カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Vaastu Prakaara】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/04/08 21:33   >>

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 ヨーガラージ・バット監督の久々の新作。
 ヨーガラージ・バット監督は、【Dyavre】(13)で俳優として出演したり、いくつかの映画でナレーターを務めたりして、サンダルウッドで話題の途切れることがなかったため、新作を発表するのが【Drama】(12)以来2年半ぶりというのは意外な気もする。
 今回は「演技の達人」ジャッゲーシュと「シンプルスター」ラクシト・シェッティのツイン・ヒーローのようだし、ヒロインもパルル・ヤーダヴとアイシャーニ・シェッティのツインのようで、賑やかなドラマになりそうだった。
 題名の「ワーストゥ・プラカーラ」というのは「ワーストゥによると」という意味。「ワーストゥ」は古代インドで成立した方位学、建築環境工学のことで、中国起源の「風水」に似た思想・学問のこと(こちら参照)。これが最近のインドでかなりブームになっていて、実際に家屋や寺院を建てる際にワーストゥの説が取り入れられるケースが多い。ただ、風水と同じく、疑似科学、迷信めいたところが多々あるため、それに振り回される現代人をヨーガラージ・バット監督がどう描いているか、見ものだった。

【Vaastu Prakaara】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Yogaraj Bhat
出演 : Rakshit Shetty, Jaggesh, Aishani Shetty, Parul Yadav, Anant Nag, Sudharani, T.N. Seetharam, Sudha Belawadi, Rockline Sudhakar, Kaddipudi Chandru, Prashanth Siddi, その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Santosh Rai Pathaje
編集 : Suresh S.A.
制作 : N. Kumar, Yogaraj Bhat

題名の意味 : 風水に従って
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 4月2日(木)
上映時間 : 2時間25分

《 あらすじ 》
 クベーラの父(T.N. Seetharam)は有名な風水(ワーストゥ)の師匠で、テレビ番組を持っているほどだったが、クベーラ(Rakshit Shetty)自身は風水を単なる迷信だと考えていた。クベーラは地元のハヌマーン神像の向きを変えてしまうが、これが人々の顰蹙を買い、父とも対立したため、故郷を離れ、叔父を頼ってワーステニアという国に飛ぶ。
 叔父のジャガディーシュ(Jaggesh)は、かつて同国でクリケット・バットを製造する工場を持ち、羽振りが良かったが、政変で国家が二分してしまい、他方の領土にあった工場が没収され、手元に借金のみが残る身だった。さらに、裁判のために雇った弁護士のニルマラ(Parul Yadav)に惚れるが、ちょっとした経緯で嫌われてしまい、豪華な住居をプレゼントしただけの結果に終わっていた。
 ジャガディーシュとクベーラはお金を得る必要があったが、叔父の次なるビジネス・アイデアは風水でひと儲けしようというものだった。これにはクベーラも抵抗するが、同地に暮らすインド娘のリトゥ(Aishani Shetty)との出会いが彼の考えを変える。
 リトゥは同地の富豪の一人娘だった。父のアナンタクリシュナ(Anant Nag)と母のヴァンダナ(Sudharani)は、母が父の浮気を疑ったため、離婚争議中で、母方の弁護士にはニルマラが就いていた。リトゥはジャガディーシュとクベーラから風水の話を聞き、住環境を変えれば両親の仲も改善するかもと考え、一縷の望みでクベーラに風水に従った屋敷の改築を依頼する。ジャガディーシュとクベーラは早速作業員を手配し、改築工事を始める。そんなばたばたの中で、クベーラとリトゥは互いに惹かれるものを感じるようになる。
 だが、ここにインドからクベーラの父がやって来る。実は、たまたまこの屋敷自体がクベーラの父が風水に従って設計したもので、ジャガディーシュとクベーラがいんちき風水師だということがバレてしまう、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・私的には面白いと思ったが、批評家の評価は割れているし、私の周りの鑑賞者も軒並み「つまらない」と言っている。たぶんインド人には、こういう哲学的な含みのある映画よりも、直感的、感性的に楽しませてくれる映画のほうが好まれるのだろう。

・インド人の意見を聞くと、どうも言葉に関して不満があるようだ。ヨーガラージ・バット監督作品といえば「言葉のアート」とも言えるもので、台詞や歌詞が素晴らしく美しいらしい。しかし、本作は物語の8割が「ワーステニア」というヨーロッパの架空の国家で進行し、言葉も英語やら片言のカンナダ語やら謎のワーステニア語やらが飛び交うもので、「頭痛がした」と証言する鑑賞者もいた。

・ただ、私はそんな次元では鑑賞できなかった。やっぱりヨーガラージ監督の作品というのはストーリーらしいストーリーがなく、台詞本位で進むので、根本的に言葉がよく分からないという理由で、苦労した。

・「哲学的な含み」と書いたが、本作は理屈っぽい映画、難解な映画というわけではなく、風水(ワーストゥ)のテーマはさて置くと、基本的に3組のペア(クベーラとリトゥ、ジャガディーシュとニルマラ、アナンタクリシュナとヴァンダナ)のラブコメとして物語が進む。これは笑えたり、胸がキュンとする場面もあったりして、割と良い。

・しかし、いつも思うのだが、ヨーガラージ監督の描くラブストーリーは、「きっかけ」というか「決め」というか、男女がいつ、どんな出来事があって愛するようになったのか、という部分がよく分からなくて困る。ただ、本作では「満月(Poornima)」の夜が6人の心境を変えるターニングポイントとなっていたが、インド人は満月を見たらムラムラするのかと、参考になった。

・「ワーストゥ」については、ヨーガラージ監督は尖鋭にそれを批判/否定しようという意図はないようだった。ただ、ほとんど信じてもいないようだった。人はワーストゥ、ワーストゥと言って、住居に壁を作ったり壊したりしているが、人の心にはそういう壁を作らないように、ということがメッセージとなっていた。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ラクシト・シェッティ(クベーラ役) ★★★☆☆
 【Simpallag Ond Love Story】(13)でも、【Ulidavaru Kandante】(14)でも、役者として面白いものを見せていた楽人さんだが、本作ではやや精彩を欠いていた。悪かったわけではないが、ジャッゲーシュという大物共演者を食うぐらいの気概がほしかった。

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・ジャッゲーシュ(ジャガディーシュ役) ★★★★☆
 ピンではない分、出番は少なかったが、存在感とセリフの上手さはさすが。「欧州へ馬鹿がやって来た」という感じが良い。
 (写真下:それにしても、この顔のアバタは、もはや小惑星の表面だな。)

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・アイシャーニ・シェッティ(リトゥ役) ★★★☆☆
 事前に見たスチルやトレイラーでは全く惹かれるものを感じなかったが、映画の中で見ると、純真な感じで、なかなか可愛かった。

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・パルル・ヤーダヴ(ニルマラ役) ★★★☆☆
 何か変な役だった。カンナダ人とパキスタン人のハーフという設定で、欧州暮らしなので、とんちんかんなカンナダ語を話していた。美人弁護士というのはパルル姐さんにはぴったりだけれど。

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 ところで、この「Parul」という名のカンナダ語表記は、「パルル」、「パールル」、「パールール」の3種類を見かけ、どれが正しいのか分からない。とりあえず、短いに越したことはないので、「パルル」としておく。

・リトゥの父役のアナント・ナーグが良い。母役のスダーラーニは演技に深みがないようだった。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・歌は普通の出来だが、音楽シーンは面白く作られている。

◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・物語の8割は架空のワーステニアが舞台だが、その屋外シーンはスイスで撮影されたものらしい。しかし、すべてがスイスかどうかは分からない。また、そのワーステニアにあると設定されている屋敷の内部シーンはベンガルールのベンガルール・パレスで撮影されたらしい。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月5日(日),公開第1週目
・映画館 : Eshwari,11:15のショー
・満席率 : ほぼ満席
・場内沸き度 : ★★★☆☆
 

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【Ricky】 (Kannada)
 スタイルが古くさいと言われるカンナダ映画にあって、【Lucia】(13)と【Ulidavaru Kandante】(14)は特筆すべき新趣向映画の秀作だが、その両作品に表向き地味に参画していた人物がリシャブ・シェッティだ。この度そのリシャブ氏が監督デビューする運びとなり、友達でもないのに妙に感慨深いものを感じる。  主演は【Ulidavaru Kandante】、【Simpallag Ond Love Story】(13)のラクシト・シェッティ。日本でも【Vaastu Prakaa... ...続きを見る
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