カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Oru Vadakkan Selfie】 (Malayalam)

<<   作成日時 : 2015/04/01 00:35   >>

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 この週末も何を観るべきか迷ったが、今年はあんまりマラヤーラム映画を観ていないので、そちらを攻めることにした。同日に公開された2本のうち、サティヤン・アンティッカード監督、ラルさん主演の【Ennum Eppozhum】は日本でも上映会が行われるようなので、日本の皆さまにお任せするとして、当方はヤングジェネレーション向けの【Oru Vadakkan Selfie】を観ることにした。

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 主演は「持っている男」ニヴィン・ポーリで、ストーリーと脚本は「マ映画界の若年寄」ヴィニート・シュリーニワーサンが担当している。
 題名の「Oru Vadakkan Selfie」は、単に言葉を置き換えると「ある北のセルフィー(自撮り)」になるが、意味がよく分からない。これはたぶんマンムーティ主演の【Oru Vadakkan Veeragatha】(89)をもじったものだと推測され、それが「北方の勇士伝」と和訳できると思うので、こちらは「北方のセルフィー物語」としておいた。要は、「北マラバールに住むバカな男のセルフィーにまつわる話」という意味なんだろうと思うが、間違っていたらご免なさい。

【Oru Vadakkan Selfie】 (2015 : Malayalam)
脚本 : Vineeth Sreenivasan
監督 : G. Prajith
出演 : Nivin Pauly, Manjima Mohan, Vineeth Sreenivasan, Aju Varghese, Neeraj Madhav, Vijayaraghavan, Sreelakshmi, Santhosh Keezhattoor, Bhagath Manuel, Unni Mukundan, その他
音楽 : Shaan Rahman
撮影 : Jomon T. John
編集 : Ranjan Abraham
制作 : Vinod Shornur

題名の意味 : 北方のセルフィー物語
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー
公 開 日 : 3月27日(金)
上映時間 : 2時間23分

《 あらすじ 》
 大学で工学を専攻するウメーシュ(Nivin Pauly)は、勉強なんかそっちのけだったため、卒業できそうになかった。彼は42科目で追試を受けた後、ひと先ずは故郷のタラッセーリに帰省する。そこには悪友のシャージ(Aju Varghese)とタンカンマ(タンカプラサード:Neeraj Madhav)がいた。また、隣家に美人のデイシー(Manjima Mohan)が家族と共に引っ越してきたため、ウメーシュの萌えスイッチが入る。
 ウメーシュは無類の映画好きで、殊にタミルのガウタム・メーナン監督を崇敬していた。彼にはガウタム監督の助手となり、ゆくゆくはアジット主演で映画を撮りたいという夢があった。そこでウメーシュはシャージらと売り込み用の短編映画を製作するが、撮影したカメラを不注意で川に落としてしまい、夢が果てる。
 大学の試験の結果が全滅だったウメーシュは、口うるさい父(Vijayaraghavan)の仕事を継ぐのが嫌で、こっそりと家を抜け出し、チェンナイ行きの列車に乗り込む。と、偶然その列車にはチェンナイへ就職面接に行くと言うデイシーも乗っていた。彼はデイシーからすげなくされるが、こっそりとツーショットのセルフィー写真を撮り、それをシャージに送信する。生憎とそのスマホは物売りのガキに盗まれ、ウメーシュは通信手段を失くしてしまう。
 チェンナイではどこの映画プロダクションからも相手にされず、ウメーシュはわずか6日ですごすごと撤退することにする。ところが、故郷に戻ってびっくり。実はデイシーも行方不明になっていたが、シャージがウメーシュからもらったツーショット写真を見せびらかしていたため、ウメーシュがデイシーと駆け落ちしたという話になっていたのである。ウメーシュには身に覚えのないことだったが、デイシーの家族は納得しない。そこで、デイシーを見つけ出すため、ウメーシュとシャージはチェンナイへ行く羽目になる。
 チェンナイでウメーシュとシャージは偶然デイシーを見かけるが、捕まえることはできなかった。しかも、驚いたことに、二人の犯罪を示唆する記事までが新聞に掲載されていた。焦る二人の前に、私立探偵と称するジャック(Vineeth Sreenivasan)が現れる、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・全体としてコメディーだったが、マラヤーラム映画らしく、シンプルなコメディーと見せかけて、後半からサスペンスに転調して行くというものだった。私はあまりこういう入口と出口が全く違うタイプの映画は好まないのだが、インド人は好きなのか、よく見かける。

・そんなわけで、コメディー面にしてもサスペンス面にしても、言葉が分からないと苦しいものだが、本作も私的には苦しかった。しかし、それでもかなりの部分で笑えたので、面白い映画だとは思った。ぜひ字幕付きで再見したい。

・ただ、どうも全般的にバランスの悪い、ちぐはぐ感のある映画だった。それは、上に指摘したコメディーとサスペンスのバランス、移行の仕方が悪いのかもしれないし、登場人物の比重の置き方がおかしいのかもしれない。

・その原因を考えると、やはりヴィニート・シュリーニワーサンがストーリー/脚本を書き、自ら出演もしているということに行き付くような気がする。本作の主人公は誰かと言うと、明らかにニヴィン・ポーリ演じるウメーシュなのだが、それが後半にヴィニート・シュリーニワーサン演じるジャックが登場すると、主役の座を譲ってしまうようにも見えた。ところが、ヴィニートのほうも、いやいや本作の主役はあんたなんだからといった感じで、ふっとニヴィンの後ろに姿を隠す部分もあり、それなら黒子に徹してくれればいいのに、マラヤーラム・ニューウェーブ映画の立役者はオレなんだぜと言わんばかりに、目立ちたがろうとする部分もあったため、私の目には混乱して見えた。サッカーに喩えて言うと、ワントップで戦いたいシステムなのに、フォワードの選手が2人いたため、どっちがパスを出し、どっちがシュートを撃つかで混乱している、といった感じだった。

・また、ウメーシュは映画好き、ガウタム・メーナン監督とアジット好きと設定されていたのに、それが後半の展開とは全く関係なく、結局はウメーシュをチェンナイに行かせるために口実でしかなかった、という脚本も面白くないと思う。

・テーマ的には面白い。前回紹介したカンナダ映画の【Krishna Leela】が「スマホ使用の危険性」を扱っていたように、本作もスマホやタブレットなどの機器と、FacebookやWhatsAppなどのメディア・サービスの何気ない使用が、事件に結び付く危険性を孕んでいる、というものだった。

・ヒロインのDaisyは「デイジー」ではなく、「デイシー」と発音されるようだった。それで、隣にDaisyが引っ越して来、その名前が「デイシー」だと分かったとき、ウメーシュがガウタム監督の【Vinnaithaandi Varuvaayaa】を思い出して、「あの映画では『ジェシー』、オレの場合は『デイシー』!」と運命めいたものを感じ、喜ぶ場面が面白かった。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ニヴィン・ポーリ(ウメーシュ役) ★★★☆☆
 こうヒット作が続くと、ゆとりが出てくるのか、本作のニヴィンはかなり良かった。感心した。ヴィニートと譲り合うところがなかったなら、4つ星贈呈だった。
 (写真下:この音楽シーンでは劇場内が複雑な笑いに満ちていた。)

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・マンジマ・モーハン(デイシー役) ★★★☆☆
 鑑賞前はヒロインのほうに目が向かなかったが、私好みの女優が出ていて、得した気分。このマンジマさんは新人で、スネーハーを無愛想にしたような感じで、なかなか良かった。

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 新人といっても、映画業界人の娘さんで、子役としてのキャリアもあるらしい(こちら)。

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・シャージ役のアジュ・ヴァルギースは相変わらずの悪戯っ子役だった。もう一人、タンカプラサード役のニーラージ・マーダヴにはもう少し見せ場を作ってほしかった(下)。

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・エンディングでカメオ出演するお方に注目。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
・音楽についてはほとんど印象に残っていないが、タンジャーウールからパラニへと移動する音楽シーンは良かった。

・ウメーシュがチェンナイの映画界をぶらぶらする音楽シーンは「夢の映画都市・チェンナイ!」という感じだったが、ケーララの田舎者の目にはそう見えるのかな? モリウッドじゃダメなんだろうか?

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・撮影は良い。タンジャーウールとパラニのシーンがきれい。川縁で三人がうだうだ酒盛りしているシーンも私の琴線に触れた。

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◎ その他(覚書)
・列車の中には映画のパイレーツDVDも売りに来るようだ。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月28日(土),公開第1週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),18:45のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★★☆
 

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【Achcham Yenbadhu Madamaiyada】 (Tamil)
 ガウタム・メーナン、シランバラサン、A・R・ラフマーンの名が揃えば、すぐにヒット作【Vinnaithaandi Varuvaayaa】(10)を思い浮かべるが、このトリオの映画が再び登場した。それがこの【Achcham Yenbadhu Madamaiyada】で、【Vinnaithaandi Varuvaayaa】の時と同様、テルグ語版【Sahasam Swasaga Sagipo】も作られ、そちらの主役はやっぱりナーガ・チャイタニヤという、このデジャヴュ感。しかし、トレイラーを見... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/11/17 20:39

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