カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Malli Malli Idi Rani Roju】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2015/02/11 21:42   >>

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 特に話題作ではなかったが、主演がシャルワーナンドとニティヤということから、内容のある映画だろうと予想されたし、監督のクラーンティ・マーダヴは(全然知らなかった人だが)【Onamalu】(12)というアートっぽい作品で映画賞も取っているようなので、観ておくことにした。

【Malli Malli Idi Rani Roju】 (2015 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Kranthi Madhav
出演 : Sharwanand, Nithya Menen, Pavitra Lokesh, Tejaswi Madivada, Surya, Nasser, Pavani Reddy, Punarnavi Bhoopal, Chinna, Naveen, Sana, Sharvya, その他
音楽 : Gopi Sunder
撮影 : V.S. Gnana Sekhar
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
制作 : K.S. Rama Rao

題名の意味 : この日は再びやって来ない
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 2月6日(金)
上映時間 : 2時間22分

《 あらすじ 》
 ヴィシャーカパトナムに暮らす大学生のラージャーラーム(Sharwanand)は有望な陸上短距離選手で、インド代表としてオリンピックに出場するのが夢だった。父はおらず、古典声楽の教師をしている母(Pavitra Lokesh)との二人暮らし。生活はスパイクシューズが買えないほどつましいものだった。
 ラージャーラームはある日、練習グラウンドでムスリム女性と出会い、ブルカの下の目の美しさに惹かれる。州レベルの競技会の際に、ラージャーラームは例によって裸足で走り、見事優勝するが、足の裏を切ってしまい、出血する。その時ハンカチを差し出したのもそのムスリム女性だった。
 彼女はナジーラ(Nithya)という名で、ラージャーラムと同じ大学の学生だった。ラージャーラームに心を寄せるナジーラは、イスラーム教徒であるにもかかわらず、ラージャーラームの母の声楽教室の生徒となる。二人は互いに強く惹かれ合うが、はっきりと告白などできなかった。ナジーラはラージャーラームの母からシューズのことを聞き、彼に購入のためのお金を渡そうとする。ラージャーラームはその申し出を拒むが、州競技会で獲得したメダルをかたにお金を受け取り、シューズを購入する。
 州代表に選ばれたラージャーラームはデリーでの全国大会に出場し、見事に金メダルを獲得する。実家に凱旋した彼は、母にメダルを渡し、ナジーラにプロポーズするつもりだった。しかし、約束の場所にナジーラは現れない。彼女はマレーシアに住む父(Nasser)が事故に遭ったとの報を受け、急遽クアラルンプールに戻ったのであった。また、その日にラージャーラームの母も急死してしまい、以後、二人は音信不通になる。
 それから十数年後、ナジーラは死んだ父のビジネスを受け継いでおり、クアラルンプールで裕福に暮らしていた。しかし結婚はしておらず、なおもラージャーラームのことを想っていた。彼女にはメヘク(Tejaswi Madivada)という養女がいたが、メヘクはボーイフレンドを取っかえ引っかえする問題児だった。それで、ナジーラは義娘に「セックスは愛の究極の形ではない」と諭し、教育のためインドへ送ろうとする。これにメヘクは逆襲し、母の言う「心と心の純粋な愛」が実際に生きているか確かめるために、母もインドへ行って、ラージャーラームに再会すべきだと主張する。ナジーラはメヘクと共にインドへ飛ぶ、、、。

・その他の登場人物 : ナジーラの友達ジョーティ(Pavani Reddy),コーチ(Surya),イスマイル・バーイ(Chinna),パールワティ(Punarnavi Bhoopal),ナンシー(Sharvya)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・いやぁ、参った、参った。私も長年インド映画を観てきて、ずいぶん「インド脳」になったという自覚があり、「歌って踊って」にも、「流血アクション」にも、「小っ恥ずかしロマンス」にも、「こてこてコメディー」にも、「炎の神様映画」にも順応してきたつもりだが、まだ死角があったか。その死角とは、「ダサロマンス」!

・製作チームに敬意を表して、もっと真面目な日本語で言うなら、保守的で理想主義的、少女趣味的とも言える夢想家の中年オヤジが作った「教育的ラブストーリー」。

・もう、あまりにセンチメンタル、あまりにメロドラマチックで、物語が進むに連れて、座席にずぶずぶと沈んでいったよ。しかし、この映画を好意的に評価している鑑賞者(テルグ人)はかなりいるようなので、びっくり。やはり頭痛がするぐらいの甘いスイーツを平気で食うインド人は違うと思った。私のインド脳なんて、この程度のもんさ。

・しかし、言っておくと、前半はかなり良かった。ラージャーラーム(Sharwanand)とナジーラ(Nithya)の、「好きだ」とはあからさまに表現できないながら、心が通じ合う様子が十分美しく、ポエティックに描かれていた。演じたシャルワーナンドとニティヤが良く、カメラと音楽も素晴らしい。もしかして、これは「私のベスト10」入りする映画かも、と期待しながら観たが、後半は私的には轟沈。

・後半に入って、ラージャーラームとナジーラが中年(といっても、30代中盤ぐらい)になって、年少者(娘や後輩)に教え諭す展開になり、「セックスは愛の究極の形ではない」とか、「愛とは心と心の結び付き」といった教説が出る辺りから雲行きが怪しくなる。私は、インド映画でも割と無批判に提出されるこうした言説は支持しない派なので、本作も支持しない。

・しかし、五十歩譲って、この考え方を認めるとしても、本作のようなストーリーだと、本作はせいぜい「世の中には純愛を信奉している人々と、肉欲を含めた享楽的な愛を享受している人々がいる」と言っているだけで、迷える若い世代の人々(本作のターゲットだと思う)にアピールするとは到底思えない。

・さらに五十歩譲って、映画の中で誰がどんな考えを表明しようと勝手なので、こうしたプラトニックラブ賛歌を受け入れるとしても、プレゼンテーションが甘すぎて、いかん。そりゃあ、肉欲の愛(=醜い)に対する心の愛(=美しい)の勝利を描くためには、「美しく」描くことが肝要となるのは分かるが、そのためにロマンス映画の常套手段/禁じ手(と私には思える)を連発してしまっている(だから「ダサロマンス」)。例えば、突然の親の死、小道具としてのハンカチ、詩、二人のうちのどちらかの経済的困窮、車のラジオから偶然流れてきた思い出の歌、人間の言葉を話し、ハートマークを発するスパイクシューズ(あ、これはインド的で面白いかも)、等々。

・だいたい「この日は再びやって来ない」という題名からして、「たとえ明日が来なくても」に匹敵するぐらいのダサタイトルだわな。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・シャルワーナンド(ラージャーラーム役) ★★★☆☆
 好演していると言える。ただ、高評価に値するかどうかは分からない。短距離ランナーの役に体格の良いこの男を配したのは正解だと思うが、しかし、どうも汗くさいスポーツ選手という描かれ方ではなかった。例えば、下のバイオリンを持つイメージ。

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 次は、赤いバラと。

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 さらに、胸にノートブックを抱くイメージ。どうです、甘いでしょう?

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・ニティヤ(ナジーラ役) ★★★★☆
 導入シーンのブルカの下の目の美しさには度肝を抜かれた。前半は奇跡的な美しさ、可愛らしさで、心臓が止まるかと思ったが、後半の母親役で表現のバリエーションを欠いてしまったのが悔やまれる。

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・テージャスウィ・マディワーダ(メヘク役) ★★☆☆☆
 ミスキャストだろう。インド撫子とは無関係のNRI娘にこのエロ顔を配したのは間違いとは言わないが、ニティヤの娘役をやるこのお方も、この熟れ娘の母親役をやるニティヤも、お互いにやりにくそうに演じていた。(下の写真は本作のスチルではありません。)

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・ラージャーラームの母親役のパヴィトラ・ローケーシュは好演。ナジーラの友達、ジョーティ役のパーワニ・レッディは便利屋的な使われ方だった(写真下。本作のスチルではありません)。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★☆☆☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽はマラヤーラム映画界で活躍している、【Ustad Hotel】(12)や【Bangalore Days】(14)でお馴染みのゴーピ・スンダル。これがかなりよくできた音楽。しかし、後半のBGMは最悪で、聴いていて発狂しそうになった。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・撮影もきれい。V・S・ギャーナ・シェーカルという名に心当たりはなかったが、調べたら、【Vedam】(10)を担当した人だった。

・物語の舞台の75パーセントはヴィシャーカパトナムの海辺の町だったが、たぶん現地で撮影したのだろう。きれいに撮られている。また、二人の通う大学が煉瓦造りの味わいある建物だった。

◎ その他(覚書)
・イスラーム教徒のナジーラがラージャーラームの家に入ろうとした際、左足で敷居を跨ごうとするのを止め、右足から入り直したシーンが印象的。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月8日(日),公開第1週目
・映画館 : Nartaki,10:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ☆☆☆☆☆
 

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