カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Iddarammayilatho】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2013/06/14 03:22   >>

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 プーリ・ジャガンナート監督は、人気と知名度の割には批評家から叩かれることが多く、年々作品の質が落ちているとの声も聞く。私もそれほど好きな監督だとは思わないのだが、それでも律儀に新作を観てしまうのは、毎回キャスティングに惹かれるからだ。
 本作【Iddarammayilatho】も、ヒーローがアッル・アルジュンなので、それだけで私的には「観る!」なのだが、それ以上にアマラ・ポールとキャサリン・トレーサのツイン・ヒロインに惹かれた。実は、四方八方から届く口コミ評価はいずれも「つまらない」、「観る必要なし」というものだったが、スタイリッシュ・スターのダンスだけでも、アマラ・ポールの愛おしいほど下手くそな演技だけでも、キャサリンの胸元と太股だけでも、観ておいて損はないと思った。

【Iddarammayilatho】 (2013 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Puri Jagannadh
出演 : Allu Arjun, Amala Paul, Catherine Tresa, Shahwar Ali, Subbaraju, Rao Ramesh, Brahmanandam, Tanikella Bhrani, Thulasi Shivamani, Nasser, Pragathi, Priya, Ali, Srinivasa Reddy
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Amol Rathod
アクション : Kecha Khamphakdee
編集 : S.R. Shekhar
制作 : Bandla Ganesh

題名の意味 : 二人の女と
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 5月31日(金)
上映時間 : 2時間17分

◆ あらすじ
 アーカンクシャー(Catherine)は中央政府大臣(Rao Ramesh)の娘。彼女は心理学を学ぶためにスペインのバルセロナへとやって来る。
 アーカンクシャーは借りた部屋の片隅に段ボール箱を発見する。中には前の住人の忘れ物が入っていたが、その中に写真と日記帳もあった。日記を書いたのはコーマリ・シャンカラバーラナム(Amala Paul)という女性で、日記には彼女とサンジュ・レッディ(Allu Arjun)のラブストーリーが記されていた。
 ・・・
 コーマリはテルグ・ブラフミンの保守的な娘だったが、バイオリンを習うためにバルセロナへとやって来る。当地で彼女はロック・ギタリストのサンジュと出会い、親しくなる。
 ある日、コーマリは、自分が全く気付かないうちに、悪漢(Shahwar Ali)が殺人を犯している現場をビデオカメラで撮影してしまう。それを知った悪漢の弟(Subbaraju)がコーマリを誘拐しようとするが、サンジュが来て、救う。これを機にコーマリはサンジュを強く愛するようになり、カーストが違うにも関わらず、結婚を決意する。しかし、親の承諾を得て、いよいよ結婚という段になって、日記はふつりと途切れていた、、、。
 ・・・
 アーカンクシャーはバルセロナの路上で演奏をしていたサンジュを見つけ、接近する。そして、機を見て、コーマリがその後どうなったのか質問する。だが、サンジュの返答はショッキングなものだった。コーマリはその後、同じ悪漢の弟に誘拐され、殺されたと言うのである。サンジュのことを愛するようになっていたアーカンクシャーは、彼にコーマリのことを忘れ、自分を愛するように言う。
 だがある時、アーカンクシャーは路上でコーマリとそっくりの女性を見かける、、、。

・その他の登場人物 : サンジュの両親(Nasser & Pragathi),コーマリの両親(Tanikella Bhrani & Thulasi Shivamani),フィデル・ブランマ(Brahmanandam),アーカンクシャーの母(Priya),グディワーダ・クリシュナ(Ali)

◆ アナリシス
・私の耳に届いた口コミ評価の内容は、「ストーリー展開がもたつく」、「後半のヒネリが簡単に予想できる」、「音楽シーンが多すぎる」というものだったが、なるほど、いちいちもっともな指摘だった。

・確かに、単純で時間的にも短めのストーリーの上に、やや多めの音楽シーンとさして必要でないコメディー・シーンが乗っかかり、テルグ映画らしいスピード感が出ていなかった。パラレルに描かれる日記上のサンジュ(Allu Arjun)とコーマリ(Amala Paul)の展開と現在時のサンジュとアーカンクシャー(Catherine)の展開も、切り替えがくどいように感じられた。上のあらすじでは私はかなり核心的な部分を隠して書いたが、それでもテルグ映画通なら、誰が真の悪者かは簡単に推測できるだろう。

・とは言っても、大満足とは言わないにせよ、私的にはまずまず楽しめた。観て、損したとは思わない。ストーリーラインの弱さとスリルの欠如は目をつぶるとして、アクションは切れていたし、デーヴィ・シュリー・プラサードの音楽と音楽シーンもよくできていたと思う。

・おそらくプーリ・ジャガンナート監督は、NTRジュニア主演作のような、スリル満点、気魄十分なバイオレンス・アクションを作ろうとしたのではなく、アッル・アルジュンのキャラクターに合わせた、スタイリッシュで軽めのロマンティック・アクションを狙ったのだろう。そうした観点だと、本作はよくできているとさえ言える。

・しかし、本作は「日記」をモチーフにしているという点でタミル映画の【Ghajini】(05)と似たところがあるが、【Ghajini】がロマンス・パートもアクション・パートも密度が高く、強烈なのに対し、本作はいかにもインパクトが弱い。

・個人的には、比較的はっきりと「カースト」が語られているのが興味深かった。サンジュとコーマリはカーストの違いにも関わらず結婚を決意し、両家の両親とスカイプで電話会議をし、「カーストが違ってもいいじゃないか」となるところが面白い。また、アーカンクシャーはサンジュのことを「サンジュ」とは呼ばず、揶揄した感じで「レッディ」と呼ぶのも面白かった。

◆ パフォーマンス面
・上でも言及したとおり、おそらく本作はアッル・アルジュンの魅力を十全に見せようという意図の作品だと思われるが、その点では満点に近く、彼のファン(特に女性ファン)なら十分楽しめるだろう。やはりダンスとアクションが良く、今のインド俳優では随一だと言える身体能力には感服した。

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・ツイン・ヒロインには偶然クリスチャン娘が並んだ。コーマリ役のアマラ・ポールは3種類の相が楽しめる。まずは保守的なブラフミンのおぼこ娘として登場するのだが、それがサンジュに感化されて、だんだんと西洋風モダンガールに変容し、クライマックスでは、、、と、これは書けません。しかし、美味しい役柄のはずだが、やっぱりこの娘は芝居ができない。女優としての想像力/表現力が決定的に欠けている。そのせいで、面白い役柄もあまり面白くならなかった。

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・同じく、アーカンクシャー役のキャサリン・トレーサも女優として特に何もできない。この娘はバンガロール在住なので、応援したい気持ちが強いが、カンナダ映画の【Shankar IPS】(10)と【God Father】(12)で見たときは、前途多難だと思った。しかし、そんな彼女がテルグのメジャー級映画に抜擢されるとは! よっぽどうれしかったのか、演技はオーバー・アクティング気味。しかし、それもご祝儀で大目に見てあげよう。それにしても、このインド人らしくないのっぺりとした顔にクリスチャンとは、彼女の先祖はどこの人?

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・ブラフマーナンダムはフィデル(バイオリン)・ブランマという名の、スペインの学校でバイオリンを教える教師の役だった。設定は笑えるが、あまり面白くなかった。対してアリーは、設定はよく分からなかったが、アフロヘアの変てこなキャラで、物理的には笑える。さすがにアリーのデカ顔も、このアフロヘアのおかげで小さく見えた。

・冴えない悪役を演じたのはシャーワール・アリーという人。主にヒンディー映画に出演している俳優兼モデルだが、プリジャガの作品では【Bbuddah Hoga Terra Baap】(11)に出演している。

◆ テクニカル面・その他
・上で触れたとおり、デーヴィ・シュリー・プラサードの音楽は良かった。本作はほぼ全編スペインが舞台となっているが、「欧州もの」のインド映画の音楽はかくあるべし、といった出来だった。音楽シーンの1つ、「洋楽 vs インド古典音楽」のバトルマッチは楽しかった。

・アクション監督はKecha Khamphakdeeという人。よく知らないが、どうやらタイ人で、インド映画ではタミル映画【Billa II】(12)のクライマックス・シーンを担当した人のようだ(こちら)。

◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月8日(土),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),13:15のショー
・満席率 : 7割
 

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