カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Avatharam】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2014/04/24 22:34   >>

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 テルグのコーディ・ラーマクリシュナ監督は、別に神様映画ばかり撮っているわけではないが、【Ammoru】(95)で嵌った私としては、神様映画の作り手という認識が強い。特に女神物に面白みを見せ、女神萌えの私にとって、彼のそれ系の作品はどれも旨い。作風は、のけ反り必至のグロテスクなイメージが連発する中に、女神特有の艶っぽさと瑞々しい生命力が溢れ出るもので、これまたクセになるテイスト。
 そんなコーディ・ラーマクリシュナ監督の、気が付けば前作【Arundhati】(09)から実に5年ぶりとなる新作が本作【Avatharam】。主演は、珍しく、カンナダ女優のラーディカー(カルナータカ州の元州首相であるH・D・クマーラスワーミの元愛人、現正妻)で、これも私的には注目。往年の人気女優バヌプリヤーが重要な役で出演している。

【Avatharam】 (2014 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Kodi Ramakrishna
出演 : Radhika, Bhanupriya, Sathya Prakash, Rishi, Annapurna, Apoorva, Vijaya Ganga Raju, その他
音楽 : Ghantadi Krishna
撮影 : Sri Venkat
編集 : Nandamuri Hari
制作 : M. Yugandhar Reddy

題名の意味 : アヴァターラ
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ソシオファンタジー
公 開 日 : 4月18日(金)
上映時間 : 2時間25分

◆ あらすじ
 昔々、とある村にアッカンマという女神が鎮座しており、村人から強い崇拝を集めていた。ところが、ある邪な男が呪術を掛け、ガルラ・コッタという魔力でアッカンマ女神の神力を封じ込めてしまう。この魔力からアッカンマを解放するのは獅子座生まれの女の人身御供しかなかった。邪な男は村を占拠しようと、暴力的に村人を追い出し始める。この惨事を目にした獅子座の四人姉妹は、自ら火中に飛び込む。これによりアッカンマは解放され、村は救われる。感謝したアッカンマは、その四姉妹を自らの妹とする。以来、この村では五柱の女神が崇拝されるようになる。

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 時は下って現代。この村に暮らす裕福なエンジニアのプラサード(Rishi)は、親類たちから命を狙われていた。この屋敷のメイドであるラージェーシュワリ(Radhika)は敬虔なアッカンマ女神の信者で、獅子座の生まれだった。彼女はプラサードが危険な目に遭うたびに、救っていた。
 時に、この村にカルコータクドゥ(Sathya Prakash)という悪魔が誕生し、世界の破壊を企む。ところが、カルコータクドゥは自分がラージェーシュワリによって殺されることを知り、先に彼女を殺そうと手を尽くす。しかし、そのたびにアッカンマ女神(Bhanupriya)が示現し、ラージェーシュワリを守る。アッカンマはドゥルガンマという名の洗濯女の姿でラージェーシュワリに近づく。
 ラージェーシュワリはプラサードの親類に池に沈められる。その後、屋敷に火が放たれ、火事となるが、プラサードが逃げ遅れる。ところが、そこへ池に沈んだはずのラージェーシュワリが現れ、プラサードにターリー(結婚の紐帯)を結ぶよう促す。夫婦となった二人は、燃える屋敷から逃れる。と同時に、ラージェーシュワリが沈められた池からは怒れる女神が現れ、カルコータクドゥの体を切り刻む。しかし、カルコータクドゥはわけなく復活する。
 その後、プラサードが妖術で瀕死状態になる。厄払いのためにプージャーが行われ、ラージェーシュワリはナーガンマ(蛇神)にミルクを捧げる。ところが、プージャーの最中に罠によりラージェーシュワリも意識を失う。しかし、アッカンマがプージャーを続け、プラサードもラージェーシュワリも助かる。
 カルコータクドゥは古の情報を得、ガルラ・コッタの魔力でアッカンマ女神の神力を封じ込めることに成功する。
 その後、ラージェーシュワリは妊娠するが、親類たちの罠で、流産しそうになる。その際、プラサードの母(Annapurna)がアッカンマに祈りを捧げたため、女神がそれを聞き入れ、無事に赤子が誕生する。
 しかし、プラサードがまた妖術に掛かり、赤子を殺そうとする。ラージェーシュワリはプラサードの母がアッカンマと交わした約束を知り、赤子をアッカンマに捧げるために、井戸に捨てる。この行いによりプラサードは回復する。しかし、彼はラージェーシュワリのことをまったく覚えていなかった。
 カルコータクドゥはプラサードの親類たちをそそのかす。彼らはラージェーシュワリを罠に嵌め、家から追い出し、生贄として殺そうとする。絶望と憤怒に駆られたラージェーシュワリは火の中に飛び込む。アッカンマ女神はこれにより自由になる。ラージェーシュワリはアッカンマから力を賜り、獅子の姿の神となり、カルコータクドゥを殺す。その後、赤子もナーガンマの慈悲により戻って来、プラサードも正気に戻る。

◆ ざっくりしたコメント
・残念ながら、コーディ・ラーマクリシュナ監督の女神映画シリーズの中では出来の悪いほうになる。のっけからもの凄い勢いでラーマクリシュナ監督的ファンタジー世界がスタートし、このままではどこかで昇天するかと心配したが、結局は単調なストーリー、、、悪魔が善男善女を破壊しようとし、そのたびに神が救済するという、綱引きが続くだけで、退屈だった。

・ただ、こんな御神体のイメージとか、

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こんなキモいイメージとか、

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コーディ・ラーマクリシュナらしい美術が見られて、その点では満足。悪魔カルコータクドゥ誕生のシーンものけ反る出来だし、火の蛇(?)とナンディの格闘場面も面白い。

・テーマの取り方も興味深い。導入部の、邪な者が村人を圧迫して土地を横取りしようというモチーフは現代インドのホットな社会問題で、【Khaleja】(10)や【Krishnam Vande Jagadgurum】(12)といったアクション映画でも取り上げられている。また、直接的なメッセージというわけではないが、コンピューター技術者のプラサードが呪術によって何度か気が触れた状態になるのは、どう考えても面白すぎる(インドの大衆的娯楽映画では、コンピューター技術者はたいてい茶化しの対象となる)。

・全体として、善(神)と悪(悪魔)の戦いがテーマで、最終的に善(アッカンマ女神)とその帰依者(ラージェーシュワリ)が悪(カルコータクドゥ)に対して勝利を収めるという展開だが、やはりこれを単純に二元論的に捉えてしまってはいけないだろう。どうもコーディ・ラーマクリシュナ監督の神様映画は「一人相撲」を描いているように見える。つまり、「善」と「悪」は別個の存在として対峙するものではなく、背中合わせ、もっと適切には、善の中に悪が生まれ、その悪を善自身が叩き潰す、といったコンセプトだと思う。その悪というのは、本作によれば、「欲」といったものだろう。その自分自身に巣食う悪を滅するとは、自分自身を殺すこと、すなわち、自己犠牲が必要だ、というのがコーディ・ラーマクリシュナ監督の哲学であるように思える。もちろん、この作業は1回限りのものではない。自己のうちに悪が生まれたなら、絶えずそれを焼き尽くさなければならない(ナヴァラートリーでラーヴァナが毎年毎年焼かれるように)。同監督が似たような作品を何度も撮っているのはそのせいかもしれない。

・この「悪を滅し、善を維持する」という行為の基礎となるのが、本作を見る限り、「信仰」ということになるのだろう。信仰というのは特定の神、宗教を信じることだが、神を信じるというのはすっきりと迷いのないポジティブな精神的態度であり、善行を行う基礎となるもの、と考えられているようだ。ラージェーシュワリ(ラーディカー演じる)が登場する音楽シーンで、彼女が喜々として村人に親切な行いをしているシーンを見て、そう思った。

・「アッカンマ」という女神の正体がよく分からない。カーリーのような黒い女神やナンディの姿を取る場面があったので、シヴァ系とも思えたが、まぁ、全体的に見れば、ヴィシュヌ系になるだろう。インドのどこかに実在する土着神というより、本作のための架空の御神体だろう。

・このアッカンマの神力によりラージェーシュワリが変じた獅子神もよく分からなかった。一見、ナラシンハのような姿なのだが、頭は雄の獅子でも、体は女体だった。こういうアヴァターラというのもあるのかな?

◆ 演技陣へのコメント
・ラーディカー(ラージェーシュワリ役) ★★★★☆
 かなり気合が入っていて、良かった。勿体なかったのは、彼女はダンスもできるのに、踊るシーンがほとんどなかったことだろう。また、別嬪さんで女神の姿も映えるので、その線で攻めてほしかったが、肝心のクライマックスではライオンの被り物を被ることに!

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・バヌプリヤー(アッカンマ女神役) ★★★☆☆
 このお方が女神の姿をとって、でかいケツで踊りまくり、悪魔を退治するというクライマックスを期待したが、そんなことはなかった。残念だなぁ。

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・リシ(プラサード役) ★★☆☆☆
 特にコメントなし。

・サティヤ・プラカーシュ(カルコータクドゥ役) ★★☆☆☆
 こんな腰巻姿のおっちゃんが遠く銀河を超えて地球までやって来るんです。それはいいとして、悪役として迫力がなかったのが本作のぱっとしない原因だったと思う。

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◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : Ghantadi Krishna ★★☆☆☆
 音楽シーンについては特に語ることはない。曲数が少なかった。あと2,3曲は歌って踊ってしてもよかったと思う。

・撮影 : Sri Venkat ★★☆☆☆

・グラフィックスのレベルが低い。そもそも南インドの神様映画というのはヘタウマ的なグラフィックスが味わいだったが、本作を見て、あまりにも進歩していないのに気付いた。ハリウッド映画みたいな見せ方をするよりも、こういう安っぽい作りのほうが雰囲気だと思うが、類作の【Dhamarukam】(12)ぐらいのレベルには上げてほしかった。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月20日(日),公開第1週目
・映画館 : Tribhuvan,13:30のショー
・満席率 : 1割
 

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【Nagarahavu】 (Kannada)
 もう7年前に200本の主演映画を遺して逝去したヴィシュヌヴァルダンが、現代に甦り、201本目の作品となったのがこの【Nagarahavu】。顔ペタのデジタル処理であっても、「201本目」と謳われると、観に行かざるを得ない。  監督はファンタジー映画の第一人者、テルグ映画界で活躍するコーディ・ラーマクリシュナ。VFXはテルグ映画の【Eega】(12)や【Baahubali】(15)でお馴染みのMakuta VFXが担当するということだから、これは期待できるかも。  さらにヒロインは... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/10/26 20:22

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