カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Anjaan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2014/08/20 21:29   >>

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 私が南インド映画の感想をネット上に発表し始めたころ(2006年)は、南インド映画関連の情報源として利用できる手段が貧弱だったため、私がこうして現地で鑑賞した作品を1本1本ブログに上げることには一定の価値があったと思う。ところが、この間にネット環境が一変し、日本にいながらにして、各種サイトやSNSを通して速やかに、こと細かに作品についての情報を得ることができ、作品公開のすぐ後にはYouTubeで(劇場ビデオ撮りではあるが)まるごと1本が視聴可能だったり、ヒット映画そのものが日本で公開されるようになったりし、また、そうやって得た情報や鑑賞コメントを手っ取り早くネット上(ツイッターなど)で共有するのがごく当たり前になった。そうなると、本ブログのようなタイプの映画鑑賞記は情報源としての役割を終えたのかなと、私も1年ほど前から打ち切りのタイミングを探っている。
 ただ、一応存続させるとすると、より専門性、地域性(現地性)、または個性を高めたコンテンツにしたほうがよく、その一つの手段として、よりマイナーな作品に光を当て、メジャーなものはわざわざここで紹介しない、ということが考えられる(特に観たくない作品を選って観るという意味ではないが、メジャー作品は比較的多くの人が遅かれ早かれご覧になり、情報も回るので)。

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 となると、本作【Anjaan】のような、監督がヒットメーカーのリングサーミ、ヒーローがスーリヤでヒロインがサマンタ、音楽はユワン・シャンカル・ラージャーに撮影はサントーシュ・シヴァンという、本年のタミル映画界最大級の話題作の一つに挙げられるような作品は優先度が低く、事実、これは今週末の優先順位6番にしていた。
 にもかかわらずこれを観たのは、この日は体調がきわめて悪く、徒歩圏の映画館しか行く気力・体力がなく、その条件だとこれしかなかったわけである。
 なお、本作は【Sikander】という題名でテルグ語版も公開されている。

【Anjaan】 (2014 : Tamil)
物語・脚本・監督 : N. Lingusamy
出演 : Surya, Samantha Ruth Prabhu, Vidyut Jamwal, Manoj Bajpai, Joe Malloori, Murali Sharma, Soori, Brahmanandam, Dalip Tahil, Chetan Hansraj, Asif Basra, Maryam Zakaria(アイテム出演), Chitrangada Singh(アイテム出演), その他
音楽 : Yuvan Shankar Raja
撮影 : Santhosh Sivan
編集 : Anthony
制作 : Siddharth Roy Kapur, N. Subash Chandrabose

題名の意味 : 恐れ知らず
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 8月15日(金)
上映時間 : 2時間50分

◆ あらすじ
 タミル・ナードゥ州から足の不自由なクリシュナ(Surya)という男がムンバイへやって来る。彼は兄弟のラージューを探しに来たのであった。関係者らと会ううちに、クリシュナはラージューがムンバイの暗黒街で「ラージュー・バーイ」と呼ばれ、恐れられ、尊敬されもしたドンであったが、すでに死亡していることを知る。クリシュナは別のマフィアのドン、JK(Dalip Tahil)や、ラージューの仲間カリーム・バーイ(Joe Malloori)から兄弟の詳細を聞く。
 ・・・
 ラージュー(Surya)が親友のチャンドルー(Vidyut Jamwal)と組織したギャング団は日の出の勢いで勢力を拡大していた。これを無視できないと見た警察本部長アショーク・クマールはラージュー&チャンドルーの組織の壊滅を宣言する。これに対してラージューは、本部長に一泡吹かせるため、その娘ジーヴァー(Samantha)を誘拐する。ところが、一風変わったジーヴァーは、ラージューを恐れるどころか惚れてしまう。ラージューのほうもジーヴァーに愛情を抱く。
 ラージューの組織の勢力拡大は警察だけでなく、当然他のマフィアも刺激していた。ある日、パーティーの席上で、ラージューとチャンドルーは大物マフィアのドン、イムラーン・バーイ(Manoj Bajpai)に侮辱される。しかし、二人も仕返しとしてイムラーンに侮辱を与える。
 ジーヴァーとの関係で警察に隙を見せてしまったラージューは、気を引き締めるために彼女を遠ざけようとする。だが、チャンドルーは二人の交際を認め、ラージューをジーヴァーとのデートに送り出す。しかし、このデート中に襲撃に遭い、ラージューは危うく殺されそうになる。同時に、別所ではチャンドルーが何者かに暗殺されていた。さらに、憤るラージューに銃を向けたのは仲間の一人で、ラージュは撃たれ、川に転落する。
 ・・・
 この話を聞いたクリシュナは、ラージューを裏切った仲間を探しに動く、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・体調不良から「徒歩圏」で観られる映画を選んだが、思慮が浅かった。満員の小汚い単館で、このラニングタイムの長いアクション映画を観たらどうなるか、もっと考えるべきだった。「はよ終われ」と思いながら映画を観ることほど空しい体験はない。

・しかし、本作をつまらなく感じたのは私の体調の問題だけではなかったようだ。鑑賞後に2人のタミル人と話す機会があったが、両者とも「つまらない」と言っている。

・ストーリーはアホみたいに単純なものだと感じたが、それを補おうと回想モードの展開にし、若干のヒネリも効かせている。しかし、それでもアホみたいに単純に感じられた。リングサーミ監督も焼きが回ったかな?

・ただし、スーリヤのカッコよさと、幾人かの脇役の味と、ユワンくんの音楽、サントーシュ・シヴァンのカメラのおかげで、ある程度の満足感はある。スーリヤのファンなら観ても後悔しないだろう。

・内容的には復讐劇だが、「裏切り」がテーマになっていたようだ。仲間を裏切り、復讐される連中の死に際は醜い。それだけに、ラージュー(Surya)とチャンドルー(Vidyut Jamwal)の友情/信頼の美しさが浮かび上がってくる。

・そもそもリングサーミ監督は「男」というものをカッコよく描くのに秀でた監督だが、本作のラージューとチャンドルーもカッコいい。この二人に小道具として持たせていたのが、ラージューは爪楊枝で、チャンドルーはコインだった。まるで木枯し紋次郎と銭形平次が篤い友情で結ばれたようなものだが、こんなささやかな物でも男のカッコよさは出せるもんだと、この点は感心した。

・ただ、ラージューがなぜ暗黒街に転落したのか、また、ラージューとチャンドルーの強い友情はどうして生まれたのか、といった描写があってもよかったと思う。タミル人の心をつかむには、もっとセンティメンタルな場面も必要だったろうと思う。

・本作も【Thuppakki】(12)や【Thalaivaa】(13)のようにムンバイを舞台にしたタミル映画だが、どうしてコリウッドの映画人はムンバイを目指すのだろう?

・本作では、ラージューのグループは普通にタミル語を話していたが、やっつけられる側のマフィアはヒンディー語話者のようだった。しかし、本作に北インド(ヒンディー語圏)に対する敵対心はなさそうで、むしろ【Chennai Express】(13)などのボリウッド映画からの引用があり、タミル映画にしては「ボリウッドと仲良くやろうぜ」みたいなムードが感じられた。(本作に見られるタミル映画サイドの態度軟化は注目すべきことかもしれない。)

・暴力描写などはけっこうシビアだったが、これがなぜ「U」認証に収まったかは謎だ。

・コメディアンの使い方が悪かった。テルグ人の受けを狙ってブラフマーナンダムのシーンを無理から入れていたが、これがひどい出来だったので、かえってテルグ人の機嫌を損ねただろう。

◆ 演技陣へのコメント
・スーリヤ(ラージュー/クリシュナ役) ★★★☆☆
 変則的な一人二役。メインは無頼なヤクザ、ラージューのほうだが、眼鏡に松葉杖のクリシュナも良いコントラストになっていた。アクション、ダンスにもう少し見せ場がほしかった。

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・サマンタ(ジーヴァー役) ★★☆☆☆
 警察本部長のちょっとおかしな娘という役柄は面白かったが、サマンタのパフォーマンス自体は面白みがなかった。テルグ映画【Manam】(14)では可愛らしく撮ってもらっていたが、本作ではぶさいくショットが目立った。さてはサントーシュ・シヴァン先生に嫌われたかな?

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・ヴィデュット・ジャームワール(チャンドルー役) ★★★☆☆
 南インド映画界でもお馴染みのヴィデュットだが、これまでは冷血な悪役ばかりだった。本作は違っており、今後に期待を抱かせるものだった。

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・予算が潤沢だったのか、脇役にもマノージ・バージペーイー(イムラーン・バーイ役)、ダリープ・ターヒル(JK役)、ムラリ・シャルマー(ジョニー役)などの名優を使っているが、有効に使われていたとは言いがたい。カリーム・バーイ役のジョー・マッルーリは良い味を出している。

・アイテム・ナンバーにもチトランガダー・シンとマリヤム・ザカーリヤーを使っているが、いかにも勿体ない出来だった。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : ユワン・シャンカル・ラージャー ★★★★☆
 ユワンくんの音楽を銀幕上で聴くのも久々だが、「これは良い」と思ったのも超久々だ。もっと働け!
 ところで、イスラーム教に改宗したらしいユワンくんだが、名前のほうは何となったのだろう?

・撮影 : サントーシュ・シヴァン ★★★★☆
 高水準の撮影だったが、神業を感じるには至らなかった。ムンバイ物では【Thuppakki】のほうが良かったかな。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 8月17日(日),公開第1週目
・映画館 : Eshwari,14:30のショー
・満席率 : 9割
 

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