カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Jeeva】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2014/10/21 21:26   >>

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 このタミル映画【Jeeva】は先月末に公開されたものだが、地味にヒットしているらしく、バンガロールでも公開されたので、観て来た。
 監督はスシンディラン。彼の作品と私は巡り合わせが良いようで、前作【Pandiya Naadu】(13)以外はすべて映画館で観ることができている。彼の成績としては、失敗作の【Rajapattai】(11)以外は興行的に成功したか、または批評家の高評価を得ているようだ。
 上のポスターを見て分かるとおり、本作はクリケットをモチーフとしたもの。スシンディラン監督はデビュー作【Vennila Kabaddi Kuzhu】(09)でカバディを取り上げており、どうもスポーツにこだわりがあるようだ。主演も【Vennila Kabaddi Kuzhu】と同じヴィシュヌで、ちょっと二匹目のドジョウを狙ったかも。
 なお、「Jeeva」という題名のインド映画は過去に何作かあるが、それらと本作は無関係(本ブログでもカンナダ映画の【Jeeva】(09)を紹介した。)

【Jeeva】 (2014 : Tamil)
脚本・監督 : Suseenthiran
出演 : Vishnu Vishal, Sri Divya, Lakshman Narayan, Soori, Charlie, Marimuthu, Surabhi(カメオ出演), Natarajan Subramaniam(カメオ出演), Arya(カメオ出演), その他
音楽 : D. Imman
撮影 : R. Madhi
編集 : Anthony L. Ruben
制作 : Suseenthiran, R. Madhi, Rajeevan

題名の意味 : (主人公の名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ(スポーツ)
公 開 日 : 9月26日(金)
上映時間 : 2時間7分

◆ あらすじ
 チェンナイに暮らすジーヴァー少年は無類のクリケット好きで、将来は第二のサチン・テーンドゥルカルになりたいと思っていた。家は貧しく、母を亡くして以来、父(Marimuthu)はジーヴァーの養育に関心をなくしていた。それで、ジーヴァーは隣家のアルル・プラカーサム(Charlie)の世話になっていた。息子のクリケット熱など眼中になかった父だが、アルル・プラカーサムの提案で、ジーヴァーは学校のクリケット・チームに入ることになる。
 青年となったジーヴァー(Vishnu Vishal)はバッツマンとして知られた存在になっており、地元のクリケット・クラブにも注目される。しかし、相変わらず父はジーヴァーがクリケットに精を出すのに反対だった。ジーヴァーはクリケットではセンチュリー(100点)、数学では7点だったからである。一方、隣に新しい家族が引っ越して来、ジーヴァーはそこの長女ジェニー(Sri Divya)と恋仲になる。だが、この関係はジェニーの家族に知られてしまい、彼女は親類の家に預けられることになる。絶望したジーヴァーは酒浸りの生活を始める。それを見た父は譲歩し、ジーヴァーをクリケット・クラブで練習させることにする。
 息を吹き返したジーヴァーは、ランジット(Lakshman Narayan)とバッツマンのペアを組み、目覚しい活躍をする。そして、州代表の選考を兼ねた大会でも評価され、ジーヴァーとランジットは晴れて州代表候補となる。だが、この時コーチは「タミル・ナードゥ州代表として選ばれる16人のうち、14人はある特定のコミュニティーの出身者だ」と二人にぬか喜びしないよう諭す。ジーヴァーもランジットもそのコミュニティーではなかったからである。そして案の定、州対抗の大会では二人は冷や飯を食わされ、結果的に州代表から落とされてしまう。この件で逆上したランジットはタミル・ナードゥ州クリケット協会の会長に食って掛かり、失意のうちに自殺してしまう。ジーヴァーも絶望し、クリケットを諦めようとする。
 この頃にはジーヴァーはジェニーとよりを戻し、再び交際するようになっていた。ジェニーの父はジーヴァーにキリスト教に改宗することを条件に娘との結婚を認め、就職先も紹介する。だがジーヴァーはクリケットを諦め切れないことに気付き、ジェニーの父の申し出を断る。そして一人で黙々とクリケットの練習に励む。
 そんな時に思わぬ電話がかかってくる。プロフェッショナル・リーグのラージャスターン・チームがジーヴァーを使ってみたいというオファーだった、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・トレイラーを見たら、トップレベルの大会を思わせる大スタジアムでの試合の場面が描かれていたので、スシンディラン監督はついに構えの大きな本格的娯楽スポーツ映画を撮ったか、と期待したが、それはクライマックスの一場面だけ。全体的には、登場人物も少なく、もっぱらチェンナイの下町を舞台とした、ある意味スシンディラン監督らしい小ぶりな作品だった。

・クリケットをモチーフとしているが、スポ根映画ということでもない。確かにロワーミドルクラス出身のクリケット好きの少年が、夢を諦めずに、ついにはインド代表選手になるまでの過程がストーリー化されているが、製作費節約的な地味な描き方で、ライバルとの手に汗握る試合の場面なども用意されていない。

・じゃあ、スシンディラン監督は何を描きたかったのかを推測するに、たぶんクリケットと政治的力学ということだったのだろう。本作で提示された問題は、タミル・ナードゥ州でクリケットのトップ選手に選ばれるのは協会の偉いさんと同じコミュニティー(カースト)の子弟だけ、ということで(このカーストが何かは明言されていなかった)、クリケットのような影響力の強いスポーツではトップ選手になれる機会が誰にも等しく与えられているわけではない、という問題がエンディングで示唆されている。しかし、このメッセージも工夫のない提示の仕方で、類作のテルグ映画【Golconda High School】(11)やヒンディー映画【Iqbal】(05)に比べても、いろいろな点で落ちる。

・コミュニティーという点では、ジーヴァーとジェニーがヒンドゥー教徒とキリスト教徒で、これが二人の交際/結婚を阻む壁となっていた。これはありふれた設定だが、本作がインドに存在する社会的な壁を多角的に描こうとしたことは確かだろう。

・というわけで、期待を下回る出来だと感じたが、それでも脚本は堅実にまとめられているし、ジーヴァーのクリケットにかけるひたむきな情熱や、ジーヴァーとジェニーの純なロマンス展開などにスシンディラン監督のタッチが活きており、爽やかな映画に仕上がっている。
 (写真下:タミル映画に定番の満員バスでのヒーローとヒロイン。この感触を味わうには、実際にインドでこんなバスに乗るしかない。)

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・また、クライマックスでタミル・スターのアーリヤ(本作の制作にも関与しているらしい)が面白い形でカメオ出演しており、得した感じもある。

・それにしても、インドのクリスチャンが飲酒するというのは普通のことだが、ジェニーとその妹が(まだ高校生なのに)親の目を盗んでこっそりワインを飲もうとするシーンには笑った。

◆ 演技陣へのコメント
・ヴィシュヌ(ジーヴァー役) ★★★☆☆
 ヴィシュヌにとってもデビュー作の【Vennila Kabaddi Kuzhu】を観たときは、まさかこの人が俳優として長続きするとは思わなかったが、その後、【Drohi】(10)、【Neerparavai】(12)、【Mundasupatti】(14)と成功した作品に出演している。といっても、特にオーラがあるわけでも、芝居が上手いわけでもないのだが、彼は映画界入りする前は実際に州代表レベルのクリケット選手だったらしく、本作の主役にはうってつけだった。
 (写真下:ヴィシュヌ(中央)とランジット役のラクシュマン・ナーラーヤン(左)とシニア役のスーリ。)

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・シュリーディヴィヤ(ジェニー役) ★★★☆☆
 最近、ネット上で名前や写真をよく見かける新進女優。ハイダラーバード出身らしい。ヒロインとしてはこれからだが、彼女には子役としてのキャリアがあり、本作でもカメラ慣れしたところを見せていた。容姿的にはどうかなぁと思うが、むちっと張った胸はタミル男子に愛されそう。

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・ラクシュマン・ナーラーヤン(ランジット役) ★★★☆☆
 新人だと思ったが、【Annakodi】(13)という作品でデビューした人だった。ほとんど素かもしれないが、気さくでストレートなスポーツ青年を好演している。

・チャーリー(アルル・プラカーサム役) ★★★☆☆
 ジャーヴァの隣家のオッサンを演じたこのお方が良い味を出していた。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : D・イマーン ★★★★☆
 音楽、BGM共に良い。しかし、音楽シーンの作りは必ずしも良いとは言えない。‘Oru Rosa’という曲には有名な撮影監督で、俳優として【Sathuranga Vettai】(14)でヒーローを演じたナタラージャン・スブラマニヤムが、‘Oruthi Mele’には女優のスラビがカメオ出演している。

・撮影 : R・マディー ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 10月18日(土),公開第4週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),13:15のショー
・満席率 : 1割
 

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