カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Hajj】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/03/05 21:47   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

画像

 バンガロールに「Suchitra Film Society」という協会があり、定期・不定期にインド映画/外国映画、長編商業映画/短編映画の上映会を行っているが、先日、昨年末の「バンガロール国際映画祭」で賞を受賞した「カンナダ映画」の上映会が行われたので、覗いて来た。上映作品は【Athi Hannu Mathu Kanaja】(M.S. Prakash Babu監督)、【December-1】(P. Sheshadri監督)、【Hajj】(Nikhil Manjoo監督)、【Agasi Parlour】(Mahantesh Ramdurg監督)、【Prakruthi】(Panchakshari監督)の5作だが、時間がなかったので、2013年の「カルナータカ州映画賞」で「Best Film」、「Best Actor」、「Best Story」の3賞を獲得した【Hajj】だけ観て来た。
 本ブログでは、映画祭等の単発の上映会で観た作品の鑑賞記を上げるという考えはなかったが、良い映画だったので、紹介することにした。

【Hajj】 (2013 : Kannada)
物語・脚本 : Srilalithe
監督 : Nikhil Manjoo
出演 : Nikhil Manjoo, Manasa Joshi, Geethamani, その他
音楽 : Shashi
撮影 : Siddegowda
編集 : Aditya Kunigal
制作 : Rajiv Kothari

題名の意味 : ハッジ(イスラーム教徒のメッカ巡礼)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 2014年12月(The 7th Bengaluru International Film Festival)
上映時間 : 1時間38分

《 あらすじ 》
 カルナータカ州西沿岸部の小村に暮らすアルターフ(Nikhil Manjoo)は敬虔なイスラーム教徒で、漁をして生計を立てていた。体に障害を持つ母ファーティマ(Geethamani)と二人暮らしで、生活は貧しかったが、それを苦にすることはなかった。また、彼には母を連れてメッカ巡礼に行くという夢があった。
 アルターフには辛い過去があった。彼は近所に住むハジラ(Manasa Joshi)と恋仲だったが、ハジラの父イスマイルは貧乏で病気の母のいる家に娘を嫁がせるのを嫌い、ハジラをムンバイの男と結婚させる。ところが結婚後2日で夫が死亡してしまい、ハジラは村に戻って来る。アルターフと母はウスタード(導師)を仲介者として、改めてハジラとの結婚を申し出るが、イスマイルは承諾せず、カタールの男との縁談を持ち出す。
 アルターフはメッカ巡礼の希望を申し出ていたが、それが受理されそうになる。だが、巡礼の費用が足りなかった。アルターフは仕事のための釣舟とバイクを売って現金を作り、それを畑の納屋に隠しておく。
 それと並行してファーティマは、息子の縁談がうまく行くためにはお金が必要だと考え、畑を売ることにする。それはブルダーンサーブという男が買うことに決まるが、その畑にはアルターフが現金を隠し置いていた納屋があった。はたしてアルターフが心配したとおり、納屋の現金はなくなっていた。
 釣舟もバイクも現金も失い、メッカ巡礼の夢も遠のいたアルターフは途方に暮れるが、ここに幸運がやって来る。アルターフは川を流れて来た箱を拾い上げ、警察に届けるが、その中には金の宝飾品が入っており、法律により彼は1割相当の280万ルピーを得ることになる。また、紛失した納屋の現金もブルダーンサーブが取り戻してくれる。さらに、メッカ巡礼が正式に確定したとの連絡も受ける。
 メッカ巡礼の前には、仲違いしていた人に謝罪し、和睦すべしという掟があった。それでアルターフはイスマイルに会って謝罪するが、意外なことに、イスマイルはアルターフとハジラの結婚を認める。意気揚々と家に帰ろうとするアルターフだが、途中で沈鬱な表情をした友人のラーマッジャに会う。聞けば、以前より病気だった妻の容態がいよいよ深刻になり、入院させたものの、高額の治療費が払えないということだった。アルターフはメッカ巡礼のためのお金をラーマッジャに差し出す。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・なるほど、なるほど、何某かの映画賞を取っても不思議ではない、アートフィルムらしい作品だった。

・物語の舞台になったのはカルナータカ州西部の海辺の村で、ウドゥピやクンダープラの近くだと言及されていた。イスラーム教徒が多く住む地域らしく、登場人物の多くはイスラーム教徒だった。

・まずはこの村の描き方がきれいだった。海、バックウォーター、川、運河など、狭い村ながら、水に縁のある様々な風景を見せてくれる。音は、登場人物の台詞以外は、水の音と鳥のさえずりとアザーンの声に絞っており、聴いていて心地好い。

・ストーリーはシンプルだが、アートフィルムらしく、ポイントを押さえたものだった。徹底して主人公のアルターフの人物像に焦点が当てられている。彼は非常に敬虔なイスラーム教徒だが、宗教的な偏向心はなく、ラーマッジャというヒンドゥー教徒の漁師とも懇意にしている。アルターフは、自分も貧乏なくせに、ラーマッジャが不漁のときは、自分が捕った魚を彼に分けてやる。

・こんなふうにアルターフは好人物なのだが、それは彼の宗教心にもよく表れている。彼は母と一緒にメッカ巡礼に行く準備をしているが、導師より「病気の母を担いでのメッカ巡礼は大変じゃないか?」と聞かれたとき、「メッカ巡礼ができるのに、どうして母が重いんですか」と答える。さらに、巡礼費用を工面するために釣舟とバイクを売るが、友人から「将来の生活はどうするんだ?」と聞かれたとき、「将来のことよりも、母と巡礼することのほうが、、」と答える。私はこれらの台詞を聞いて、アルターフのことを今どき珍しい「神様みたいな人」だと感じ、こういう敬虔な人物像を描いてみせるのが本作の意図だと思った。

・しかし、ここで驚きのどんでん返しがあった。アルターフは友人ラーマッジャの窮状(妻の入院)を聞き、自分にとって全てのはずの「メッカ巡礼」を擲ってでも、ラーマッジャを援助しようとする。で、「巡礼で神様に両手を差し出すよりも、近くにいる困った人に片手を差し伸べるほうが大事」という字幕で映画が終わる。ここに至って私は、アルターフは「神を超えた」と思った。「宗教心」とは本来、こういうことを言うのではないか?

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ニキル・マンジュー(アルターフ役) ★★★☆☆
 本作の監督だが、主演も兼ねている。純真なイスラーム教徒の青年を好演しているが、はたしてこのお方が演技が上手いのかどうかはよく分からなかった。

画像

・マナサ・ジョーシー(ハジラ役) ★★★☆☆
 これまた純真なイスラーム教徒の娘を可憐に演じている。この女優、映画中ではほぼチャードルを着用しており、そのせいか非常に無垢な感じに見えた。しかし、後で調べてみたら、本業はダンサーのようで、下のようなセクシーショットもあって、驚いた(こちらのインタビュー参照)。

画像

◎ BGM : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・歌は1曲もなかったと思う。水の音、鳥のさえずり、アザーンの声は効果的に使われていたが、BGMはもう少し工夫があってもよかったと思う。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2015年3月1日(日)
・上映場所 : Suchitra Film Society
・備 考 : 英語字幕付き
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Amaravathi】 (Kannada)
 先日、2016年度のカルナータカ州映画賞が発表され、【Amaravathi】が最優秀作品賞を含む4賞を受賞した(他は最優秀監督賞、最優秀台詞賞、最優秀主演男優賞)。【Amaravathi】は一般公開時に観逃してしまい、悔しい思いをしていたら、スチトラ映画協会が特別上映会(監督とのトーク企画を含む)をやってくれたので、観て来た。  上述のとおり、監督のB・M・ギリラージは本作で監督賞を受賞しているが、同氏の作品はデビュー作の【Jatta】(13)がカルナータカ州映画賞の第2優秀作品賞... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2017/05/03 20:58

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Hajj】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる