カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Geethanjali】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2014/08/28 00:53   >>

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 本作を紹介したい理由は、これがはっきり「Horror Comedy」と謳っていること。
 気のせいか、近ごろ南インド映画絡みで「ホラー・コメディー」または「コメディー・ホラー」という言葉が目に付き、1ジャンルとして確立されそうな気配である。そもそもインドのホラー映画というのは伝統的に怖くなく、お笑いの要素の混じる独特なものだったが、マラヤーラム映画【Manichitrathazhu】(93)の一連のリメイク作品(カンナダの【Apthamitra】やタミルの【Chandramukhi】など)が作られたときはまだスタイルとして自覚的ではなかったと思う。それがローレンスのタミル映画【Muni】(07)と【Kanchana】(11)を経て、テルグ映画【Prema Katha Chitram】(13)、タミル映画【Yaamirukka Bayamey】(14)と、次第にヒットの見込めるジャンルとして自覚されてきたようである。来月公開予定のタミル映画【Aranmanai】もホラー・コメディーという触れ込みなので、それに先立って、本作【Geethanjali】も観ておこうと思った。
 なお、ややこしい話だが、本作は昨年公開されたマラヤーラムのホラー映画【Geethaanjali】とも、マニ・ラトナム監督の名作テルグ映画【Geethanjali】(89)とも関係がない。

【Geethanjali】 (2014 : Telugu)
物語・監督 : Raaja Kiran
脚本・台詞 : Kona Venkat
出演 : Anjali, Srinivasa Reddy, Madhunandan, Rao Ramesh, Brahmanandam, Satyam Rajesh, Shankar, Shravan, Prudhviraj, C.V.L. Narasimha Rao, (以下、カメオ出演)Raghu Babu, Ali, Saptagiri, Vennela Kishore, Thagubothu Ramesh, Rajiv Kanakala, Dil Raju, Harshavardhan Rane
音楽 : Praveen Lakkaraju
撮影 : Sai Sriram
編集 : Upendra
制作 : M.V.V. Satyanarayana

題名の意味 : (登場人物の名前)
映倫認証 : A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー・コメディー
公 開 日 : 8月8日(金)
上映時間 : 2時間25分

◆ あらすじ (ネタバレ注意)
 映画監督志望のシュリーニワース(Srinivasa Reddy)は、自分の企画を映画化しようと映画関係者に当たるが、相手にされない。シュリーニワースは何とか映画好きの実業家ラメーシュ・ラーウ(Rao Ramesh)にすがりつき、映画のストーリーを聞いてもらう。それは自身が体験した出来事であった。
 ・・・
 ハイダラーバードのアパートの一室で若い女性が自殺し、そこにはその女の幽霊が出るということで、空き部屋のままになっていた。
 シュリーニワースは映画監督になろうとヴィジャヤワーダからハイダラーバードを目指すが、バスの隣席に座ったアンジャリ(Anjali)という若い女性と意気投合する。ハイダラーバードでシュリーニワースは友人のマドゥ(Madhunandan)とアパートを探す。住宅斡旋屋(Prudhviraj)に紹介してもらった部屋は例の幽霊部屋だったが、そんなこととは知らずに、そこに入居することにする。その部屋には「ディル・ラージュのゴースト・ライター」だと称するアトレーヤ(Satyam Rajesh)とアルドラ(Shankar)の2人も同居することになる。

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 一同は夜になると不気味な女の気配を感じ、怯える。と、そんな時、この部屋にひょっこりアンジャリがやって来る。彼女は近所のホステルに暮らしていたが、門限に遅れたため、シュリーニワースの部屋を訪ねたというわけであった。彼女はシュリーニワースの入れるコーヒーの味を気に入り、毎晩やって来るようになる。
 ところが、ある日、警察が自殺した女性の遺品を持って部屋にやって来る。その中の写真アルバムを見て、一同は仰天する。その自殺女性とはアンジャリだったからである。
 ・・・
 シュリーニワースの話はここで終わるが、ラメーシュ・ラーウは彼にストーリーを完成させるよう要求する。
 シュリーニワースは街で偶然アンジャリの女友達(写真アルバムに写っていた)を発見し、話を聞く。それよると、自殺した友達の名はギータンジャリで、恋人のソフトウェアエンジニア、マドゥとの恋愛が自殺の原因だということだった。シュリーニワースはこの「マドゥ」を自分の友達のマドゥだと早合点し、彼を問い詰める。しかし、それは誤解だと分かり、マドゥは知り合いの精神科医サイタン・ラージ(Brahmanandam)に幽霊部屋の調査を依頼する。ところが、サイタン・ラージは本当に幽霊を目撃し、気絶する。
 怯え、途方に暮れるシュリーニワースらの前にアンジャリが現れ、真相を語る。実はアンジャリはウシャンジャリという名で、自殺したのは彼女の姉のギータンジャリだと告げる。古典歌唱の教師をしていたギータンジャリは、マドゥナンダン(Harshavardhan Rane)と相思相愛の仲だった。ところが、ある男にレイプされ、絶望から自殺したのであったが、その罪はマドゥナンダンに帰せられ、彼は監獄送りとなっていた。ウシャンジャリはこの事件を調べるために、シュリーニワースに接近したというわけであった。
 この話を聞いた一同は、レイプ犯を告発しようと動き出す、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・なかなか面白かった。難しいことを考えない限り、十分楽しめる。(まぁ、難しいことを考えるためにホラー・コメディーを観る人はいないと思うが。)

・と言いながら、コーナ・ウェンカトが脚本を書けば「結局、そうかい!」という不満はあるので、小言は言わせてもらう。まず、最近のホラー・コメディー2作品、すなわち【Prema Katha Chitram】、【Yaamirukka Bayamey】との比較では、本作が最も古くさい。【Prema Katha Chitram】は「自殺」といったホットなトピックをホラー・コメディーの中にうまく放り込んでいたし、異色なラブストーリーとして見ても面白い。【Yaamirukka Bayamey】に至っては頭から尻まで新感覚の映画を作ろうという意思で貫かれ、巧拙は別として、エポックな作品になっている。両作品とも「ホラー」と「コメディー」の要素を必然的に絡めている点に新しさを感じた。

・ところが、本作は本質的に「復讐劇」であり、これまでテルグ映画で何度も作られてきた復讐系アクション映画の設定をホラーに置いただけで、実はホラーでなくとも成り立つストーリーだ。「ホラー」と「コメディー」が必然的に絡むこともなく、片や怖い場面を見せ、片やどたばたコメディーをやっているという感じだった。(唯一「ホラー」と「コメディー」が結び付いていると思われたシーンは、精神科医サイタン・ラージ(Brahmanandam)がウシャンジャリ(Anjali)に「お化けの演技指導」をする場面で、ここは面白かった。)

・第一、ストーリーが【Om Shanti Om】(07)に似すぎているというのは問題だろう。というわけで、本作は新種ジャンルとしての「ホラー・コメディー」の典型的作品にはなり得ないと思う。

・とはいっても、古くさい作りである分、オーソドックスなテルグ映画だと見れば、それなりに面白い。プレクライマックスでは神様映画の手法も採り入れられており、テルグ映画らしかった。

・女幽霊の特性として、肉が好き、特にハイダラーバードの「Paradise」のチキン・ビリヤーニが好き、というのは面白かった。

・ベースがコメディーなのに、サプタギリやウェンネラ・キショールらがカメオ出演してコメディートラックを作るものだから、うんざりなところもあった。コメディー・オン・コメディーというのはどうも、、、。

◆ 演技陣へのコメント
・アンジャリ(ウシャンジャリ/ギータンジャリ役) ★★★☆☆
 私はアンジャリのファンなので、何であれうれしいのだが、二役が見られて、なおうれしかった。彼女の持ち味が出ていたとは思うが、それも7割程度で、もっと凄いことができたはず。ブラフマーナンダムとの「変顔」対決は面白かったが、クライマックスではせっかく彼女が幽霊を熱演しているところにブラフマーナンダムの邪魔が入り、興ざめだった。なお、本作でも彼女自身がアフレコをしている。

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・シュリーニワーサ・レッディ(シュリーニワース役) ★★★☆☆
 1作品中でこんなに長時間このお方を見るのは初めてだった。通常はコメディー的場面で顔を見せるので、コメディアンに分類されるのかもしれないが、お笑いのセンスは乏しそう。しかし、本作では誠実に演じていて、好感が持てた。(写真下、右から2人目)

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・コメディアンのための映画とも言えるので、よく知らないコメディアンをチェックする良い機会になった。写真上左端はシャンカルで、ラーム・ゴーパール・ヴァルマ監督の物真似をしていたらしいが、気付かなかった。左から2人目はマドゥナンダン。【Gunde Jaari Gallanthayyinde】(13)に出演していた。右端はお馴染みサティヤム・ラージェーシュ。その他、【Prema Katha Chitram】で活躍していたサプタギリは本作では1シーンのみのカメオだった。

・ギータンジャリの恋人役の男前は【Thakita Thakita】(10)に出ていたハルシャヴァルダン・ラーネー。

・有名プロデューサーのディル・ラージュが本人役で顔を出している。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : プラヴィーン・ラッカラージュ ★★★☆☆
 コーヒーをテーマにした音楽シーンが良かった。プレクライマックスのディヴォーショナル・ソングではラージーヴ・カナカーラがカメオ出演している。

・撮影 : シュリー・サーイラーム ★★★☆☆

・シュリーニワースがハイダラーバードへ向かう長距離バスの車内で、ビデオサービスとして【Journey】(タミル映画【Engaeyum Eppothum】のテルグ語ダビング版)が流されていた。皆さんもインドでバス旅行をお考えなら、一度はこの映画をご覧になっていただきたい。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 8月24日(日),公開第3週目
・映画館 : Sri Srinivasa,11:30のショー
・満席率 : 1割以下
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
皮肉利きすぎですよ。

私は絶対にインドの「豪華」長距離バスの中で『いつでもどこでも』なんて見たくないですよ。甘ちゃんの出世作『マイナー』でも嫌だ。
メタ坊
2014/08/28 01:54
ご心配なく。そうしたビデオがバス車内で流される確率は、実際にバス事故が起きる確率より低いと思いますw
ところで、バスと甘ちゃんといえば、この間ケーララからBLRまで乗ったACバス内でアマラ・ポールが出ているマラヤーラム映画を見せていて、面白かったですよ。あとで調べたら、Oru Indian Pranayakadhaという作品でした。
 
カーヴェリ
2014/08/28 10:46

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