カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ambareesha】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/01/19 22:38   >>

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 カンナダの「チェレンジング・スター」ダルシャンは、私は嫌いではないが、出演作はリメイク作品とか大味な内容のものが多いので、適当にスキップしながらお付き合いしている。で、昨年11月公開の【Ambareesha】は久々のオリジナルだし、アンバリーシュやプリヤーマニが共演しているということで、観る気満々だったが、トレイラーがすごくつまらなかったので、気勢がそがれてしまった。しかし、映画はヒットし、ロングランとなったので、観ておくことにした。
 監督はマヘーシュ・スカダレという、よく知らない人。

【Ambareesha】 (2014 : Kannada)
脚本・監督 : Mahesh Sukhadhare
出演 : Darshan, Ambareesh, Priyamani, Rachita Ram, Kelly Dorji, Sharath Lohitashwa, Thulasi, Rekha, Bullet Prakash, Sadhu Kokila, Ravi Kale, Rajendra Karanth, Suman(特別出演)その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Sathyanarayan
編集 : K.M. Prakash
制作 : Mahesh Sukhadhare

題名の意味 : アンバリーシャ(主人公の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 11月20日(金)
上映時間 : 2時間35分

《 あらすじ 》
 アンビ(アンバリーシャ:Darshan)はマントラーラヤ近くの村に住む素朴な牛飼いだったが、さる経緯から、ラーガヴェンドラ・スワーミ寺院の僧侶の勧めに従い、村を出てバンガロールに働きに出る。これには家族や幼馴染みのカルナ(Rachita Ram)、それに村人たちも付き従う。
 バンガロールでアンビは日雇い建築労働者として働く。彼が働く建設会社のオーナーはスーリヤナーラーヤナだったが、その娘スミタ(Priyamani)が実質的な運営を担っていた。スミタは現場作業員のアンビを見て興味を抱くが、彼がカルナと良い仲なのを知り、嫉妬する。また、アンビが傲慢なスミタにいちいち批判的な態度を取ったため、彼女はアンビに一泡吹かせようと躍起になる。
 ときに、マレーシアに根城を置くマフィアのRDX(Kelly Dorji)は、カルナータカ州の大臣(Sharath Lohitashwa)と結託して、バンガロールの土地を違法に横領しようとしていた。彼らはスーリヤナーラーヤナの建設会社をターゲットとし、嫌がらせをするが、腕っ節の強いアンビに妨害される。そこでマフィアらはスミタを利用しようと考え、彼女を丸め込み、ケンパンブディ池を埋め立ててカジノを建てる計画を任せる。
 こうしたランド・マフィアを一掃するために、IPSのソニヤ(Rekha)は、バンガロール建設の父として崇められている「ケンペーガウダ」にちなみ、「ケンペーガウダ作戦」を決行する。しかし彼女は大臣の陰謀に遭い、停職処分となる。
 スーリヤナーラーヤナやソニヤらはアンビにケンペーガウダ作戦の継続を託す。アンビはケンペーガウダ像の剣を手にするや、不思議な力を感じていた。その剣の力を頼りに、彼はバンガロールからランド・マフィアを掃討する活動を開始する、、、。

・その他の登場人物 : ケンペーガウダ(Ambareesh),アンビの母(Thulasi)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★☆☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・面白い映画を作るのは難しいことだと思うが、本作のあのトレイラーよりつまらない映画を作るのはさらに難しいと見えて、予想以上に面白い映画だった。出来の悪い点、面白かった点など、語りたいことはたくさんあるが、ここでは興味深かった点を少しだけ書いておく。

・本作は歴史上の人物であるケンペーガウダ1世が重要なモチーフとなっている。「Kempe Gowda I」は16世紀のヴィジャヤナガラ朝に仕えていた封建的首領で、今のバンガロール(ベンガルール)の礎を築いた人物としてカンナダ人(バンガロール人)によってアイコン化されている(バンガロールの国際空港やバスターミナルはケンペーガウダの名を冠しているし、立像は街の何ヶ所かで見られる)。

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・そのケンペーガウダによって築かれた大いなるバンガロールの土地が、今やランド・マフィアが巣食う乱れた状況となっており、それをダルシャン演じるアンビ(アンバリーシャ)がケンペーガウダに成り代わってマフィアや腐敗大臣を掃討する、、、というのが本作のプロット。

・ここで面白いことがあるのだが、その前に、インドのスターによるヒーロー映画を観る際に念頭に置かなければならない二重構造について触れておく。それは、例えばラジニカーントの【Lingaa】を例に取ると、物語中に登場するラジニ演じるリンゲーシュワランという人物は村人から崇敬されているが、それを同じく観客も崇敬することになる、と同時に、映画全体が役とは関係のないラジニカーントというスターに対する崇敬(持ち上げ)であり、観客もリンゲーシュワランと同時にラジニカーントをも崇拝することになる。そういうインド映画の特殊な構造をここでは二重構造と呼んでおく。

・で、本作の場合はそれがもっと複雑で、意図も明確になってくる。まず、映画中のダルシャン演じるアンバリーシャはケンペーガウダを崇敬しており、ケンペーガウダに成り代わってバンガロールを救う。観客はそんなアンバリーシャもケンペーガウダも俳優ダルシャンも同時に崇敬する。ところが、このケンペーガウダは本作では俳優/政治家のアンバリーシュが演じているので、この崇敬関係は俳優ダルシャンの俳優アンバリーシュに対する敬意でもあり、観客は俳優アンバリーシュに対しても崇敬を捧げることになる。さらに、映画中で実際にアンバリーシュが正装で登場し、ケンペーガウダの像に献花する場面があり、つまりは俳優/政治家アンバリーシュのケンペーガウダに対する敬意も表現されている。ここで面白いのは、周知のとおり、俳優アンバリーシュはリアルライフでカルナータカ州の住宅大臣(Minister of Housing)をやっており、土地や住宅問題は彼が司ることになる。なので、俳優アンバリーシュがケンペーガウダを演じるということも、アンバリーシャ(ダルシャン演じる)がケンペーガウダに成り代わるということも、つまりは政治家アンバリーシュがケンペーガウダに成り代わってバンガロールを良くするという表現となり、観客はそれに対して喝采を贈るわけである。

・というわけで、このスター俳優と彼らの演じる役に対する崇敬構造に入り込めると、本作を観ても面白いのだが、そんなことがすんなりできるのはカンナダ人だけなので、普通の日本人はこれを観てもさっぱり分からないか、部分的に面白さを感じる程度だろう。

・話変わって、本作はアクション映画であるのはもちろんだが、ケンペーガウダが神格化されていたり、聖者ラーガヴェンドラ・スワーミのモチーフもあったりして、一種のデヴォーショナル映画みたいにもなっていた。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ダルシャン(アンビ役) ★★★☆☆
 パワフルな役柄だが、一本調子で、奥行きと柔軟性に欠けた。

・ラチター・ラーム(カルナ役) ★★☆☆☆
 丸顔で目が大きく、えくぼもあって可愛かったが、強い印象は残さず。

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・プリヤーマニ(スミタ役) ★★★☆☆
 悪女キャラを熱演していたし、十分色っぽかった。脚本にもうひと工夫あれば、【Padayappa】(99)のニーランバリになっただろう。

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・アンバリーシュ(ケンペーガウダ役)
 出番は限定的だが、貫禄で魅せている。実は、バンガロールを建設したとき(1537年)、ケンペーガウダはまだ27歳ぐらいだったらしいので、本作のようなオジサマのイメージではないはずだが、、、。

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・スマンがカメオ出演していて、びっくりした。ケンペーガウダに剣を授け、権威を付与するマハーラージャーの役だが、これは年代的にたぶんヴィジャヤナガラ朝のAchyuta Deva Rayaだと思われる(訂正:YouTubeで歌詞を確認したら、有名なKrishna Deva Rayaでした)。

・悪役の描き方は上手くなかった。RDX役のケリー・ドルジーは役名ほどの爆発力はなかったし、腐敗大臣役のシャラト・ローヒターシュワも平凡。

・レーカーという名の女優はあまたいるが、マラヤーラム/タミル女優のレーカーがIPS・ソニヤ役で出演している。
 (写真下:本作のスチルではありません。イメージとして載せました。)

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ 音 効 : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・バンガロール建設の謂れを描いた音楽シーン(アンバリーシュとスマンが出演)は本作の見どころ。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・物語中に出てくるケンパンブディ池(Kempambudhi Kere)というのはベンガルールに実在する池で、すぐ近くに「Kempe Gowda Nagara」という地区があり、ケンペーガウダの像も建っているらしい。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月17日(土),公開第9週目
・映画館 : Menaka,16:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆ (いかにダルシャン映画といえども、観客が20人程度では。)
 

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2015/03/24 21:23

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
レビューお待ちしておりました〜〜

>ケンペーガウダはまだ27歳ぐらいだったらしい
ああ、アンバ様!
実年齢の設定も軽々と飛び越えてしまうところにも、
サウスヒーロースターをスターたらしめる矜持を感じます。

スマン先生とのソングシーンは楽しみです。
ディスク化されたら是非観ます。




あいや〜
2015/01/21 08:52
あの歌、あいや〜さんが見たら悶絶だと思いますよ。
YouTubeにも上がってますが、ぜひDVDでご覧ください。
 
カーヴェリ
2015/01/21 10:16

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