カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ragini IPS】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/04/10 01:15   >>

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 以前、【Election】(13)と【Bhairavi】(13)の鑑賞記の中で、カンナダ映画界の「女傑物」の伝統について書いたが、その決定版となりそうだったのが本作【Ragini IPS】で、1年前から楽しみにしていた。だが、何らかの理由で公開がずるずると遅れているうちに、私もこのジャンルに対する興味をなくしてしまい、いざ公開となってもいまいち観る気が湧かなかった。ところが、客の入りはさっぱりなようで、2週目にしてバンガロールではマルチプレックスは全落ち、主要単館も2館のみの上映となってしまった。となると、何が在バンガロールのカンナダ人のお気に召さなかったのか、かえって気になり、結局観ることにした。
 主役の女警官ラーギニを演じるのはラーギニ・ドゥイウェーディで、スディープ監督・主演の【Veera Madakari】(09)や【Kempe Gowda】(11)で有名だが、ヒンディー映画【R... Rajkumar】(13)の終盤でダンスをしていた体のデカい女、と言えばもっと分かりやすいだろうか。
 なお、ほぼ同じ時期に【Ragini MMS 2】というヒンディー映画が公開されたが、それと本作とは何の関係もない(念のため)。

【Ragini IPS】 (2014 : Kannada)
脚本・監督 : Anand P. Raju
出演 : Ragini Dwivedi, Avinash, Narayanaswamy, Kavita Radheshyam, Petrol Prasanna, Ramesh Bhat, Achyuth Kumar, Veena Sundar, Neenasam Ashwath, Mohan Juneja, Sudhakar, Upendra(ナレーター)
音楽 : Emil
撮影 : Nandakumar
編集 : K.M. Prakash
制作 : K. Manju

題名の意味 : 警察官ラーギニ
映倫認証 : A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 3月28日(金)
上映時間 : 約2時間20分

◆ あらすじ
 ラーギニ(Ragini Dwivedi)はタフな女警官。生ぬるい警察組織にあって、敢然と社会悪に立ち向かう覚悟のラーギニは、数々の悪行に手を染める代議士(Avinash)とその息子ジャガディーシュ(Narayanaswamy)にも挑戦状を叩き付けていた。
 ある時、駅で若い女性が誘拐される。報告を受けたラーギニは売春宿でその女性を発見するが、その女性を犯そうとしていたのは代議士の息子ジャガディーシュだったため、ラーギニは彼を逮捕し、マスコミの晒しものにする。
 これに憤ったジャガディーシュは、友人たちと共謀し、ラーギニを罠にはめて、レイプする。ラーギニはこの件で訴えるが、裁判ではジャガディーシュらと結託した警官マーデーガウダ(Neenasam Ashwath)や弁護士(Achyuth Kumar)らの働きで、ジャガディーシュは無罪となる。
 立場をなくしたラーギニだが、彼女の治療に当たった女医(Veena Sundar)に励まされる。また、レイプ被害に遭った女性たちからも励ましの手紙をもらい、今一度立ち上がる決意をする。
 ラーギニは、レイプ犯を捕えて、女医が去勢するという強硬策を採る。これでジャガディーシュの仲間のスディール(ラーギニ・レイプ犯の1人)も捕まり、去勢され、自殺してしまう。そして、ついにジャガディーシュも捕まるが、彼は去勢される直前に気が付き、女医を殺害して病院を抜け出す。そして、復讐のためにラーギニの妹を誘拐し、ラーギニに妹をレイプすると脅迫する。ラーギニは悪徳警官マーデーガウダからジャガディーシュの居場所を聞き出し、現場へ急行して妹を救い出す。そして、チェンナンマ妃の像の前でジャガディーシュを刺し殺す。

・その他の登場人物 : ラーギニの父(Ramesh Bhat),欲望に疼く人妻(Kavita Radheshyam),そんな人妻を狙うぺトロール・プラサンナ(Petrol Prasanna),スケベなバスの車掌(Mohan Juneja)

◆ ざっくりしたコメント
・客の入りが悪いので、さぞや頭痛のする駄作だろうと期待せずに観たら、これが思いのほか面白かった。もちろん、脚本は強引なもので、突っ込めと言われればあちこちつっ込めるが、そんなことより、B級映画としての筋を通しているのが幸いだった。

・女優ラーギニの見せ方が上手い。まず、登場の仕方。アイテム・ナンバー風のお色気ダンスからいきなり警官の制服姿に変わり、悪漢とアクション。その際、悪漢に剣で切られ、上の制服がさらりと脱げる、という流れはB級娯楽映画のお手本みたいなもの。

・ラーギニの持ち上げ方は、男優のアクション映画の場合とほぼ同じ。敵役の前に座る際に、脚を大振りに回して組むという所作もある。アクション・シーンも女性で初体験にしては、合格点をあげられる出来だった。
 (写真下:お隣のムラリほどではないが、立派なカットアウトが立っていた。)

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・これでダルシャンかスディープが主演なら、本作はフロップに沈むことはなかったと思われるが、やっぱりラーギニではまだまだ客が呼べないということか。

・ただ、この手の映画は「二番館落ち」、「都落ち」してからが粘り強く本領を発揮するものなので、プロデューサーのK・マンジュも心配はしていないだろう。むしろ、さっさと二番館と地方にプリントを回すために、わざとマルチプレックスから引いたんじゃないかと、私は邪推している。

・もっとも、内容面でも本作は大衆の支持を得にくいところがあったと思う。上のあらすじを読んで分かるとおり、本作のテーマは「レイプ」。もともと婦人警官として女性目線で行動していたIPSラーギニだが、自らレイプされた体験をバネに、レイプ被害女性たちに代わってレイプ犯を斬るというもの。こちらの記事によると、2012年12月にデリーで起きた集団レイプ事件を受けて、本作の脚本も書き変えられたらしい。その通り、本作では「アンチ・レイプ」を強くメッセージとして打ち出している。ただ、そのやり方というのが、レイプ犯(または未遂者)のキン〇マを切り取るというものだったので、本作を観た男たちがどん引きした可能性はある。インドというのは、やっぱり表向きは「男が偉い」という社会なので、「反レイプ」というメッセージはOKでも、タ〇切りにまでは踏み込んではいけなかったのかもしれない(マラヤーラム映画の【22 Female Kottayam】はケーララ州では当たっても、そのタミル版リメイクの【Malini 22】は当たらなかった)。

【Shankar IPS】(10)鑑賞記でも書いたが、本作はレイプ被害に遭う女性の立場に立ち、男の情欲を問題視しておきながら、結局は2人の女優(ラーギニとカヴィター・ラーデーシャーム)のお色気で客を釣ろうとしているわけだから、矛盾と言えば矛盾かなぁ、と思う。

・アクション映画のヒーローというのはよく神様や歴史上の英雄に比定されるものなので、本作はどうか楽しみだった。ラーギニの場合は、女神ではなく、カルナータカの女傑「キットゥール・チェンナンマ」だった(こちらの作品参照)。

・IPSラーギニの父(ラメーシュ・バット演じる)は酒浸りの無職者で、娘がレイプされた直後でも娘の財布から呑み代を抜き取るほどのダメ親父なのに、その割にはこの一家は立派な家に住んでいた。これが貧乏長屋だったらもっと演歌的で良かったのになぁ。

・バンガロールの一画には警察も畏れるスラムがあり、警官が中に踏み込むと糞尿を掛けられるというのは、事実かどうか知らないが、面白かった。

◆ 演技陣へのコメント
・ラーギニ(ラーギニ役) ★★★☆☆
 【Veera Madakari】でデビューした当時は可憐な乙女のイメージだったが、わずか数年ですっかり帝塚山の若マダムみたいになってしまったなぁ。ただ、この人には、女優としての才能はさて置き、プロ意識というか、熱心さはいつも感じる。彼女はテコンドーも習っているらしく、本作でも代役を立てずにスタントをやっているようだ。それには頭が下がる。アフレコの声優がいまいちだったのが悔やまれる。

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・悪役のアヴィナーシュ、父親役のラメーシュ・バット、弁護士役のアチュート・クマールなどはまずまずの仕事だった。

・特にコメントしておきたいのは、カヴィター・ラーデーシャーム。彼女は「反動物虐待キャンペーン」として、メッセージを自らの体に記したセミヌード写真を公開して話題になったことがある(下)。

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 そんな彼女が本作には旦那にかまってもらえず、悶々とした日々を送る若妻役で出演していたが、その間男を演じたのがぺトロール・プラサンナで、この二人のシーンがコメディー・トラックになっていた。
 いやぁ、私も長年カンナダ映画を観てきたが、まさかぺトロール・プラサンナ(どっちかというと情けない悪役俳優)を配した音楽シーンを見る日が来ようとは、夢にも思わなかった。



◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : Emil ★☆☆☆☆
 音楽そのものは平凡だが、3つほどあった音楽シーンはそれぞれ面白みがあった。

・撮影 : ナンダクマール ★★☆☆☆
 カメラワークというより、アクション・シーンなどの撮影で、野次馬が普通に映りこんでいるのは何とかしてほしい。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月5日(土),公開第2週目
・映画館 : Santosh,10:30のショー
・満席率 : 1割以下
 

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