カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Abhinetri】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/02/03 20:23   >>

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 本作はカンナダ映画界の往年のスター女優、カルパナーの生涯を描いたものとして、私的には注目の1作だった。
 カルパナーは、60年代から70年代にかけて活躍した女優で、カンナダ映画のクラシック、特にラージクマールの主演作や名匠プッタンナ・カナガール監督の作品を観るなら、必ず出会うことになる女優だ。美人というよりは田舎くさい顔立ちだが、厚い女らしさを体現しており、感情表現の巧みさから、大衆的人気はもとより、批評的にも高く評価されていた。惜しくも1979年に35歳の若さで自殺してしまったが、その悲劇性から今も人気が高い(こんなホラー映画のネタに使われたりもした)。
 そのカルパナーを演じるのはプージャー・ガーンディ。実はプロデュースも彼女がやっており、公開されたポスターは彼女の気合いが感じられるものだった。
 (写真下:左がプージャー・ガーンディー。右がカルパナー。似ているか?)

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【Abhinetri】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Satish Pradhan
出演 : Pooja Gandhi, Atul Kulkarni, Ravishankar, Makrand Deshpande, Achyuth Kumar, Sudha Belawadi, Neethu, Ramya Barna, Ramesh Bhat, Radhika Gandhi(特別出演), Srinagara Kitty(特別出演)
音楽 : Mano Murthy
撮影 : K.S. Chandrashekhar
編集 : K.M. Prakash
制作 : Pooja Gandhi, Jyothi Gandhi

題名の意味 : 女優
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ(伝記)
公 開 日 : 1月30日(金)
上映時間 : 2時間37分

《 あらすじ 》
 子供の頃から女優になるのが夢だったシャラト・ラター(Pooja Gandhi)は、家族の反対を押し切って地元の劇団に加わる。唯一の理解者だった叔父(Achyuth Kumar)は映画女優になりたいというラターの希望を汲んで、カンナダ映画界の有名俳優であるクリシュナラージュ(Makrand Deshpande)に会わせる。クリシュナラージュはラターの体を要求するが、彼女は拒絶する。それでもクリシュナラージュはラターを撮影所のあるマドラスへ連れて行く。彼はラターがナヴァラサ(9つの感情)を表現できることに気付き、ベテラン監督に引き合わせる。監督はラターを使ってみることにする。その際、彼女は「ナンダー」という芸名をもらう。
 しかし、撮影は厳しく、ナンダー(ラター)は監督に「芝居もダンスもできない、声が悪い」とぼろかすに言われ、完成した映画も評判が悪かった。そんなナンダーの才能を評価し、励ましたのは、その監督の助手をしていたシヴァイヤ(Atul Kulkarni)だった。
 売れない女優として苦悶するナンダーに朗報が来る。監督として独り立ちしたシヴァイヤが新作にナンダーを起用したいというのである。撮影は順調に進み、映画は大ヒット。続く作品も当たり、ナンダーは一躍カンナダ映画界のトップ女優となる。
 だが、絶頂期は長くは続かなかった。ナンダーは感情の起伏が激しく、また傲慢な態度を改めなかったため、次第に周囲のプロデューサー、監督、俳優たちから疎まれるようになる。良き理解者だったシヴァイヤもナンダーを遠ざけ、キールティ(Ramya Barna)を好んでヒロインに起用するようになる。
 映画の仕事がほぼ来なくなったナンダーは、経済的困窮から北カルナータカの劇団と契約を結び、再びローカルな舞台女優に戻る。彼女はその劇団のオーナー、ベッタゲーリ・ガンガーラージ(Ravishankar)を愛してしまい、プロポーズする。妻子持ちのガンガーラージは、当初は彼女の誘惑を拒否するが、結局、ナンダーと結婚する。
 だが、その結婚生活もナンダーに平安をもたらさない。ある日、舞台上の問題から、ナンダーとガンガーラージは激しく喧嘩をする。ナンダーはガンガーラージと別れて、バンガロールに戻る決意をする。翌日、ガンガーラージが車でナンダーをバンガロールに送り届ける予定だったが、結局彼は現れなかった。絶望したナンダーは、睡眠薬と砕いたダイヤモンドを飲み、自殺する。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・実は製作チームは当初、本作のことをカルパナーの伝記だとは認めていなかったようだが、プージャー・ガーンディ演じるナンダー(ラター)の姿かたち、描かれたナンダーの生涯、関連人物など、どこを取ってもカルパナーの伝記だった(私の知っている限り)。映画中でのナンダーの本名は「シャラト・ラター」となっていたが、この「シャラト・ラター」は実はカルパナーの本名でもある。

・伝記映画としてはありがちな作り方で、特に目を見張る点はなかったが、カルパナーという女優に思い入れがある人、当時のカンナダ映画界に関心がある人なら、面白く鑑賞できる。私的にはけっこう楽しく観られた。

・というわけで、映画中の登場人物が実在した誰に相当するかを見るのは楽しい。まず、ナンダーを映画界へと引き入れたセクハラ・スケベ俳優のクリシュナラージュはナラシンハラージュ、ナンダーのデビュー作の監督はB・R・パントゥル監督、ナンダーをスターに育て上げた監督シヴァイヤはプッタンナ・カナガール監督、ライバル女優キールティはアーラティとなる。北カルナータカの劇団オーナー、ベッタゲーリ・ガンガーラージはグディゲーリ・バサワラージという人らしい。(もう1人、「ラームジー」という名の重要な登場人物がいたが、これが誰か分からなかった。もしや、ラージクマールか?)

・そんなこんなで、もし本作を観てやろうという方は、やはりカルパナーの代表作は事前に観ておいたほうが楽しめる。何を観たらいいかと言えば、まずカルパナーの最重要作と言われる【Sharapanjara】(71)、次に出世作であり、カルパナーの愛称「ミヌグ・ターレ」(輝ける星)と彼女の邸宅の通称「ベッリ・モーダ」(銀色の雲)の出所となった【Belli Moda】(67)、デビュー作の【Saaku Magalu】(63)、彼女の自殺のイメージに連結する【Gejje Pooje】(69)、本作にも音楽が1曲引用されている【Eradu Kanasu】(74)あたりがいい。(これらはすべて一見に値する作品なので、本作とは関係なしにでも鑑賞されたらいいと思う。)

・本作はカンナダ語以外に、タミル語、テルグ語、マラヤーラム語、ヒンディー語、ベンガル語、マラーティー語、ボージプリー語のダビング版を作る予定だとどこかで読んだが、実際に作られたかどうかは知らない。私的には、上に書いたとおり、本作はやはりカンナダ色の濃い作品なので、ダビング版は意味がないかなと。

・平凡な脚本ながら、プージャー・ガーンディの気合いが本作をかなり救っている。そこから深読みすると、ストーリーの表の流れはカルパナーの伝記だとしても、裏には主演女優兼プロデューサーのプージャー・ガーンディの映画界に対する怨念みたいなものも込められているように感じられ、すこぶる痛い。(プージャー・ガーンディは映画界で必ずしもハッピー・ライフを送っているわけではない。)

・ただ、確かにインド映画界というのも、女優を食い物にするプロデューサー、監督、俳優たちの跋扈する伏魔殿だとしても、そればかりではなかろう。どうもぎすぎすした感じの立つ映画だったが、もっと昔の南インド映画界の、華やかでのどかな側面も見せるぐらいのゆとりがほしかった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・プージャー・ガーンディ(ナンダー役) ★★★★☆
 首の右側のホクロや衣装だけでなく、立ち方、歩き方、泣き方、笑い方など、ずいぶんとカルパナーを研究した跡が見られる。やはりプージャー・ガーンディは頭の良い女優ではある。しかし、そこまで役に徹する覚悟があるなら、もっと体を絞るべきだったと思う。それと、彼女はカンナダ語を母語としないにもかかわらず、セルフダビングに挑戦しているが、可愛そうに、これがカンナダ人には甚だ評判が悪い。
 (写真下:シヴァイヤ役のアトゥル・クルカルニーと。)

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・アトゥル・クルカルニー(シヴァイヤ役) ★★★☆☆
 プッタンナ・カナガール監督に当たる役だが、プッタンナ・カナガールといえば、カルパナーとは恋愛関係にあったとも噂されていた。しかし、事前に写真が出回っていたプージャー・ガーンディとアトゥル・クルカルニーの濡れ場のシーンは映画中にはなかった。

・ラヴィシャンカル(ベッタゲーリ・ガンガーラージ役) ★★★☆☆
 悪役ではなかった。

・マクランド・デーシュパーンデーイ(クリシュナラージュ役) ★★☆☆☆
 映画を観ているときは、この出っ歯でスケベな中年俳優が誰のことを描いているのか分からなかったが、後でナラシンハラージュだと分かり、驚愕した(大酒飲みだとは聞いていたが)。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・マノー・ムールティの音楽は久々だが、良かった。プージャー・ガーンディとは【Mungaru Male】(06)以来の縁で起用されたのかな?

・【Eradu Kanasu】から1曲、ヒットソングの‘Thamnam Thamnam’が引用されている。しかし、プージャー・ガーンディ(カルパナー)と一緒に踊っていたのがシュリーナガラ・キッティだったが、こいつがラージクマールかと思うと、厭世的な気分になった。

◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆

◎ その他(覚書)
・ナンダーが舞台女優になるシーン(映画界入り前と落ちぶれた後)では、実在する地方劇団(うち一つはカルパナーが活動していた劇団)で撮影が行われたようだ。
Malathi Sudhir's KKVNS
Gudigeri, a multi-facered personality

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月1日(日),公開第1週目
・映画館 : Eshwari,11:15のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★★☆☆☆ (観客数の割には賑やかだった。)
 

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