カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Brahma】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/02/26 23:08   >>

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 先日の【Shravani Subramanya】鑑賞記の冒頭で、昨年のカンナダ映画界は好調だったと書いたが、ホットだったのは現地に限らず、日本でも面白いことになっている。カンナダ映画を鑑賞し、好意的に語る日本人が増えたということだ。以前なら、カンナダ映画に言及するのは専門的なインド映画観賞者ぐらいしかいなかったが、最近ではヒンディー映画やテルグ映画、タミル映画と同目線でカンナダ映画を鑑賞し、当たり前のようにツイッターやブログに感想を上げる人も現れた。つまり、カンナダ映画もインド映画として認知されつつあるといことで、長年それに一喜一憂(一憂どころではないが)してきた私としては涙が出るほどうれしい。もっとも、「ダルシャンのファンクラブ」というのがツイッター上で話題になったときは、さすがに吹いてしまったが。
 こういう流れになってきたのは、やっぱりキッチャ・スディープの存在が大きい。テルグ映画【Eega】(12)のヒンディー語版【マッキー】が日本でも公開されたおかげで、スディープに関心を持ち、そこからカンナダ映画も鑑賞するようになった方が多いようである。多いといっても、「スディープ・ファン」は日本では今のところまだ3人ぐらいだろうから、シャールク・ファンに比べると微々たるものである。しかし、一昨年までは確実に0人だったろうから、「3÷0=∞」で、実にこの2年で無限大倍増したわけである!

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 さて、上の話とほとんど関係がないが、R・チャンドル監督、ウペンドラ主演のカンナダの話題作【Brahma】を観て来た。

【Brahma】 (2014 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : R. Chandru
出演 : Upendra, Pranitha, Nasser, Sayaji Shinde, Rangayana Raghu, Sadhu Kokila, Bullet Prakash, Suresh Mangalore, Avinash, Anant Nag, Rahul Dev, Sumithra, Padmaja Rao, Sangeetha, Jai Jagadish, その他
音楽 : Guru Kiran
撮影 : Shekar Chandra
編集 : K.M. Prakash
制作 : P.V. Manjunath Babu

題名の意味 : ブラフマー(主人公の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション/ドラマ
公 開 日 : 2月7日(金)
上映時間 : 2時間30分

◆ あらすじ
 ブラフマー(Upendra)はアンダーワールドのドンとして知られ、大物政治家や実業家を襲撃し、彼らの富(ブラックマネー)を奪っていた。また、大物ドンのラーフル・デーヴ(Rahul Dev)をマレーシアで殺害したのもブラフマーだった。カルナータカ警察は凄腕警官のバイラヴ・シン(Sayaji Shinde)を招聘し、ブラフマー逮捕の任に当たらせる。
 バイラヴ・シンはマレーシアからやって来たプラニータ(Pranitha)という女性から事情を聞く。プラニータはマレーシアでブラフマーと出会い、愛するようになっていたが、ブラフマーは彼女のプロポーズを拒否していた。
 バイラヴ・シンはまた自称ラッキーマン(Rangayana Raghu)という男からも事情を聞く。彼は持ち前の運のよさで金持ちとなったが、ブラフマーに騙され、資産のすべてを失っていたのであった。
 ブラフマーはとある地方の地主ヴィーラブラフマー(Nasser)に接近し、名をウペンドラと騙って、下働きとして働くことにする。ブラフマーを追ってこの屋敷にプラニータとラッキーマンもやって来るが、ブラフマーは彼らを妻と兄ということにして、ヴィーラブラフマーを欺く。
 ブラフマーの狙いはただ一つ、ヴィーラブラフマーの金庫に眠る現金と宝飾品だった。ある夜、ブラフマーは首尾よくそれらを盗み出すことに成功するが、逃走しようとした矢先に、バイラヴ・シン率いる警官隊に包囲されてしまう。バイラヴ・シンはヴィーラブラフマーに対し、ウペンドラ(ブラフマー)のことを国際的なマフィアのドンだと伝え、さらに、実はヴィーラブラフマーの25年前に失踪した息子だという事実を明かす、、、。

◆ アナリシス
・ここからブラフマー(Upendra)と父ヴィーラブラフマー(Nasser)の過去とその確執が明らかになり、さらに物語は17世紀にまで遡る、という大掛かりな展開になる。映画の前半はブラフマーのキャラクターと行動の意味が謎のままにしてあり、気持ち悪いままインターミッションになる。プレクライマックスでやっとすべてが明らかになり、スッキリするが、時すでに遅しといった感じだった。

・物語の出来事自体は簡単なものだが、回想シーンに回想シーンが入るという構成にし、複雑にしている。サスペンス感はある程度効果を上げているが、前半のブラフマーとプラニータ(Pranitha)のロマンス展開、ブラフマーとラッキーマン(Rangayana Raghu)のコメディー展開が長いわりには出来が悪く、この時点で観る気が失せた観客も多かっただろう。

・ウペンドラの勇猛そうな戦士のスチルが公開されていたし、認証も「U/A」だったので、鑑賞前は【Bhajaranghi】(13)のような気合いの入ったファンタジー物か、またはテルグ映画ばりのアクション物を期待したが、そうではなかった。メッセージ本位の「道徳映画」といった感じになっていた(実にカンナダ映画らしいのだが)。

・監督のR・チャンドルは若手監督の中では有望株だが、作風は【Taj Mahal】(08)、【Prem Kahani】(09)、【Charminar】(13)といったコンセプト色の強いラブストーリーと、【Mylari】(10)、【Ko Ko】(12)といったアクション系に二分される(この点、師匠のプレーム監督とよく似ている)。どちらにもヒット作とフロップがあるが、どちらかというと前者のラブストーリーのほうが評判が良い。本作のような構えの大きなアクション映画はあまり得意ではないようだ。

・つまり、本作にはアクション映画的な勢いが乏しい。例えば、悪魔的なドンと思われていたブラフマーは実は神様(義賊)だった、という展開なのだが、このギャップが大きいほど面白くなる。この「悪魔」の部分は、テルグ映画なら徹底的に悪魔的に(全体的な整合性を犠牲にしてまで)描いてくれただろうなぁと想像すると、本作はあまりにも物足りない。

・しかし、メッセージそのものは悪くない。古の王や大地主というのは、臣民や村人のために富を再分配する「有徳の士」であったが、現代の政治家や実業家は私利私欲に走り、富を再分配するどころか、ブラックマネーという見えない形にさえしている、それをブラフマーが正す、というもので、南インド映画では定番のテーマだが、インドの現状を考えると、こういう映画は何度登場してもいい。ただ、映画的にパンチ力のある形で提示してほしかった。

【Super】(10)や【Topiwaala】(13)など、このところ政治的な内容の作品に関与しているウペンドラだが、本作もそう。本作の題名には「The Leader」というタグが付いており、巷ではウッピの政界入りの野心を表したものだとウワサされている。真偽はさておき、それが私を複雑な気持ちにさせている。隣州の某メガスター氏の政界入りとその後の顛末に失望した一人として、私は映画スターが政治家になるのを快く思っていないし、ウッピにもそれを望まない。

◆ パフォーマンス面
・ウペンドラ(ブラフマー役) ★★★☆☆
 基本的には義賊(善人)だが、マフィアのドン、ちゃらけた色男、詐欺師、警官、実直な下働き人、中世の領主様と、様々な相をそつなくこなしている。ただし、ウッピ独特のマシンガントークは本作では封印。これは意図的なことだったと思うが、ファンには物足りないかも。

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 ま、ダンスの下手さはご愛嬌ということで。

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・プラニータ(役) ★☆☆☆☆
 目が大きくて可愛いのは認めるが、うっとりする美貌でもないし、女優として何もできないほうなので、この人がヒロインの映画は苦しいなぁ。特にウッピとの音楽シーンは茶番だった。

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・本作は登場人物が多く、アナント・ナーグやアヴィナーシュ、ラーフル・デーヴなど、著名なタレントが出ていたが、ほとんどが1場面だけの出演。その中で重要な扱いだったのが下のお二方。

・ナーサル(ヴィーラブラフマー役) ★★★☆☆
 没落の惨めさから、人の道を踏み外しかけた地主を好演。

・サーヤージー・シンデー(警官バイラヴ・シン役) ★★☆☆☆
 せっかくのカンナダ映画出演なので、もう少し活躍させてほしかった。今回、セリフはセルフダビングをやり、プロフェッショナルなところを見せていた。

◆ テクニカル面・その他
・音楽 : グル・キラン ★☆☆☆☆
 ウペンドラとグル・キランの取り合わせとなれば、ファンなら期待してしまうが、本作のGKはまったくいいところなし。
 音楽シーンの1つ、ウッピとプラニータのクアラルンプールでの「ベストカップル・コンテスト」の場面では、映画【Upendra】(99)のパロディーなどもあって、面白かった。

・撮影 : シェーカル・チャンドラ ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月22日(土),公開第3週目
・映画館 : Santosh,10:30のショー
・満席率 : 1割
 

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