カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Khaidi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/06/18 22:32   >>

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 「ヴィシュヌ天」ことヴィシュヌヴァルダン主演の本作は、1984年に公開されたものだが、ファンからの強いリクエストによりデジタル化され、リバイバル上映となった。4月にトリウェーニ劇場で公開された際は、劇場の前庭に花輪で飾られた巨大なカットアウトが立ち、話題となった(写真下。これを見て私は、それまで私的に「ヴィシュヌ翁」と呼んでいたのを、「ヴィシュヌ天」に格上げした)。

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 残念ながら4月の公開時には観に行けなかったが、その後二番館を転々とし、うちの近所の映画館(Sri Srinivasa Theatre)にも掛かったので、今回は逃さなかった。
 本作はファンも熱望するヴィシュヌヴァルダンの人気作とはいえ、オリジナルではなく、チランジーヴィ主演の大ヒット・テルグ映画【Khaidi】(83)のリメイク。カンナダ版鑑賞を機にオリジナルもディスク鑑賞しておいたが、若き日のチルさんとヴィシュヌ天を同役で見ることができるという、実にハッピーな体験ができた。

【Khaidi】 (1984/2014 : Kannada)
物語 : Paruchuri Brothers
脚本・監督 : K.S.R. Das
出演 : Vishnuvardhan, Madhavi, Aarathi, Sudarshan, Dheerendra Gopal, Mukyamanthri Chandru, Sangeetha, Samyuktha, Jayamalini, その他
音楽 : Chakravarthy
撮影 : V. Lakshman
編集 : D. Venkata Rathnam
制作 : G.R.K. Raju

題名の意味 : 囚人
映倫認証 : A
タ イ プ : リメイク
ジャンル : アクション
公 開 日 : 4月11日(金)
上映時間 : 約2時間25分

◆ あらすじ
 スーリ(Vishnuvardhan)はさる事情あって警官ディネーシュ(Sudarshan)に追われていたが、手傷を負って路上で倒れているところを女医のスジャータ(Aarathi)に助けられる。だが、スジャータは新聞でスーリがお尋ね者であることを知る。スーリはスジャータに自分のこれまでの経緯を語って聞かせる。
 ・・・
 大学生のスーリは同じ大学のマドゥ(Madhavi)と恋仲にあった。マドゥの父はスーリの田舎の地主ヴィーラバドラ(Dheerendra Gopal)だった。スーリの父ムッターバーイはその小作農だったが、貧しく、ヴィーラバドラから借金をしていた。
 娘がスーリと交際していることを知ったヴィーラバドラは、快く思わず、ムッターバーイを呼び出し、これ以上スーリがマドゥと会わないようにしろと要求する。しかし、ムッターバーイはこれを拒否する。その後、ヴィーラバドラと仲間のラーマチャンドラ(Mukyamanthri Chandru)は誤ってムッターバーイを殺してしまう。
 葬式のとき、ヴィーラバドラはスーリに、父の残した借金を返済しなければ、家をラーマチャンドラに売り渡すと告げる。スーリは、畑の収穫が終わり、現金ができたら返済すると約束する。
 スーリは姉のバーギャラクシュミ(Sangeetha)と慣れない農作業に励む。だが、ある日、農作物がすっかり刈り取られているのを見る。ヴィーラバドラの一味の仕業だった。
 他に手がないと悟ったバーギャラクシュミは、自ら犠牲となり、かねてより言い寄られていたラーマチャンドラと結婚する決意をする。だがラーマチャンドラは、バーギャラクシュミを売春の道具にしようとした上、殺害してしまう。しかも悪いことに、ヴィーラバドラらの陰謀で、この事件がスーリの仕業とされたのであった。
 ・・・
 この話を聞いて、女医スジャータはスーリに同情する。実はスジャータの姉もラーマチャンドラの犠牲になっていたからである。彼女は警官ディネーシュの追跡からスーリを逃がしてやる。
 しかし、ヴィーラバドラらの罠により、スジャータは人質となり、おびき出されたスーリの前で彼女は殺されてしまう。しかも、この事件もスーリの仕業とされ、彼は逮捕される。
 裁判が行われるが、ヴィーラバドラに買収された証人たちにより、審理はスーリに不利な方へと進む。だが、スーリは逃走することに成功し、森に隠れ、父と姉とスジャータの復讐を果たす決意をする、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・当たり前のことだが、ヴィシュヌヴァルダンの新作はもう出ないので、旧作でもこうやって映画館の大画面で観られるのはありがたいことだ。本作がかなり大掛かりなアクション映画だっただけに、DVDやYouTubeでは不可能な醍醐味が味わえて、なおさらありがたかった。

・ヴィシュヌヴァルダンのファンの強い要望でリバイバルされたということなので、ファンの熱狂は相当なものだったようだ。上に挙げたカットアウトにもその熱意が表れているが、こちらの記事によると、さらにこのカットアウトの花輪の数をギネスブックとリムカブック(インド版ギネスブック)に載せてもらおうと、申請までしているようだ。

・その熱狂的なファンの一人に、ヴィシュヌヴァルダンの後継者と目されているキッチャ・スディープもいるわけで、彼が実際にトリウェーニ劇場まで出かけて鑑賞したというのも(こちら)驚くべきことかもしれない。

・しかし、私的に最も驚いたのは、本作のデジタル化を手がけたサティーシュとゴーウィンドというお二方が、実は本業がオートリクシャの運転手らしいということで、こういうのを「インドの神秘」と言ったら、大袈裟ですか?

・内容的には、アクションドラマとしては構えも大きく、かなり完成度が高い。当時でもこれだけのスケールのアクション物は特別だったようだが、末広がり的に話が大掛かりになっていくところが痛快だ。

・また、テルグ版もカンナダ版も等しく言えることだが、登場人物の力学が優れている。演じた俳優の力量もハイレベルだし、ダンスとアクションの娯楽ガジェットもよくできている。

・例えば、ヒーローのスーリと悪役の三人組、及びその間に入る警官ディネーシュという3要素の力関係が実に上手く配分されている。ヒーローに絡むヒロインはツインで、一方は恋愛関係のある純粋なヒロイン(マドゥ)、もう一方は恋愛とは違った共感で結び付いた女性(女医スジャータ)と、ムードの違う男女関係が描かれている(これをダンススキルの高いマーダヴィと、カンナダ映画界の名女優だったアーラティが演じるという贅沢さ)。また、ストーリー展開のギャップを埋めるかのように自由に登場するスジャータの姪っ娘(ベイビー)や、コメディアンの使い方も面白い。で、終盤のジャヤマーリニのアイテムダンスでダメ押しホームランと来る。

・本作はテルグ版オリジナルに忠実にリメイクされている。両者の比較というのは避けたいが、言っておくなら、テルグ版のほうが丁寧に作られており、カンナダ版はやややっつけ仕事っぽい。チルさんとヴィシュヌ天の比較という点でも、この物語の主人公の性格(敵を法的に倒せるはずなのに、あくまでも復讐を選ぶという一徹さ)を考えると、まだ20代の若いチランジーヴィのほうが合っている。ドラマパートでのヴィシュヌヴァルダンの演技は申し分ないが、アクションやダンスになると、チルさんより見劣りするのも辛いところだ(もっとも、カンナダ人ファンはそんなこと全然気にしていないが)。

・というわけで、ヴィシュヌヴァルダンのファンならカンナダ版は観ておくべきだが、そうでもなく、どちらか一つということなら、テルグ版オリジナルになると思う。

◆ 演技陣へのコメント
・ヴィシュヌヴァルダン(スーリ役)
 モラルの権化のような、柔和なオジサマといったイメージから入った私としては、ヴィシュヌ天の「Sahasa Simha(勇猛な獅子)」という異名がしっくり来なかったのだが、本作ではまさにその名の通りだった。

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・マーダヴィ(マドゥ役)
 テルグ版でも同じ役を演じている。こういう裕福なお嬢様役をやらせればぴったりはまる。本作でもドラマパート、ダンスパートのどちらでも魅せている。当時、南インド映画だけでなく、ヒンディー映画でも活躍した彼女だが、カンナダ映画ではヴィシュヌヴァルダンやラージクマールとも共演していて、私にとっても馴染み深い。ヴィシュヌ天との共演作では【Malaya Marutha】(86)、ラージクマールだと【Haalu Jenu】(82)が好きかな。

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・アーラティ(医師スジャータ役)
 ヴィシュヌヴァルダンとはその出世作【Naagarahaavu】(72)よりのお付き合いで、相性の良さを見せている。アーラティの実力が十分に発揮されるような役柄でもないが、エレガントに演じている。

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・スダルシャン(警官ディネーシュ役)
 好きな俳優だ。この顔のデカさと背の高さで、一度見たら忘れられない。今も現役。

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・ディーレンドラ・ゴーパール(地主ヴィーラバドラ役)
 地主のヴィーラバドラを演じたこの俳優の名はDheerendra Gopalだと思うが、お尋ね人状態。確たる情報があれば、ご一報を求む。

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・ムキャマントリ・チャンドル(ラーマチャンドラ役)
 エロ悪な男を演じていたが、近ごろでは専らコメディーをやっているので、意外だった。効いている。

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・サンギータ(スーリの姉役)
 テルグ版でもこの人がやっている。薄幸の田舎娘(しかも寡婦)を慎ましやかに演じていて、主人公スーリと格好の「姉弟センチメント」を形成している。

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・サムユクタ(ベイビー役)
 この娘もお尋ね人状態。スジャータの姪、通称「ベイビー」の役を演じていた女優で(テルグ版も同じかと)、名前はSamyukthaだと思うが、間違っていたらご一報を。

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・こういう古典的なコメディーはインド映画でももはや絶滅した感があるので、良かった悪かったというより、ノスタルジーを感じたよ。

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・絶滅品種といえば、ジャヤマーリニのこのアイテムダンスもそう。このボディーサイズにこれほどのダンスの技量というのは仰天ものなのに、愚かなインド人はこの美学を捨ててしまったんです。カンナダ映画でのジャヤマーリニのダンスシーンといえば、やはりヴィシュヌ天と共演の【Guru Shishyaru】(81)が好きだが(特にマンジュラとのダンスバトルの場面)、私が死んだら、どうかそのDVDを棺桶に入れてくれ〜。

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◆ その他(覚書)
・本題から外れるが、私が鑑賞したシュリーニワーサ劇場というのは、【Lucia】(13)でちらっとロケに使われた映画館。写真下が【Lucia】からのその1コマ(ヒロインのシュウェータがニッキの映画館を探し回る音楽シーンの1コマ)。

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◆ 完成度 :(採点せず)
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月14日(土)
・映画館 : Sri Srinivasa,11:30のショー
・満席率 : 1割以下
 

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【Sahodarara Savaal】 (Kannada)
 今年は4月に故ヴィシュヌヴァルダン主演の【Khaidi】(84)がリバイバル公開され、話題となったが、第2弾として(というわけでもないだろうが)やはり同故人のヒット作【Sahodarara Savaal】がデジタル化・リバイバル公開となった。  これは1977年公開のもので、今にして思えば貴重だが、ラジニカーントが共演している。1975年にデビューしたラジニは、【Sahodarara Savaal】に出演した当時はまだスーパースターというわけではなく、そろそろスターダムに上がろうか... ...続きを見る
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2014/09/25 21:16

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