カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Purampokku Engira Podhuvudamai】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/05/20 21:45   >>

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 この週末はぼさっと鑑賞できる軽い映画を観たかったが、適当なのがなかったので、このタミル映画にした。本作はランタイムも長そうだし、テーマも重そうだし、監督もS・P・ジャナナータンなので、避けたかったが、仕方がない。ジャナナータン監督は【Iyarkai】(03)という作品で国家映画賞を取っているほどの人だが、私が観た唯一の作品【Peranmai】(09)からは良い印象を受けなかった。アーリヤーとヴィジャイ・セードゥパティが出ていることが私にとって救いか。

【Purampokku Engira Podhuvudamai】 (2015 : Tamil)
脚本・監督 : S.P. Jananathan
出演 : Arya, Vijay Sethupathi, Shaam, Karthika Nair, その他
音楽 : Varshan, Srikanth Deva (BGM)
撮影 : N.K. Ekambaram
編集 : N. Ganesh Kumar
制作 : Siddharth Roy Kapur, S.P. Jananathan

題名の意味 : みんなの土地はみんなのものに
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ,スリラー
公 開 日 : 5月15日(金)
上映時間 : 2時間40分

《 あらすじ 》
 共産主義グループのリーダー、バール(バールサーミ:Arya)が逮捕され、裁判の結果、数々の反政府活動、殊にインド国軍へのテロ未遂事件の廉で死刑を宣告される。バールはチェンナイの刑務所に送られ、そこの看守マコーリー(Shaam)の手に委ねられる。マコーリーは適切な絞首刑執行人としてヤマリンガム(Vijay Sethupathi)という男を探し出し、彼に依頼する。ヤマリンガムは祖父も父も絞首刑執行人をしていたという家系で、彼自身も若いころに刑の執行を経験していた。しかし、その苦い経験が彼のトラウマとなり、今では飲んだくれの鉄道労働者となっていた。
 バールのグループのクイリ(Karthika Nair)は他の仲間と共にバールを救出しようとしていた。彼女はバールの執行人ヤマリンガムのことを知り、彼を殺害しようと狙う。だが、ヤマリンガムが刑の執行に必ずしも乗り気でないのを知り、彼を殺さずに利用しようと思い付く。ヤマリンガムはクイリからバールの活動の意図を聞き、共感を覚え、バールを脱獄させるためのスパイ活動を行うことに同意し、刑務所内に入る、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・後半はスリラーの体裁を取っているものの、基本的にはメッセージ志向の作品なので、字幕がなくて、よく分からなかった。残念。しかし、予想したほど重苦しくもなく、ランタイムの長さも気にならず、それなりに楽しめた。

・ツイン・ヒーローの作品で、共産主義者のバール(Arya)と絞首刑執行人のヤマリンガム(Vijay Sethupathi)が本作の2つのテーマを担っている。

・まず、バールの反政府活動の主張は、政府や軍、及びそれらと結託している大企業(多国籍企業を含む)が、本来人々の共有地であるはずの土地を占有し、産業廃棄物の集積場としていることへの抗議ということのようだった。バールが「インドはゴミ箱じゃない」というボードを掲げてインド国軍に自爆テロで挑む場面には笑ったが、メッセージそのものには100パーセント賛同できる。

・題名の「Purampokku Engira Podhuvudamai」というのがよく分からない。「Purampokku」というのは、ジャナナータン監督自身の説明によると、「荒れ地」とか、誰の所有とも言えない「共有地」(池とか墓地)を指す言葉らしく、その土地が上述したように政府等によってちゃっかり占有され、ゴミ箱と化しているが、それを民衆のために取り戻そう、というメッセージを表現したのがこの題名だと思われたので、上では「みんなの土地はみんなのものに」としておいた(間違っていたらごめんなさい)。

・この反体制主義者バールとは真逆で、あくまでも国家と法の維持に尽くすのが正義だと信じる人物が看守マコーリー(Shaam)で、この二人が光と影のようにぴったり対応的に描かれていたので、分かりやすかった。

・もう1つの、ヤマリンガムに託されたテーマは「死刑」という制度の是非だろう。日本でも死刑に関する議論は度々起きるが、本作では、死刑に処せられる人物の立場から人権をテコに制度の是非を問うというより、死刑を執行する人物の立場からこの制度に対する懐疑的な視線が提示されている。いかに法的な拠り所があるとはいえ、結局は人を(個人的憎しみがあるわけでもないのに)殺すわけだから、殺した人物は殺された人物以上の苦しみを味わうかもしれない。このヤマリンガムのエピソードは面白いと思った。

・このようにテーマ的には面白いのだが、せっかくバールは素晴らしいメッセージを持った人物として登場していながら、そういう思想を奉じている人物として描かれているだけで、その思想を巡っての闘いという面が弱かった。物語は結局は「いかにバールを脱獄させるか」というスリラーの方向に流れてしまったのが残念だ。

・また、結末がやはり悲劇的な落とし方になっていて、こういうのを好む人もいるとは思うが、私は賛成できない。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・アーリヤー(バール役) ★★★☆☆
 物語中では現代のバガト・シンみたいな言及のされ方をしていたが、そういう英雄的なイメージはバールからは感じられなかった。とにかく、もっと革命家バールというのが活きるような脚本にしてほしかった。アーリヤーの演技に特に落ち度はなかったと思うが、彼らしいエネルギーは見られなかった。
 (写真下:獄中で『革命の沈黙』という手記を執筆するアーリヤー@バール。しかし沈黙していたのは脚本だったような気が。)

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・ヴィジャイ・セードゥパティ(ヤマリンガム役) ★★★☆☆
 まだまだ【Pizza】(12)のイメージで見てしまうが、えらいオッサンくさくなったもんだ。芝居は上手くなっているが、ダンスがカールティと並ぶぐらい下手っぴだということが分かった。それはさておき、このヤマリンガムの家系がどういう経緯で絞首刑執行人になったのか、カーストは何なのか、気になる点は多い。

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・カールティカ・ナーイル(クイリ役) ★★★☆☆
 全く女性がやる必然性のない役だったが、たぶん作品に女っ気を出すためだろう、宇宙娘カールティカが紅一点で出演している。左翼グループのバールに次ぐリーダー的存在の役だったが、これも監督は中途半端に彼女の色気を出そうとしないほうが良かったと思う。
 (写真下:こんな場面、あったかな?)

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・シャーム(マコーリー役) ★★★☆☆
 こういう一直線な国家公務員の役にこのお方を持って来たのは正解だった。

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◎ 音 楽 : ★☆☆☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★☆☆☆☆
・BGMはまずまずだったが、音楽がひどかった。「なんで入れた?」と首をかしげる音楽シーンが3つほどあったが、ダンスもひどかったので、それなら音楽シーンは抜いて、ランタイムを短くしたほうが正解だったと思う。

◎ アクション : ★★☆☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・物語中のチェンナイの刑務所はセットらしいが、これがなかなか良かった。

◎ その他(覚書)
・インドの絞首刑がどんな準備を経て行われるのかが分かって、興味深かった。例えば、死刑囚の等身大の人形を作ってリハーサルのようなことをやるとか。ただし、これは映画的な脚色かもしれず、事実とは違っている可能性はある。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月17日(日),公開第1週目
・映画館 : Poornima,10:30のショー
・満席率 : 1割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
 

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