カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Vadacurry】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2014/07/03 20:37   >>

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 タミルのウェンカト・プラブ監督といえば、まだまだ若手だと思っていたら、いつの間にやら師匠格になっていたらしく、この度弟子の一人(サラヴァナ・ラージャンという人)が監督デビューすることになった。それが本作【Vadacurry】で、私的には必見作に数えていなかったが、スワーティも出ているし、元「ポルノ女優」のサニー・レオーネもアイテム出演するということなので、観て来た。

【Vadacurry】 (2014 : Tamil)
脚本・監督 : Saravana Rajan
出演 : Jai, Swathi, RJ Balaji, Aruldoss, Kasthuri, Ajay Raj, Sai Prasath, Misha Ghoshal, Sunny Leone(アイテム出演), Mahat Raghavendra(特別出演), Premgi Amaren(特別出演), Venkat Prabhu(特別出演)
音楽 : Vivek Siva, Mervin Solomon, Yuvan Shankar Raja
撮影 : Venkatesh S.
編集 : Praveen K.L.
制作 : Dayanidhi Azhagiri

題名の意味 : ワダカリー(料理の名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー・スリラー
公 開 日 : 6月19日(木)
上映時間 : 2時間12分

◆ あらすじ
 サティーシュ(Jai)はローワーミドルクラスの貧しい青年だが、医薬品営業マンの職を得て、張り切っていた。彼には日々の生活において一つの悩みがあった。彼は旧式の携帯電話しか持っていなかったため、それが友人や仕事関係者の哄笑の種になっていたのである。初任給の一部を使い、サティーシュはやっとスマートフォンを購入することになるが、予算が限られていたため、ローエンドの機種しか手に入らず、それで余計にバカにされる羽目になる。
 ある日、サティーシュは軽食屋に置き忘れてあった「iPhone」を持ち帰ってしまう。良心が痛み、それを元の場所に返そうとするが、友人のカリカラン(RJ Balaji)にハイエンドのスマホを持っていれば女にもてると吹き込まれ、つい自分のSIMを入れて、使用することにしてしまう。
 その甲斐あってか、サティーシュは近所の可愛いナヴィーナ(Swathi)と恋仲になる。しかし、ナヴィーナの友達(Misha Ghoshal)もサティーシュに惚れていたため、気まずい空気が流れる。
 サティーシュは実直なオート運転手の兄(Aruldoss)に諭され、やはりiPhoneを持ち主に返そうと、SIMを入れ替える。そして、電話してきた男と待ち合わせるが、そのまま怪しげな連中に拉致されてしまう。拉致グループのリーダーはダヤラン(Ajay Raj)という名の、やはり医薬品営業マンの男だった。実はそのiPhoneの元の所有者は「ラヴィシャンカル」という名の、不正医薬品ビジネスをこととする悪党で、ダヤランはラヴィシャンカルに損失を負わされたため、行方を捜していたのであった。サティーシュは自分がラヴィシャンカルでないことを証明するため、本物のラヴィシャンカルを捜し出さなければならなくなる、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・やはり本作にも新人監督の作品にありがちな中途半端なものを感じた。前半はサティーシュ(Jai)と携帯電話を巡るコミカルな展開と、ナヴィーナ(Swathi)との軽いロマンス展開が柱になっているが、やや退屈な感じだった。後半は一転してスリリングになり、良かったのだが、クライマックスは特に弾ける感じでもなかった。

・2つのテーマを骨子として物語が組み立てられているが、これはどちらも興味深い。1つ目は携帯電話機を巡る強迫観念みたいなもので、2つ目は薬剤を巡る犯罪行為。

・そもそもインドは階層社会だが、伝統的、生得的なカーストとは違って、高度経済成長と共に経済格差が新たな階層になりつつある。その格差を表すシンボルが、就いている職業であったり、住んでいる地区/家屋、乗っている車/バイク、勉強した学校、日頃食べている料理、観ている映画/映画館、身に付けている衣類/アクセサリーであったりし、当然この列に「所有している携帯電話」が並ぶ。今のインドは2Gの携帯電話からスマートフォンへの移行がほぼ完了しつつある時期で、そんな時に旧式の電話機しか持っていない者は「時代遅れ」、「負け組」として、揶揄の対象となる。実際にはそんなに恥ずかしいことでもないのだが、それを恐れるあまり、主人公がスマホを巡って一喜一憂するというアイデアは面白い。(音楽シーンの1つ、‘Ullankaiyil Ennaivaiththu’という曲には、サティーシュのスマホに対する強迫観念が描かれていて面白いのだが、YouTubeの動画が見つからなかった。)

・その厄介なスマホが原因でサティーシュは犯罪に巻き込まれることになるのだが、その犯罪が不正医薬品ビジネス。本作では使用期限の切れた薬品に偽のラベルを貼ったりシールを押したりして、再び市場に流すという問題などが扱われていた。よく知らないが、これがもし何らかの事実を踏まえているのなら、怖いと思った。

・このように、テーマ的には面白く、ストーリーの組み方にも細工が見られるのだが、作品全体の出来としては、どうもインド娯楽映画の旨味に欠ける。主演をジェイではなく、カールティかジーヴァを使い、ヒロインももう少し存在感のある女優に変え、リンガサーミあたりにメガホンを取らせたなら、タミル映画らしい芯の強い社会派娯楽映画になった可能性はある。

・元ウェンカト・プラブ監督のアシスタントということで、師匠と似たタッチはいくつか見られた。特に「この緊迫したシチュエーションにそんなお笑いネタを挟むか」と突っ込みを入れたくなる部分がそうだった。(これはカリカーラン(RJ Balaji)の登場シーンで顕著だった。)

・主人公サティーシュの職業は、上では「医薬品営業マン」としておいたが、英語では「medical representative」というもの。こういう職業の主人公というのも初めて見た。

・題名の「Vadacurry」はワダをカリーで煮た料理のことだが、それと映画の内容がどう関係しているのか、分からなかった。

◆ 演技陣へのコメント
・ジェイ(サティーシュ役) ★★★☆☆
 相変わらずのいじられキャラだったが、【Engaeyum Eppothum】(11)、【Raja Rani】(13)と重要な役を経験して、ジェイも上手くなった? 上で書いたとおり、この役がジェイでなかったなら、もっと大きな作品になっていただろうけど、まぁ、ジェイでもいいやん。

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・スワーティ(ナヴィーナ役) ★★★☆☆
 スワーティにはテーラーメイドな役だったと言える。インパクトは小さかったが、男がわんさか寄って来るキュート・ガールという設定にはずっこけた。そういえば、スワーティとジェイは【Subramaniyapuram】(08)で共演していたのだったが、今回は都会のカップル役。

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・RJ・バーラージ(カリカラン役) ★★★☆☆
 口達者なお調子者の役で、本作の笑いポイントだが、もう少しアクが強くてもよかったかな。

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・サラヴァナ・ラージャン監督の師匠ウェンカト・プラブ、及びプレームジーとマハト・ラーガヴェンドラが特別出演している。

・振られ役のナヴィーナの友達を演じたミーシャー・ゴーシャルも情けない感じで良かった。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : ヴィヴェーク・シヴァ&メルウィン・ソロモン ★★★☆☆
 このお二方は新人らしい。割と面白い音楽だった。1曲だけ、‘Uyirin Maeloru Uyirvandhu’という曲はユワン・シャンカル・ラージャが作曲しているらしい。

・注目のサニー・レオーネの登場するアイテム・ナンバー‘Low Aana Life-u’は1曲目に来たが、特段ホットな作りでもなく、落胆した男子も多いことだろう。元ポルノ女優だから「さあ、露出」というわけでもないと思うが、せっかくサニーを使って、認証が「U」というのはもったいない。

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・撮影 : ウェンカテーシュ・S ★★★☆☆
 この撮影監督も新人らしい。腕は良いように見えた。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月28日(土),公開第2週目
・映画館 : Poornima,10:30のショー
・満席率 : 1割以下
 

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