カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Enakkul Oruvan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/03/17 21:29   >>

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 【Lucia】(13)といえば、観るべき作品の乏しいカンナダ映画にあって(注:昔は秀作も多かった)、間違いなく必見作の1本だと言えるが、それがタミル映画にリメイクされると聞いても、近ごろリメイク映画に関心を失くしている私としては、あんまり観たい気も起らなかった。
 しかし、企画を見てみると、製作チームが【Pizza】(12)で名を上げた面々(プロデューサーのC・V・クマール、音楽のサントーシュ・ナーラーヤナン、撮影のゴーピ・アマルナート、編集のレオ・ジョン・ポール)だったので、期待が持てるかな、と思い直した。監督のプラサード・ラーマルは新人だが、やはり【Pizza】でカールティク・スッバラージ監督と共同でストーリーを書いた人だということも分かった。
 で、最後のひと押しは、カンナダ女優のディーパ・サンニディがヒロインに抜擢されていることだった。

【Enakkul Oruvan】 (2015 : Tamil)
物語 : Pawan Kumar
脚本・監督 : Prasad Ramar
出演 : Siddharth, Deepa Sannidhi, Aadukalam Naren, John Vijay, Ajay Rathnam, Srushti Dange, Amit Bhargav, Yog Japee, L.B. Sriram, その他
音楽 : Santhosh Narayanan
撮影 : Gopi Amarnath
編集 : Leo John Paul
制作 : C.V. Kumar

題名の意味 : もう一人の私
映倫認証 : U
タ イ プ : リメイク
ジャンル : サイコ・スリラー
公 開 日 : 3月6日(金)
上映時間 : 2時間16分

《 あらすじ 》
 ヴィッキー(Siddharth)はチェンナイの場末の映画館で場内案内係をしている男だった。その映画館はドゥライ(Aadukalam Naren)が経営しており、ドゥライ自身が映写機を回していた。
 ヴィッキーは不眠症に悩まされていた。ある夜中に、彼は路上でドラッグの売人に遭遇し、「ルシア」というクスリを勧められる。それは睡眠薬の一種だったが、単に安眠を約束するだけでなく、服用者にとって素晴らしい夢も見られるというものだった。ただし、その効果が切れると、その甘い夢は悪夢に転じるということだった。
 ヴィッキーは早速ルシアを試す。すると、日頃から憧れていたステータス、つまり、自分がヴィグネーシュという名のタミル映画スターになっている夢を見る。
 ヴィッキーはピザ屋の店員をしているディヴィヤ(Deepa Sannidhi)に惚れていたが、結婚はおろか、交際さえしてもらえそうになかった。しかし、ルシアを服用すると、やはり夢の中ではディヴィヤが駆け出しの映画女優として登場するのであった、、。

   *    *    *    *

◎ 原作コピー度 : ★★★★☆
◎ 創造的改変度 : ★☆☆☆☆
・比較的オリジナルに忠実なリメイクだった。リメイクとして出来が悪いわけではないが、この製作チームならもっとファンタスティックなサイコ・スリラーが作れたはずだと思うと、物足りない。改悪と言うのは酷だが、特にオリジナルを越え出ているとも思われないので、満足感が低い分だけ、目減りした感がある。

・【Lucia】はすべてがうまく行っていた。インディー作品らしい作り方、ベンガルールの社会的背景や映画産業の現状との完璧な同期、主演のサティーシュの上手さ、ヒロインのシュルティ・ハリハランの爽やかさ、適材適所な脇役陣など。しかし、このタミル版リメイクは、そのそれぞれが少しずつずれている。

・うまく行っていない点は、この物語は、しがない映画館案内係のほうが現実で、映画スターのほうは夢だと思われていたのが、途中で二者がクロスし、ふっと入れ代る面白さがあるのだが、本作はそこが決まっていなかった。

・また、本作でのしがない青年ヴィッキーのほうのキャラクター造形もどうかと思った。不自然な感じに肌の色を黒くし、出っ歯にもしていたが、こうまでブサイクな外見にする必要があったのか? これではヴィッキーに対して同情さえ抱いてしまうが、それではいけない。本作のテーマは「君のちっぽけな生活は誰かの大きな夢かもしれない」ということなので、負け組の貧乏青年でも、同情を誘う悲哀感を漂わせていてはいけないはずだ。(この点、カンナダ版のサティーシュは上手く演じている。)

・その悲哀感を増幅するかのように、サントーシュ・ナーラーヤナンのBGMが痛切すぎて、耳障りだった。レビューを一覧すると、このサントーシュ・ナーラーヤナンの音楽を高く評価している評者もいるが、私的には、彼の今回は外していると感じた。

・とは言っても、オリジナルの【Lucia】を観ていない人、または、それに特に思い入れのない人なら、本作もまずまず面白く鑑賞できると思う。また、10人の日本人に、同じ日にこの2本を見せて、どちらが面白いかアンケートを取ったなら、どちらかが圧勝するということではなく、何人かがカンナダ版を支持し、何人かがタミル版を、という結果になると思うが、その程度の差である。

◎ 配 役 : ★★☆☆☆
◎ 演 技
・シッダールト(ヴィッキー/ヴィグネーシュ役) ★★★☆☆
 シッダールトのアイデアなのか、監督の指示なのか、分からないが、やっぱり貧乏青年ヴィッキーの黒塗り、出っ歯、刈り上げ、寄り目が私には引っ掛かった(スターのヴィグネーシュのほうはOK)。シッダールトらしく頭で考えた演技をしているが、経験が長い割には、カンナダのサティーシュほど芝居が上手くないのが見え見えだった。タミル映画でリメイクを作るなら、この役はダヌシュがやるのが理想だった。
 (写真下:映画館主ドゥライ役のナレンと。)

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・ディーパ・サンニディ(ディヴィヤ役) ★★★☆☆
 心配したが、けっこう好意的に評価されているようで、うれしい。彼女らしいイノセント・フェイスが活きていたが、カンナダ版のシュルティ・ハリハランのほうが、母性という点で、より役柄に合っている。

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・ナレン(ドゥライ役) ★★★☆☆
 映画館主のオジサンの役も、【Lucia】のアチュート・クマールのほうが良かったかな。

・【Lucia】では特別捜査官の役に一度見たら忘れられない個性的なオジサンが使われていたが、本作では平凡な感じのオジサンだったのもマイナス・ポイント。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・サントーシュ・ナーラーヤナンの音楽も、白紙状態で聴いたなら良い出来だと思うのだが、上に書いた理由で、ちょっとウザったく感じた。情念が滲み出るようなBGMも、【Madras】(14)みたいな作品なら効果的だが、本作には強すぎたかも。

・ダンスがめちゃめちゃくさい振り付けになっていたが、あれはわざとだろう。

◎ アクション : ★★☆☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・撮影は良い。夢か現かの仄暗い感じ、場末の映画館の小汚い感じがよく捉えられている。

・編集を担当したのは、レオ・ジョン・ポールという英国のロックミュージシャンみたいな名前の人だが、技量は【Pizza】で証明済み。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月14日(土),公開第2週目
・映画館 : PVR (Koramangala),13:05のショー
・満席率 : 2割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
 

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