カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Rangi Taranga】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/07/07 22:00   >>

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 本作はスタッフもキャストもほぼ知らない人ばかりだし、ポスターも奇をてらった感じだし、観る予定にはしていなかったが、業界人からも一般人からも高く評価する声が相次いだので、観ることにした。
 監督のアヌープ・バンダーリという人は短編映画作家で、【Words】(10)という作品で評価されたらしい。長編商業映画では本作がデビュー作となる。
・【Words】: https://youtu.be/-WrN3v7Aw-E

【Rangi Taranga】 (2015 : Kannada)
脚本・監督 : Anup Bhandari
出演 : Nirup Bhandari, Avantika Shetty, Radhika Chetan, Sai Kumar, Ananth Velu, Arvind Rao, Siddu Moolimani, Chetan Raj, Shilpa Singh, その他
音楽 : Anup Bhandari, B. Ajaneesh Loknath (BGM)
撮影 : Lance Kaplan, William David
編集 : B. Praveen Joyappa
制作 : H.K. Prakash

題名の意味 : 色とりどりの波
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : サスペンス・スリラー
公 開 日 : 7月3日(金)
上映時間 : 2時間29分

《 あらすじ 》
 2013年6月。ジャーナリストのサンディヤ(Avantika Shetty)は「アナシュク(ANASHKU)」という名で執筆している匿名作家の正体を探っていた。彼女は映画監督のふりをしてアナシュクの関係者に近づき、郵便物からアナシュクが現在ウーティにいるらしいことをつかむ。
 作家のガウタム(Nirup Bhandari)は妻のインドゥ(Radhika Chetan)と共にウーティで静かに暮らしていた。インドゥは画家で、ガウタムの本の表紙絵を描いていた。また、彼女は妊娠中だった。
 インドゥは時おり交通事故に遭遇する悪夢に悩まされていた。それで彼女は、お祓いのために故郷に帰って「ブータ儀礼」を行いたいと訴える。ガウタムはインドゥを彼女の故郷であるダクシナ・カンナダ県のカマロットゥへ連れて行く。ここでガウタムは、村の郵便局長のカーリンガ・バット(Sai Kumar)や学校校長のシャンカル(Ananth Velu)と親しくなる。
 無人のインドゥの実家に滞在し始めた二人はいくつかの不可解な出来事に遭遇する。そうこうしているうちに、インドゥ自身が行方不明になる。ガウタムは地元の警察に捜査願いを出すが、驚いたことに、警察署長バサワラージ(Arvind Rao)から「インドゥは2007年4月に交通事故で死んでいる」と告げられる。しかも、聞き取り調査の結果、インドゥの姿を見た村人はいなかったため、インドゥは実在せず、ガウタムの想像物だと片付けられる。
 一方、ジャーナリストのサンディヤは、ウーティでアナシュクがダクシナ・カンナダ県カマロットゥに行ったという情報をつかんだ後、この村にやって来ていた。彼女はガウタムに接近し、インドゥ捜しに協力することにする。
 警察署長の言葉に疑いを抱く二人は夜中に警察署に忍び込み、事件記録を調べる。その結果、この村で過去に12人の妊婦が毎年7月に1人ずつ行方不明となっていることが分かる。インドゥも妊婦で、7月に姿を消していた。さらにサンディヤの協力者パーンドゥ(Siddu Moolimani)の調査結果から、インドゥの友達のハリニという名の女性の存在が浮かび上がる。
 ガウタムはインドゥが持っていたある「日記」を見つけ出すが、一読して愕然とする、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・インド映画では良いサスペンス物というのはなかなか出ないもので、特にカンナダ映画ではさっぱりだが、本作は面白かった。カンナダのサスペンスではかつてラメーシュ・アラウィンドが監督した【Accident】(08)という作品が高く評価されたが、あれもそんなに完成度は高くなかった。本作は【Accident】よりは良い。

・ストーリーが複雑で、サスペンスらしい「隠し」と「騙し」が効いている。前半はホラー映画っぽいノリで、後半からヒネリが連発して、最後まで楽しめた。

・ストーリー上の工夫点は、「謎」を複数用意したことだろう。インドゥ失踪事件が起きるが、これは警察が言うようにガウタムの妄想なのか、それとも誘拐事件なのか? なぜインドゥは悪夢に悩まされるのか? ジャーナリストのサンディヤが探す「ANASHKU」とは何者なのか? ガウタムはなぜ村で命を狙われたのか? 「日記」を書いた人物は誰なのか? こうした謎が後半で明かされていく。

・ただ、面白かったとはいうものの、映画作品に期待したい「質感」という点ではどうかなぁ? よくできたテレビドラマといった感じで、もっと映画らしいダイナミックさがほしかった。映像も、2人のアメリカ人カメラマンによる撮影で、それが話題の一つでもあったが、それほど良い映像とは思えなかった。

・若手監督によるトリッキーなストーリーを持つ作品として、パワン・クマール監督の【Lucia】(13)やラクシト・シェッティ監督の【Ulidavaru Kandante】(14)と並べてもいいと思うが、本作はそれらに比べて「ひと味」足りない。【Lucia】のカンナダ語/カンナダ映画愛、【Ulidavaru Kandante】の蒸せるようなウドゥピの情景に当たるものが本作にもほしかった。

・しかし、【Ulidavaru Kandante】がウドゥピのクリシュナ生誕祭をモチーフにしていたように、本作は「ブータ儀礼」を取り上げており、それはエキゾチックで良かった。しかし、それももっとストーリーに強く絡ませれば、満点だったろう。(毎年同じ日に儀式を行わなければならないという宗教的脅迫観念は面白かった。)

・ちなみに、「ブータ儀礼(Bhootaradhane)」というのは、タミル映画【Uttama Villain】(15)で取り上げられた「テイヤム」と同種の憑依系宗教儀礼で、カルナータカ州ダクシナ・カンナダ県で一般的に行われているもの。下の動画は、マンガロール出身の女優アヌシュカ・シェッティが故郷でブータ儀礼に参加したというもの。



◎ 配 役 : ★★★☆☆
 主要登場人物はすべて新人だが、恥ずかしくない演技だった。これにベテランのサーイ・クマール(郵便局長役)やアルウィンド・ラーウ(警官役)が光る演技を見せていた。

◎ 演 技
・ニルプ・バンダーリ(ガウタム役) ★★★☆☆
 新人。監督のアヌープ・バンダーリの兄弟らしい。なかなか男らしい顔立ちだが、ヒーロー俳優としてやっていくには暗すぎる印象を受けた。

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・ラーディカ・チェータン(インドゥ役) ★★★☆☆
 新人だが、器用な人のようだ。(写真トップの右)

・アヴァンティカ・シェッティ(サンディヤ役) ★★★☆☆
 こちらも新人。姓からして、トゥルナード出身のバント・コミュか。エンディングの泣きの場面が良かった。(写真トップの左)

・サーイ・クマール(カーリンガ・バット役) ★★★☆☆
 小村の郵便局長で、ヤクシャガーナの演じ手という役柄だった。面白いパフォーマンスだった。

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・インドゥの友達役で、結婚式の場面に登場する人が、2012年のミス・ユニヴァース・インド代表のシルパ・シンだということが分かり、おったまげた。すごく地味に見えたが、、。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽と歌詞も監督のアヌープ・バンダーリ自身が担当している。歌は私好みの、素朴な田舎びた感じのものだった。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・上で触れたとおり、カンナダ映画では珍しく(初?)ハリウッドのカメラマンが撮影を担当している。写真下の左がランス・カプランという人で、【Words】の撮影を担当した人らしい。で、そのランスがウィリアム・デーヴィッド(右)を連れて来たらしい。

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◎ その他(覚書)
・物語の舞台はウーティ、ダクシナ・カンナダ県のケーララ州との州境の小村、ベンガルール、マディケーリだが、ロケもほぼそれに即して、カルナータカ州のBengaluru、Puttur(ダクシナ・カンナダ県)、Madikeri、タミル・ナードゥ州のOoty、ケーララ州のOttapalam、Allepyで行われたらしい。インドゥとガウタムの行く「Kamarottu」というのは、村の名前じゃなく、屋敷の名前だと思うが、よく分からない。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月5日(日),公開第1週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),15:50のショー
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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