カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Biriyani】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2013/12/25 23:41   >>

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 タミルのウェンカト・プラブ監督といえば、私は密かに「天才」と呼んでいるのだが、よし彼が天才でなくとも(いや、きっと天才ではないのだが)、彼の描く「わ゙か者」の世界を私はこよなく愛している。そんな彼がまたまた楽しそうな映画を撮ってくれた。題して【Biriyani】。ビリヤーニが好物の私としては、題名からして惹かれる。主役ペアがカールティとハンシカというのに引っ掛かったが、まぁ、観てやるさ。
 なお、題名の「Biriyani」に「A Venkat Prabhu Diet」という副題が付いている。
 (写真下:ウェンカト・プラブ監督近影。)

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【Biriyani】 (2013 : Tamil)
脚本・監督 : Venkat Prabhu
出演 : Karthi, Hansika Motwani, Premgi Amaren, Nasser, Mandy Takhar, Sampath Raj, Ramki, Prem, Jayaprakash, Subbu Panchu, Uma Riyaz Khan, Madhumitha, Nithin Sathya, Vijayalakshmi, Jai(特別出演), Aravind Akash(特別出演), その他
音楽 : Yuvan Shankar Raja
撮影 : Sakthi Saravanan
編集 : Praveen K.L. & N.B. Srikanth
制作 : K.E. Gnanavel Raja

題名の意味 : ビリヤーニ
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー・スリラー
公 開 日 : 12月20(金)
上映時間 : 2時間29分

◆ あらすじ
 チェンナイに暮らすスガン(Karthi)は、プリヤンカー(Hansika Motwani)という恋人がいながらも、良い女を見るとついアプローチしたくなるというスケベ男だった。その親友のパラス(Premgi Amaren)は、スケベ度では引けを取らなかったが、少年時代より自分が惚れた女はすべてスガンに靡くという憂き目を味わっている男だった。
 ある日、スガンとパラスは、勤めているトラクター販売会社が新しい販売店をオープンしたため、そのオープニングセレモニーに出席する。そのセレモニーの主賓はワラダラージャン(Nasser)という大物実業家だったが、実はこの男は不正取引疑惑の廉でCBIオフィサー、リヤーズ(Sampath Raj)の捜査の対象となっていた。このセレモニーにはプリヤンカーも取材に来ていたが、ひょんなことからスガンがワラダラージャンのインタビューを行うことになる。このインタビューの内容に感心したワラダラージャンは、すっかりスガンのことを気に入り、カクテル・パーティーに招待する。
 スガンとパラスはそのパーティーに出席するが、あまりの退屈さに中座する。そして、ビールを飲みながら車で帰る途中で、スガンは無性にビリヤーニが食べたくなり、通りがかりのビリヤーニ店に寄る。そこで二人は超フェロモン美女と遭遇する。たまたま彼女の車が故障したため、二人はその女性マーヤー(Mandy Takhar)を彼女のホテルまで送ることにする。しかし、ホテルに到着するや、スガンとパラスはマーヤーに誘われるままに部屋に入り、へべれけになるまで酒を飲む、、、と、そこへ、その部屋にワラダラージャンがやって来る、、、。
 二人の記憶はそこで途切れていた。翌朝、目が覚めた二人は、自分たちが警察に追われていることに気付く。ワラダラージャンが夕べから行方不明になっていたからである。スガンとパラスは何とか警察の追跡を振り切るが、しかし、自分たちの車のトランクにワラダラージャンの死体があるのを発見する、、、。

・その他の登場人物 : スッブ(Subbu Panchu),スガンの姉(Madhumitha),ワラダラージャンの義弟ヴィジャイ(Ramki),警官ヴィクラム(Prem),警官サンパト(Jayaprakash),ヒットウーマン(Uma Riyaz Khan)

◆ アナリシス
・あの時、あんな所で「ビリヤーニが食いたい」と思ったばかりに、主人公たちがとんでもない事件に巻き込まれるという物語。酔って意識を失って、目が覚めたら、、、というプロットはアメリカ映画【The Hangover】(09)からヒントを得たものかもしれないが、中身は全くウェンカト・プラブ監督の世界。

・非常に面白い。テンポが良くて、止まらないといった感じだった。前半はスガン(Karthi)とパラス(Premgi Amaren)という「わ゙か者」の物語。というより、スケベ男の妄想をそのまま映像化したといった感じで、セクハラ・ゾーンに突入している。これを不快に感じる鑑賞者もいることだろう。

・後半は意外にもスリリング。ウェンカト・プラブ監督といえば、【Chennai 600028】(07)では「脱力スポ魂」、【Saroja】(08)と【Mankatha】(11)では「脱力スリラー」と、意外な脱力物語を見せてくれたお方だが(【Goa】(10)は何の脱力だろう?)、本作は「脱力スリラー」とは言いにくいほど緊張感があった。

・とはいえ、こんな緊迫したシチュエーションにそんなお笑いネタを挟むか、といった手法は相変わらずで、鑑賞中、何度かずっこけた。

・その理屈も流れも論理もブチ切った感じが良い。インド映画はよく「ロジック無視」と言われ、それが否定的に捉えられることも多いが、あえてロジックや必然性を無視している例もある。例えばプラブデーヴァ監督(もはや「監督」と呼ばせてもらいます)は、言語に置き換えられるような線的なロジックを嫌い、直感的・音楽的なイメージで映画を構築し、成功している。ウェンカト・プラブ監督の場合は、ジョークやスプーフ・ネタで論理的流れを寸断するという手法で、バグだらけのソフトウェアのように、意表を突いた動作を見せるところが面白い。

・一見、「あの時、あんな所で『ビリヤーニが食いたい』なんて思わなければ、こんなことにはならなかったのに」というのがストーリーの要に思えるが、そうじゃないぞ。ビリヤーニを食べたくなったのが悪いわけでも、ビリヤーニ店の寄ったのが間違いでもない。そもそも、フェロモン美女の尻をほいほい追いかけてしまったスガンとパラスのスケベ心が、犯罪に巻き込まれるスキを与えたわけで、二度とこんな目に遭いたくなかったら、猛省しなさい! といって、それができるようなら、「わ゙か者」ではないのだが。
 (写真下:これぞスケベ男の目線。)

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【Soodhu Kavvum】(13)鑑賞記でも触れておいたが、最近のタミル映画はプロタゴニストがへべれけな酒呑みというのがよく目に付く。ことチェンナイとバンガロールを比較した場合、飲酒に関してはチェンナイのほうが厳しいのだが、その現実社会の反動か、映画上では逆になっている。本作も酒好きの私などは楽しく観られるものだったが、しかし、車の運転中にもビールを飲む(運転者さえ!)というのはどうかなぁ、と思った。(やはり例の「タバコと酒は健康を害します」という警告がでるのだが、健康だけの問題か?)

・アホみたいな映画で、全く評価しない人もいるだろうが、私的には良いストレス解消になった。

◆ パフォーマンス面
・本作のスガンはちゃっかり抜け目のない街のプレイボーイといった役柄で、カールティのイメージとは違うのかなぁ、と見ていたが、なんのなんの、カッコよかったし、愛嬌たっぷりだったし、コメディーも上手くできていた。デビュー以来、【Siruthai】(11)までの5作は好調だったカールティなのに、【Saguni】(12)からの3作は連続フロップ。そろそろ本当にスーリヤのカバン持ちに転向したら、と思っていたが、本作で持ち直したことだろう。「シンガム髭」のカールティにも注目。
 (写真下:こんなカールティもおりました。)

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・やっぱりプレームジーは今回もこんなキャラだった。

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・ハンシカ・モートワーニーは、ヒロインにしてはあの手この手で持ち上げた扱いをされていなかったが、前半はそれなりに魅せていた。やっぱり、彼女の腰から下をあまり写さなかったのが成功の要因だろう。

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 私はハンシカさんの悪口ばかり言っているが、彼女の【Theeya Velai Seiyyanum Kumaru】(13)が端緒となって日本ロケ・ブームが起きたようなものだから、感謝しなくっちゃ。

・こんな女優も探せばいるもんだ。主人公たちを嵌めたMandy Takharさん。

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・ナーサル、サンパト・ラージ、ラームキー、ジャヤプラカーシュ、プレーム、スッブ・パンチュら、脇役陣のパフォーマンスも良かった。

・その他、ジェイやニティン・サティヤ、ヴィジャヤラクシュミなど、ウェンカト・プラブ作品にお馴染みの面々が顔を見せている。一番アクセントがあったのは、やっぱりアラヴィンド・アーカーシュだったが。

・ウマー・リヤーズ・カーンが「ヒットウーマン」の役で、迫力あった。これが彼女の実像に近いなら、亭主のリヤーズ・カーンも大変だろうなぁ。

◆ テクニカル面・その他
・音楽はユワン・シャンカル・ラージャーの担当。曲はそれぞれに面白いし、音楽シーンの絵もよくできている。‘Edhirthu Nil’という曲で、G・V・プラカーシュ・クマール、S・S・タマン、ヴィジャイ・アントニー、D・イマーンといったタミルの売れスジ音楽監督が出ていたようだが、ぼさっとしていたので気付かなかった。‘Mississippi’では主役のカールティも歌っているようだ。

・本作はユワンくんの100作目の記念作品らしい。何をどう数えての「100」かは知らないが、この若さで大したもんだ。

・主人公たちが事件に巻き込まれるホテルは実在のものではなく、セットらしい。

◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 12月21日(土),公開第1週目
・映画館 : Vision Cinemas,12:50のショー
・満席率 : 2割
 

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【Massu Engira Masilamani】 (Tamil)
 デビュー作の【Chennai 600028】(07)から【Saroja】(08)、【Goa】(10)までは「わ゙か者」映画の作り手として冴えを見せていたウェンカト・プラブ監督だが、スターを起用した【Mankatha】(11)と【Biriyani】(13)は、つまらないというわけではなかったが、どこか締まりのない作品になってしまい、軽い失望を味わった。彼の6作目となる本作は、またも人気スター(スーリヤ)が起用されているということで、嫌な予感がしなくもない。ただ、コミック・ホラーという謳... ...続きを見る
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