カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Anegan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/02/17 21:07   >>

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 K・V・アーナンド監督、ダヌシュ主演の話題の新作【Anegan】。
 K・V・アーナンド監督は知的なテーマを娯楽性豊かな映画にまとめ上げるのがうまく、【Ayan】(09)や【Ko】(11)といった大ヒット作があるが、前作【Maattrraan】(12)は旗色が悪かった(私は面白いと思ったが)。今回は持っている男、当たり屋ダヌシュと組んだからには、大丈夫だろう。

【Anegan】 (2015 : Tamil)
物語・脚本 : K.V. Anand, Subha
監督 : K.V. Anand
出演 : Dhanush, Amyra Dastur, Karthik, Ashish Vidyarthi, Lena, Aishwarya Devan, Mukesh Tiwari, Talaivasal Vijay, Jagan, Vinaya Prasad, その他
音楽 : Harris Jayaraj
撮影 : Om Prakash
編集 : Anthony
制作 : Kalpathi S. Aghoram, Kalpathi S. Ganesh, Kalpathi S. Suresh

題名の意味 : いくつもの姿を持つ者
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンティック・スリラー
公 開 日 : 2月13日(金)
上映時間 : 2時間39分

《 あらすじ 》
 マドゥミター(Amyra Dastur)はキラン(Karthik)の経営する大手コンピューターゲーム会社のゲーム開発者。彼女は仕事上のストレスを解消するためにドクター(Lena)から精神療法を受けていたが、その過程で前世の自分を思い出していた。それによると、彼女は1962年当時サムドラ(Amyra Dastur)という名でビルマにおり、父はビルマ人の高位軍人、母はタミル人だった。サムドラはムルガッパ(Dhanush)という肉体労働に従事するタミル人青年と恋に陥るが、折りしもクーデターで軍事政権が誕生し、インド人排斥運動が勃発、ムルガッパはサムドラを連れてインドへ渡ろうとしたところを、両人とも非業の死を遂げてしまったというわけだった。
 この記憶を頼りに、マドゥミターはムルガッパの生まれ変わりと再会できると信じていたが、はたして同じ会社にムルガッパとそっくりの男アシュウィン(Dhanush)を見つけ、彼こそがそうだと確信する。彼女は猛烈にアシュウィンにアタックするが、当のアシュウィンは自分がムルガッパの生まれ変わりだとはとても信じられず、むしろ、マドゥミターの言動に異様なものを感じていた。そしてある日、アシュウィンはマドゥミターの運転する車に乗っていたが、彼女の無茶苦茶な運転のせいで川に転落してしまう。アシュウィンのほうは何事もなかったが、怪我を負ったマドゥミターは入院する。この時のショックからか、マドゥミターは病室でゴーピナートという名の警官の幻影を見る。
 ところが、本当に警官ゴーピナート(Ashish Vidyarthi)は実在し、マドゥミターに会いにやって来る。彼女はさらに別の前世の記憶を思い出していたが、それは1987年に行方不明になっていたカーリーとカリヤーニのカップルに関するものだった。マドゥミターはアシュウィンとゴーピナートをある所へ連れて行く。そして彼女の指し示す場所を掘ると、はたして男女一組の白骨死体が出てきた。マドゥミターはアシュウィンに、あれはカーリーとカリヤーニで、前世の私たちだと説明する、、、。

・その他の登場人物 : ミーラー/マッリカー(Aishwarya Devan),カリヤーニの父ムールティ(Talaivasal Vijay)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・インド映画の伝家の宝刀、輪廻転生をモチーフにした作品。輪廻転生をストーリーに組み込んだ映画はたいていヒットしているが、本作も面白かった。複雑なストーリーのはずだが、K・V・アーナンド監督の脚本は上手く、混乱することはなかったし、巧みなストーリー上の引っ掛け、きれいな絵と音楽、そして何より主役ペア(ダヌシュとアマイラー・ダストゥール)の好演が効いている。

・たいていの輪廻転生映画は前世と現世の二世代だけだが、本作は思い切って三世代。簡単にまとめておくと、まず1962年のビルマが舞台で、肉体労働者のムルガッパと軍人の娘でビルマ人とタミル人のハーフのサムドラの話。次は1987年のマドラスが舞台で、ヴィヤーサルパーディに暮らすチンピラのカーリーとバラモンの娘カリヤーニの話。そして現在のチェンナイが舞台で、ゲーム開発会社でシステムメンテナンスをしているアシュウィンとゲームデザイナーのマドゥミターの話。それぞれをダヌシュとアマイラーが演じている。(もう一つ、ダヌシュが王子か兵士に、アマイラーが王女に扮する時代劇の場面があったが、あれも輪廻の一相なのか、単なる音楽シーンのイメージなのか分からなかった。)

・こうやって見ると、三世代の全てでダヌシュの演じる人物のほうがアマイラーの演じる人物よりステータスが低いことが分かる。輪廻転生というのは、こういう人間関係まで転生するものかどうか知らないが、例えば、ぶっさいくな女房の尻に敷かれている不幸な旦那には、こういう損な役回りが永劫回帰するのかと思うと、、、やっぱりサンサーラの思想は娯楽映画の中だけにしてほしい。

・本作の鍵となるのは1987年のカーリーとカリヤーニのエピソードで、この二人を殺した人物は現在も生きているかもしれない、というのがサスペンスとなる。とすると、1987年と現在の二世代だけでストーリーの片が付くので、1962年のビルマのエピソードは丸ごと不要かな、と思った。

・と思ったが、現在のマドゥミターがビルマ時代の記憶から永遠のパートナーに思いを馳せ、アシュウィンを見つけ、さらに1987年の記憶を呼び覚まし、過去二世代では悲劇的な結末に終わって結ばれなかった二人だが、現在でも同じ運命になりそうなところを、その悪の原因を取り除いて晴れて結ばれるという、壮大なラブストーリーだということが分かり、不要じゃないと思い直した。それに、ビルマのシーンはすごくファンタスティックだったし。

・K・V・アーナンド監督らしい知的なネタはいくつかあったが、私的に興味深かったのは、納期に追われ、ストレス過多になっているソフトウェア技術者の実情と、薬物使用の問題だった。

・ところで、題名の「Anegan」は「一にして多様な姿を持つ」シヴァ神を指す言葉だが、本作では一個のアートマンが輪廻転生していくつかの人格を取ることを意味している。もちろん、これは日常的に使われる言葉ではなく、典拠は9世紀にManikkavacakarという聖人が書いたシヴァプラーナの『Tiruvasakam』に出てくる語、ということらしいので、調べてみたら、本当にあった。暇なお方はS・P・バーラスブラマーニヤムが安眠を誘う美声で詠う同プラーナでご確認あれ(3分13秒辺りで、確かに「イェーガン、アネーガン」と詠っている)。
http://youtu.be/LFWfZT27zCY

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ダヌシュ(アシュウィン/ムルガッパ/カーリー役) ★★★★☆
 いやぁ、パワフルなダヌシュの三相が楽しめた。本作品のタミル映画界に対する最大の貢献は、数々のパロディーネタを提供したということだろう。早速サンターナムあたりが真似をしそうだ。
 (写真下:左よりムルガッパ、カーリー、アシュウィン役のダヌシュ。)

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・アマイラー・ダストゥール(マドゥミター/サムドラ/カリヤーニ役) ★★★★☆
 すでに【Issaq】(13)という作品でボリウッド・デビューをしているが、南インドでは初顔となる。ムンバイ出身で、パールシーというのが珍しい。容姿的には私の好みではないが、本作での活きの良さは評価せずばなるまい。しかし、あのマドゥミターとサムドラのキャラクターは嫌だなぁ。

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 それに、こんな唇で投げキッスされたなら、なんとしても輪廻から脱却したいと、私なら出家する。

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・カールティク(キラン/ラヴィ役) ★★★☆☆
 銀幕で見たのは【Raavanan】(10)以来かな。カールティクだと気付くのに時間がかかった。それだけチャラ男な感じのゲーム開発会社社長を好演?していた。しかし、私があの会社に入ったなら、半日で辞表を出しちゃうな。

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・レナ(ドクター役) ★★★☆☆
 先日の【Yennai Arindhaal...】鑑賞記の中で、アヌシュカーについて「レナに抜かれるよ」と書いたが、本作で改めてレナを見て、やっぱりアヌシュカーはレナに抜かれている(=レナのほうが体重を落としている)。

・アイシュワリヤー・デーヴァン(ミーラー/マッリカー役) ★★★☆☆
 ちょっと目立っていた感じだった。どこかで見た顔なので、フィルモグラフィーをチェックしたら、どれも未見。どこで見たのだろう?

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・ハリスさんの音楽だが、【Yennai Arindhaal...】に続いて、良い。

・音楽シーンは、輪廻三世代の時代、場所、登場人物の違いに応じてうまく作られているし、音楽シーン自体が輪廻を結ぶトンネルのような役割を果たしていて、面白かった。

・最もダヌシュらしさが出ている‘Danga Maari’では場内大沸きだった。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 美 術 : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・どちらかというと繊細な映像感覚のオーム・プラカーシュだが、本作ではダイナミックだった。

◎ その他(覚書)
・ロケ地は、ウィキペディアには意外なことにミャンマーが挙がっていないが、そんなことはなかろうに。

・1987年の場面でカーリーが住んでいたヴィヤーサルパーディ(Vyasarpadi)は【Madras】(14)の舞台となった町。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月14日(土),公開第1週目
・映画館 : INOX (Jayanagar),10:00のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★★★☆
 

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