カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Raate】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/03/24 21:22   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

 いつの頃からか、ファッション雑誌の表紙を飾るようなゴージャスなインド女優に興味をなくした私は、ひたすら「隣の女の子」タイプの女優に愛の目を注いでいる。そんな私の美意識を満足させてくれそうなカンナダ映画が2本、このユガーディにめでたく公開されたので、どちらも観ることにした。

画像

 最初の注目はシュルティ・ハリハラン。【Lucia】(13)で注目された彼女の新作がこの【Raate】。
 監督は【Ambaari】(09)と【Addhuri】(12)がヒットしたA・P・アルジュン。ヒーローは【Director's Special】(13)で好印象だったダナンジャヤ。音楽監督のV・ハリクリシュナがプロデューサーとして初仕事をしている。

【Raate】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・歌詞・台詞・監督 : A.P. Arjun
出演 : Dhananjay, Sruthi Hariharan, Bullet Prakash, Suchendra Prasad, Mohan Juneja, Uday Raghav, Bhavani Prakash, その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : V. Harikrishna

題名の意味 : 車輪
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 3月20日(金)
上映時間 : 2時間18分

《 あらすじ 》
 マンディヤ県ケレゴードゥ村に暮らすラージャー(Dhananjay)とラーニー(Sruthi Hariharan)は、共に孤児の育ちで、結婚することが決まっていた。ラージャーはケーブルテレビのオペレーター、ラーニーは映画スターのダルシャンの大ファンだった。二人は結婚に必要な物を買い出しするため、ベンガルールに行くことにする。それにはもう一つの目的、ラーニーのたっての希望で、ダルシャンのヒット作「Krantiveera Sangolli Rayanna」をマルチプレックスで観るという目的もあった。
 ベンガルールに到着した二人は、親切なオート運転手のジャガンナ(Bullet Prakash)と知り合う。二人はマルチプレックスへ行くが、映画の切符は買えなかった。そこでジャガンナに頼み、単館の切符を調達してもらう。しかしそれは夕方のショーだったため、二人は先に買い物とお寺参りを済ませることにする。だが、ラーニーが途中で気分が悪くなったため、宿を探すことにする。しかし、結婚していない二人はなかなか部屋を貸してもらえなかった。そこで再びジャガンナの世話になり、とある安宿にチェックインする。
 だが、その宿は売春婦の置屋としても使われていたため、警察の手入れが入り、ラージャーとラーニーも警察署に連行されてしまう。ここでもジャガンナの力を借り、彼が警察署長(Suchendra Prasad)に事情説明をしたため、二人は釈放される。
 二人は予定どおり映画を観ることにするが、映画館でラーニーがトイレに行ったきり、行方不明になってしまう。3日後にラージャーはラーニーを見つけ出すが、彼女がお腹の痛みを訴えたため、病院で診てもらったところ、驚くべきことが分かる。彼女の腎臓の片方が切除されていたのである。
 ラーニーの話では、映画館のトイレで女魔術師(Bhavani Prakash)に術を掛けられたとのことだった。ラージャーは女魔術師を探し出し、そこから臓器売買マフィアのことを知り、彼らを見つけ出す。だが乱闘となり、ラージャーはマフィアのボスを殺してしまう。その部下たちに追われ、ラージャーとラーニーはベンガルール郊外の森に逃げ込む。しかし、追っ手がここまで迫ったため、二人はトラックに乗り込んで逃げる。だが皮肉なことに、そのトラックはベンガルール行きのものだった。ベンガルールに舞い戻った二人は、マフィアの一味に見つかってしまう、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・トレイラーを見た感じでは、孤児のカップルが世間の偏見や様々な艱難辛苦を乗り越え、慎ましやかな幸福を見出すという、じ〜んと来るラブストーリーを予想させたが、そうではなかった。要は悲劇で終わるのだが、これはかなり嫌だった。

・私の勝手な予想を裏切ってくれるのはいいとして、どうもこう、これ見よがしに社会問題(警察の腐敗や臓器売買など)を詰め込んで、悲劇的結末で閉めるという持って行き方には失望した。これでは泣くに泣けない。なんでハッピーエンドじゃダメなんだ?

・ただ、こういう暗い調子の悲劇は、カンナダ映画では【Sanju Weds Geetha】(11)や【Mynaa】(13)などのヒット作もあるので、これもカンナダ人の好むテイストなのかもしれない。

・本作もはっきりと「ベンガルール腐敗都市観」に立っている。ベンガルールを悪に汚染された街と捉える傾向が映画作品にも反映されているということは、【Raajadaani】(11)鑑賞記の中で触れておいた。最近でも【Belli】(14)、【Ambareesha】(14)、【A Day in the City】(15)などがその前提に立っている。本作も当たり前のように、田舎出身の無辜な登場人物がベンガルールの悪に押し潰される悲劇を通して、数々の社会問題を糾弾しようという意図が見られるが、こうもあれやこれやが同じ人物の上に短時間に降りかかると、「さあ、問題を考えよう」というより、「この人たちは運が悪い」ぐらいにしか思えなくなる。

・とは言っても、A・P・アルジュン監督の過去2作、【Ambaari】と【Addhuri】の出来の悪さ(しかしヒットした)に比べると、本作は映画的にぐっと質が向上している。こちらも大衆的に受け入れられて、ヒットしそうだ。

・興味深かったのは、最近公開された【Love in Mandya】(14)と本作が酷似していることだ。どちらもマンディヤ出身のカップルが街に出て悲惨な目に遭うという話だが、主人公の職業(ケーブルテレビ・オペレーター)や信仰する神(アンジャネーヤ神)、さらに街に出てから売春容疑で警察に逮捕されるという顛末も同じ。偶然だとは思うが、こういうのがカンナダの映画作家が自然に思い付くプロットなのかもしれない。

・題名の「Raate」というのは「車輪」という意味らしい。なんで「車輪」なのかは分からないが、もしかしたら「輪廻転生」、「運命」といった意味が込められているのかもしれない。これに「ラージャーとラーニーの物語」という副題が付いている。

・ヒロインのラーニーが観たがったダルシャン主演の【Krantiveera Sangolli Rayanna】についてはこちら参照。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ダナンジャヤ(ラージャー役) ★★★☆☆
 長髪髭面が売りの野性的田舎ハンサムだが、芝居、アクションもけっこう上手かった。

画像

・シュルティ・ハリハラン(ラーニー役) ★★★☆☆
 いやぁ、良いですなぁ、このシュルティちゃんは。DVDほしい。

・ブレット・プラカーシュ(ジャガンナ役) ★★★☆☆
 驚いたことに、アホ面だけが売りと思われていたブレット師匠が良い役をもらっていた。感涙。
 (写真下:「いよいよボクちゃんの時代かな〜」。本作のスチルではありません。)

画像

・メモ代わりに書いておくと、ラージャーとラーニーを追い詰める悪漢は【Jayammana Maga】(13)で印象的だったウダイ・ラーガヴ。こいつは若手悪役として使えそう。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽はいまいちだし、音楽シーンの作りも調子の上がらないものだった。ただし、森の中を舞台にした2つの音楽シーンは良い。

・そのうちの1つ、‘Jodakki’という歌はキッチャ・スディープが歌っているのだが、鑑賞中は全く気付かなかった。



◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・後半に入るアクションシーンは効果的だった。

◎ その他(覚書)
・ロケに使われた単館は「Maheshwari」だか「Mahadeshwara」だか呼ばれていたが、実在するそれらの映画館ではないようだった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月21日(土),公開第1週目
・映画館 : Kamakya,11:15のショー
・満席率 : 2割
・場内沸き度 : ★★★☆☆ (意外にダナンジャヤの人気が高かった。)

 (オマケ画像:そういや、私はまだニームで歯を磨いたことなかったな。)

画像

 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Urvi】 (Kannada)
 シュルティ・ハリハラン、シュラッダー・シュリーナートという今サンダルウッドでホットな2人に加え、シュウェーター・パンディトという、3人の女優が主役の映画ということで話題になっていたが、トレイラーも刺激的で、超楽しみな1本だった。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2017/03/21 20:46

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これってもう公開が終わってたんですね。
私はSudeep様の歌声が目的で見たかったんですが。

カンナダ映画ってけっこう悲劇、多いですよね。
やっぱり好きなんでしょうね。

カーヴェリ川さんのお眼鏡にかなうだけあってほんと、この子可愛いですね。
覚えられる自信はありませんが。

あの太っちょ君がこの作品ではいつもと違う味を出していましたか。

これは、DVDほしいです。いろんな意味で。
やっほー
2015/05/22 13:39
そういや、スディープが歌ってましたね。(上にも書きましたが、忘れていました。)
スディープがナレーターをしている映画もあったような気が、、。
主人公もヒロインもおデブのブレット師匠も良いので、DVDが出たら、ぜひご覧ください。
 
カーヴェリ
2015/05/23 01:13

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Raate】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる