カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Shravani Subramanya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/02/12 22:18   >>

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 昨年のカンナダ映画界はコンスタントにヒット作が出て、好調だったようである。スディープやダルシャンに期待どおり大ヒット作が出た上、躍進著しいヤシュの【Googly】と【Raja Huli】もロングランとなった。また、【Lucia】【6-5=2】といった異色作も話題となり、意外に客を集めた。
 しかし、私的に最もびっくりで、「これは冬の嵐か」とさえ思ったのは、ここしばらくヒットが出ず、三振か内野ゴロの山を築いていた二人のスター、すなわち、シヴァラージクマールとガネーシュにスーパーヒット作が出たことだ。その目出度い作品とは、シヴァラージクマールが【Bhajaranghi】、そしてガネーシュが今回紹介する【Shravani Subramanya】である。

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 ヒロインはアムーリヤであるが、この二人はヒット作の【Cheluvina Chittara】(07:タミル映画【Kaadhal】のリメイク)で共演しており、相性は良い。
 監督は、ホラー映画【Shishira】(09)でデビューしたマンジュ・スワラージで、本作が2作目となる。

【Shravani Subramanya】 (2013 : Kannada)
脚本・監督 : Manju Swaraj
出演 : Ganesh, Amoolya, Anant Nag, Tara, Avinash, Neenasam Ashwath, Yashas, Vinaya Prasad, Sadhu Kokila, Mandya Ramesh, Parul Yadav(特別出演), V. Manohar(特別出演), Arjun Janya(特別出演), Sudeep(ナレーター)
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : B. Suresh Babu
編集 : Basavaraj
制作 : K.A. Suresh

題名の意味 : シュラーヴァニとスブラマニヤ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンティック・コメディー
公 開 日 : 12月27日(金)
上映時間 : 2時間38分

◆ あらすじ
 スブラマニヤ(Ganesh)は歌手志望の青年で、両親とは死別していた。他方、シュラーヴァニ(Amoolya)はマンディヤの裕福な地主ケンペーガウダ(Avinash)の一人娘で、世間知らずないたずらっ子だった。
 シュラーヴァニはハンサムなスディープ(Yashas)と相思相愛になり、誘われるままに駆け落ちする。しかし、スディープが実はレイプ殺人魔だということを知り、逃げ出す。スディープとその一味に追われる彼女を救ったのは、たまたま通りがかったスブラマニヤだった。彼はシュラーヴァニを実家まで送り届けるが、厳しい父のケンペーガウダは娘を家から追い出してしまう。
 スブラマニヤはやむなくシュラーヴァニを保護する羽目になる。彼は不動産屋(Sadhu Kokila)を通して、シーターラーム(Anant Nag)とアヌラーダー(Tara)という中年の夫婦が暮らす屋敷に部屋を借りることにする。その際、二人は新婚夫婦ということにしていた。
 スブラマニヤは当初シュラーヴァニの世間知らずでとんちんかんな言動にイライラする。彼はある作曲家(Arjun Janya)に歌を聴いてもらうが、それは古いヒットソングばかりだったので、作曲家から「オリジナル曲を作ってみたら」とアドバイスされる。彼は曲作りに励むが、その楽譜をシュラーヴァニが誤ってなくしてしまう。しかし、懸命に探して楽譜を発見したシュラーヴァニを見て、スブラマニヤは彼女に惚れるようになる。シュラーヴァニもスブラマニヤを愛するようになっていたが、気持ちを打ち明けることができず、手渡すつもりだった手紙を盆栽の土の中に埋める。二人は結局気持ちを伝え合うことができなかった。
 スブラマニヤは別の有名な作曲家(V. Manohar)のオーディションを受け、見事合格する。だが、彼がそのオーディションを受けることができた背景にはシュラーヴァニのサポートがあったことが分かる。
 ところで、ならず者のスディープとその仲間はシュラーヴァニを殺そうと企んでいた。また、シュラーヴァニの父ケンペーガウダも娘を取り戻そうとしていた。オーディションの帰り道、スブラマニヤはスディープの一味に襲われるが、そこへケンペーガウダの一派もやって来たため、助かる。スブラマニヤはケンペーガウダにこれまでの経緯を説明するが、甲斐なく、ケンペーガウダはシュラーヴァニを実家に連れて帰る。
 スブラマニヤは盆栽の鉢の中からシュラーヴァニの手紙を見つけ、彼女の気持ちを知り、ケンペーガウダの家まで行く。また、二人の気持ちを知る大家のシーターラーム夫妻もケンペーガウダを説得しようとする、、、。

◆ アナリシス
・ひょんな経緯から赤の他人の二人が一つ屋根に暮らすことになり、「夫婦」を装っているうちに、本当に愛するようになる、というストーリー。こういった筋立てのインド映画は珍しくない。

・また、ヒーローとヒロインの関係を阻む頑固親父を周囲の者が説得するというクライマックスも、インド映画ではよくある。しかも本作は、関係者一同が応接間に集まり、突っ立ちモードで長々と議論するという、一番工夫のない見せ方をしていた。

・というわけで、ガネーシュ久々のヒット作だし、レビューの評価も3ツ星半、4ツ星が立っていただけに、フレッシュな内容の秀作を期待したが、残念ながら、思ったより古くさい作品だった。

・といって、つまらない訳ではなく、イノセントな、実にカンナダ映画らしい、カワユいラブコメだった。

・面白さを支えている最大ポイントはアムーリヤ演じるヒロイン、シュラーヴァニのキャラクターだった。お金持ち(地主)の箱入り娘で、子供のように純真なのだが、全くの世間知らずで、言動がいちいち天然ボケになるというもの。

・例えば、物語の導入部分で、父に家を追い出され、スブラマニヤ(Ganesh)とも離れて行き場をなくしたシュラーヴァニは、誘われるままに娼館に入ってしまい、翌朝ガネーシュに電話をかけ、「ここって、きれいな服を着せてくれるし、ダンスだって教えてくれるのよ」とうれしそうに話す場面。(それでスブラマニヤが彼女の面倒を見る決意をする。)

・その他、コメディー的なセリフ、状況も効いていた。シュラーヴァニ絡みのものがほとんどだったが、アナント・ナーグとターラー演じる大家夫妻や、サードゥ・コーキラ演じる不動産屋も健闘している。

・例えば、サードゥ・コーキラの不動産屋は、恋人に対する一途な思いを表すために、腕に彼女の名前「Kamala」をナイフで切り刻むのだが、間違って「Komala」と彫ってしまい、失恋する場面。(「Komala」だと、カンナダ人はコメディアンのKomal Kumarを連想する。)

・そういったお笑いネタだけでなく、本作は問題点がきちんと整理され、脚本化されていた。骨子となるテーマは、やはり定番の「田舎と都会」の意識のギャップだった。シュラーヴァニの父ケンペーガウダ(Avinash)はマンディヤの地主の家長として、土地(資産)と家柄を守る使命に燃え、娘を自由にさせられない。他方、シュラーヴァニに部屋を貸したシーターラーム夫妻は都会(といっても、マイソールだけど)のアッパークラスで、子供がいないため、気楽に、かえって少々の跳ねっ返りな若者を可愛く思い、スブラマニヤとシュラーヴァニの恋愛についても理解を示す。物語は結局この両者の対決になるのだが、こういった「都市と地方」の問題はこれからも当分インド映画の主題として残ると思う。

・その他、インドでは深刻なレイプの問題も取り上げられていたし、妊娠中絶についても間接的に批判されていた。

・シュラーヴァニとスブラマニヤの「縁結び」のキーとなったのは、鉢植えの木で、見た目「盆栽」なのだが、劇中でも「bonsai tree」と呼ばれていた。

◆ パフォーマンス面
・ガネーシュ(スブラマニヤ役) ★★★☆☆
 一応、ガネーシュが本作の主役という位置付けだが、上に記したとおり、印象度や重要度ではアムーリヤのほうが上で、むしろガネーシュは狂言回し的な役回りだった。いつものひっきりなしに喋りまくるというキャラではなく、ファンには物足りないかもしれないが、その分嫌味がなかった。

・アムーリヤ(シュラーヴァニ役) ★★★☆☆
 この人は私がカンナダ映画を見始めたころはまだ子役だったが(例えばこちらの作品)、【Cheluvina Chittara】でヒロインとしてデビュー。本ブログでは【Premism】(10)と【Naanu Nanna Kanasu】(10)で紹介したが、さして輝くものはなかった。現在まだ20歳らしく、本作では童顔が効いていた。
 (写真下:そういえば、そろそろスイカのおいしいシーズンだ。)

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・アナント・ナーグ(シーターラーム役)とターラー(アヌラーダー役)がやはり上手かった。

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・スディープがナレーターを担当している。ちょっと変っていて、普通ナレーターは声が聞こえるだけだが、本作の場合はスディープの顔写真も出て、「キッチャ・スディーパです。私めが本作の案内を務めます」と名乗りまであった。ちなみに、本作はちょっとスディープのパロディーみたいなところがあって、ネガティブロールの役名が「スディープ」、「ケンペーガウダ」(スディープのヒット作及びその役名)だった。

◆ テクニカル面・その他
・音楽 : ハリクリシュナ ★★★☆☆
 音楽はヒットしている。センチメンタルだが、まずまずの出来。

・冒頭に娼館を舞台にしたアイテムソングがあり、パルル・ヤーダヴがダンスをしていた。これは割と良かった。

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 ここらあたりでパルル姐の「ちちぽろり」を期待したが、さすがになかった。

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・撮影 : B・スレーシュ・バーブ ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月8日(土),公開第7週目
・映画館 : Menaka,13:15のショー
・満席率 : 1割
 

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 先日の【Shravani Subramanya】鑑賞記の冒頭で、昨年のカンナダ映画界は好調だったと書いたが、ホットだったのは現地に限らず、日本でも面白いことになっている。カンナダ映画を鑑賞し、好意的に語る日本人が増えたということだ。以前なら、カンナダ映画に言及するのは専門的なインド映画観賞者ぐらいしかいなかったが、最近ではヒンディー映画やテルグ映画、タミル映画と同目線でカンナダ映画を鑑賞し、当たり前のようにツイッターやブログに感想を上げる人も現れた。つまり、カンナダ映画もインド映画として... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2014/02/26 23:08

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