カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Pattathu Yaanai】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2013/08/01 02:01   >>

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 この週末はカンナダ映画、タミル映画、テルグ映画にぜひとも観たい作品がなく、鑑賞作品選択に困った。こういう時こそマラヤーラム映画を観る良いチャンスなのに、それもマ映画サイドからの一方的な上映禁止措置により、目下バンガロールではマ映画が1つも上映されていないという事態になっている(こちら参照)。で、甚だ迷った挙句、タミル映画の【Pattathu Yaanai】にした。

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 選択した理由は、監督が【Devathayai Kanden】(05)や【Malaikottai】(07)などのヒット作があるブーパティ・パンディヤンというのもあるし(この2作は面白かった)、主演が本ブログではほとんど紹介してこなかったが、【Avan - Ivan】(11)で見直すこととなったヴィシャールというのもあるが、それ以上に、ヒロインのアイシュワリヤー・アルジュンに引っ掛かった。名前から察せられるとおり、「アクション・キング」こと、アルジュン・サルジャーの娘さんで、本作がデビュー作。私はアルジュン家の広報担当というわけではないのだが、これまで【Vaayu Puthra】(09)で甥のチランジーヴィを、【Addhuri】(12)でその弟ドゥルワを紹介してきた関係上、ついでというわけだ。
 (写真上:アイシュワリヤー・アルジュンさん。ヴィシャールと。)

 題名の「Pattathu Yaanai」は、戦争の際に死なずに生き残った象を讃えて言う言い方で、「最強の象」とか「名誉ある象」といった意味になるらしい。

【Pattathu Yaanai】 (2013 : Tamil)
物語・脚本・台詞・監督 : Boopathy Pandian
出演 : Vishal, Aishwarya Arjun, Santhanam, John Vijay, Murali Sharma, Jegan, Karthik Sabesh, Pattimandram Raja, Seetha, Mayilsamy, Manobala, Vada Poche Sarithiran
音楽 : S.S. Thaman
撮影 : S. Vaithy
編集 : A.L. Ramesh
制作 : S. Michael Rayappan

題名の意味 : 誉れ高き象
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション・コメディー
公 開 日 : 7月26日(金)
上映時間 : 2時間37分

◆ あらすじ
 カーライクディに暮らすガウラヴァム(Santhanam)は先祖代々結婚式の料理の仕出しをしている男で、この仕事に非常な誇りを持っていた。ある日、彼は地元のヤクザに結婚式の料理を依頼され、甚だ困る。そんな時に、どこからともなくサラヴァナン(Vishal)とその4人の仲間がやって来、ガウラヴァムの下で見習い料理人として働くことになる。だが、このことが予期せぬ騒動を生み、ガウラヴァムとサラヴァナンら6人はカーライクディを離れ、トリチーに避難することにする。
 トリチーで6人は自分たちの食堂を持とうとするが、これまた騒動続きで、何事も始まらない。
 ある時、サラヴァナンはアイシュワリヤー(Aishwarya Arjun)という女子学生と出会い、一目惚れする。ところで、この街にはそれぞれカーシーとマンナー(John Vijay)に率いられた2組の暴力団が激しい抗争を繰り広げていた。そのマンナーの甥もアイシュワリヤーに目を付け、結婚を迫って彼女の家族を脅迫する。それを知ったサラヴァナンはマンナーの敵のカーシーに掛け合う。サラヴァナンはアイシュワリヤーとその家族を避難させようとするが、ちょうどその時マンナーの一団がやって来、追跡されることになる。そして、逃れることができない状況になったとき、サラヴァナンは力ずくでマンナーの甥とその手下を蹴散らし、アイシュワリヤーを守る。
 ところで、マンナーはマドゥライのヤクザの「親分(アンナーチ)」(Murali Sharma)と同盟関係にあったが、この「親分」はかねてより息子の敵としてサラヴァナンを探していた。
 ・・・
 実はサラヴァナンはかつてマドゥライに暮らしていた。気の好い彼は孤児のプリヤーを実の妹のように育てていた。だがある日、「親分」の息子カールティクがレイプ目的でプリヤーの女教師を誘拐した際に、プリヤーも殺してしまう。それに憤ったサラヴァナンはカールティクを叩き殺し、刑務所送りとなる。出所した彼は料理人として人生の再出発をしようとした、というわけであった。
 ・・・
 「親分」は早速トリチーにやって来、サラヴァナンをサポートしているカーシーを殺す。サラヴァナンは「親分」とマンナーから命を狙われる。そうしているうちにアイシュワリヤーもマンナーの甥に誘拐され、強引に結婚式が行われようとする。この結婚式の料理はガウラヴァムが担当をすることになっていた。そこでサラヴァナンとその仲間は料理人として結婚式場に潜り込み、アイシュワリヤーを救い出す。しかし、これはすぐに知られ、サラヴァナンとアイシュワリヤーは悪漢一同に追跡されることになる、、、。

◆ アナリシス
・【Devathayai Kanden】を見る限り、単なる娯楽性以外にメッセージ性も加味して、批評家受けのする作品を撮るように思われたブーパティ・パンディヤン監督だが、この【Pattathu Yaanai】はごくごく穏当なアクション・コメディーだった。

・アクションというよりはコメディー色のほうがぐっと強い。オーソドックスなスタイルのマサラ娯楽映画だが、コメディー、アクション、音楽シーンのそれぞれの出来が平凡で、面白みに欠ける。批評家の評価は低いし、ヒットも難しいだろう。しかし、私はそんなに嫌いではない。

・私が気に入っている点は、結局、伝統的なタミル映画の香り、といったことになろうか。まず、物語の舞台が南タミルの3都市(カーライクディ、トリチー、マドゥライ)だというのに惹かれた。主要登場人物の設定を「結婚式の料理の仕出し屋」としているのもグッドアイデアだと思う。ばりばりのセンチメント(特にサラヴァナンと孤児プリヤーの関係)があるのも良い。
 (写真下:こういうお寺とヒーローの組み合わせには毎度しびれるものを感じる。)

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・主要登場人物が「こいつら、バカだなぁ」と思えるようなキャラクターに描かれているのも高好感度ポイント。これは侮蔑的な意味ではなく、こんな連中に接したときにインド人が可愛いと思える、ということだ。こういう気取りも何もない庶民性がタミル映画の本領であるべきで、前回紹介した【Maryan】と好対照だと思った。

・しかし、親しみやすかったとはいえ、悪漢(ジョン・ヴィジャイ演じるボスとその一味)がくどいほどコメディーをやるのには違和感を感じた。それなりに笑えたが、映画全体が間の抜けたような感じになってしまった要因だと思う。

◆ パフォーマンス面
・ヴィシャールは脚本の限度内では申し分のないパフォーマンスをしていたのだが、アクション・ヒーローとしての彼の能力が十分に活かされていたとは思えない。ファンにすれば、さぞかし物足りないことだろう。しかし、男前ではあった。

・アイシュワリヤー・アルジュン嬢は、スチルを見て分かるとおり、ちょっと「イケズ顔」で、アイドル的ヒロインとしてやって行くには苦しいと感じた。脇役か、テレビドラマの若妻役とかなら使えそうだけど。本作での役回りもあまり重要なものではなく、「華々しいデビュー」というわけには行かなかったようだ。

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・さて、ここからが重要なのだが、上で「ヒロインのアイシュワリヤー・アルジュンに引っ掛かった」と書いたのは、アイシュワリヤーその人のことではなく、彼女の母親を念頭に置いてのことだったのである。というのも、彼女の母(つまり、アルジュンの嫁のニウェーディタ)は「アーシャー・ラーニ」という芸名でカンナダ映画に出演してたからである。
 知ってのとおり、カンナダ・スターのシヴァラージクマールは「ハットトリック・ヒーロー」という冠タイトルを戴いており、それというのもデビュー3作が連続ヒットしたからであるが、その2番目に当たる【Rathasapthami】(86)という作品にアーシャー・ラーニがヒロインとして出演していたのである(写真下)。

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 ご覧のとおり、かなり可愛らしい南インド型美女で、私はすっかり惚れてしまった。彼女は古典ダンスの素養もあり、うまく行けば「カンナダのレーヴァティ」になれたほどの人材なのに、女優としてほとんど活躍しなかった訳は、、、お前のせいか、アルジュン!
 なんであれ、この母に比べると、娘は器量が落ちるなぁ。私は娘に母の面影を期待したが、残念ながら父に似てしまったようだ。
 (写真下:左より父のアルジュン、アイシュワリヤー、母の「アーシャー・ラーニ」こと、ニウェーディタ。)

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・仕出し屋ガウラヴァム役のサンターナムはいつもどおりの活躍で、面白かった。このところコリウッドでサンターナムの存在感が異様に高まっており、主役に迫る役割を演じることが多い。一時期陰気な作品を連発していたタミル映画が「笑い」へと回帰しているのは歓迎すべき傾向だが、使えるコメディアンがサンターナム1枚というのは心許ない。

・悪役ではジョン・ヴィジャイがアクティブな役回りで良かった。ムラリ・シャルマは朝飯前の仕事。

◆ テクニカル面・その他
・タマンくんの音楽は平凡。というより、この人、タミル映画で仕事をするとき、なんか手抜きしていませんかぁ???

◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月27日(土),公開第1週目
・映画館 : Eshwari,11:15のショー
・満席率 : 1割
 

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【Kathakali】 (Tamil)
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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/02/04 21:02

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