カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Rana Vikrama】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/04/15 21:16   >>

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 プニート・ラージクマールの話題の新作は【Rana Vikrama】。
 プニートの作品はすべて観ていたが、2014年の2作(【Ninnindale】と【Power***】)はお休みし、先日観た【Mythri】はやや変則な役柄だったので、プニートの本格的主演作を観るのは1年半ぶりになる。
 もちろん、プニートが楽しみということではなく、私の目当てはアンジャリとアダー・シャルマーなのだが、それは脇に置くとして、今回は監督のパワン・ウォデヤルに注目したい。ヒット作【Govindaya Namaha】(12)でデビューし、続く【Googly】(13)もヒットした新進監督だ。【Govindaya Namaha】は低予算っぽいコメディー、【Googly】はラブストーリーだったが、今回は大きめの予算をもらって、アクション映画に挑んだ模様。

【Rana Vikrama】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Pavan Wadeyar
出演 : Puneeth Rajkumar, Adah Sharma, Anjali, Vikram Singh, Girish Karnad, Dinesh Mangalore, Rangayana Raghu, Avinash, Ashok, Sudha Belawadi, Mukyamanthri Chandru, Sanjay, その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : S. Vaidhi
編集 : Suresh S.A.
制作 : Jayanna, Bhogendra

題名の意味 : 戦いの勝者(戦うヴィクラマ)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 4月10日(金)
上映時間 : 2時間27分

《 あらすじ 》
 カルナータカ州とマハーラーシュトラ州の州境に、地図にも政府の記録にも載っていない謎の地域があった。ある記者がそこを潜入調査するが、あえなく殺害される。しかし、記者の送っていた手紙がカルナータカ州の内務大臣(Girish Karnad)を動かす。大臣はその地域の捜査を担う強靭で誠実な警官を探すが、適当な人材はいなかった。そんな時に、ヴィクラム(Puneeth Rajkumar)という青年がひょっこり大臣の前に現れる。警官志望のヴィクラムは警察試験にパスしたものの、賄賂を払うというアイデアがなかったため、警官にはなれないでいた。内務大臣はうってつけの人物が現れたと思い、彼を「実習生」という形で登用し、件の地域に送り込む。
 そこはヴィクラマティールタという名の村で、マハーラーシュトラ州の政治家クルカルニ(Dinesh Mangalore)が取り仕切っている採鉱現場があった。ヴィクラムは早速採鉱現場のならず者を倒し、奴隷のように働かされていた村人を解放する。また、現地の様子を内務大臣に報告し、ヴィクラマティールタはニュースでも報道されるようになる。ところが、そのニュースを見たヴィクラムの祖母ガウリ(Anjali)が体調を崩したため、ヴィクラムは急遽ベンガルールの実家に戻る。祖母は孫に祖父ヴィクラマの話を語って聞かせる。
 ・・・
 インド独立間近の1947年。ヴィクラマティールタに暮らすヴィクラマ(Puneeth Rajkumar)は、村長ランガンナ(Avinash)の娘ガウリ(Anjali)とめでたく結婚する。この村は痩せた地で、英国の徴税官(Vikram Singh)も税金を取っていなかった。しかし、科学者(Sanjay)がこの地にウランが採れることを発見したため、事情が一変する。鉱物の独占を目論んだ徴税官は村人の追い出しにかかるが、その前にヴィクラマが立ちはだかる。徴税官は軍を増強し、ヴィクラマを捕縛し、村を占拠する。ガウリは何とか村を脱出する。徴税官はヴィクラマを殺そうとするが、相打ちとなり、二人とも死亡する。以来、ヴィクラマティールタとウランは隠匿され、ならず者に管理されることになる。
 ・・・
 ヴィクラマティールタのウラン・ビジネスは国際マフィアのドン、ジョンソン(Vikram Singh)が黒幕だった。彼はウランを原爆製造を目論むテロリストに売却しようとしていた。政治家クルカルニから警官ヴィクラムの邪魔立てを知らされたジョンソンは、自らヴィクラマティールタに乗り込み、再び採鉱場を奪還する。ヴィクラムは内務大臣に懇願し、特殊部隊を率いて、ヴィクラマティールタに戻る、、。

・その他の登場人物 : パールワティ(Adah Sharma),州首相(Mukhyamantri Chandru)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・最近のカンナダ映画のはっきりした流行に「二時代・ヒーロー二役物」というのがある。つまり、過去の人物の子孫または生まれ変わりとされる人物が現代で活躍し、過去の因縁を片づけるというものだが、【Bhajaranghi】(13)、【Brahma】(14)、【Gajakessari】(14)などが現れた。これは何もカンナダに限った話ではなく、タミルでもつい最近【Lingaa】(14)が作られたし、そもそも同一人物とも言える別人格が時代を跨いで活躍するという物語は叙事詩に見られるものなので、インド映画でも古くから使われた語り口だろう。しかし、最近の作品のようにファンタジー色が強くなったのは、テルグの【Arundhati】(09)と【Magadheera】(09)のインパクトかなと思う。

・この【Rana Vikrama】もぴったりとそのトレンドを踏んでいる。プニートがヴィクラマとその孫ヴィクラムを演じており、アンジャリが同一人物のガウリを演じている(なので、アンジャリは現代編では90歳近い老婆として登場する)。ヴィクラマと戦った英国徴税官は現代編では国際マフィア、ジョンソンとして登場し、この二人物も祖父−孫で、どちらもヴィクラム・シンが演じている。

・もう一つ、パワン・ウォデヤル監督は【Ugramm】(14)からもヒントを得たかなと思える点がある。【Ugramm】と本作は似た印象を受けないが、ロジックは二の次にしてとにかくスリークなアクションを見せようとした点や、物語の舞台をカルナータカ州とマハーラーシュトラ州の州境の「歴史/地図から消された地」とした点が似ている。(【Ugramm】では明瞭に北カルナータカとは言及されていないが。)

・特に、北カルナータカ州境の架空の地というアイデアは興味深い。カンナダ映画では北カルナータカが舞台になることは滅多にないが、稀に出て来るのがこういう怪しい地だとうのは、何か特別な理由があるのかもしれない。

・独立前夜の、英国と戦うインド人が描かれていても、本作に「インド万歳!」というモチーフはなかった。むしろ、隣のマハーラーシュトラ州を相当意識しており、結局は「カンナダ旗」が翻るものになっていた。こういう地域エゴなところがインド地方映画の面白い点だと思う。

・感想としては、大味なテイストだが、なかなか面白かった。パワン監督にはあっぱれと言ってやりたい。州境の問題や政治家の無気力、警察の腐敗、地下資源(ウラン)を悪用するマフィアなど、シリアスな問題も盛り込まれているが、漫画の一コマとして見たほうがいい。つい先日まで「見習い警官」だった男(ヴィクラム)がガトリング銃を撃ちまくるというのは、あり得ないはずだが、面白かった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・プニート(ヴィクラム/ヴィクラマ役) ★★★☆☆
 かなりヒロイズムを発していた。好き嫌いは別として、このいかつい顔だけで十分武器になる。もう少し体を絞って、ダンスにキレが戻ったら、それも武器になるのだが。

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・アダー・シャルマー(パールワティ役) ★★★☆☆
 二日続けてアダー・シャルマーを見ることになり、ハッピーだった。【S/O. Satyamurthy】より本作のほうが可愛かったかな。ただ、やっぱりこの人は15秒のテレビCM向きで、女優として見ると、どうかと思った。(役柄を書き忘れたが、現代のヴィクラムの恋人役でした。)

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・アンジャリ(ガウリ役) ★★★☆☆
 村娘のガウリは期待どおりで満足した。老ガウリのほうは、無理して凄いメイクをするより、別の高齢女優を使ってもよかったと思う。声はセルフダビングしているようだった。

・ヴィクラム・シン(ジョンソン/徴税官役) ★★☆☆☆
 あまり有名じゃない人のようだが、ボリウッドから悪役として来演。こんなふうにイギリス人と言われても特に違和感のない顔が調達できるところが、インドの面白い点かな。凄い英語とカンナダ語を喋っていたけど(吹き替えだと思う)。
 (写真下:撮影現場より。)

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【Lucia】(13)でユニークな風貌の捜査官をやっていたオジサン(Sanjay)が科学者役で登場していた。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・ハリクリシュナの音楽は全く新鮮味はないが、2つの音楽シーン(プニートとアダー・シャルマーが時代物の衣装で踊るものと、アンジャリを配した村の一幕)は良かった。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・ラヴィ・ヴァルマ担当のアクションは良い。美術、衣装、メイクはもうひと頑張りほしい。

・撮影は、太っているわけではないアダー・シャルマーの腹の脂肪をわざわざ狙う残酷カメラが効いていた。

◎ その他(覚書)
・昔のヴィクラマティールタでヴィクラマが森の部族と戦うシーンがあったが、ああいう部族が実際にいた(いる)のか、架空なのか、気になる。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月12日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),12:30のショー
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★☆☆
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
面白かったです。
プニートの死なな過ぎは笑いました。
いったいブニートが死ぬ映画ってあるのでしょうか。

サントシュだったので指笛も派手になりまくってましたが、
後半はみんな息切れしたのか、
感動しながら見入っていたのか、
指笛も少な目に。

あの後姿はプニートのカットアウトだったのですね。
正面から見たらさらに見事なカットアウトでした。
でも、自分とこには写真もう貼れなくなりましたw
やっほー
2015/05/22 13:33
はい、この映画のプニートは特にヒーロー度が立っていたと思います。
見られてよかったですね。
 
カーヴェリ
2015/05/23 01:08

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