カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Maya】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/09/30 21:44   >>

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 南インド映画界でも、タミル映画界でも、ホラー映画がトレンドに、みたいな書き方をしてきたが、実際ここまで盛んになるとは思わなかった。すっかり1ジャンルとして認知された感があり、本作【Maya】には大物女優のナヤンターラーまで登場するほどである。監督はアシュウィン・サラヴァナンという、まだ25歳ぐらいの人で、本作がデビュー作らしい。

【Maya】 (2015 : Tamil)
脚本・監督 : Ashwin Saravanan
出演 : Nayantara, Aari, Lakshmi Priyaa Chandramouli, Mime Gopi, Amzath Khan, Uday Mahesh, Sharath, Reshmi Menon, G.M. Kumar, Robo Shankar
音楽 : Ron Ethan Yohaan
撮影 : Sathyan Sooryan
編集 : T.S. Suresh
制作 : Potential Studios

題名の意味 : マーヤー(女性の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー
公 開 日 : 9月17日(木)
上映時間 : 2時間21分

《 あらすじ 》
 画家のワサント(Aari)は週刊誌の連続ホラー小説『マーヤーワナム』の挿画を担当しており、折しもそれに登場する幽霊マーヤーのイラストを描いていた。編集長のラーム・プラサード(Amzath Khan)は、この物語は実話に基づくものであり、むやみにマーヤーの名を口にしてはいけないと戒める。また、この小説の作者マダン(Uday Mahesh)がワサントにマーヤーの悲劇を語って聞かせる。それによると、24年前、裕福な娘のマーヤーは結婚するが、1年後に夫の不倫に気付いたため、彼を殺害してしまう。そのため、彼女は親類によってマーヤーワナムの森にある精神障害者のアシュラムに送り込まれる。身籠っていたマーヤーはアシュラムで女児を出産するが、娘とはすぐさま引き離されてしまう。その後、マーヤーは非業の死を遂げるが、以来、森にはマーヤーの霊が出没するとの噂が流れる。また、マーヤーは非常に高価なサファイヤの指輪を所有していたが、行方知れずとなっていたため、その所在に関心を抱く連中もいる、という話だった。
 ワサントはこの話を信じなかったが、友人のカマル(Sharath)は興味を示し、マダンと一緒にマーヤーワナムの森に行く。だが、そこでマダンは殺害されてしまい、カマルはほうほうの体で逃げる。同じころ、街ではワサントがビルから飛び降り自殺する女性を目撃する。だが、彼が転落地点に行っても、死体はなかった。しかし、数日後、同じ地点でワサントの目の前に男が落ちて来る。行方が分からなかったカマルの死体だった。
 こうした出来事の異常さから、ワサントは真相を究明するため、単身でマーヤーワナムの森に入って行く、、。
 ・・・
 売れない女優のアプサラ(Nayantara)は、夫のアルジュンと別居状態で、1歳の娘ミーラーを育てていた。生活が苦しかったため、彼女は映画製作会社RKスタジオに勤める友人スワーティ(Lakshmi Priyaa Chandramouli)のアパートに厄介になっていた。アプサラはこの製作会社の監督RK(Mime Gopi)に評価され、広告フィルムに出演したりしていた。この会社にはRK監督自身の撮ったホラー映画『Irul』があり、公開を前にしてユニークなコンテストを行おうとしていた。それは夜に一人で『Irul』を観通したなら、50万ルピーの賞金が与えられるというものだった。
 アプサラは以前にプロデューサーのアルナーチャラム(G.M. Kumar)の企画に出演していたが、ギャラが未払いのままだった。生活に困ったアプサラはアルナーチャラムの事務所に直談判に行くが、彼は不在だった。それもそのはず、スワーティからの連絡によれば、アルナーチャラムは『Irul』の配給権を買おうとしており、そのため、このコンテストの参加者となり、現在劇場で『Irul』を鑑賞中だったのである(実は、彼には『Irul』を観なければならない別の理由があった)。だが、アルナーチャラムは映画鑑賞中に急死してしまう。
 いよいよ金に困ったアプサラは、自分が『Irul』のコンテストに参加する決意をする。彼女はさっそく単身で映画を観始める。『Irul』はワサントという名の画家とその周囲の人物とマーヤーワナムの森の精神病アシュラムを巡る物語だった。映画鑑賞の途中で、アプサラは何者かに目隠しをされてしまう。そして、次に気が付いたときは、自分も映画中の登場人物になってしまったかのように、夜のマーヤーワナムの森をさ迷っていた、、。

・その他の登場人物 : ラーム・プラサードの婚約者で、ワサントの元恋人のアンジャリ(Reshmi Menon),森林保護官(Robo Shankar)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・印象としては、非常に心地よいホラー映画で、面白いと思ったが、実際のところは、よく分からなかった。ウィキペディアに書いてある詳しいあらすじを読んでさえ、核心的な部分は疑問のままだ。映画の台詞が分かれば何とかなるかもしれないが、台詞が分かっても、やっぱり分からない部分は残りそうな気がする。

・物語は、画家のワサント(Aari)を巡るエピソードと、シングルマザーで売れない女優のアプサラ(Nayantara)を巡るエピソードが並行して描かれるというもので、前者が白黒映像となっているため、両エピソードが細かく入れ替わっても、混乱することはない。

・ところが、ワサントと「マーヤーワナム」を巡る白黒のエピソードは、後にアプサラのエピソード内に出て来る映画『Irul(暗闇)』そのものだということが分かり、さらに驚いたことに、賞金50万ルピーの獲得を目指して『Irul』を鑑賞していたアプサラが、いつの間にか『Irul』中の登場人物のようになり、マーヤーワナムの森をさ迷い、ワサントと出会って、幽霊マーヤーに関する真実を知る、という展開になる。アプサラがマーヤーワナムの森にワープした時点から、『Irul』の白黒映像がカラーになる。

・この映画中の現実と劇中劇が交差する部分が分かりにくかった。たぶん理詰めで考えてはいけないのだろう。すべては幽霊マーヤーの生み出すマーヤー(幻影)の産物だと、想像力で把捉すべきなのだろう。なにせ出来事の舞台が「マーヤーワナム」(マーヤー/幻影の森)なのだから。

・ただ、物語に関しては疑問点が多いが、全体として表現しようとした「母娘のセンチメント」は十分美しく描かれていた。女性の情感を切々と描いたタミル・ホラーの秀作に【Eeram】(09)と【Pisaasu】(14)があるが、本作もこれに連なるものだと思う。私がホラー映画に期待するのはこういう点で、幽霊になってまで伝えたい想いや晴らしたい怨念など、デフォルメ、純化された情念の表現が味わえない限り、ホラー映画など観る意味がない。

・そういう幽霊の美しい一面とは対照的に、人間の負の側面が十分醜く描かれていた。本作で特に怖かったのは(さらりと語られるだけだったが)、アシュラムに収容された精神障害者に対して薬の人体実験が行われ、死亡したら秘密裏に埋められるというものだった(マーヤーもその犠牲になったようだ)。こんなことが実際に行われているのかどうかは不明だが、カンナダ映画の【Aarakshaka】(12)でも似たようなことが描かれていた。

・本作は一応マーヤーが恨みの相手を一人一人始末していくという、復讐譚の形を取っているが、グロテスクな殺戮や流血はなく、上品な(?)ホラー作品になっていた。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ナヤンターラー(アプサラ役) ★★★★☆
 孤児で、売れない女優で、結婚がうまく行かず、シングルマザーとして1歳の娘を抱え、貧困に苦しむという、不幸を絵に描いたような美女を見事に演じていた。たかだかホラー映画のヒロインと思われるかもしれないが、彼女の年季の入った芝居が確実に本作の質を押し上げている。

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・アーリ(ワサント/アルジュン役) ★★★☆☆
 初めて見る俳優。ちょっとクセのある顔立ちだが、なかなか男前だった。

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・ラクシュミ・プリヤー・チャンドラマウリ(スワーティ役) ★★★☆☆
 こちらも知らないお方。アプサラの友達役で、好印象だった。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★★☆
・RGV監督のホラー作品のような、びっくりさせるような騒々しいものではなく、じわじわっとくるBGMが良かった。

◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月27日(日),公開第2週目
・映画館 : Vision Cinemas,10:45のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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