カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Srimanthudu】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2015/08/12 21:40   >>

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 我が敬愛するテルグのスーパースター、マヘーシュ・バーブも、昨年の【1: Nenokkadine】と【Aagadu】は当たらなかったらしい。しかし、マヘーシュ本人もマヘーシュ・ファンもこれしきでは揺れないだろう。むしろ、3作続けてハズレはないはずなので、そろそろブロックバスターが出る吉兆と見ているに違いない。
 というわけで、公開後、いたって好評なのがこの【Srimanthudu】。監督は台詞ライターとして活躍した後、【Mirchi】(13)で監督デビューしたコラターラ・シヴァ。【Mirchi】と同じく、農村に焦点を当てた家族ドラマのようである。
 ところで、本作は「Srimanthudu」だが、マヘーシュ主演の映画の題名は、意図してか偶然か、「Okkadu」、「Athadu」、「Sainikudu」、「Dookudu」、「Aagadu」など、接尾辞の「-du」が付いたものが多い。

【Srimanthudu】 (2015 : Telugu)
脚本・監督 : Koratala Siva
出演 : Mahesh Babu, Shruti Haasan, Jagapati Babu, Rajendra Prasad, Sampath Raj, Mukesh Rishi, Harish Uthaman, Vennela Kishore, Rahul Ravindran, Subbaraju, Sukanya, Sithara, Tulasi, Surekha Vani, Ali, Shravan, Tejaswi Madivada, Sanam Shetty, Poorna(特別出演), その他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : R. Madhi
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
制作 : Y. Naveen, Y. Ravi Shankar, C.V. Mohan

題名の意味 : 富める者
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 8月7日(金)
上映時間 : 2時間43分

《 あらすじ 》
 ハルシャ(Mahesh Babu)は大富豪ラヴィカーント(Jagapati Babu)の一人息子。ラヴィカーントはハルシャに自分のビジネスを継いでもらいたいと願っていたが、ハルシャは実業家としてお金を稼ぐことに関心がなく、もっと人の役に立つことがしたいと考えていた。
 ある日、ハルシャはチャール(チャールシーラー:Shruti Haasan)という女性に出会い、強く惹かれる。チャールは大学院で村落開発を学んでいたため、ハルシャも同じ大学院の学生となる。そして、交流を続けるうちに、チャールもハルシャに惹かれるようになる。
 しかしある時、チャールはハルシャがラヴィカーントの息子だと知り、彼と距離を置くようになる。チャールはアーンドラ・プラデーシュ州北部のデーワルコータ村の出身だったが、ハルシャの父ラヴィカーントも同村出身だった。だが、チャールの父が貧しい村に留まって村人のために尽力しているのに対し、村を捨ててハイダラーバードで財をなし、郷里を一顧だにしないラヴィカーントが許せなかったのである。その経緯を知ったハルシャは、家族にもチャールにも行先を告げずに、デーワルコータ村へ赴く。その地でハルシャは村人に導かれ、偶然チャールの父ナレンドラ(Rajendra Prasad)の家に寄宿することになる。
 この村ではサシ(Sampath Raj)という有力者が村人を苦しめていた。サシは酒造工場を経営していたが、大量の水を必要とするため、村の水源を独占していた。サシのバックには、実兄で、中央政府で大臣を務めるウェンカタ・ラトナム(Mukesh Rishi)が付いていた。水に困り、農業ができなくなった村人が都会へと流出する事態となっていたが、それを食い止めようとしていたのがナレンドラだった。この有様を見たハルシャは村の開発事業に着手し、道路、上下水道、銀行、学校などを建設する。だが、その過程で当然サシの一派と対立することになる。
 そんなハルシャに対し、ナレンドラが若き日のラヴィカーントの話をする。ラヴィカーントもナレンドラも村の生活向上を志し、村人たちを啓蒙し、開発の一環として牛乳ビジネスを始める。だが、酒造ビジネスをやりたいサシらの陰謀に遭い、ラヴィカーントは投獄される。出所後、失望したラヴィカーントはハイダラーバードに出て、実業家として成功した、というわけであった。その話を聞いたハルシャは、久々に父と電話で話す。
 だが、サシにとってもウェンカタ・ラトナムにとっても邪魔者となったハルシャは、彼らに命を狙われる、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・非常に評判が良いので、大いに期待して観に行ったが、残念ながら退屈な作品だった。確かに、内容(メッセージ)のある娯楽映画として、庶民層をもアッパークラス教養層をも満足させようとした狙いは評価できるが、私的にはどっちつかずの映画に見えた。

・現地人はやはり面白いと言っており、その理由に「台詞が良い」ことを挙げている。そう言われると、言葉に不自由している私はぐうの音も出ないが、しかし厚かましく言わせてもらうと、台詞以外面白くない映画はそう高く評価できない。

・ただし、台詞以外に良い点がないわけではない。ファンだから言うのではないが(いや、ファンだから言うのだが)、本作のマヘーシュは素晴らしい。何がどうとは言いにくいが、ヒロイズムというのがしっかり出ている。この映画を誰か他のテルグ・スターで撮ったなら、間違いなくフロップだ。

・しかし、内容をつぶさに振り返って見るに、なるほど良い内容を持つ映画ではある。本作のテーマは「父子の関係」と「村落の問題」だと思う。「父子の関係」という点では、前回紹介した【Orange Mittai】でも扱われていたが、本作のハルシャ(Mahesh)は大富豪の父ラヴィカーントに対して、自然な愛情は抱いているにせよ、「尊敬心」というものはなく、自分は父と違った道を歩みたいと模索している。ところが、デーワルコータ村での経緯を通して、父も自分と同じ志を持っていたことを知り、初めて敬意を抱く。

・「村落の問題」というのは、インドでは古くて新しい問題で、映画にも少なからず反映されている。最近のテルグ映画(テルグ映画に限らないが)には、ハイダラーバード(あるいは海外)育ちの主人公が何らかの理由で村落に行くというドラマが多いが、それも偶然ではない。経済発展に沸くインドだが、バブルの波に乗っているのは大都会の(一部の)人々だけで、発展から取り残されている村落は多い。大都会に暮らす人々の何割かは村落出身者で、彼らは村に対して責任を負うべきなのに、逆に大都会に基盤を置く大企業や多国籍企業は工場やリゾート施設の建設で村落を圧迫したりしている。そんな現状に対し、本作はハルシャの姿を通して、都会の富める者が村落に対して負うべき責任を描く。

・しかも本作が娯楽映画風「お伽話」より一段高みに立っているのは、「Adoption of Villages」のコンセプトを取り入れていることだろう。これはナレンドラ・モーディー首相が立ち上げた村落開発プログラムで、財力のある者がある村落の開発を請け負うというもの(こちら)。本作のハルシャが行うデーワルコータ村の開発はこれを意識したもので、道路、上下水道、銀行、学校などの建設を行う。それをあれよあれよと音楽シーン1曲のうちに描いてしまう点は、さすがインド映画だと思った。

・だが、せっかく良い内容なのに、これをテルグ・アクション映画のフォーマットに埋め込んでしまったのが間違いだったのかなと(私見では)。特にクライマックスは、それまで落ち着いてストーリーを紡いできたのに、一気にぶち壊してしまった感がある。本作のマヘーシュにこんな武器を持たせる必要はなかったと思う。

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・ちなみに、舞台となった村の名前「デーワルコータ(Devarakota)」は「神の砦」という意味。ついでに、題名の「Srimanthudu」は「富豪」、「億万長者」というより、「豊かな者」、「富める者」という意味に取ったほうがいいだろう。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・マヘーシュ・バーブ(ハルシャ役) ★★★★☆
 上で書いたとおり、マヘーシュのクォリティーの違いを見せつける映画だった。前半ではプリンスと呼ばれていた頃のチャーミングさが蘇っていたし、後半では静かにヒロイズムを発している。シュリーヌ・ヴァイトラの【Dookudu】(11)と【Aagadu】で見せた、饒舌でコミカルはマヘーシュが間違いだとは言わないが、やはり彼は本作ぐらい喋らないほうがいい。

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・シュルティ・ハーサン(チャールシーラー役) ★★★☆☆
 またまた勝手なことを言わせてもらうと、本作にシュルティ・ハーサンを使ったのは全くの無駄だと思った。私は、インド映画を見る場合、エネルギーの8割は女優を見ることに費やし、男優は(例えラジニカーントであっても)目の片隅でしか見ていないのだが、マヘーシュの場合は別。マヘーシュに神経を集中するので、シュルティの代わりに、たとえ雌のチンパンジーが出ていたとしても、満足しただろう。冗談はさて置き、やはり彼女は上手いし、音楽シーンでは艶めかしいダンスをほぼ完ぺきに見せていた。

・ジャガパティ・バーブ(ラヴィカーント役)とラージェンドラ・プラサード(ナレンドラ役)は良い。特に前者(写真下)。

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・悪役のムケーシュ・リシとサンパト・ラージは平凡だった。
 (写真下:撮影の合間に談笑する悪役の2人。こうやって見ると普通のオジサンなのだが。左はコラターラ・シヴァ監督。)

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・賑やかなコメディー・シーンもなく、コメディアンはウェンネラ・キショールとアリーの2人だけ。村の場面に出たアリーは月並みで面白くなかったので、ここは天然ボケ系村娘を使い、カラフルにすべきだったと思う。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★★☆
・デーヴィ・シュリー・プラサードらしい音楽だったが、新鮮味はなかった。

・音楽シーンは良くできている。マヘーシュもダンスを頑張っていたし。1曲目にカメオ出演したプールナが元気に踊っている。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・アクション・シーンは、アイデアは面白かったが、欲求不満の残るものだった。

◎ その他(覚書)
・チャールの暮らすレディース・ホステルが女の匂いむんむんで、良かったなぁ。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 8月9日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),9:30のショー
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★☆☆ (マヘーシュのキメ時では大沸きも。)

 

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