カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Attarintiki Daaredi】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2013/10/02 23:06   >>

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 この【Attarintiki Daaredi】はずいぶん前からテレビで予告編が流され、面白そうに見えたし、トリヴィクラム監督の作品だし、ヒロインのサマンタも可愛らしく撮れているようだったので、ぜひ観たいと思っていた。ところが、例のアーンドラ・プラデーシュ州分割の激震の中で、テルグ映画界も様子見態勢を取り、話題作の公開を控えるという事態になってしまった。それで本作も缶詰状態になっていたようなのであるが、こちらとしては「どの道、ダサラかディーパーワリには公開されるさ」と安穏に構えていたら、急転直下の公開となった。
 というのも、周知のとおり、公開を待たずに本作の1部(90分程度らしい)が流出し、パイレーツCDが出回り、ネット上にもアップされるという事件が起こったため、急遽、予定を早めて本編の劇場公開に踏み切ったものらしい(こちら)。
 この流出事件の犯人として、一応、本作の製作アシスタントのアルン・クマールら8人が逮捕されている(こちら)。ただ、事件の真相という点ではどうだろう? アルン・クマールらが私欲のために起こした事件なのか、または、主演のパワン・カリヤーン(チランジーヴィ家)に敵対する勢力が背後で糸を引いたものなのか、はたまた、これは製作サイドそのものの自作自演劇で、テルグ映画界の「様子見状態」を突破して公開するための話題作りとした可能性も捨て切れない(そりゃあ、90分見せられたら、続きも見たくなるわな)。
 何はともあれ、本作は公開後猛烈な勢いで客を集めているようである。

【Attarintiki Daaredi】 (2013 : Telugu)
脚本・監督 : Trivikram Srinivas
出演 : Pawan Kalyan, Samantha, Pranitha, Boman Irani, Nadhiya, Rao Ramesh, Kota Srinivasa Rao, Ali, Brahmanandam, M.S. Narayana, Mukesh Rishi, Bharath Reddy, Raghu Babu, Ahuti Prasad, Posani Krishna Murali, Pragathi, Brahmaji,Ravi Prakash, Amit Kumar Tiwari, Dhanraj, Hema, Srinivasa Reddy, Venu, Navika Kotia, Hamsa Nandini(アイテム出演), Mumtaj(アイテム出演)
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Prasad Murella
編集 : Praveen Pudi
制作 : B.V.S.N. Prasad

題名の意味 : お義母さんのうちへ行く道はどっち?
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション・コメディー(家族物)
公 開 日 : 9月27日(金)
上映時間 : 2時間49分

◆ あらすじ
 テルグ系インド人のラグ・ナンダン(Boman Irani)はイタリアのミラノに暮らす大富豪。彼にはスナンダ(Nadhiya)という娘がいたが、彼の意に反してシェーカル(Rao Ramesh)という男と恋愛結婚してしまったため、20年以上も前に親子の縁を切っていた。ところが、老いて死期の迫る中、ラグは悔悟の念に駆られ、死ぬ前にせめて一度スナンダに会いたいと、信頼する孫のガウタム・ナンダン(Pawan Kalyan)に彼女をミラノまで連れて来るよう依頼する。ガウタムは早速ハイダラーバードまで飛ぶ。
 ガウタムはまず、スナンダの夫シェーカルが車の運転中に心臓発作に襲われたところを救い、病院に運び込む。これでシェーカルの信頼を得たガウタムは、シッドゥという名を名乗り、運転手としてスナンダの家に雇われる。
 スナンダは高級ホテルを所有していたが、経営状態が悪く、多額の借金を抱えていた。この問題もガウタムが片を付ける。しかし、そうした過程で、スナンダはシッドゥ(ガウタム)が父(ラグ)の孫だということに感付く。
 ところで、スナンダとシェーカルにはプラミーラ(Pranitha)とサシ(Samantha)という二人娘がいた。姉のプラミーラはシッドゥに興味を示すが、サシのほうは彼に苛立つものを感じていた。そんなある日、ショッピングモールでプラミーラが男に誘拐されそうになり、それをシッドゥが救い出す。しかし、それはシッドゥの勘違いで、誘拐犯と思われた男はプラミーラの恋人のローヒト(Bharath Reddy)だった。実は、地方の豪族のシッダッパ(Kota Srinivasa Rao)という男が自分の娘をローヒトと結婚させようとしていたため、ローヒトとプラミーラが逃げようとしていたところを、シッドゥが邪魔をしてしまったというわけであった。
 プラミーラの依頼で、シッドゥはシッダッパの屋敷からローヒトを連れ戻すことにする。これにはひょんな経緯でサシも同行することになる。そして、その道行の中で、サシはシッドゥに惹かれるようになる。作戦は上手く行き、シッドゥはローヒトをスナンダの家まで連れて来る。
 これに憤ったシッダッパが一族郎党を率いてスナンダの家まで乗り込んでくる。ゴタゴタの中で、スナンダは、シッダッパの顔を立てるため、代わりにもう一人の娘サシをシッダッパ家の嫁にやると約束してしまう。しかし、ここで困った事態になる。この時点で、サシとシッドゥ(ガウタム)は惹かれ合う仲になっていたからである、、、。

・その他の登場人物 : ガウタムの父(Mukesh Rishi),ガウタムの母(Pragathi),ガウタムの秘書バールー(M.S. Narayana),看護師(Ali),バースカル(Brahmanandam)

◆ アナリシス
・実は面白かったので、文句を付けるつもりは全然ない。しかし、レビューを一通りチェックしてみたら、4つ星を付けているものが多く、ほんまかぁ?と思った。絶対ウソや!

・大体、テルグの売れ筋系アクション娯楽映画というのは、かなり面白くてブロックバスターになるものでさえ、批評家の評価は渋く、3つ星か良くて3つ星半、人によって2つ星半が相場だったと思うが、本作の4つ星続出というのは異様な光景だ。となると、何かウラを感じてしまうのは悪い癖?

・繰り返すと、本作は面白いので、鑑賞予定の方は安心して画面に向かっていただきたい。ただ、私がもう一つ高揚感や満足感を感じなかったのは、やっぱり敬愛するシュリーヌ・ヴァイトラ監督の作品と比較してしまったからだと思う。

・トリヴィクラムも好きな監督だが、やはりこの人は台詞に強みがある人で、シュリーヌ・ヴァイトラ監督のように立体的で混迷した状況を作り出して観客を引き込むというのは得意でなさそうだ。そうなると、テルグ語そのものの響きやニュアンスを解さない者には苦しいかなと。

・本作は大家族が描かれ、登場人物が多いのもシュリーヌ監督作品と同様だが、決定的に違うのは、本作の端役は本当に端役だった。ブラフマージーやアーフティ・プラサード、ヘーマーのような有能な脇役陣も挨拶代りに出て来たようなものだった。これはオバサマ陣にさえ見せ場を作っていた【Baadshah】(13)などに比べると、やっぱり見劣りする。

・ブラフマーナンダムの使い方もまずい。本作でブラフミーは「バースカル」という名のふざけた男を演じており、ここは確かに笑いどころの1つなのだが、無理からという感じで、くどく、最終的には白けてしまった。これもシュリーヌ監督の諸作品に比べると旨くない。

・実のところ、シュリーヌ・ヴァイトラ監督との比較以前に、「どうも違うなぁ」というのを感じながら鑑賞していた(特に前半)。というより、私ゃ、本作でのトリヴィクラム監督の意図がよう分からんかった。

・簡単にまとめると、本作は「親子の相互理解、家族の紐帯の大切さというインド映画の一大テーマをテルグ映画のアクション・コメディーのフォーマットで表現したもの」となってしまうと思う。その点では、アクションなんかも血みどろ・首チョパはなく、アイデアの効いたもので、CBFCの認証も「U」、娯楽ガジェットのバランスも良く、家族みんなで楽しめるクリーンな娯楽映画として上手くまとまっている。だがなぁ、あの神秘的な髭を持つトリヴィクラム監督が、今さら(自身が10年も前にやっていたような)ありきたりな家族ドラマを撮るとはどうも考えにくいのだが(しかも、4億ルピーも費やして)、、、。

・違和感を感じたのは特に前半で、テルグ映画らしからぬ堅実なテンポ、上品なアクション、有名ボリウッド俳優のボーマン・イーラーニーが出演していることなどから、「もしやトリヴィクラムはテルグ語版【Kabhi Khushi Kabhie Gham...】を作りたかった?」と怪しんだ。(【Julayi】の鑑賞記でも似たことを書いたような気が、、。)

・幸い、後半に入って、シッダッパと田舎の粗暴者が登場してからは、これぞテルグ映画というテイストになり、ホッとした。しかし、それも後で思い返してみると、荒くれ者が刃物を持って4駆車に横乗りしている場面も見事に様式化されすぎていて、かえってボリウッド映画の【Chennai Express】(13)に近いものを感じた。

・コメディアンの使い方もそう。テルグ・コメディーらしい使われ方をしていたのはブラフマーナンダムだけで、M・S・ナーラーヤナもラグ・バーブも、アリーさえも、ストーリー上の役割の中にきっちり納まっているという感じで、逸脱感がなかった。そういえば、この感覚は、、、ぬぬぬ、シャンカル監督の【Enthiran】(10)やムルガダース監督の【Thuppakki】(12)でも感じたことだぞ。

・上のことは総じて、トリヴィクラムほどの髭の持ち主なら意図的に、計算してやったとしか考えられないのだが、じゃあ、その「意図」は何?というのが私の疑問だ。(私はトリヴィクラムの映画が分かった例がないような、、。)

・面白かったのは、ラグ・ナンダン家の人は代々「ビンタ」を食らわすDNAがあるらしいこと。これはラグ・ナンダンも娘のスナンダも孫のガウタムもそう、、、つまり、サシ(サマンタ演じる)も!

◆ パフォーマンス面
・本作のパワン・カリヤーンは良かった。相変わらず誇大妄想的なテルグ型ヒーローとして脚色されているが、ファンならたまらないだろうし、パワンを苦手とする者でもまずまず受け入れられる。パワースターも年相応に上手くなったと思う。
 なお、パワンがモーハン・バーブの物真似をしているということを後で知ったが、鑑賞中は全然分からなかった。

・サシ役のサマンタは可愛い! 何が可愛いて、ケツだよ、ケツ! ま、私的には、ケツ周りが推定160センチのジャーンシー、同145センチのミーナーでも構わないのだが、いわゆる「美尻アイドル」では今ならサマンタが南インド一かもしれない。(追記:尻の話ばかりで書き忘れてしまったが、この素敵な声とセリフ回しは、やはりチンマイさんの吹き替えでした。)

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・プラミーラ役のプラニータはバンガロール娘なので一応応援しているが、ぱっとせんなぁ。

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・最も感銘を受けたのは重要なスナンダを演じたナディヤさん。まだ全然美しく、若く見えたので、もしや実年齢ではパワン・カリヤーンより年下なのに「叔母」を演じた?と思っていたら、実はもう47歳らしい。驚いた。ジャヤスダーの代わりが務まりそうだ。
 (写真下:本作音楽CD発表イベントのスチルより。)

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・ボリウッドから何故かボーマン・イーラーニーが重要な役で出演している。演技的にはさすがに文句はないが、なぜこの役にギャラの高いボリウッド俳優を使う必要があったのかなぁ???という疑問は残る。
 (写真下:トリウッド初出演の膨満さん。もちろん本作のスチルではありません。)

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・コメディー陣については上で言及したとおり。

・端役だが、プラミーラとサシの従妹役をやっていたのはナヴィカー・コーティヤーで、【English Vinglish】(12)でサプナーを演じていた女の子。

◆ テクニカル面・その他
・音楽はデーヴィ・シュリー・プラサードの担当で、全体的に良い出来。音楽シーンの1つにDSP自身が登場しており、変にカッコよかった。これを見て、DSPも俳優として映画に出たいんだなぁ、と思った。
 ムムタージとハムサ・ナンディニが出演しているアイテム・ナンバーはまずまずの出来。しかし、この場面はプラニータとサマンタが「パーティーに行く」と称して行ったクラブなのだが、そこにいたのは女ばかり! 「おお、ハイダラーバードにもテルメ・カフェができたか!?」と、一瞬錯覚した。
 (写真下:誰かオレをヒーローに映画撮ってくれ〜、と訴えているかのようなDSP氏。)

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◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月29日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),10:00のショー
・満席率 : 満席

 (オマケ画像:トリヴィクラム監督(右)とパワースター。真ん中には全然活躍していなかったブラフマージー氏。)

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内 容 ニックネーム/日時
字幕なしで新橋で見ました。面白い映画でしたね。
ボーマンさんて、「3idiots」の学長役の方だったのですね。ムケーシュリシさんのお父さん役でしたね。かなりすごい配役ですね。
思ったよりかブラフマージーさんは出番はありましたけど、らしいことはさせてもらえなかった感じでしたね。他の役者さんもですけどね。
ベッドのシーンですがブラフマーナンダムさんいじめられ過ぎかな…。見ていていささかつらくなってきましたね。
ナン
2013/10/13 17:37
ああ、今日でしたね。テルグ人の熱気は感じられたでしょう。

>思ったよりかブラフマージーさんは出番はありましたけど、

ええっ、そうでしたか。私、寝てたのかな。

>ベッドのシーンですがブラフマーナンダムさんいじめられ過ぎかな…。

コメディアンはいじられてなんぼ、ですが、今回はちょっとくどかったですね。
 
カーヴェリ
2013/10/14 00:31

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