カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Maari】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/07/29 21:35   >>

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 短編映画からスタートしたバーラージ・モーハン監督は、過去2作の長編映画【Kadhalil Sodhappuvadhu Yeppadi】(12)と【Vaayai Moodi Pesavum】(14)がどちらも軽めラブコメだったため、ダヌシュ主演でヤクザ映画を撮ったと知ったときはぎょっとした。これは何か訳があるに違いない。典型的なタミル・ヤクザ映画のフォーマットで攻めるのか、新奇な線を狙うのか? また、若手監督がこういう試みに手を出すと、失敗する例が多いのだが、【Maari】の場合はどうなのか、気になる点はいろいろあった。

【Maari】 (2015 : Tamil)
脚本・監督 : Balaji Mohan
出演 : Dhanush, Kajal Aggarwal, Vijay Yesudas, Robo Shankar, Kalloori Vinoth, Kaali Venkat, Mime Gopi, Shanmugaraja, Sriranjini, その他
音楽 : Anirudh Ravichander
撮影 : Om Prakash
編集 : Prasana G.K.
制作 : Listin Stephen, R. Sarathkumar, Raadhika Sarathkumar

題名の意味 : (主人公の名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション・コメディー
公 開 日 : 7月17日(金)
上映時間 : 2時間18分

《 あらすじ 》
 マーリ(Dhanush)はチェンナイのとある下町を縄張りとするヤクザで、「サンドバッグ(アディタンギ)」(Kalloori Vinoth)と「土曜日(サニキラマイ)」(Robo Shankar)というニックネームの2人の部下がいた。彼は縄張りの商店、露店から厳しくショバ代を取り立て、子供にさえ意地悪するワルだったが、近所の少女の学費を密かに出してやる心優しい一面もあった。また、鳩をこよなく愛し、彼の飼育する鳩は「鳩レース」で抜群の結果を出していた。
 マーリのライバルのヤクザに「バード」ラヴィ(Mime Gopi)がいた。彼は鳩レースでもマーリと対抗していた。マーリもラヴィも大物ドン、ヴェール(Shanmugaraja)に仕えていた。ヴェールは紫檀の密輸で儲けていた。
 この町の警察署に新しい副警部補のアルジュン(Vijay Yesudas)が赴任して来る。アルジュンは部下のアールムガム(Kaali Venkat)からマーリの情報を聴き、彼の逮捕を目標とする。噂では、マーリは8年前に大物ドンのパーンディを殺し、それ以来、暗黒街で大物にのし上がったということだった。だが、マーリのパーンディ殺害の記録・証拠はどこにもなかった。
 マーリのシマにシュリーデーヴィ(Kajal Aggarwal)という女性が引っ越して来、ブティックを開こうとする。これはマーリには報告されなかったため、彼らはシュリーデーヴィを脅す。しかし、この件はマーリが彼女のブティックのパートナーとなることで片が付く。だが、ヤクザが絡んでいるということで、客が逃げてしまい、シュリーデーヴィはマーリを憎む。ところが、シュリーデーヴィの父が「バード」ラヴィに負っていた借金問題をマーリが片付けたため、彼女はマーリに心を開く。
 シュリーデーヴィに惚れたマーリは彼女にプロポーズする。シュリーデーヴィはマーリに「もっとあなたのことが知りたい」と言い、8年前のパーンディ殺しの経緯などを聞き出す。
 その翌朝、マーリは警官アルジュンに逮捕される。実は、マーリを憎んでいたシュリーデーヴィはアルジュンと組み、マーリからパーンディ殺害の証拠(自白)を得ようと企んでおり、前日の会話はすべて録画されていたわけであった。
 マーリは刑務所に入り、7ヶ月後に出所する。だが、その間に縄張りはラヴィに奪われ、親分のヴェールも紫檀密輸の現行犯でアルジュンに逮捕されていた。
 一旦は町を去ろうとしたマーリだが、ラヴィとアルジュンの悪辣な行動に憤り、彼らに反撃を開始する、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・気になる作品ではあったが、公開後の評判があまり良くなかったため、観るのをやめようかとも思った。しかし観てみたら、これがけっこう面白かった。

・面白さの理由は、いくつかあるとはいえ、結局はダヌシュに尽きる。上手いとか、オーラを発しているとかいうことではなく、やっぱり旬というか、勢いを感じた。独特の旨味もある。

・一見、典型的なタミル・ヤクザ映画のフォーマットを踏んでいるように見えるが、たぶん二見してもそう見えるだろう。この点、バーラージ・モーハン監督は素直にマサラ仕立てのヤクザ映画を撮ろうとしたように思える。しかし、やはり微妙に変えてきている。

・まず、作品全体から受ける印象が、ダヌシュの体重ほど軽い。タミルのヤクザ映画といっても、【Baashha】(95)みたいながっちりした重さと堅さはない。基本、コメディーで、映倫認証も「U」でクリアしている。

・パンチ台詞とヒーロー礼賛といった定番は強調しているが、親子兄弟のセンチメントといった伝統的な要素は抑えてある。エンディングも、ヒーローがヒロインと結ばれて、めでたく結婚式、、という終わり方ではなく、かなりクールに終えている。この辺に新世代のセンスを感じた。

・しかし、いかにダヌシュが奮闘しても、ストーリー/脚本にまずい点があり、作品としての力強さは落ちるように感じた。上手く行っていないのが悪役で、「バード」ラヴィと警官アルジュンの2人が敵役だが、この2人が終盤で仲間割れを起こすものだから、その時点で勝負あった。「ヒーローの腕力で」といった要素が弱かった。

・私的に気に入っているのは、こういう任侠映画がある種の感動を呼ぶとしたら、ヤクザという基本的に反社会的な「悪者」も、肝心なところは「義」を通しているからだと思うのだが、その点でも「マーリ」というのは面白い人物像だった。ないとは思うが、マーリでもう1本続編が作れるだろう。

・ところで、「Maari」というのは「雨」という意味らしく、女神の「Maariamman」は「雨の女神」という意味だとタミル人が説明してくれた。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ダヌシュ(マーリ役) ★★★★☆
 マジでダヌシュ持ち上げ映画なので、当たり前かもしれないが、好き放題決めている。面白かった。と言って、チェンナイのヤクザが本当にあんなシャツを着ているとは思えないが、、。決め台詞の「Senjuduven(殺るぜ)」(発音は「セ〜ンジュルウェン」っぽく聞こえた)は、ぜひタミル人相手に使ってみたい。
 (写真下:「電飾持ち上げ」も大掛かりだった。)

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・カージャル・アガルワール(シュリーデーヴィ役) ★★☆☆☆
 面白い役回りだったが、カージャルの強みが出ていたとは言いがたい。これも本作の弱いところだろう。
 (写真下:マーリは女より鳩に興味があるようだった。)

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・ヴィジャイ・イェースダース(アルジュン役) ★★★☆☆
 気になる点の1つが、あの偉大なる歌手、K・J・イェースダースの息子で、やはり歌手として成功しているヴィジャイ・イェースダースが悪役(悪徳警官役)で出ているということだった。嫌らしさが出ていて、良かったと思う。歌手として十分飯を食って行けるはずだが、たまに映画に出るのもアリだろう。

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・マーリの部下で、「土曜日」というニックネームの男を演じたロボ・シャンカルが非常に高い評価を受けている。取り立てて褒め上げるほどでもないと思うが、こういう映画はいかにユニークなサイドキックを配するかも見どころなので、その点ではうまく行っている。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・アニルドくんの音楽がノリノリで良かった。クットゥ・ダンスも弾けていた。

・ディーパーワリをモチーフにした音楽シーンがあるが、楽しい。映画の中のディーパーワリはいつも楽しいのだが、、。

・アニルドくんがカメオ出演していたが、音楽監督がカメオ出演したら碌なことがないという例をまた1つ付け加えてくれたようだ。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・絶対ああではないと思うが、チェンナイ下町のチンピラ・ファッションが堪能できたので、衣装は4つ星を付けた。

◎ その他(覚書)
・冒頭の「動物を害する意図はない」云々の型通りの字幕に、本作は「鳩を害するシーンの鳩はCGによるものです」という但し書きがあった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月24日(土),公開第2週目
・映画館 : INOX (Magrath Rd),15:35のショー
・満席率 : 4割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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【Thanga Magan】 (Tamil)
 ヒット作【Velaiilla Pattathari】(14)のヴェールラージ(監督)、ダヌシュ(主演/制作)、アニルド(音楽)が再びチームを組むとあって、この【Thanga Magan】も注目作となっていた。ヒロインがサマンタとエイミー・ジャクソンというのも大きな話題だった。一時は【Velaiilla Pattathari】のパート2かとも噂されたが、そんなことではないらしい。  ちなみに、過去に同名の作品がラジニカーント主演であるが、それと本作は特に繋がりはなさそう。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2015/12/23 21:17

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