カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gajakessari】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/06/10 22:08   >>

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 カンナダ映画【Mungaru Male】(06)は、不振に陥っていたカンナダ映画界を復活させた作品として知られているが、当時は内容面より技術面、特にカルナータカ州のヒルステーションを秀麗に収めたカメラが高く評価された。その撮影監督を務めたのがS・クリシュナで、彼はその後もサンダルウッドのトップカメラマンとして【Maleyali Jotheyali】(09)や【Kaddipudi】(13)などで職人技を見せている。

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 そんなクリシュナだが、監督業にも色気があったらしく、本作【Gajakessari】で監督デビューする運びとなった。撮影監督が監督した映画というのは良かったり悪かったりだが、クリシュナの場合はどうか?
 主演は「ロッキング・スター」こと、ヤシュ。【Drama】(12)、【Googly】(13)、【Raja Huli】(13)と、目下3作連続スーパーヒット中だが、本作も続くことができるか?
 トレイラーを見る限り、象も登場するエピック大作のようで、話題の1作となっていた。

【Gajakessari】 (2014 : Kannada)
物語・脚本・監督 : S. Krishna
出演 : Yash, Amoolya, Anant Nag, Shahbaz Khan, John Vijay, Sadhu Kokila, Rangayana Raghu, Mico Nagaraj, Girija Lokesh, Mandya Ramesh, H.G. Dattatreya, Venugopal, Rajesh, Ashok, Shivaram, Sudhakar, Honnavalli Krishna, Prakash Raj(ナレーター), その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Jayanna, Bogendra

題名の意味 : ガジャケーサリ(ホロスコープの相の1つ)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : エピック・アクション
公 開 日 : 5月23日(金)
上映時間 : 2時間42分

◆ あらすじ
 マイソールに暮らすクリシュナ(Yash)は仲間と金貸業を営む気楽な若者。彼は占星術的に「ガジャケーサリ」という星の下に生まれたため、母(Girija Lokesh)は彼を有名なシャンカラナーラーヤナ寺院の僧侶にしたいと願い、寺院まで連れて行く。この寺院の大僧正シュリー・シュリー・シュリー・シュリーニワーサ・ナーラーヤナ・スワーミジー(Anant Nag)はクリシュナに対し、僧侶となって自分の後継者となるように言う。だが、煩悩の塊であるクリシュナはそれを断る。するとスワーミジーは、僧侶にならないなら、象を1頭この寺院に寄進せよ、と告げる。
 それもご免なクリシュナは、僧侶不適格者になってしまおうと、娼婦買いや銀行強盗などの悪事を試みるが、これが意図とは逆方向に進み、より善行を積む結果となる。
 選択肢は象の寄進しかないと悟ったクリシュナは、アーネグッダという村まで行き、象の飼育に長じた部族民の集落に滞在することにする。ここで彼は野鳥の生態調査に来ていたミーラー(Amoolya)と出会い、一目惚れする。また、近くの森にはカーリンガと呼ばれる凶暴な象がいたが、不思議とクリシュナに対して従順な態度を取ったため、村人たちは驚く。
 ところで、ラーナー(John Vijay)という悪徳企業家がこのアーネグッダ村にリゾート施設を建設しようとしていた。この計画には悪徳大臣(Mico Nagaraj)も絡んでいた。ラーナーは無知な部族民を騙して村から追い出す行動に出るが、これにミーラーとクリシュナが気付き、ラーナーの計画を挫く。憤ったラーナーは手の者を送り込み、クリシュナを襲撃させる。クリシュナは殺されそうになるが、そこへ象のカーリンガが現れ、クリシュナを救う。
 この一連の出来事を受けて、村の年老いた修行者が過去を語り始める。360年前、この辺りはカルナードゥという王国だったが、隣国のヴァルマ王(Shahbaz Khan)の侵入に脅かされていた。この侵攻に対して最後までカルナードゥを守り切ったのが英雄的戦士バーフバリと象のバララーマであり、クリシュナとカーリンガはそれぞれその生まれ変わりだと言うのだ、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・トレイラーがカッコよかったので、ずいぶん期待したが、はっきり言って面白くなかった。失敗作だろう。

・テルグ映画の【Magadheera】(09)、【Khaleja】(10)、【Shakti】(11)、【Badrinath】(11)などからの影響が強く見られるが、そのどれよりもぐっと見劣りするのが苦しい。カンナダ映画の類作【Bhajaranghi】(13)に比べても、落ちる。(【Brahma】(14)よりはよくできていると思うが。)

・最近かなり流行っている「輪廻転生物」だが、今回はヒーローと共に「象」も生まれ変わるという、アイデア自体は面白かったと思う。基本的な設定やストーリーの枠組みも、西ガーツ山脈の乱開発の問題に待ったを言おうというテーマも、悪いわけではない。

・にもかかわらず、アクション映画として緊張感がなく、しょぼいと感じられた理由は、1つには予算の問題があるだろう。おそらくカンナダ映画としては使ったほうだと思うが、それでも上に挙げたテルグ作品に比べると大金が注ぎ込めなかったはずで、360年前の戦闘場面などが影響を受けている。

・2つ目は、やはり新人監督クリシュナの脚本の甘さがあるだろう。一応、アクション物の手順を踏んでいるのだが、あくまでも「一応」で、脚本というよりは「筋書き」だったと思う。悪役の造形やコメディアンの使い方、回想シーンの入れ方にもっと工夫がほしかった。

・3つ目は、主演のヤシュのカリスマ性の不足があると思うが、これを言うのは酷なことか? テルグのプラバースあたりがやればぴったりの脚本だと思う。(しかし、本作はそれなりに客を集めており、ヒットゾーンに入りそうなのだが、その理由としても「ヤシュの人気」ぐらいしか考えられないのだが。)

・主人公のクリシュナはラージクマールの大ファンという設定で、いくつかラージクマール作品への関連付けがあった(特に【Gandhada Gudi】(73))。

・クリシュナがその星の下に生まれたとされる「ガジャケーサリ」については、現地人の説明を聞いてもさっぱり分からなかった。関心のあるお方は「Gajakesari Yoga」でググっていただきたい。

◆ 演技陣へのコメント
・ヤシュ(クリシュナ/バーフバリ役) ★★★☆☆
 初の一人二役かな? お気楽な青年クリシュナはテーラーメイドだし、英雄的戦士バーフバリもカッコよかった。しかし、それでも私は本作のヒーローはヤシュ向きではないと言いたい。

・アムーリヤ(ミーラー役) ★★☆☆☆
 本作が冴えないもう一つの理由はヒロインだろう。ヒロインが重視されるストーリーではなかったが、だからこそ流れとは無関係にキラキラ輝く悩殺美女が出てくれたなら、それなりに満足して帰ったろうに、アムーリヤにそれは望めない。

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・アナント・ナーグ(スワーミジー役) ★★★★☆
 本作で唯一トップクオリティーだと思えたのは、僧侶役のアナント・ナーグだ。年齢も高く、しかも聖職者役なのに、どうです、この色気。

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・アルジュン(象のカーリンガ/バララーマ役) ★★★★☆
 もう一人(人ではないが)、ケーララ州からはるばるやって来た象のアルジュンくんを挙げておかねばならない。つぶらな瞳に涙には胸打たれた。

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・悪役の二人、シャーバーズ・カーン(敵国のヴァルマ王役)とジョン・ヴィジャイ(ラーナー役)は頑張っていたが、監督はもっとうまく見せてやるべきだった。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : ハリクリシュナ ★★☆☆☆
 とにかく、新鮮味も何もない音楽だった。
 音楽シーンは、力を入れて作ったのは分かるが、1曲(英雄バーフバリの導入シーン)を除いて、物語を盛り上げる働きはしていなかった。

・撮影 : サティヤ・ヘグデ ★★★☆☆
 クリシュナ監督自身が撮影せず、やはりサンダルウッドのトップカメラマンのサティヤ・ヘグデに任せている。映像的には悪くなかったが、目を惹くショットが連発というわけでもなかった。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月7日(土),公開第3週目
・映画館 : Eshwari,11:15のショー
・満席率 : 1割
 

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