カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Oohalu Gusagusalade】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2014/06/26 22:15   >>

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 テルグ映画【Ashta Chamma】(08)で飄々とした演技を見せたシュリーニワース・アワサラーラは、俳優業より脚本・監督業に野心があるようで、本作で監督デビューを果たすこととなった。彼は演劇、脚本、演技の勉強をアメリカでやったらしく、その成果がどんなふうに表れるかは注目だ。
 低予算でスター不在の作品という点では強く引かれるものを感じなかったが、プロダクションが【Eega】(12)や【Andala Rakshasi】(12)と同じ「Vaaraahi Chalana Chitram」なので、「もしや」という期待はあった。
 (写真下:シュリーニワース・アワサラーラ氏。)

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【Oohalu Gusagusalade】 (2014 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Srinivas Avasarala
出演 : Naga Shourya, Raashi Khanna, Srinivas Avasarala, Posani Krishna Murali, Harish Koyalagundla, Surya, Prithviraj, Pragathi, Rao Ramesh, Hema, C.V.L. Narasimha Rao, Satya Krishnan
音楽 : Kalyani Koduri
撮影 : Venkat C. Dileep
編集 : Kiran Ganti
制作 : Rajani Korrapati

題名の意味 : 囁きに夢うつつ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンスコメディー
公 開 日 : 6月20日(金)
上映時間 : 2時間23分

◆ あらすじ
 「UBテレビ」に勤めるヴェンキー(Naga Shourya)は、有名なニュースキャスターだった父(C.V.L. Narasimha Rao)のように、自分もキャスターになりたいと願っていた。病気で寝たきりの父のためにも、これはどうしても叶えたい夢だった。だが、テレビ局のオーナー、ウダイ(Srinivas Avasarala)はその願いを聞き入れず、ヴェンキーにCMを担当させるだけだった。
 しかし、ヴェンキーにも好機が訪れる。ウダイに見合い話が持ち上がるが、相手の女性シリーシャ(Raashi Khanna)をすっかり気に入ったウダイは結婚を希望する。だが、ウダイには女性と話すとき、とんちんかんなことを喋ってしまうという悪癖があった。そこでウダイは、気の利いた会話で女性の心をつかむのが巧みなヴェンキーに目を付け、自分の結婚成就のために協力するよう依頼する。ヴェンキーはチャンスとばかりに、仕事上の見返りを条件に引き受ける。
 だが、ヴェンキーはそのシリーシャという女性を見て驚く。彼女は実はプラバーワティという名で、数年前にヴェンキーがヴァイザーグで出会い、恋仲となったものの、ちょっとした誤解から別れることになった女性だったからである。ヴェンキーはまだプラバーワティに未練があった。プラバーワティもそうだった。しかし、ヴェンキーは父のためにも、自分のためにも、キャスターになる道は捨てられないのであった、、、。

・その他の登場人物 : ヴェンキーの母(Pragathi),ヴェンキーのおじ(Rao Ramesh),結婚仲介屋(Prithviraj),変なおじさん(Harish Koyalagundla),ウダイの父(Surya),ニュースキャスター(Posani Krishna Murali)

◆ ざっくりしたコメント
・大きく期待していたわけではないが、シュリーニワース・アワサラーラなら「もしや」という予感もあったので、その点では期待外れだった。実はそれなりに面白く、感動できる部分もあったのだが、「アメリカ仕込み」ということから期待される(私の勝手な期待だが)鋭さ、斬新さというものはなく、まずは中庸なラブコメの範囲に収まっていたと思う。

・直感として、ロマンティックな部分はもっとロマンティックに、コメディーの部分はもっと笑えるものにできたと思う。勿体ない、というか、どうも思い切りの悪い脚本だと感じた。

・作品としての調子も揺れているように見えた。前半のヴェンキーの回想シーン、ヴェンキーがプラバーワティと出会って、別れるまでのシーンは、会話主体の淡々としたムードで進むものだった。で、シュリーニワース監督はウッディ・アレンの信奉者だということだから、【アニー・ホール】みたいな男女関係のペーソスを細かいタッチで描いていくのかなと期待したが、後半に入って、ドタバタとまでは行かないにせよ、コメディー・オブ・エラーズな展開となり、クライマックスはあり得ないパワープレーで終わってしまった。なんかずっこけた感じ。

・ただ、知的コメディーという点では、いくつか面白いアイデアが効果を上げていた。まず、本作は全体として、エドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を下敷きにしている(シュリーニワース監督自身がどこかで明言しているかどうかは知らないが、いくつかのレビューではそう言及されている)。『シラノ』ほどの高貴さと皮肉な悲劇性はないが、それでもあれを現代インドのコメディー映画に翻案しようとした努力は伺える。

・「陰の声」が聞こえて来、それがウダイやヴェンキーと問答するというアイデアや、「絵画」(特にラヴィ・ヴァルマの)をモチーフにした知的ギャグや、クライマックスの「天気予報に託したプロポーズ」も面白い。

・ただし、これらのネタはアッパークラスの教養層にしか受けそうにないので、彼らをターゲットとするなら、ラニングタイムは2時間程度に抑えたほうがよかったかな。

・疑問点をメモ代わりに。 @ヴァイザーグの回想シーンで、ヴェンキーとプラバーワティが初めて会うのは映画館だが、館内にはテルグ映画の【Jalsa】(08)とウッディ・アレンの【Annie Hall】のポスターが貼ってあった。ヴァイザーグの単館でこの取り合わせはあり? A同じくヴァイザーグの場面での音楽シーンでサイクルリクシャが走っていたが、あれもあり? Bヴェンキーとプラバーワティが約束をするときに「指切り」をしていた。指切りは日本の習慣だと思っていたが、インド人もやるらしい。

・題名の「Oohalu Gusagusalade」の意味がよく分からない。上では思い切り意訳で「囁きに夢うつつ」としておいたが、全くとんちんかんだったら、ごめんなさい。

・ところで、この題名について調べようとしたら、NTR主演の【Bandipotu】(63)という作品に同名の音楽シーンがあることが分かった。たぶん本作とは関係がないと思うが、とてもロマンティックな曲なので、動画を紹介しておく。
http://youtu.be/q8Qi0Ua3ZXI

◆ 演技陣へのコメント
・ナーガ・シャウリヤ(ヴェンキー役) ★★☆☆☆
 普通にハンサムな俳優ならできそうな役をごくごく普通に演じている。人物造形という点でも、主人公の割には個性が足りず、印象に残りにくい(これはシュリーニワース監督の責任でもある)。一応、過去に映画出演の経験があるようだし、目下製作中の作品もあるのだが、ほとんど新人俳優みたいに見えた(下)。

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 それにしても、最近のトリウッドはこういう「コンパクト・ハンサム」といった感じの俳優が目に付く。例えばナーニ(写真下左)とか、アーディ(同右)とか。こういう顔がトレンドなのかもしれないが、みんな似たり寄ったりに見えて、ちょっとつまらない。

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・シュリーニワース・アワサラーラ(ウダイ役) ★★★☆☆
 対して、こちらのお方はエキセントリックな人物をコミカルに上手く演じている(まぁ、自分で脚本・台詞を書いているんだし)。

・ラーシ・カンナー(プラバーワティ役) ★★★☆☆
 ヒロインは、先日紹介した【Manam】(14)にもちらっと出演していたラーシ・カンナー(というより、【Madras Cafe】(13)のルビー役と言ったほうが通りがいいかも)。トレイラーでは可愛く見えたので、注目点だったが、本編を見ても印象は良い。演技力という点では本作だけでは判断できないし、ダンスなどはできそうになかったが、カージャルみたいにコメディー面で器用さがあるならば、テルグ映画界でも使われそう。

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 しかし、直感的なことだが、この人は油断すると際限なく太る体質のように見えた。例えば、ナミターやラクシタみたいに。

 ナミター  「呼んだぁ?」
 カーヴェリ 「いえ、呼んでません。」
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 ラクシタ  「で、なんか問題あるわけ?」
 カーヴェリ 「いいえ、ございません。」
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◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : カリヤーニ・コードゥーリ ★★★☆☆
 【Ashta Chamma】、【Alaa.. Modalaindi】(11)、【Anthaka Mundu Aa Tarvatha】(13)と同路線だが、悪くない。
 音楽の良し悪しとは関係ないが、カリヤーニ・コードゥーリ自身が作品中に映画館の「ダフ屋」役でカメオ出演(?)している。

・撮影 : ウェンカト・C・ディリープ ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月22日(日),公開第1週目
・映画館 : Chandrodaya,11:15のショー
・満席率 : 1割以下

 

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
観ました。
女優さんが愛らしくて良かったです。
最後は上司が豹変してびっくりしましたが、全体的に可愛らしい映画でしたね。
主人公の俳優さん、『Anthaku Mundu Aa Tharuvatha』の俳優にも似ていますね。あまり南らしくない顔立ちがいいのでしょうか…。

ところで、こんなところで申し訳ありません。
来週の金曜日から日曜日までバンガロールへ行く予定です。

2014/06/28 12:16
>来週の金曜日から日曜日までバンガロールへ行く予定です。

ええっ、そうなんですかぁ?
そういうことなら、ぜひお会いしたいものですが、連絡手段が、、、。
 
カーヴェリ
2014/06/28 23:38
私も連絡手段をどうしようかと思いながら、とりあえず先のコメントだけをしてしまいました。申し訳ありません。
更新が滞っている私のサイトに連絡先というのがあるので、そちらでメッセージを頂戴してもよろしいですか。

2014/06/29 02:06

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