カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Sahodarara Savaal】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/09/25 21:15   >>

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 今年は4月に故ヴィシュヌヴァルダン主演の【Khaidi】(84)がリバイバル公開され、話題となったが、第2弾として(というわけでもないだろうが)やはり同故人のヒット作【Sahodarara Savaal】がデジタル化・リバイバル公開となった。
 これは1977年公開のもので、今にして思えば貴重だが、ラジニカーントが共演している。1975年にデビューしたラジニは、【Sahodarara Savaal】に出演した当時はまだスーパースターというわけではなく、そろそろスターダムに上がろうかという頃だったと思われる。当時はカンナダ映画にも時おり出ており、Wikipediaのフィルモグラフィーを単純に数える限り、11本のカンナダ作品に出演している。うち、ヴィシュヌヴァルダンとの共演は本作を含めて3本あるようだ(他に【Galate Samsara】(77)と【Kiladi Kittu】(78))。
 片やインドを代表するスーパースター、片や地方映画界のローカルスターと、差が開いてしまったように見えるが、ラジニは先にデビューしたヴィシュヌを非常にリスペクトしており、生涯に亘り親友同士だったと聞いている。本作出演当時はご両人とも27歳ぐらいで、まだ若々しい両スターがどんな篤い友情を醸し出しているか、注目したい。

 本作はヴィシュヌ天の誕生日に合わせての公開となり(1日ずれていると思うが)、映画館ではちょっとした祝祭ムードだった。

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 さらにはこんなヴィシュヌヴァルダン・デコのスクーターに乗って現れた熱狂的なファンもおり、客の入りは寂しかったが、雰囲気は満点だった。

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【Sahodarara Savaal】 (1977/2014 : Kannada)
脚本 : M.D. Sundar
監督 : K.S.R. Das
出演 : Vishnuvardhan, Rajanikanth, Kavitha, Bhavani, Leelavathi, Balakrishna, Dwarakish, Shakthi Prasad, Tiger Prabhakar, Jayamalini, Master Guruprasad, Master Ramesh, その他
音楽 : Chellapilla Satyam
撮影 : S.S. Lal
編集 : K.S.R. Das, Venkateshwara Rao
制作 : A.R. Raju

題名の意味 : 兄弟の挑戦
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション/ドラマ
公 開 日 : 9月19日(金)
上映時間 : 約2時間35分

◆ あらすじ
 シェーカルとキランの兄弟は貧しい家庭の少年。父はおらず、病気の母の薬を買うために、弟キランはバス停にいる青年の財布を盗む。それを知ったシェーカルはキランを叱り飛ばし、財布の中にあった住所を頼りにそれを元の主に返しに行くが、その青年はお金を失ったことを苦にし、首吊り自殺していた。その間、キランは薬屋で薬を盗もうとし、警察に逮捕される。それ以来、この兄弟は生き別れとなってしまう。結局母を亡くしたシェーカルは、自殺青年の故郷に行き、青年の母(Leelavathi)と妹に会う。それはやはり貧しい家庭だった。シェーカルはお金を返すが、息子の自殺を知った母はショックで精神に障害を負ってしまう。その日以来、シェーカルはその母を自分の母、妹を自分の妹と考え、世話をすることにする。
 時が下り、キラン(Vishnuvardhan)は元警官の養父の下でお調子者だが立派な若者に育っていた。彼はジョーティ(Kavitha)という女性と出会い、相思相愛の仲になる。実は、運命の悪戯か、ジョーティの兄は他ならぬシェーカルであったが、キランはそれを知る由もない。
 一方、シェーカル(Rajanikanth)は勤勉の末、その村で尊敬を集める名士となっていた。しかし、義母は相変わらず精神障害のままだった。ある日、村の有力者ガンガー(Shakthi Prasad)が村娘ラクシュミ(Bhavani)を見初め、強引に結婚式を挙げようとする。それを知ったシェーカルは結婚式を取り止めさせるが、その後ラクシュミに懇願され、シェーカルは彼女を妻に娶ることにする。
 そんな時に街ではキランの養父が何者かに殺されてしまう。現場での1枚の写真を手がかりに、キランは犯人の顔を識別し、復讐を誓う。
 他方、村ではシェーカルの義母が最新の治療を受け、治癒する。しかし医者からは、病気が再発する恐れがあるので、母に精神的なショックを与えないようにと告げられる。
 キランは友人で盗人のラージャー(Dwarakish)から写真に写った父殺しの犯人の情報を問う。ラージャーは、これは自分の田舎にいる男だと伝える。キランとラージャーはその男ムッダのいる村へと赴くが、そこははたまた運命の悪戯か、シェーカルの村であった。
 キランは村で帰省していたジョーティと会う。さらにそこからシェーカルと対面する展開となるが、互いに誰だか気付かない。しかし、キランはシェーカルが落とした財布の中に母の写真を見つけ、兄だと気付く。そしてシェーカルの屋敷に押しかけ、自分たちは兄弟だと訴える。だがシェーカルは、内心喜びつつも、この事実が義母にショックを与えることを恐れ、お前の兄は私の親友だったが、彼もその母もすでに他界している、と嘘をつき、妹ジョーティとキランの結婚も認めようとしない。
 そんな折に、ラクシュミを取られたことでシェーカルに恨みを抱くガンガーが、ムッダや悪党のカーラッパ(Tiger Prabhakar)に依頼し、ラクシュミを横取りしようと企てる、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・とにかく面白い。言う必要もないが、歌あり、踊りあり、アクションあり、ロマンスあり、笑いあり、涙ありの古典的マサラ映画だった、とわざわざ言いたい。本作の熱気を古いインド映画に馴染みのない方がイメージするためには、超有名なヒンディー映画【Sholay】(75)を思い浮かべればいい(これなら観ているだろう)。近ごろではこういうフォーマットのインド映画が否定的に語られることも多いが、改めて、本作のようなマサラ映画はインドが誇れる文化財だと実感した。

・映画開始10分の入り方が素晴らしい。いや、何てことはない、貧しい少年兄弟がさらに運命に弄ばれて生き別れになるというだけの話なのだが、こういう押し付けがましい不幸譚は現代の映画では浮いてしまうだろう。しかし、古い映画だとすんなり見られるのが不思議だ。

・本作の場合、マサラ要素のどれもが良くできているが、とりわけ「涙」、つまりシェーカル(Rajanikanth)とキラン(Vishnuvardhan)の兄弟センチメントががっちり効いている。シェーカルとキランの個々の内面での感情的葛藤が実に上手く脚色されていて、泣ける。特に義理と人情の板挟みになり、苦悩するラジニの感情表現が秀逸。
 (写真下:その葛藤が見られる一場面。ラジニの目の涙に注目。)

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・馬に乗って荒野を走るラジニとヴィシュヌというのも見どころだ。二人が演じる両ヒーローのぶつかり合いと最終的な和解もカッコよすぎる。ヴィシュヌとラジニの共演作はこれしか見ていないが、本作での二人のケミストリーは良い。

・欠点を言うと、例によって凄いご都合主義なのは目をつぶるとして、両ヒーローに対立する悪役のストーリーラインが弱い。3人の悪役には面構えの良い俳優を揃えているが、よくよく考えると、そんなに悪いことはしていないし、なんか間抜けな感じだった。勧善懲悪によるカタルシスという線で本作を観るべきではない。

・本作は翌年にクリシュナ主演で【Annadammula Savaal】という題名でテルグ語版リメイクが作られている。やはりラジニカーントが共演している。こちらのほうもチェックしてみたところ、ダンスシーンやアクションシーンはテルグ版のほうがリッチになっているし、弟の養父が殺されるエピソードも丁寧に描かれている。しかし、両ヒーローが「兄弟らしい」という点では、カンナダ版のほうが良いと思う。

・ところで、去年辺りからカンナダ映画界では古典的名作のデジタル化・リバイバル公開というのが続いているが、これは裏を返せば、良い新作カンナダ映画が現れない、骨のある映画の作り手がいない、という問題の現れかもしれない。この【Sahodarara Savaal】にしても、オリジナル作品で、ここからテルグ語のリメイク版や、タミル語、ヒンディー語のダビング版が作られたほど影響力のあった作品だ。今やリメイク製作産業に成り下がった感のあるカンナダ映画界だが、かつてはこれほどの創作力があったということを、プロデューサーや監督、スターたちは思い出してほしい。(聞いとるか、スディープ!)

◆ 演技陣へのコメント
・ヴィシュヌヴァルダン(キラン役)
 ドラムを打つやら、右利き用のギターを左利きに持つやら、馬に乗るやら、象と闘って勝つやらで、もう、カッコいいやらキモいやらの大騒ぎだった。デビュー作【Naagarahaavu】(72)では目が泳ぐ落ち着きの悪さがあったが、本作ではそれもなく、良かった。

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・ラジニカーント(シェーカル役)
 ラジニといえば、久しく俳優というより「スター」と見なされ、演技の巧拙を問われることもないのだが、実は演技が上手いということを本作では示している。もちろん時代の制約からか、大衆演劇っぽい濃ゆい芸風だが、説得力はある。本作はヴィシュヌ・ファンだけでなく、ラジニ・ファンにも必見だと言える。
 (写真下:凄い白塗りで、蝋人形かと思った。)

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・カヴィター(ジョーティ役)
 登場シーンでこの顔を見て、能面かと思った。この方は今も現役で、お母さん女優として良い味を出しているが、こんな娘役時代もあったんですね。

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・バヴァーニ(ラクシュミ役)
 カヴィターさんはちょっと怖かったが、ラジニの妻役で、保守的な村娘ラクシュミを演じたバヴァーニさんは地味ながら好印象だった。

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・シャクティ・プラサード(ガンガー役)
 本作では凄い悪役ぶりでもなかったが、実は名悪役俳優。この方は「アクション・キング」アルジュン・サルジャーの父、チランジーヴィ&ドゥルワ・サルジャー兄弟の祖父なので、これを機に紹介したいと思った。

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・タイガー・プラバーカル(カーラッパ役)
 下の画像を見る限り、コメディアンみたいに見えるが、非常に人気のあった悪役俳優。なにせ、ヒンディー映画【Inquilaab】(84)ではアミターブ・バッチャン&シュリーデーヴィーと共演しているほどだ。本作でも一つの見どころを作っている。ちなみに、息子のヴィノード、娘のサウンダリヤーは共に俳優となっている(あまり売れていないが)。

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◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : サティヤム ★★★★☆
 この頃の音楽を評価するのは難しいが、歌はメロディアスで、音楽シーンの作りも生き生きとしている。現地人の話によると、本作のすべての歌が今も愛唱されているらしい。
 序盤のヴィシュヌヴァルダン導入の音楽シーンではジャヤマーリニが魅力的な腹ダンスを見せている(下)。

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・撮影 : S・S・ラール ★★★☆☆

◆ 完成度 :(採点せず)
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月21日(日),公開第1週目
・映画館 : Menaka,10:15のショー
・満席率 : 2割
 

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【Belli】 (Kannada)
 カンナダ・スターのシヴァラージクマールは、以前は「ハットトリック・ヒーロー」という通称で呼ばれていたが、近ごろでは「サンダルウッド・キング」や「サンダルウッドのSRK」と、何やらシャールク・カーンを意識した呼び方が目立つようになり、ファンの間で一層の箔付けが行われているようだ。一部の批評家からは「カンナダ映画界で最も要らない俳優」との烙印を押されたりもするが、30年近くずっとトップ俳優であり続けてきたことや、カンナダ映画史に残る秀作をいくつかものにしている事実は無視できない。私の評価は微... ...続きを見る
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2014/11/05 00:57

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