す。この言葉に感動したサティヤはリアリティーショーを棄権する。そして、マイナーが毎日同じ列車を利用していることを知り、翌日以降も乞食のふりをしてマイナーと言葉を交わす。
 マイナーは地元のソフトウェア会社で働くエンジニアだったが、実はポリオで両足の動かない境遇だった。それで足のないサティヤに共感を覚え、それはすぐに愛情に変わり、同僚のレーヴァティに「理想の相手を見つけたわ!」と表明するに至る。
 しかし、ほどなくマイナーはサティヤの足が「演技」だったことを知り、絶望する。彼女はサティヤに自分が歩けないことを見せつけ、絶縁しようとする。だが、サティヤはそれ以前からマイナーがポリオであることを知っており、にもかかわらず彼女を受け入れる覚悟を決めていた。その気持ちを知ったマイナーもサティヤを受け入れることにする。
 二人は結婚し、バンガロールでささやかな生活を始める。
 サティヤはマイナーに、歩けるようになるために手術を受けるよう提案し、彼女を病院へ連れて行く。そして、担当となった医師がアニルド・デーサーイであった。だが、こともあろうに、アニルドは検査の際にマイナーを麻酔で眠らせ、彼女の裸体をビデオに撮影してネット上にアップし、肉体関係を迫ってマイナーを脅迫し始める。それを知ったサティヤはアニルドを呼び出し、ネット上の動画を削除し、オリジナル動画を渡すよう懇願するが、揉み合いとなり、アニルドを殺害してしまう。彼は遺体を川に捨てる。
 その後サティヤは、別の専門医(Suhasini Maniratnam)の手術を受けさせるために、マイナーをチェンナイへと連れて行くが、そこで警察に逮捕されたというわけであった。
 ・・・
 サティヤの話を聞いた警官アショーク・クマールは、サティヤの人間性から話の信憑性を信じ、裁判が有利に進むようにと兄の弁護士(Anant Nag)に相談する。だが、弟殺害の復讐に燃えるサンジャイ・デーサーイの圧力により、サティヤは身に覚えのない35件の殺人容疑者として立件されそうであった。それを知ったサティヤは逃亡し、友人(Tabla Naani)にマイナーを連れて来るよう依頼し、ケンゲーリ駅で落ち合う手はずを整える。だが、警察もその情報を察知し、ケンゲーリ駅に警官隊を配備する。また、サンジャイ・デーサーイも刺客を駅に送り込む、、、。

・その他の登場人物 : 婦人警官ギーター(Suman Ranganath),マイナーの母(Sumithra),向かいの住人(Raju Thalikote)

◆ アナリシス
・上で本作はタミル映画【Mynaa】のリメイクではないと書いたが、けっこう似たところがあった。警察に逮捕される主人公、しかしその主人公をサポートしようとする警官、物語の多くの部分が緑豊かな田舎で展開されること、強い愛で結ばれた無辜なカップルが邪悪な力によって滅ぼされること、等々。もちろん、ヒロインの名前からして同じで、「マイナー」とは悲劇の女性の代名詞か!?と、思わず唸った。

・しかし、似ていると言えば、もっと似ているのはナーガシェーカル監督自身の前作【Sanju Weds Geetha】で、セルフ・リメイクかと思うほどだった。上に挙げたタミル映画【Mynaa】との類似点はもちろんのこと、両作品ともミスティーな西ガーツ山脈を舞台とした純愛ドラマで、【Sanju Weds Geetha】では「Beauty」という英語がキーワードとして使われていたように、本作でも「Colourful」という語がキーワードだった。

・そんな訳で、本作は痛切な悲劇だとはいえ、物語そのものには新鮮なものを感じなかった。しかし、いくらコピーくさいストーリーであっても、「本作は実話に基づいたものだ」と製作サイドは力説している。ナーガシェーカル監督が警官のB・B・アショーク・クマールから聞いた話だということになっている。

・だが、これも怪しい。私が見た限り、本作の出来事が現実に起きたなんてかなり考えにくいのだが、、、。それに「実話だ」とさえ言っておけば、実際には映画や小説からアイデア拝借したものであっても、パクリの謗りは免れやすいからである。もっとも、インドでは日本人の想像力をやすやすと越える出来事もしばしば起きるし、私の目的は本作が「実話ではない」ことを証明することでもないので、これはこの辺で止めておく。

・ところで、本作のネタ供給者とされるB・B・アショーク・クマールという警官だが、先日の【Attahaasa】評でちらっと触れた、ヴィーラッパン討伐に功のあった警官アショーク・クマールとどうも同一人物のようなのである。この御仁はカンナダ映画界では人気が高いようで、ラヴィ・シュリーワトサ監督の【Deadly Soma】(05)と【Deadly-2】(10)でも主要登場人物として描かれている。

・さて、肝心の本作の内容評価であるが、【Sanju Weds Geetha】に比べるとどうもセンチメンタルすぎるように感じた。サティヤとマイナーという、「二人二脚」とも言える愛の生活を送るカップルに起きた悲劇を、ナーガシェーカル監督は確信犯的に(自己陶酔的に)美しく描いているのだが、当たり前のように悲劇を作ってしまった感じで、泣くに泣けなかった。【Sanju Weds Geetha】は大ヒットとなったが、本作はそれほど当たらないと思う。

◆ パフォーマンス面
・主人公のサティヤを演じたチェータン・クマールだが、やっぱりニティヤに押されてしまった感がある。この人の難は体が華奢なことで、筋トレで筋肉は付けているものの、どうも痩せぎすに見える。胃腸の弱そうに見えるヒーローを大衆は支持しないだろう。

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・対して、マイナー役のニティヤであるが、またしても「きれい」、「可愛い」、「上手い」だった。ポリオで歩けない女性の役だが、重力に抗して地を這う苦労がひしひしと伝わってきたし、結婚後、サティヤとじゃれ合う場面でのちょっとした仕草などに天才的なひらめきを感じた。ちなみに、セリフはセルフダビングしているようだ。
 (写真下:「少女」という印象の強かったニティヤだが、いつの間にかいい女になったものだ。やっぱり彼氏ができると、、、。)

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・ところで、ヒロインのマイナーは「Colourful」という言葉を愛し、それは「I love you」の意味だとし、理由として「カー・ラー・フル」と「アイ・ラブ・ユー」は口の動きが同じだと説明していたが、よく分からない。しかし、こんな分かりにくい理屈もニティヤがしゃべると「なるほど」と思えるから不思議だ。

・警官アショーク・クマール役はタミル俳優のサラット・クマール。特に問題なし。

・そのアショーク・クマールの部下で、ギーターという名の婦人警官が美人でエッチな感じだったので、「誰?」と思ってよく見たら、スマン・ランガナートだった。制服姿だけでも色っぽかったのに、後半にアイテム・ナンバーも用意されており、ありがたいサービスだった。すでに40歳近いと思われるが、もうしばらく使えますね。

・悪徳医師を演じたのはテルグ俳優のアジャイ。親の影響力で医者になれたようなバカ医師の役はぴったりだった。

・その他、脇役にはアナント・ナーグ、スハシニ・マニラトナム、タブラ・ナーニ、ラヴィシャンカル、マーラヴィカ・アヴィナーシュなどの芸達者が揃っていたが、いずれも無駄遣いっぽかった。

・サードゥ・コーキラ、ブレット・プラカーシュ、ラージュ・ターリコーテなどのコメディー陣はまあまあだった。

◆ テクニカル面・その他
・音楽はジェシー・ギフトの担当。いつも胸に染み入る曲を提供してくれるジェシーだが、【Sanju Weds Geetha】のヒット曲である‘Gaganave Baagi’と‘Sanju Mattu Geetha’ほどの浸透性はない。これも本作が前作より落ちる点か。

・サティヤ・ヘグデの撮影は素晴らしい。雨に濡れた西ガーツ山脈の美しさを十全に捉えているという点では、【Mungaru Male】(06)、【Maleyali Jotheyali】(09)、及び【Sanju Weds Geetha】より上かもしれない。

・物語の発端となったキャスルロック(Castlerock)はウッタラ・カンナダのゴア州との境にある町。トレッキングの名所として人気が高い。勇壮なドゥードサーガル滝(Dudhsagar Falls)は本作でも美しく撮られていた。
 (写真下:ドゥードサーガル滝。手前の橋の上を列車が走る。インド鉄道マニアなら一度は訪れたい所だ。)

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◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月23日(土),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),10:00のショー
・満席率 : 2割
 

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内 容 ニックネーム/日時
昨日見ましたよ。心洗われました。ニティヤのベストパフォーマンスと言えるのではないでしょうか。列車の昇降口から前つんのめりになって降りるところなんか本当に凄い、ここまでやるかと思いました。気に入った役柄なら全身全霊こめて「なりきる」という彼女の姿勢がよい方向に出ましたね。
ニティヤの相方としてはチャータンでよかったのではないでしょうか。いずれにせよこの映画の主人公はニティヤでチャータンは脇役ですから(でしょ?)体格的にも動き的にも合ってたと思います。まあ下半身麻痺のニティヤ=身動き軽やかなチャータンという対比はアイデアだけで映像的にはそれほど上手に活用されてたといいがたいものの、チャータン君の容貌なら日本でも受けるのではないかと思ったりもしました。
メタ坊
2013/03/05 10:41
はい、ニティヤの役の入り方にはただならぬものを感じましたね。
カンナダ人もやっとニティヤの魅力に気付いたようです(遅いっ、つうの)。
チェータンは、おっしゃるとおり、ニティヤとの相性という点では良かったと思います。しかし、若き女性ファンはけっこういる割には、広く支持されず、出演映画もヒットしないんですよね。私は嫌いじゃないんですが、やっぱり小粒のヒーローですね。
カーヴェリ
2013/03/06 00:40

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