カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Chandi】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2013/11/14 22:18   >>

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 カンナダ映画の【Election】(13)と【Bhairavi】(13)の鑑賞記で、カンナダ映画には強き女ヒーローが活躍する「女傑物」がコンスタントに作られている、という趣旨のことを書いたが、それは何もサンダルウッドの専売特許というわけではなく、他言語映画産業でもポツリポツリと現れはする。例えばテルグでは、ムマイト・カーン主演の意外と面白い【Maisamma IPS】(07)があったし、【Arundhati】(09)だって女傑物にカウントすることも可能だろう。

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 そして登場したのが本作【Chandi】。主演のプリヤーマニの強烈なスチルやトレイラーが公開されており、私は某所で早々と「7回は観る」宣言をしてしまった作品だ。
 題名の「Chandi」はプリヤちゃん演じる女ヒーローの役名だが、どうも「ドゥルガー女神」の別称でもあるらしい。この題名に‘The Power of Woman’という副題が付いている。

【Chandi】 (2013 : Telugu)
監督 : V. Samudra
出演 : Priyamani, Krishnam Raju, Sarath Kumar, Ashish Vidyarthi, Nagendra Babu, Posani Krishna Murali, Vinod Kumar, Supreet, GV, Ali, Thagubothu Ramesh, Satyam Rajesh, Giri Babu, Ranganadh, Kondavalasa Lakshmana Rao, Baby Annie, Scarlett Wilson(アイテム出演)
音楽 : N.R. Shankar, Chinna
撮影 : Vasu
編集 : Nandamuri Hari
制作 : Dr. Srinubabu G

題名の意味 : チャンディー(女主人公の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション(復讐物)
公 開 日 : 11月8日(金)
上映時間 : 約2時間10分

◆ あらすじ
 ガンガー(Priyamani)はフリーダム・ファイターのアッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュの曾孫で、武道(弓矢)に秀でた女性だった。しかし、彼女は素性を隠してチャンディーという名を名乗り、政治家や役人に対する殺害を開始する。この計画には警官のアジャード(Sarath Kumar)も協力していた。
 チャンディー(ガンガー)はまず、行政長官(Vinod Kumar)を斬首する。この残酷な事件を受けて、CBIオフィサーのシュリーマンナーラーヤナ(Nagendra Babu)が捜査に動くが、手掛かりは得られなかった。
 チャンディーは次に、内務大臣(Ashish Vidyarthi)の弟、バンガルラージュ(Supreet)を刺殺する。内務大臣は憤り、手下の悪徳警官(GV)に捜査を急がせる。その結果、悪徳警官は目撃者(Ali)から犯人(チャンディー)の写真を得ることに成功する。しかしその警官も、ドゥルガー・プージャーの最中に、ドゥルガー女神に変装したチャンディーに刺殺されてしまう。だが、この時にはシュリーマンナーラーヤナも尻尾をつかんでおり、チャンディーは逮捕されてしまう。
 内務大臣はチャンディーを暗殺してしまおうと、手下に彼女を搬送中の警察車を襲撃させる。しかし、これが裏目に出て、チャンディーは逃走することに成功する。
 シュリーマンナーラーヤナは警官のアジャードを呼び出し、チャンディーの件を問い質す。アジャードはチャンディー(ガンガー)の過去を説明する。
 ・・・
 ガンガーはウィシャーカパトナム県のとある村に暮らす名家の娘だった。父のアショーク・ガジャパティ・ラージュ(Krishnam Raju)は好人物である上、フリーダム・ファイター、アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュの孫ということで、村人から非常な信望を集めていた。
 ある日、開発という名目でグローバル企業がこの村の土地を買収する計画が持ち上がる。これには内務大臣と県の行政長官が深く関与していた。当然、アショークは反対する。しかし、内務大臣は弟のバンガルラージュや手下の悪徳警官に命じて、抵抗する村人たちを虐待する。そして、アショークとその家族も皆殺しにしてしまうが、ガンガーだけ奇跡的に命が助かった、というわけであった。
 ・・・
 この話を聞いたシュリーマンナーラーヤナは、アジャードとガンガーの行動を黙認することにする。
 ガンガー(チャンディー)は内務大臣を呼び出し、戦いの末、弓で射抜いて、復讐を果たす。裁判が行われ、不正に買収された土地は村人に返還されることになるが、しかし、ガンガーは有罪を免れず、牢獄に送られる。

◆ アナリシス
・各レビューに目を通してみたら、軒並み星1つの低評価で、涙! ま、確かに出来は良いとは言えないが、出来の悪い子ほど可愛いと言うし、プリヤーマニ主演ということもあって、私的にはこの作品が愛おしいよ。

・だいたいこの手の映画は、プロットの斬新さとか完成度とかいうより、プリヤちゃんがカッコいいと思えれば、それでよし。

・メインプロットは、家族を殺され、故郷の土地を掠め取られたガンガー(チャンディー)が復讐を果たし、村人のために土地を回復するというもの。このガンガーの行動のバックボーンとなり、本作のモチーフとなっているのが、20世紀初頭に活躍したフリーダム・ファイター、アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュ(下の絵)。

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アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュ(Alluri Seetha Rama Raju)については本作を観るまで全く知らなかったが、1897年7月、アーンドラ・プラデーシュ州の西ゴーダーワリ県Mogallu村に生まれ、農業に関する問題から反英闘争を起こし、1924年5月にウィシャーカパトナム県Mampa村で戦死、「ジャングルの英雄(Manyam Veerudu)」として地元民から英雄視されている人物らしい。伝記的映画【Alluri Seetarama Raju】(74)がスーパースター・クリシュナ(マヘーシュ・バーブのおとん)主演で作られており、本作でもその映像の一部がちらっと使われていた(観たい!)。

・ガンガーを通して描かれる本作のヒロイズム(ガンガーは女なので「ヒロイズム」というのも変だが)は、このアッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュというローカルな英雄に対する賛美によって強化されている(従って、本作はすこぶる地方的な映画であり、タミル語やマラヤーラム語のダビング版が作られるのはナンセンスだと言える)。土地を守るというコンセプトは、「アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュ vs 英国」、「ガンガー vs グローバル企業とそれをサポートする政治家・役人」と、ぴったりパラレルになっている。

・ところで、ガンガー(チャンディー)はドゥルガー女神の権化であるかのように、かなり神的な描かれ方をしていた。そして、ガンガーに神的な権威を授ける役割を担うのがアッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュだったのだが、よく考えると、アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュは英雄ではあるが、神格ではない。このように、人間が疑似神として神性を付与されて行くメカニズムは面白い。

・本作を見て気付いたのだが、南インド映画の「女傑」というのは、普通の女性が何らかの理由で武器を手にする、といった次元のものではなく、始めから何らかの神的性質を帯びている、または、ごく幼少期に権威的存在(神や英雄や父など)から啓示を受け、戦う女としての自分の宿命を悟る、といった人物として描かれることが多いようだ。この点も興味深い。

・本作には‘The Power of Woman’という副題が付いているが、ストーリーから言えば、別に本作の主人公が女性である必然性はない。それではまずいと思ったのか、メインプロットとは関係なしに、夜のバスの中で若い女性がならず者にレイプされそうになるのをチャンディーが救い、レイプや酸攻撃(acid attacks)など、女性が男性に虐待されている現実を糾弾するシーンを設けている。(これは昨年12月にデリーで起きた「ニルバヤー事件(輪姦事件)」を意識しているのは明らか。)

◆ パフォーマンス面
・バイオレンス映画の主役なんかやって、両親の希望とは裏腹に縁談が遠のきそうなプリヤちゃんだが、本作のダメな点は、せっかくの彼女がきれいにも可愛くも撮られていないことだ(撮影監督は誰じゃ!)。しかし、さすがはプリヤちゃん、戦う女としての力強さと貫録は十分。アクション・シーンでも腰がぶれず、これは近ごろの売れスジ女優には全く真似のできない芸当だと思った(カージャルとかサマンタとかアマラ・ポールのこと言うとんじゃ! 君たち、腰が高いんや。)

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 きれいに撮ってもらっていないとはいうものの、「弓矢を引くプリヤちゃん」、「各種刃物を振り回すプリヤちゃん」、「拳銃を握るプリヤちゃん」など、彼女のコスプレは見もの。極めつけは下の「ドゥルガー・プリヤー」。

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・ガンガーの父のお館様を演じたクリシュナム・ラージュがなかなか好印象。

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・サラット・クマールがガンガーの復讐をサポートする警官という分かりにくい役回りで登場していたが、かなりカッコよかった。プリヤちゃんのアクションも良かったが、このオッサンが立ち回りを始めると、「やっぱ、こっちのほうがカッコええわ」と痛感した。

・ポーサーニ・クリシュナ・ムラリがひょうひょうと面白い警官をやっていた。【Gabbar Singh】(12)のパロディーもあり、評判は良くないが、私的には面白いと思った。

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・悪役らしい悪役はアーシーシュ・ヴィディヤールティ、スプリート、GVの3枚。特にアーシーシュの大臣は、タイ娘(マッサージ師)の足の指に挟ませたタバコをふかすやら、自ら学生運動のリーダーを殺すやらと、最悪な男だった。

・アリーとターグボートゥ・ラメーシュがかなり時代がかった感じのコメディー・トラックを作っていた。

・ガンガーの少女時代を演じた子役は、【Rajanna】(11)に出ていたアニー。ちょっと体が大きくなって、ちょっとぶさいくになったかな?

◆ テクニカル面・その他
・物語の舞台となった(ガンガーの故郷の)村は、映画中では「Krishnadevi Patnam」と読めたが、調べても出て来なかった。「Krishnadevi Peta」ならウィシャーカパトナム県にある村だし、アッルーリ・シーター・ラーマ・ラージュの墓がある所だそうなので、たぶんそこだろう。

◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 11月10日(日),公開第1週目
・映画館 : Chandrodaya,11:30のショー
・満席率 : 6割
 

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