カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Aaaah】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2014/12/17 18:22   >>

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 ここ1,2年のインド映画界の顕著な動向として、ホラー映画のブームと日本(ロケ地として、マーケットとして)への関心の高まりがあると思うが、その2点を象徴するような作品がこの【Aaaah】かなと。本作は5つの話から成るオムニバス・ホラー映画で、5話のうち1話が東京を舞台としたものらしく、比較的早くから日本人マニアの間で話題となっていた。監督はハリ・シャンカルとハリーシュ・ナーラーヤンのデュオで、ネット上の記事によれば、少なくともハリーシュのほうは日本のホラー映画【リング】の影響を受けているらしい。
 私的には特に観る予定に入れていなかった作品だが、今月の6日に埼玉県川口市で1回限りの上映が行われた際に、日本人ファンの間で語られることが多かったし、一時帰国の途中に立ち寄ったクアラルンプールでも上映されていたので、観ておくことにした。

【Aaaah】 (2014 : Tamil)
物語・脚本・監督 : Hari Shankar, Haresh Narayan
出演 : Gokulnath, Meghna Mukesh, Bala Saravanan, Bobby Simha, M.S. Bhaskar, Bosskey, P.S. Srijith, Fumiko Mase, Takehiro Shiraga, Monisha, Femina Baker, Gaana Bala(特別出演), その他
音楽 : K. Venkat Prabhu Shankar, C.S. Sam (BGM)
撮影 : G. Sathish
編集 : Hari Shankar
制作 : V. Loganathan, V. Janarthanan, Srinivas Loganathan

題名の意味 : (?)
映倫認証 : U/A(インド・CBFCの認証)
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー
公 開 日 : 11月28日(金)
上映時間 : 1時間53分

◆ あらすじ
 大学の同窓会で友人のタミル(Gokulnath)、チェリー(Meghna Mukesh)、シン(Bala Saravanan)が再会する。この会にはもう一人の旧友プロスパー(Bobby Simha)も出席していた。プロスパーは学生時代から「賭け」の好きな男で、現在も賭けで財を成していた。四人が酒を酌み交わすうちに「幽霊」の話題となるが、その時プロスパーが「幽霊など存在しないが、もしお前たちが幽霊の存在を証明したなら、6億ルピーやる。証明できなかったら、オレの勝ちで、ヤマハRX100をよこせ」という賭けを持ちかける。ヤマハRX100というのは、プロスパーが学生時代に唯一負けた賭けでタミルに取られたバイクだった。タミルら三人はこの怪しい申し出に一瞬躊躇するが、金額に惹かれて、受けて立つ。
 三人は早速情報集めに入る。そこへ、ベンガル湾の海上に幽霊船が出没するという情報がもたらされ、三人は現場へと赴く。

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 海上に出た三人は、果たして怪しげな無人の漁船を発見する。タミルは泳いでその船に乗り込むが、次の瞬間、それは姿を消し、海上に漂うタミルのみが発見される。だが、救出されたタミルは、自分はその船の上に1時間ぐらいおり、ローマーという女の幽霊(Monisha)を目撃し、ビデオカメラにも収めたと主張する。しかし、ビデオの1時間分の記録には何事も映っていなかった。
 三人は次に日本の病院で看護師をしている女性(Fumiko Mase)から情報を得、日本まで飛ぶ。それは、急患の犯罪者(Takehiro Shiraga)が死亡した病室に幽霊が取り憑いているというものだった。

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 三人は病室にビデオカメラを設置し、首尾よく怪現象を撮ることに成功する。だが、それを見せられたプロスパーはトリック扱いし、幽霊存在の証拠として認めない。
 やむなく三人は次の情報、ドバイでの事象を検証するために現地へと飛ぶ。それはエッサーニア(Femina Baker)という人妻に関する出来事だった。

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 ドバイで三人は専門家と会い、エッサーニアは実はアラビアの砂漠に何百年も生存し続ける「ジーニー」(魔女)だろうと聞かされる。三人は郊外の砂漠に立つエッサーニアの館へ赴くが、ビデオ撮影ができないばかりか、その魔女がシンに興味を示してしまい、一同はほうほうの体で逃げ帰る。
 チェンナイに戻った三人は、グル(M.S. Bhaskar)という中年男に起きた出来事を知らされる。彼はひっそりとした所に立つATMで警備員をしていた。

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 グルはすでに死亡していたが、警備会社のオーナー(Bosskey)が三人に、ATMの防犯カメラに映った幽霊の動画を収めたUSBメモリーを500万ルピーで売ると持ちかける。チェリーはその金額を用立てしてくれるようプロスパーに相談するが、彼にレイプされそうになる。
 と、そんな時に、チェリーの恋人ジェイから電話があり、交通事故で虫の息だと知らされる。事故現場に急行した三人は、ジェイの死体と彼のスマホを発見する。スマホには彼の遺言ビデオが残されており、それによると、ジェイと友人らは車でドライブしていたが、途中で怪しげなDVDを売り付けられ、車に幽霊が取り憑いてしまったらしかった。三人はジェイが土中に埋めたというそのDVDを探し始めるが、、、。

◆ ざっくりしたコメント
・南インドのホラー映画といえば、最近はホラー・コメディーが主流で、それに因果応報といった道徳的教訓が付いてくるものが多い。しかし、本作はそういった線を離れ、「何だか分からないけど怖い」といった感性的なホラーを狙っているようだった。この点は面白い。

・ただ、ホラー映画としては凡作だと思う。怖い、怖くないの問題ではなく、脚本/監督のハリ&ハリーシュはホラー映画というものについて確たるアイデアを持っていないのではないか、という疑問を抱いた。経歴からすると、過去作の【Orr Eravuu】(10)も【Ambuli 3D】(12)もホラー系の作品らしいので、いちおうホラーを志向している作家のようだし、日本製ホラーもまさか【リング】しか観ていないはずはない(日本や日本語、日本映画に興味を抱くインド人なら、近ごろでは素人でも【リング】、【呪怨】、【着信アリ】ぐらいは観ている)。ところが、本作を見る限り、霊/幽霊というものに対する理解がどうもあやふやなようだし、怖がらせのツボも確立されていないようだった。

・英語字幕で「ghost」となっていた語のタミル語の台詞は「ペーイ」だったと思うが、この言葉でタミル人がどんなものを思い浮かべるかは私も分からない。ただ、私の感覚では、5話のうち4つに出てくる霊は何か「怨念」を持った幽霊のようだったが、ドバイのエピソードに出てきた「ジーニー(ジンニーヤー)」はアラブ世界で存在があまり疑われていない「魔女」のことなので、どうも他の4つとの並びが悪いと感じた。(このエピソードはエキゾチックだったし、楽しかったけど。)

・並びが悪いといえば、他の4つは「何だか分からない」ホラー話だったが、ATM警備員グルのエピソードだけは、幽霊が幽霊となった経緯や結末(復讐)がはっきりと分かっていて、他とは趣が違うようだった。こんなふうに、どうも本作は、オムニバスといっても、整合性がなく、ハリ&ハリーシュ監督はどんな霊的存在/霊的現象を扱いたかったのか分かりにくかった。「オレたちはこんなホラーが作りたいんだ」といった確固たるアイデアを見せてほしかった。

・霊の存在を証明するのにビデオカメラという手段を使うのにも疑問を感じた。それだと、どんなに生々しい幽霊が撮影できたとしても、トリックで片付けられてしまう。

・日本人にとって注目の東京のエピソードは、日本人の目から見てそう思うだけかもしれないが、他の4つに比べて一段と素人仕事くさく感じられた。撮影に日本人も参加しているのだから、もっと何とかならなかったものか。

・ところが、ホラー映画としては良いとこなしと思える本作でも、観終わって映画館を出たときは不思議と気持ちが良かった。観て損をしたという感覚が全くない。ということは、ハリ&ハリーシュ監督は意外にセンスが良いのかも。次作の【Jumbo 3D】あたりで大化けを期待したい。

・私的に気に掛かったのは、本作のYAMAHA RX100への偏愛。「YAMAHA RX100」というのはヤマハ発動機製の100CC・単気筒・2ストロークエンジンのバイクで、おそらくこれまでインドの路上を走ったバイクのうち、名バイクの一つに数えられるもの。もうとうの昔に製造が中止になっているのに、速い、トルクが強い、マフラー音がかっこいい、故障しにくい、故障してもすぐ修理できる、簡単に改造できる等々の理由で好む人が多く、今も中古バイク市場で積極的に取引されている。南インド映画にもよく登場し、テルグ映画【Devadasu】(06)やカンナダ映画【Jhossh】(09)のバイクレース・シーンでヒーローが乗っていたのがこれ。私もこれに惹かれ、RX100の後継機のRX135に一時期乗っていたことがある。そんな次第で、本作には妙に親近感を覚えた。

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・参考に、私がクアラルンプールで観たもののランタイムは1時間53分だったが、インド国内で上映されているものは2時間18分あるようだ。

◆ 演技陣へのコメント
・ゴークルナート(タミル役)、メーグナ・ムケーシュ(チェリー役)、バーラー・サラヴァナン(シン役)の主役トリオについては、ド素人といった感じでもなく、まずまずの仕事をしている。私的には個性的なルックスのメーグナさんに注目したいが、メジャー作品でお目に掛かるのはむずかしいかな。
 (写真下:左よりゴークルナート、メーグナ、バーラー。)

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・ボビー・シンハーもインディーズ系だと思っていたら、いつの間にか貫禄を増し、上の三人に混じれば、さすがにプロに見えた。

◆ テクニカル面・その他(覚書)
・音楽 : K・ウェンカト・プラブ・シャンカル,C・S・サム(BGM) ★★★☆☆
 BGMは良かったと思う。歌は、オープニングの同窓会のシーンの曲が、ガーナ・バーラーがカメオ出演していたにもかかわらず、ドン引きの出来だった。

・撮影 : G・サティーシュ ★★☆☆☆

◆ 完成度 : ★☆☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 12月7日(日),公開第2週目
・映画館 : Coliseum (Kuala Lumpur)
・満席率 : 5割
・備 考 : 英語字幕付き
 

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【Achcham Yenbadhu Madamaiyada】 (Tamil)
 ガウタム・メーナン、シランバラサン、A・R・ラフマーンの名が揃えば、すぐにヒット作【Vinnaithaandi Varuvaayaa】(10)を思い浮かべるが、このトリオの映画が再び登場した。それがこの【Achcham Yenbadhu Madamaiyada】で、【Vinnaithaandi Varuvaayaa】の時と同様、テルグ語版【Sahasam Swasaga Sagipo】も作られ、そちらの主役はやっぱりナーガ・チャイタニヤという、このデジャヴュ感。しかし、トレイラーを見... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/11/17 20:39

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