カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Maanikya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/05/15 22:20   >>

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 【Brahma】(14)鑑賞記の冒頭で、キッチャ・スディープのおかげで日本でのカンナダ映画の認知度が、、、みたいなことを書いたが、当のスディープは【Bachchan】(13)の大当たり以来、1年ほど主演作がなかった。それもそのはず、彼は自身による監督・主演作の【Maanikya】に集中していたためで、完成が遅れに遅れた後、ついにその話題作も公開となった。
 話題作といっても、結局は本作もリメイク作品で、オリジナルはコラターラ・シヴァ監督、プラバース主演のテルグ映画【Mirchi】(13)。【Mirchi】はヒットしたようだが、私の目にはテルグ・アクション映画としては中くらいの面白さにしか見えなかった。それをスディープがどうカンナダ化し、恥ずかしくないリメイク作品に仕上げているかが私的な注目ポイント。
 キャスト面での注目は、もちろんキッチャ・スディープと「クレージー・スター」ラヴィチャンドランの共演。ラミャ・クリシュナンが久々にカンナダ映画に出演しているというのもうれしい。

【Maanikya】 (2014 : Kannada)
脚本・監督 : Sudeep
出演 : Sudeep, V. Ravichandran, Varalaxmi Sarathkumar, Ranya, Ravishankar, Ramya Krishnan, Shobharaj, Ashok, Dharma, Sadhu Kokila, Vijayakumar, Avinash, Satyajit, Sharan, Nagashekar, Tennis Krishna, Rekha V. Kumar, Chitra Shenoy, Sangeetha, Padma Vasanthi, Veena Sunder, Kiran Rathod(アイテム出演), Shweta Pandit(アイテム出演), Rishika Singh(アイテム出演)
音楽 : Arjun Janya
撮影 : Shekhar Chandru
編集 : N.M. Vishwa
制作 : N.M. Kumar, Kolla Praveen

題名の意味 : ルビー
映倫認証 : U/A
タ イ プ : リメイク
ジャンル : アクション
公 開 日 : 5月1日(木)
上映時間 : 2時間45分

◆ あらすじ
 シンガポールに暮らす建築家のヴィジャイ(Sudeep)は、ある夜、不良に絡まれていた女性を救う。その女性はマナサ(Ranya)という名のカルナータカ州出身のインド人で、当地の大学院の学生だった。これを機に二人の仲は急接近する。だがマナサは、自分とは親密な関係にならないようにとヴィジャイに告げる。それというのも、マナサの家族は故郷ビーダルの村で暴力に明け暮れるファクショニストで、二人の仲を認めるはずがなかったからである。
 ヴィジャイはバンガロールに戻り、ある大学の学生となる。そして、その大学に長年在籍しているシヴァ(Dharma)という男(実はマナサのいとこ)と親しくなる。シヴァは名うての不良学生だったが、ヴィジャイは彼に女性を愛することを教える。それで恋人のできたシヴァは、人が変わったようにまじめ人間になる。
 学期休みに、シヴァはヴィジャイを連れて、故郷ビーダルの実家に帰省する。実はマナサも帰省し、この屋敷に滞在していたため、彼女はヴィジャイと再会することになる。
 シヴァの家族の男連中は荒くれ者で、愛や善意など知らぬ者ばかりだった。だが、ヴィジャイはいくつかの行動を通して彼らを良心に目覚めさせる。このため、家長のウグラッパ(Ashok)はヴィジャイに信頼を置くようになる。
 しかし、ウグラッパの弟で、この家で最も凶暴なビーラ(Ravishankar)は暴力を捨てない。ビーラは敵対する隣村のアーディシェーシャ(V. Ravichandran)の一家を壊滅しようと、襲撃を仕掛ける。しかし、ヴィジャイが密かに動き、アーディシェーシャの一家を救う。実はヴィジャイは他ならぬアーディシェーシャの息子だったのである。
 マナサはヴィジャイに愛を告白する。しかし、ヴィジャイは自分がライバル家のアーディシェーシャの息子であることを告白し、過去の経緯を語って聞かせる。
 ・・・
 ヴィジャイは母ラーヴァンニャ(Ramya Krishnan)と二人きりでバンガロールに暮らしていた。父は死んだと思っていた。だがある日、母より父がビーダルの田舎にいることを知らされる。実は、ヴィジャイがまだ赤ん坊だったときに、隣村との暴力の応酬を恐れたラーヴァンニャがヴィジャイを連れて家出し、遠くバンガロールで別居していたというわけであった。
 ヴィジャイは早速田舎へ行き、父アーディシェーシャや親類たちと会う。この時彼は、父が平和主義者で、20年以上も暴力を行使していないことを知る。だが、敵対するビーラの一味はアーディシェーシャ家に対して嫌がらせを働く。これに対してヴィジャイは暴力を以って対抗する。
 ヴィジャイはいとこのシンドゥ(Varalaxmi Sarathkumar)と親しくなり、結婚することが決まる。母ラーヴァンニャも久々に帰省し、この結婚式に出席する。だが、結婚式会場にビーラの一味が乗り込んで来、大乱闘となり、結果、母ラーヴァンニャが殺されてしまう。父アーディシェーシャはヴィジャイに対し、お前の暴力が母を殺したと責め、家から追い出してしまう。その後、改心したヴィジャイは、故郷の二家族の敵対関係を解決するために、マナサの家族に接近したというわけであった。
 ・・・
 家長のウグラッパはヴィジャイとマナサの結婚を希望する。しかし、ヴィジャイに対して鼻持ちならないものを感じていたビーラは彼の男らしさに疑問を持つ。だが、ヴィジャイが勇猛な人物であることを思い知らされたビーラは、最後に一つ、ヴィジャイを家族として迎え入れるための条件を告げる。その条件とは、敵アーディシェーシャの息子(実はヴィジャイ自身)を殺せ、ということだった、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・娯楽映画としては、「ヒロインがねぇ、、、」という瑕瑾を除いて、申し分のない出来だった。大ヒットは間違いない。スディープ映画としては上出来。スディープ・ファンなら納得のキッチャが楽しめる。またリメイク作品としては、ツボを押さえたもので、うまくカンナダ化されている。

・ストーリー展開とテーマはオリジナルと同じなのだが、スディープ監督は全体的にトーンを変えてきており、安易なリメイクという印象は受けなかった。ラニングタイムは、オリジナルが155分、カンナダ版が165分と、10分も長くなっている。

・オリジナルの【Mirchi】は、上で「中くらいの面白さ」と評したが、完成度もあまり高いとは思われなかった。2点でそう。1点目は、テーマは良いのだが、そのテーマを運ぶストーリー(脚本)に無理を感じたこと。2点目は、主要登場人物のケミストリーが悪く、バラバラ感があったこと。

・先にテルグ版オリジナルとカンナダ版の主要登場人物対照表を記しておく(左側がオリジナル)。ややこしいので、間違いがあると思うが、その辺はご寛恕を。

-ジャイ(Prabhas) ⇒ ヴィジャイ(Sudeep)
-デーヴァ(Sathyaraj) ⇒ アーディシェーシャ(V. Ravichandran)
-妻ラター(Nadhiya) ⇒ 妻ラーヴァンニャ(Ramya Krishnan)
-ヴェンネラ(Anushka Shetty) ⇒ シンドゥ(Varalaxmi Sarathkumar)
-デーヴァの弟(Adithya) ⇒ アーディシェーシャの弟(Shobharaj)
-ジャイのいとこ(Satyam Rajesh) ⇒ ヴィジャイのいとこ(Nagashekar)
-デーヴァの父(?) ⇒ アーディシェーシャの父(Vijayakumar)
-マナサ(Richa Gangopadhyay) ⇒ マナサ(Ranya)
-プールナ(Subbaraju) ⇒ シヴァ(Dharma)
-ウマー(Sampath Raj) ⇒ ビーラ(Ravishankar)
-家長(Nagineedu) ⇒ ウグラッパ(Ashok)
-家長の弟(Benarji) ⇒ ウグラッパの弟(Satyajit)
-ヴィーラ・プラタープ(Brahmanandam) ⇒ ヴィーラ・プラターパ・シンハ(Sadhu Kokila)

・【Mirchi】のテーマは「愛を以って暴力を制する」ということで、「『男らしさ』というのは『暴力』か『愛』か」というのが問題となっている。そのため、主人公に「愛は、、、」とかなり説教めいたセリフを吐かせているのだが、これがどうもプラバースだと決まりが悪い。それで、マナサのいとこがまじめ人間になる伏線も、クライマックスも、説得力がなく、無理なものを感じた。娯楽アクション映画として「とりあえず」ってことなら許容範囲だが、これを真剣なメッセージとして伝えたいなら、プラバースではダメだと思った。

・ところが、演じ手が変われば結果も変わるもので、これをスディープがやると、収まること収まること。もともと【Mirchi】というのは、テルグ映画にしては観念的に説教くささの立った作品で、むしろカンナダ映画向きの脚本だと思っていたが、本作でのスディープとの相性の良さを見て、それを確信した。(【Mirchi】も、ナグさんのようなタイプ、演技力の役者がやれば、決まったと思う。)

・2点目の主要登場人物のケミストリーという点では、【Mirchi】の主役プラバース、父役サティヤラージ、母役ナディヤ、敵役サンパト・ラージは、個として見ればそれぞれ申し分のないパフォーマンスなのだが、どこかタレントの寄せ集めといった印象を受けた。ところが、【Maanikya】のスディープ、父役ラヴィチャンドラン、母役ラミャ・クリシュナン、敵役ラヴィシャンカルはがっちり絡んでおり、おかげで、インド大衆映画らしいファミリー・センチメントが表現できている。(これで、もしヴィシュヌヴァルダンが生きていて、スディープの父母のセットがヴィシュヌ天とスハーシニだったなら、超ド級のカンナダ映画になったに違いない。)

・と、カンナダ版を評価してみたものの、「辻褄が合っている」ということが必ずしも作品の面白さに繋がるわけではなく、どうもカンナダ版は予定調和的にできすぎている感があり、私は逆にテルグ版のヨロヨロしたところに魅力を感じる。【Mirchi】は、人は善いが若気の至りで悲劇を招いてしまったジャイ(プラバース)が、改心するという「成長譚」の側面もあるのだが、逆にスディープのヴィジャイは「絶対的な愛の体現者」みたいなキャラクターだったので、「成長」という変化のモチーフは弱い。

◆ 演技陣へのコメント
・スディープ(ヴィジャイ役) ★★★★☆
 上で触れたとおり、スディープ・ファンには納得の(女性ファンなら悶絶の)カッコよさだった。だいたいアクション映画の監督というのは、主役のヒーローをいかにカッコよく見せるかに腐心するものだが、本作の場合はどちらもスディープだからなぁ、、、よくぞここまで自分を持ち上げたもんだ。

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・ラヴィチャンドラン(アーディシェーシャ役) ★★★☆☆
 もっと凄い演技を見せてくれるかと思ったが、期待には届かなかった。しかし、クライマックスではさすがに存在感を見せていた。
 (写真下:相変わらず凄い髪だ。)

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・ヴァーララクシュミ・サラトクマール(シンドゥ役) ★★☆☆☆
 本作は製作費がカンナダ映画史上2番目に高額の作品らしいが、残念ながらヒロインのほうには予算を回せなかったようだ。2人いるヒロインは、私的にはどちらもさっぱりだった。
 まず、オリジナルでアヌシュカが演じていた役はヴァーララクシュミ・サラトクマール。タミル俳優サラト・クマールの娘なのだが、受ける印象がいかつい。まぁ、田舎娘の役なんだし、元気そうなのは良かったが、胸ときめくものがないなぁ。

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 (写真下:お、「iPhone 5」のローンチをしてるぞ。)

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・ラニャ(マナサ役) ★★☆☆☆
 輪をかけて落胆だったのがこのお方。役回りからして、スターを使う必要もないのだが、テルグ版のリチャー・ガンゴーパーディヤーヤが可愛かっただけに、激しく見劣り感がある。チクマガルール生まれのバンガロール人なので応援したい気もあるが、それ以前に、次作はないだろう。

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・ラヴィシャンカル(ビーラ役) ★★★☆☆
 悪役として、非常に良いパフォーマンスだったと言える。しかし、この役はここまで野獣的である必要はなく、どこか人間性を残しているほうがいいので、その点ではテルグ版のサンパト・ラージに軍配が上がるか。(スディープもその辺は心得ていて、ラストを少し変えている。)

・ラミャ・クリシュナン(アーディシェーシャの妻役) ★★★☆☆
 テルグ版のナディヤとの比較では、どっちがどうだということはない。しかし、両者は実年齢ではそう変わらないはずなのに、ナディヤさんはどうしてあんなに若く見えるのだろうかと、徒に気にかかった。

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・サードゥ・コーキラ(ヴィーラ・プラターパ・シンハ役) ★★★☆☆
 ブラフマーナンダムの役なのだが、コーキラの旦那もけっこう上手くなったもんだ。

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・ヴィジャイのいとこ役で、コメディー的役割を担っていたのは、意外にもナーガシェーカル。この人は実は【Sanju Weds Geetha】(11)や【Mynaa】(13)などを撮った監督さん。ナーガシェーカルだけでなく、本作にはスディープ、ラヴィチャンドラン、サードゥ・コーキラ、ラヴィシャンカルと、5人も「監督」経験のある人が出演している。それがどうしたと言うわけではないが、珍しいので触れておいた。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : アルジュン・ジャニャ ★★★☆☆
 まずまずの出来。
 噂の「720万ルピー費やした(この額が高いかどうかは知らんが)」という音楽シーンは、さすがにリッチに見えたが、バンコクのガレージでロケするぐらいでいいから、その分の経費をヒロインのほうに回してほしかった。
 オープニングの曲にサンダルウッドの著名な監督、音楽監督、俳優が賑わしに登場している。

・撮影 : シェーカル・チャンドル ★★☆☆☆
 あまり上手くなかったぞ。例えば、Kiran Rathod、Shweta Pandit、Rishika Singhの3人を配したアイテム・ソングはもっと面白く撮れたはずだ。

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・物語の舞台は、テルグ版はグントゥール県パルナードゥ(Palnadu)の村、カンナダ版はビーダル県(Bidar)の村だと設定されていた。どちらもその土地を選んだ意味合いがあるのだろうけど、私には分からない。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月11日(日),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Sirsi Circle),15:45のショー
・満席率 : 満席
 

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2017/03/29 21:00

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
やっと両目開けて読ませていただきました。
初見は魂が抜けていたため、何も言えませんでしたが、2回目に見たときはもうインターミッション以降涙が止まりませんでした。

Sudeep節がいい感じにさく裂してくれてたと思います。
コキーラさんのところは周りのインド人が笑いころげるなか、一人で取り残されていました。
なにがそんなにおかしかったのか、早く字幕版が見たいです。

あたしとしてはJeeva Jeevaで完全にMirchiと違うものを描きたかったな、と感じました。満足です。
Sudeepさまの美しさが際立っていたので、女優さんの残念さは我慢できます。

ミュージックシーン、バンコックのガレージで可ですかw
やっほー
2014/05/26 00:25
>あたしとしてはJeeva Jeevaで完全にMirchiと違うものを描きたかったな、と感じました。満足です。

なるほど。
ああいうシーンでのスディープの物言わぬ演技というのはいいですね。

>ミュージックシーン、バンコックのガレージで可ですかw

ガレージにしろとは言いませんが、私ゃ、可愛い女優を見たい派なので、もう少しそっちに予算を回してほしかったなと。
 
カーヴェリ
2014/05/26 00:37

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