カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Udhayam NH4】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2013/05/16 02:15   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

画像

 本作【Udhayam NH4】はタミル映画でありながら、物語がバンガロールからチェンナイへと続く国道4号線上で展開される。国道4号線(NH4)というのは、ムンバイ(マハーラーシュトラ州)からプネー、ベラガーウィ(カルナータカ州)、バンガロール、チットゥール(アーンドラ・プラデーシュ州)を経て、チェンナイ(タミル・ナードゥ州)へと至る南西インドの一大幹線道路であるが、こと南インド屈指の産業都市でありながら港を持たないバンガロールにとっては、港湾都市チェンナイへと抜ける生命線となり、在バンガロールの企業人(私も含めて)にとっては、国道4号線はタージマハル以上に重要なインドの人工建築物となる(追記:このNH4は旧番号)。
 このように、自分の生活圏にある土地や建造物が描かれているのを見、親近感が味わえるのも、地方映画を観る楽しみの1つだと言える。
 監督はマニマーランという新人だが、【Aadukalam】(11)で国家映画賞を取ったヴェトリマーランがストーリー、脚本、台詞、制作を担当している。

【Udhayam NH4】 (2013 : Tamil)
物語・台詞 : Vetrimaaran
脚本 : Manimaran, Vetrimaaran
監督 : Manimaran
出演 : Siddharth, Ashrita Shetty, Kay Kay Menon, Avinash, Aadukalam Naren, Surekhavani, Gaana Bala(特別出演), その他
音楽 : G.V. Prakash Kumar
撮影 : Velraj
編集 : Kishore Te.
制作 : Dhayanidhi Alagiri, Vetrimaaran

題名の意味 : ライジング・国道4号線
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : スリラー
公 開 日 : 4月19日(金)
上映時間 : 約2時間

◆ あらすじ
 プラブ(Siddharth)はチェンナイ出身のタミル人だが、バンガロールの大学で工学を学ぶ学生。彼には恋人のリティカ(Ashrita Shetty)がいた。リティカの父アヴィナーシュ・パテール(Avinash)はカルナータカ州の有力政治家で、娘とプラブの交際を嫌っていたため、二人は会うこともままならなかった。それで、プラブはリティカをチェンナイまで連れて行き、弁護士の叔父(Aadukalam Naren)の許で結婚の手続きをする計画を立てる。果たしてプラブとその友人たちは、まさにリティカの大学最終試験の終了直後に、彼女を連れ去る。
 アヴィナーシュはエンカウンター・スペシャリストの警官マノージ・メーナン(Kay Kay Menon)を呼び、リティカを連れ戻すよう依頼する。その際、プラブを殺してもいいと指示する。たまたまその日は息子の誕生日で、早く帰宅する必要のあったマノージは「2時間で片を付ける」と約束する。
 だが、プラブとその仲間たちは巧みだった。彼らは鉄道を使うと見せかけ、警察の裏をかいて、バスで国道4号線を移動する。そして、警察がそれを察知すると、今度は列車に乗り換える。しかし、それも警察が探知し、マノージはクッパム駅でリティカを捕らえることに成功し、バンガロールへ連れ戻そうとする。
 だが、タフなプラブはマノージの手から再びリティカを取り返し、陸路でチェンナイへと向かう。ここに友人たちも合流するが、友人の1人のムラリが事故に遭ってしまい、大怪我をしたままマノージに拘束される。マノージはプラブに、リティカとムラリの交換を要求する。やむを得ぬ状況下で、プラブはその交換要求に応じるが、、、。

◆ アナリシス
・スピーディーで緊張感のある展開で、なかなか面白かった。

・ストーリーは単純だが、語り口が上手い。主筋はプラブ(Siddharth)がリティカ(Ashrita Shetty)を連れ去るだけのものだが、その背景説明として、プラブの友人ディーパクとウメーシュ、及びリティカによる大規模な回想シーンが3度入り、プラブとリティカの関係、及び二人とアヴィナーシュ(Avinash)の関係が明らかにされる。

・主人公はどこの馬の骨とも分からないミドルクラスの青年、ヒロインは大物政治家の令嬢、二人の交際を禁じるヒロインの父、駆け落ち、その過程で成長するヒーロー、正義を貫いたヒーローが勝ち、不正を厭わなかった父が泣きを見るというプロット。これだけなら常套的で古くさい映画だとも言える。しかし、本作は上に述べたとおりの語り口の上手さと、明らかに若者層をターゲットにしたファッション性で、まさに「Old Wine in New Bottle」といった作品に仕上がっている。

・さすがヴェトリマーラン、脚本はよく考えられており、面白いアイデアがいろいろあった。例えば、国道4号線と長距離高速バス、列車などの具体的な利用や、警察のハイテク捜査とその裏をかく工業大学生のプラブとの応酬など面白い。警官マノージ・メーナン(Kay Kay Menon)のキャラクターも立っていたし、彼と妻との電話での会話も効果的。物語の設定をリティカの18歳になる誕生日の前日としたのもアイデアとしては良い。

・しかし、この「リティカの17歳最後の日」としたのは、アイデアとしては面白くても、論理的には大きな欠陥。プラブがリティカをのらりくらりと連れ回したのも、警察の追跡を逃れるということ以上に、夜中の12時を過ぎてリティカが18歳になるのを待つ(そうすれば、彼女の自由意思で結婚相手を決められるから)という意図があり、警察との追い駆けっこに時間との追い駆けっこが加わり、映画的には緊張感を増した。しかし、17,8歳で卒業する大学生というのは普通にはあり得ない。(プラブとリティカをPUCの学生と見るのにも無理がある。)

・本作はロードムービーとして、地図を辿る楽しみがある。プラブとリティカの逃避行は、バンガロールを出発し、ホサコーテ(Hosakote)、バンガーラペート(Bangarapet)、クッパム(Kuppam)、チットゥール(Chittoor)へと至るものだった。

・先日紹介したテルグ映画【Gunde Jaari Gallanthayyinde】の主人公もそうだったが、本作のプラブも酒、タバコはお構いなしのキャラクターだった。なんだかんだ言って、インド映画も若者向けの作品では「禁酒禁煙」のたがが緩み始めてきたようだ。本作の音楽シーンの1つに、麻薬、酒、タバコに対する警告をデカデカと発しているものがあるが、その背景のクラブの映像があまりにもファッショナブルなので、却ってそれらを推奨しているかのようだった(下の動画)。



◆ パフォーマンス面
・主演のシッダールタは、甘い二枚目というより、芯の強いチェンナイの下町ボーイをクールに演じており、かなりカッコよかった。見直した!

・ヒロインのアシュリター・シェッティが大きく作品の足を引っ張っている。新人なので大目に見てやりたい気もするが、まったくの大根だった。特にセリフ回しがひどい。彼女はおそらくカンナダ語話者で、役柄もカンナダ人という設定だったので、物語中ではカンナダ語とタミル語と英語をちゃんぽんで話すという難しさはあったと思うが、それにしても棒読み調のセリフを聞くたびに白けてしまった。ここは声優の吹き替えを付けるべきだったし、もっと理想を言えば、別の女優(例えば、サマンタ)を使うべきだった。
 (写真下:涼しげにバンガロール・メトロ「MGロード駅」前をバイクで流すお二方。)

画像

・ケー・ケー・メーナンがさすがに引き締まったパフォーマンスを見せている。彼はヒンディー映画では性格俳優として微妙な役柄を演じることが多いが、本作でも職務においては冷徹、しかし血も涙もあるという警官を見事に演じていた。

・カンナダ映画界からアヴィナーシュがネガティブ・ロールで出演している。彼らしい役柄と演技だった。その他の脇役たちも総じて無難なパフォーマンスを見せている。

◆ テクニカル面・その他
・本作の音楽シーンそのものの出来はハイレベルだとは言えないが、G・V・プラカーシュ・クマールの曲はまずまず。BGMも良かった。

・ヴェールラージのカメラはスリリングで良かった。

◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月27日(土),公開第2週目
・映画館 : Coliseum (Kuala Lumpur),15:00のショー
・満席率 : 1割
・特記事項 : 英語字幕付き

《 本作から得られる教訓 》
 親のすねかじりで、、、
 高級ショッピングモールを徘徊し、
画像













 高級カフェでアイスティーを飲み、
画像












 高級シネコンでハリウッド映画を見、
画像












 私も行ったことのないオシャレなクラブに入り浸る。
画像












 そんなことしとるから、、、

 こんなことになるんや!
画像












 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Soodhu Kavvum】 (Tamil)
 こんなふうにせっせと南インド映画を鑑賞し、僭越ながら皆さまに情報提供してはいるものの、いかんせん鑑賞本数に限りがあるので、細かな状況把握やトレンド分析には至らないことを告白せざるを得ない。ひと昔前までは十年一日と思われた南インド映画シーンも、近年では何かと変遷があり、人気スターや著名監督を中心に追い駆けているだけでは「周回遅れのランナー」になりかねない。  こと変化が激しいのがタミル映画界で、去年までは「ニューウェーブ」といった動きを注視していたが、そのトレンドも終焉したようで、最... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/05/24 22:42
【Theeya Velai Seiyyanum Kumaru】 (Tamil)
 現在、スーリ監督、シヴァラージクマール主演のカンナダ映画【Kaddipudi】が上映されており、これはシヴァンナの久々のヒット作となったので、早く観たくてうずうずしているのだが、その前にタミルの話題作【Theeya Velai Seiyyanum Kumaru】が公開されたので、先にこちらを観て来た。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/06/20 23:32
【Drishyam】 (Malayalam)
 1ヶ月インドを離れていたせいで、未見の話題作が山積! ポンガル公開の作品は、タミルの【Jilla】と【Veeram】、テルグの【1 Nenokkadine】と【Yevadu】がいずれも面白いという評判の上に、大ヒット。加えて、年末公開されたカンナダ映画【Shravani Subramanya】もガネーシュ久々のスーパーヒットとなったようで、押さえておく必要がある。こりゃあ、分身の術を使うか、あるいは会社をずる休みでもしない限り、はけないな。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2014/02/06 07:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Udhayam NH4】 (Tamil) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる