カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Premam】 (Malayalam)

<<   作成日時 : 2015/06/17 21:36   >>

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 この【Premam】は、監督が【Neram】(13)のアルフォンス・プトラン、プロデューサーが【Ustad Hotel】(12)のアンワル・ラシードということで、気にならないことはなかったが、なにせニヴィン・ポーリが主演なので、観ないつもりでいた。いや、ニヴィン・ポーリが嫌いということではないが、彼の出演作はよく観ているし、今度こそラッキーボーイもフロップを打つだろうという読みだったのである。
 ところが、公開されるや、やっぱり評判が良く、ブロックバスターになりそうだった。そこで、ちらっと動画をチェックしてみたら、こんな落とし穴が待っていたとは!
 https://youtu.be/1DF1nOfUIaU
 落とし穴とは、もちろんこの強烈な毛髪の持ち主、アヌパマ・パラメーシュワランのことだが、久々に衝撃的な新人女優に出会ったと思った。南インドの神秘だと思った。ちょっとはファハド・ファーシルに分けてやれと思った。

【Premam】 (2015 : Malayalam)
脚本・監督 : Alphonse Putharen
出演 : Nivin Pauly, Sai Pallavi, Madonna Sebastian, Anupama Parameshwaran, Krishna Shankar, Shabareesh Varma, Wilson Joseph, Vinay Forrt, Soubin Shahir, Justin John, Jude Anthany Joseph, Maniyanpilla Raju, Eva Prakash, Renji Paniker, Alphonse Putharen, その他
音楽 : Rajesh Murugesan
撮影 : Anend C. Chandran
編集 : Alphonse Putharen
制作 : Anwar Rasheed

題名の意味 : 愛
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス/コメディー
公 開 日 : 5月29日(金)
上映時間 : 2時間44分

《 あらすじ 》
 2000年。コチ郊外の田舎町。16歳のジョージ・デーヴィッド(Nivin Pauly)は近所のメーリ(Anupama Parameshwaran)に首ったけだった。だが、メーリには同じジョージという名の彼氏がいることが分かり、初の失恋を味わう。
 2005年。技術大学の学生となっていたジョージは、友人のコーヤ(Krishna Shankar)やシャンブ(Shabareesh Varma)らと悪ふざけの日々だった。そこへ新任講師のマラル(Sai Pallavi)が現れる。ジョージはマラルに惚れるが、同時にマラルとの交流を通して、真剣な愛というものを知る。だが、マラルは交通事故に遭って記憶障害となり、ジョージとの記憶も失ってしまう。
 2014年。30歳のジョージはカフェ「アガペー」のオーナーとなっていた。ある雨の夜、セリン(Madonna Sebastian)という女性が誕生日のケーキを買いに来る。その後ジョージは再びセリンに会い、どこか惹かれるものを感じるが、実は彼女は初恋の相手メーリの妹だということが分かる、、。

・その他の登場人物 : 大学教官ヴィマル(Vinay Forrt),ジョージョー(Wilson Joseph),ローニ(Alphonse Putharen)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・マルチプレックスで観たい1本だったが、諸般の事情で単館(シヴァージナガルのサンギート劇場)で観た。満席が予想されたので、早めに映画館に行ったが、案の定、チケットを手に入れるのに1時間並ばなければならなかった。で、ゲートが開くやいなや、押し合いへし合いとなり、もぎりのオヤジが怒鳴り出す有様。この劇場でこういう状況は経験したことがなかったので、まずは本作の人気のほどに驚いた。結果的には、上映中は指笛、歓声の連続だったので、単館で観たのは正解だったと思う。

・マラヤーラムのお若い方にとってストライクゾーンど真ん中の同世代映画なのだろう。私も「ついにここまで来たか」という感慨を覚えた。だって、何度も同じ表現を使って申し訳ないが、ほんの4、5年前までは「ケーララの地には15歳以上28歳以下の若者はいないのか?」と思わせたほど中年くさかったマラヤーラム映画が、こうなっちゃったんだぜ。【Neelakasham Pachakadal Chuvanna Bhoomi】(13)、【Ohm Shanthi Oshaana】(14)、【Bangalore Days】(14)などで若返りに成功したマ映画界だが、本作はさらにカジュアル度を増している。

・上で「15歳以上28歳以下」と書いたが、本作はまさにその年齢層をターゲットとしており、主人公ジョージ(Nivin Pauly)の16歳から30歳ごろまでの恋愛白書が綴られている。恋の相手は3人で、最後は結婚で締め括られるという構成は、まるでタミル映画【Autograph】(04)そのものだが、10年の歳月はダウンサウスの人々のセンスも変えてしまったようで、両者からは全く違った印象を受ける。(ただし、込められた情緒や恋愛/結婚に対する考え方はそれほど変わっていないように見えた。)

・とにかく、【Autograph】に見られたような、ストーリー性と言うか、ドラマ性がないのである。本作のストーリーはあらすじを書くのに苦労するほど単純なものだし、従来のインドの恋愛映画では常套だった、プロタゴニストの誇張された失恋の痛みや精神状態のアップダウンが希薄なのである。代わって表に出てきているのが、ジョージとその友人たちによる脱線的なタメ口や、監督のお遊び的表現で、そちらのほうが面白い。

・まぁ、それもそのはずで、恋に破れたからといって毒を飲むとか、ずぶずぶと酒浸りになり、ゴミ箱の中で寝てしまうというような人は特殊な例で、実際の青年たちはもっとさばさばしているはずだ。その点で、本作は今の若者の実像をよりリアルに描いていると言える。【Autograph】よりかは、タミル映画の【Chennai 600028】(07)や【Attakathi】(12)、カンナダ映画の【Simpallag Ond Love Story】(13)などのほうによっぽど近い。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ニヴィン・ポーリ(役) ★★★★☆
 【1983】(14)と同じく、ニヴィン演じる主人公の成長を追った年代記風映画だが、演技的には本作のほうが年齢ごとの演じ分けが上手くできていた。変わったのはヒゲだけじゃないか、と突っ込めないこともないが、面白いほどニヴィンにお誂え向きの役だった。観客からもの凄い声援を受けていたが、それからすると、ニヴィンの人気は本物なのだろう。

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・アヌパマ・パラメーシュワラン(メーリ役) ★★★☆☆
 本作はヒロイン3人が等しい重さで並ぶものと予想したが、楽しみにしていたアヌパマ・パラメーシュワランは導入的な役割で、開始30分かそこらで消えてしまった。がっかり。

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 私は女性の髪質に対する特定の嗜好はなく、サラサラ髪でも縮れ毛でも剛毛でも何でもいいのだが、彼女の髪には萌える。輪廻転生は信じない私だが、彼女の髪に棲みつけるなら、蚤、虱に生まれ変わってもいいな。

・サーイ・パッラヴィ(マラル役) ★★★★☆
 このお方も新人らしい。3人のヒロインのうち、ジョージに転機をもたらす最も重要な役割を演じている。演技も悪くはなかったが、オドロキはあのダンス。いや、普通のブレイクダンスなのだが、これがマラヤーラム映画だということを考えると、椰子国の泰平の眠りを覚ます衝撃だったに違いない。

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・マドンナ・セバスチャン(セリン役) ★★★☆☆
 これまた新人女優とのこと。ホッと安堵感を与えてくれるような笑顔が良かった。
 (写真下:左下隅は少女時代のセリン。)

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 それにしてもアルフォンス・プトラン監督は、【Neram】のナスナスといい、本作の3人娘といい、女優の使い方が上手い。

・その他の脇役陣も良かった。カフェ「アガペー」に馬で乗りつけたトンチンカンは誰?

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・本作の大きな特徴として、音楽シーンが多いというのがある。7,8曲はあったと思うが、これはマラヤーラム映画では(というか、インド映画全般でも)異例のことだ。おかげでラジオ番組みたいなノリにもなっている。2,3曲を除いて、音楽そのものが良かったとは思えないが、いろいろ面白いアイデアはあった。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・編集はアルフォンス・プトラン監督自身が担当したようだが、もっとバサバサ切れただろうと思う。

◎ その他(覚書)
・最初のエピソードの時代は2000年で、15年前といえば、私の感覚ではそれほど昔だとも思えないのだが、場面から受ける印象はかなり昔風だった。

・台詞や音の感じがナチュラルだったので、アフレコではなく、同時録音か?

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月14日(日),公開第3週目(バンガロールで2週目)
・映画館 : Sangeet,14:45のショー
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★★☆

 

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