カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gundello Godari】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2013/03/15 22:35   >>

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 テルグ映画界のラクシュミ・マンチュは、【Anaganaga O Dheerudu】(11)以来、女優、プロデューサーとして面白い存在になりつつあるが、その彼女がプロデュースし、ヒロインを演じたというのがこの【Gundello Godari】。
 1986年8月に実際に起きたゴーダーワリ川大洪水を舞台背景とした映画らしく、はっきり異色作の香りがした。
 また、本作は【Maranthen Mannithen】というタイトルでタミル語版も製作されたようであるが、トレイラーを見る限り、バイリンガル作品というより、もろタミル映画に見えた(例えば、アーディの主演、イライヤラージャーの音楽)。それも私の興味を引いた点だ。

【Gundello Godari】 (2013 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Kumar Nagendra
出演 : Aadhi, Lakshmi Manchu, Sundeep Kishan, Taapsee, Ravi Babu, Suja Varunee, Jeeva, Annapurna, Pruthvi, Mumaith Khan, その他
音楽 : Ilaiyaraaja
撮影 : M.R. Palanikumaar
編集 : Nagi Reddy
制作 : Lakshmi Manchu

題名の意味 : 心のゴーダーワリ川
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス
公 開 日 : 3月8日(金)
上映時間 : 約2時間10分

◆ あらすじ
 時は1986年。アーンドラ・プラデーシュ州のゴーダーワリ川下流のとある村でマッリ(Aadhi)とチトラ(Lakshmi Manchu)の結婚式が行われていた。二人にはそれぞれ複雑な過去があった。漁師のマッリは、村の富豪の娘サララ(Taapsee)との色恋沙汰があった。チトラは幼馴染みのスーリ(Sundeep Kishan)との結婚を望んでいたが、ドーラバーブ(Ravi Babu)の横やりで悲恋に終わっていた。二人はそれぞれの過去を忘れたいと思っていたが、結婚式の会場にサララとドーラバーブも現れ、それぞれの相手に意味ありげなギフトを贈る。新郎新婦の間に嫌なムードが漂う。
 ところが、結婚の儀式が終わるやいなや、折しも連日の大雨のせいで増水していたゴーダーワリ川が大洪水となり、マッリとチトラも流されてしまう。命からがら漂流物の上に這い上がり、一息ついた二人は、それぞれ互いに過去の経緯を語り始める、、、。

◆ アナリシス
・上の「あらすじ」はあらすじとは言えず、映画開始15分程度の導入部までしか書かなかった。この後、前半でマッリ(Aadhi)がサララ(Taapsee)との関係を語り、後半でチトラ(Lakshmi Manchu)がスーリ(Sundeep Kishan)及びドーラバーブ(Ravi Babu)との関係を回想する。

・映画全体の現在時間の流れは、結婚式を挙げたばかりの新郎新婦が大洪水に流され、生き残るか死ぬかも分からぬ状況下で、お互いの悲痛な過去を知ることにより、二人の間に愛が芽生えたのを確信する、というもの。「雨降って、地固まる」と言うにはえらい大雨が降ったし、「過去をすべて水に流して」と言うにはえらい大量の水が流れたが、とにかく、相手に対してさして関心もなく結婚式に臨んだ二人が、一難去って愛を確信するエンディングには晴れ晴れとしたものを感じた。

・しかし、その大枠の物語より、回想シーンとして挿入された2つの物語のほうが内容的に比重が大きい。前半は、素朴な漁師の青年(マッリ)が村のお金持ちの娘(サララ)に誘惑されまくるという話。後半は、純情な村娘(チトラ)が幼馴染み(スーリ)との結婚のみを望むが、叶わないという話。どちらも興味深かったが、特に前半の話が刺激的だった。80年代の田舎にこんな淫らな女(サララ)がいたのか?と、これが一定の真実を描いているなら、ちょっとした衝撃だ。

・2つの物語は異質な内容のものだが、共通点として、社会的ステータスのギャップが生み出す悲痛な愛憎劇というのがある。監督のクマール・ナーゲンドラ(新人)が何を一番言いたかったのかは定かではないが、貧者が富者のエゴの餌食になるというのは、インドではいつの時代にもある問題のようだ。

・このように、物語の設定や構成にひとひねりあり、技術的にも水準が高かったのだが、残念ながら、娯楽映画としてはそれほど面白くなく、大きく感動もできなかった。こういうオムニバス形式の映画の宿命かもしれないが、やはり新人監督の拙さが影響したのだろう。最近のタミルの新人監督による失敗作と似たような感触だ。ただ、異色作品として興味深い点もあるので、お勧め度は高い。

・興味深かったのは、これほどの惨事をもたらしたにもかかわらず、ゴーダーワリ川が否定的には捉えられておらず、むしろ、やはり心の拠り所として、愛着を持って描かれていることだ。この「大河崇拝」は私も共感を覚えるところであり、カルナータカ州在住の私が本ブログのタイトルを『カーヴェリ川長治の南インド映画日記』としたのもそのためで、もし私がアーンドラ・プラデーシュ州に居住していたなら、『ゴダワリ川春郎の南インド映画日記』としていたところであった。

◆ パフォーマンス面
・マッリ役のアーディは、さすがにこういう質実剛健な田舎男をやらせればピッタリ来るが、やはり地味すぎる顔立ちのせいで、どうもスクリーン映えしない。【Eeram】(09)の警官役はカッコよかったが。

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・サララ役のタープシーは本作の見どころだと言える。この人は都会的なモダンガールをやらせれば、当たり前すぎて却って面白みを感じないが、【Aadukalam】(11)でもそうだったように、田舎娘をやらせれば意外な魅力を発揮する。上唇の右上にあるホクロはたぶん役作りのために付けたものだと思われるが、サララの我がままで攻撃的で享楽的な性格をよく表していた。

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・チトラ役のラクシュミ・マンチュは、こうした役を演じたいがために自らプロデュースしたのでは?と思えるほどの気合の入り様だった。悪くはなかったが、やや年を食った感じがあり、相手役のサンディープ・キシャンとの相性が良かったとは言えない。この役は【Andala Rakshasi】(12)のラヴァンニャがやれば、もっと一途な気持ちが表現できたと思う。
 (写真下:大洪水と格闘するラクシュミ・マンチュ。)

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・スーリ役のサンディープ・キシャンは紹介しておく必要がある。この人はチェンナイで生まれ育ったテルグ人で、著名な映画カメラマンのChota K. NaiduとShyam K. Naiduの甥になるらしい。俳優デビューする前はガウタム・メーナン監督の【Vaaranam Aayiram】(08)で助監督をやったこともあるらしい。俳優としては【Prasthanam】(10)と【Routine Love Story】(12)で注目され、頭角を現しつつある。困ったことに、テルグ映画界でも最近、映画人の子弟で俳優としてデビューする奴にろくなのがいないが、この人はまともなほうで、私的には期待している。

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・村祭りの、たぶんレコードダンスという設定で、エッチなアイテム・ナンバーにムマイト・カーンとスジャーが出演している。

◆ テクニカル面・その他
・イライヤラージャーの音楽は私的に注目ポイントだったが、マエストロにしては平凡な仕事だったと思う。しかし、歌にしてもBGMにしても、25年前の田舎の風情はさすがによく表されていた。物語中に、当時のイライヤラージャー自身のヒット曲が引用されていたようだが、どの映画の歌かは私には分からなかった。

・ゴーダーワリ川の氾濫を再現したVFXは見どころの一つ。エンディングでラージャマンドリのゴーダーワリ橋(アーチ・ブリッジではない)が効果的に視覚化されている。

◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月9日(日),公開第1週目
・映画館 : Chandrodaya,11:15のショー
・満席率 : 1割未満(約40人)
 

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