カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Love in Mandya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2014/12/05 02:07   >>

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 インド映画にはマクロ的なものとミクロ的なものがあると思う。インド全域を(あるいは海外も)マーケットとするために、汎インド的なテーマ(例えば、テロ問題)を扱っていたり、どことは特定できない場所(あるいはムンバイやデリーなどのような中核的都市)を物語の舞台にしていたりするのがマクロ的。対して、マーケットを絞り、特定の地方/地区を舞台にし、その土地に固有の性質(例えば、ある方言を話す人々)を描き出すのがミクロ的。一概には言えないが、ボリウッド映画は前者の傾向を持ち、地方映画は後者が多いと考えてもいいだろう。
 私は、せっかく南インドのベンガルールという地方都市に住んでいるのだから、近ごろは関心をミクロ的地方映画に向けるようにしている。例えば、カンナダ映画の【Kaddipudi】(13)や【Ulidavaru Kandante】(14)、トゥル映画の【Chaali Polilu】(14)などは見ていて実に楽しい。

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 そんなわけで、【Love in Mandya】である。ポスターにカルナータカ州マンディヤ県の地図がわざわざ描いてあって、いかにもローカル。
 マンディヤ県というのは、マイスールの東に位置し、物理的距離としてはマイスールからもベンガルールからも近いのだが、両都に挟まれて食糧供給地の役割を担わされたせいか、今も田んぼとサトウキビ畑しかないような「ド」田舎の顔を見せている。加えて、カンナダ語のマンディヤ弁というのが荒っぽいというか、田舎びて聞こえる方言らしく、それもマンディヤのイメージを形作っている(マイスール出身のアクション俳優ダルシャンもマンディヤ弁を多用しているらしい)。ただ、カルナータカ州の有力コミュニティー(例えば、ウォッカリガ)の人々が多く暮らす地でもあり、存在感のある人物も多い(例えば、政治家のS.M. KrishnaやB.S. Yeddyurappa)。映画界にも「マンディヤの男」アンバリーシュや監督のプレームなどの著名人がいる。
 さて、本作の主演は【Lucia】(13)でお馴染みのサティーシュ・ニーナーサムだが、彼自身もマンディヤ人。ヒロインは【Lifeu Ishtene】(11)や【Drama】(12)でお馴染み(?)のシンドゥ・ローカナート(マンディヤ人じゃないと思う)。
 監督は本業が作詞家のアラス・アンターレという人で、監督としてはデビューになるらしい。

【Love in Mandya】 (2014 : Kannada)
物語・脚本・歌詞・台詞・監督 : Arasu Anthare
出演 : Neenasam Satish, Sindhu Lokanath, Manjunath, Rockline Sudhakar, Rajendra Karanth, Prakash Shenoy, Jayashree Krishna, Bhavana
音楽 : Anoop Seelin
撮影 : Sugnan
編集 : Akshay P. Rao
制作 : Uday K. Mehta

題名の意味 : マンディヤの恋
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス/ドラマ
公 開 日 : 11月28日(金)
上映時間 : 1時間59分

◆ あらすじ
 マンディヤ県のとある村に暮らすカルナ(Neenasam Satish)は、ケーブルテレビのオペレーターをしている貧しい若者。彼は顧客の家の娘スシュマ(Sindhu Lokanath)に惚れていたが、スシュマはどうって思ってはいなかった。しかし、カルナが本当に自分のことを愛してくれていることを知り、スシュマも彼を愛するようになる。
 やがて二人は結婚を考えるが、そんな時にスシュマの妹プリーティ(Bhavana)が二人の関係に気付き、両親に告げ口する。スシュマの両親は娘をエンジニアと結婚させようと、見合いをさせる。そこでカルナとスシュマは駆け落ちする決意をする。二人はケーブルテレビ会社の元締バサッパ(Rockline Sudhakar)を保証人に、アンジャネーヤ寺院で密かに結婚式を挙げる。バサッパは二人に、ホスールへ行き、ペリヤンダルという男を頼るようにと指示し、彼の電話番号を教える。
 二人の駆け落ちにはシッレ(Manjunath)というカルナの相棒の小僧も付いて来ていた。ホスールに到着した三人だが、カルナがペリヤンダルの電話番号をなくしてしまったため、どこへ行けばいいか分からなくなる。うろうろしているうちに、スシュマが売春婦と間違われ、警察に連行される。カルナとシッレは近くの警察署でスシュマを見つけるが、警官にうまく事情説明ができない。ちょうどそこへ、やはり売春宿の客として逮捕されていた極道を引き取りに、ペリヤンダル(Rajendra Karanth)がやって来る。カルナとシッレはこの男こそがバサッパが紹介してくれた人物だと知り、事情を説明して、スシュマもろとも解放してもらう。
 ペリヤンダルは地元のちょっとした顔役だった。彼は三人に手狭な部屋を与え、カルナに仕事も紹介する。カルナとスシュマ、そしてシッレの三人は束の間の平穏を楽しむ。
 ある日、ペリヤンダルの手下4人がスシュマがシャワーを浴びているところを覗き見する。それに気付いたカルナとシッレ、及びカルナから事情を聞いたペリヤンダルも、4人組を大衆の面前でこっぴどく痛めつける。これに恨みを抱いた4人組は、まずペリヤンダルを刺し殺し、次にシッレを焼き殺す。
 復讐に燃えるカルナは、4人組を一人一人片付け、それを「ホスール・ニュータウン開発公団」の道路工事現場に埋める。
 カルナとスシュマは他の町に移り、慎ましやかに暮らす。

◆ ざっくりしたコメント
・観たかった映画ではあるが、傑作が出てくるとも期待していなかったので、まぁ、こんなもんかなぁ、と思う。面白いとかつまらないとか言うより、よく分からなかった。

・何が分からなかったと言って、「Love in Mandya」と言いながら、マンディヤが舞台だったのは前半だけで、後半はタミル・ナードゥ州のホスール(カルナータカ州との州境の町)が舞台だったこと。それも、どうしてホスールの地で物語を続ける必要があったのか、読めなかった。

・前半は田舎を舞台としたラブコメで、ストーリーらしいストーリーはなく、素朴な男女の気持ちのやり取りや、ありがちなお笑いネタ(下ネタを含む)が続く。しかし、ここはマンディヤの恋の物語らしく、割と楽しかったし、観客の受けも良かった。ところが、後半に入ってがらりとシリアスな雰囲気になり、事件性が続いて、気が付けば血生ぐさい復讐ドラマになっていた。

・この前半と後半の関係がよく分からなかった。普通、こういう駆け落ちする二人の物語は、親の意思に反して家/故郷を飛び出したがゆえに艱難辛苦を味わうことになるという因果関係があり、そこから何かを学ぶ、だからどうだというメッセージが来るものだが、本作の場合、駆け落ちとホスールでの出来事には必然的な関係がないのである。駆け落ちしてホスールへ行くすべてのカップルが、シャワー・シーンを覗き見され、殺人事件に巻き込まれるわけではないはずだ。

・全体的にはおかしいと思うが、部分部分では興味深い点がいくつかあった。
 興味深い点・その1
 マンディヤといえば、やっぱり「Mandyada Gandu」のアンバリーシュは外せない。というわけで、賑やかに登場!

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・その2
 シャキーラのソフトポルノなど、ベンガルールではとんとお目にかからなくなったが、なんと、まだマンディヤでは堂々と上映されているではないか!(参考に、本作で小屋に掛かっていた作品はこちら。)

・その3
 シャキーラはタミル・ナードゥの田舎町(ホスール)でも現役人気女優だった!

・その4
 ホスールの町角でレコードダンスが行われているシーンがあったが、壇上で踊っていたのがルックスも踊り方もダヌシュそっくりの若者だった。ああいう「町のダヌシュ」というのがタミルのあちこちにいることが分かり、笑っちゃった。

・その5
 アンジャネーヤを祀る寺院に石板が立っていて、そこに小銭を押し付け、貼り付いたらアンジャネーヤ神のご加護があり、落ちたら縁起が悪くなる、という信仰があるらしい。

・その6
 ベンガルールからタミルやケーララの諸都市を結ぶ中継地となるホスールは、いつの間にかニュータウンが建設されるほどの要所になっていたらしい。

◆ 演技陣へのコメント
・サティーシュ(カルナ役) ★★★☆☆
 本作は少し変わったテイストを持っていると思うのだが、きっとアラス監督がそういうセンスの持ち主なのだろう。サティーシュはそれをよく理解して演じていたと思う。本作では「Abhinaya Chatura(演技巧者)」という冠タイトルが付いていたが、そのとおり、演技は上手いと思う。ただ、もうちょっとパッと明るいところがほしい。【Lucia】の成功で主演級俳優の仲間入りをしたが、その後決定的な作品がないのは辛い。
 (写真下:相棒シッレ役のマンジュナート少年と。)

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・シンドゥ(スシュマ役) ★★★☆☆
 シンドゥちゃん目当てで観に行ったようなもんだ。容姿も技量も平凡だと思うが、いかにもローカル・ヒロインらしくて、好きだな。まだカメラ慣れしていない感じが良い。

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・マンジュナート(シッレ役) ★★★☆☆
 けっこうびっくりだったのは、カルナの相棒の小僧シッレを演じたマンジュナート。単なる賑わしだと思っていたが、気が付いたら準主役になっていた。小生意気な演技をする子役と言ってしまえばそれまでだが、テルグのバーラトぐらいには上手い。

・脇役陣では、スダーカルは相変わらずうるさかったが、ペリヤンダル役のラージェンドラ・カーラントは良かった。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : アヌープ・シーリン ★★★☆☆
 音楽はまずまず。音楽シーンはカンナダ基準ではしっかり作られているほう。‘Ondu Aproopada Gaana’という歌が面白かったので動画を貼り付けたが、このレトロな作りは70〜80年代の音楽シーンのパロディー。



・撮影 : スグナン ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 11月30日(日),公開第1週目
・映画館 : Kamakya,11:15のショー
・満席率 : 6割
 

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2015/03/24 21:26

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ありますあります!
前半と後半がまるで別物!
という作品。

音楽だけ聴いてみたら、とてもローカル臭が漂っていて、もしや、と思ったのですが、やはりそのような作品なのですね。
アンバ様やなんちゃってダルシャンも登場、
なんて、読んでるだけでワクワクしてきます。

これは、DVD買います!
DVD.出して欲しいです!
やっほー
2014/12/05 07:12
やっほーさん、好きそうな映画でしたよ。
 
カーヴェリ
2014/12/06 12:59

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