カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kendasampige】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/10/02 18:20   >>

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 カンナダのスーリ監督は好きな監督で、期待もしているが、個人的に最近はやや不満を感じていた。それというのも、【Jackie】(10)や【Kaddipudi】(13)のような大スターを起用した娯楽映画を撮り始めると(これらも良かったのだが)、デビュー作【Duniya】(07)と第2作【Inthi Ninna Preethiya】(08)で見せた強烈な個性、ぶっきらぼうな作風が希薄になってしまったからである。インドの商業映画というのは結局そういうものだし、仕方ないのかなぁ、と思っていたが、スーリ監督本人がご不満だったようで、この【Kendasampige】の登場となった。スター不在で、ランタイム1時間38分の小品。まさに人気監督が撮った自主製作映画といった趣だ。
 題名の「ケンダサンピゲ」はオレンジ色のサンピゲの花のこと(サンピゲの花には白もある)。サンピゲはモクレン科の植物で、日本ではキンコウボクと呼ばれているらしい。

【Kendasampige】 (2015 : Kannada)
物語 : Surendranath
脚本 : Suri, Rajesh Nataranga
監督 : Suri
出演 : Vikky, Manvitha Harish, Prakash Belawadi, Rajesh Nataranga, Chandrika, Sheethal Shetty, Prasanth Siddi, その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Parimala Film Factory

題名の意味 : オレンジのサンピゲ(花の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : スリラー
公 開 日 : 9月11日(金)
上映時間 : 1時間38分

《 あらすじ 》
 西海岸部で麻薬密輸組織が摘発され、5億ルピーが押収される。だが、捜査責任者の警視副総監スーリヤ(Prakash Belawadi)は押収金額として1億ルピーだけ公式記録に残し、残り4億ルピーの着服を決め込む。捜査チームの3人の警官、ゴーヴィンダラージュ、チャンドラシェーカル、ナーラーヤナスワーミもその分け前にあずかるはずだったが、うちゴーヴィンダラージュは取り分が少ないと不満をもらし、酒に酔った勢いで4億ルピー全額を横取りするアイデアを漏らす。これをチャンドラシェーカルがスーリヤに密告する。スーリヤはチャンドラシェーカルとナーラーヤナスワーミに命じ、暗殺目的でゴーヴィンダラージュを誘拐させる。
 ・・・
 ベンガルールに暮らすラヴィ(ラヴィンドラ:Vikky)とガウリ(Manvitha Harish)は恋仲だった。ラヴィは孤児で貧しい青年、ガウリは裕福な家の娘と、ステータスが違っていたが、ガウリは海で溺れかけたところをラヴィに救われた経緯で、彼を命の恩人と慕っていた。
 ある日、ガウリとラヴィがデートしているところをガウリの母シャクンタラ・シェッティ(Chandrika)が目撃する。シャクンタラはそれを不快に思い、知人の警視副総監スーリヤに対応を依頼する。スーリヤは早速麻薬売買事件をでっち上げ、ラヴィを逮捕する。ラヴィは2年の服役を宣告されるが、搬送中に隙を狙って、警官の拳銃を奪って逃走する。後にこれはラヴィが警官ゴーヴィンダラージュを射殺して逃亡したと報道される。
 ここからラヴィの逃走劇が始まるが、これにはガウリも同行する。二人はまずバスでハイダラーバードを目指すが、警察に進路が知れたためバスを降り、カージャックする。二人は小まめに進路を変え、チトラドゥルガに至る。
 ガウリ失踪の事件は、所管のコーラマンガラ警察署の警部プーランダル(Rajesh)が捜査に当たることになる。プーランダルは新聞に載っていた射殺された警官ゴーヴィンダラージュの写真を見て、疑問を抱く。そのゴーヴィンダラージュとされる男は指が1本欠損していたが、それでは警官になれないからである。
 ガウリはプーランダル警部と連絡を取り、チトラドゥルガのゴーパーラスワーミ寺院で会う約束をする。ところがプーランダルは間違って別のゴーパーラスワーミ寺院に行ってしまい、会えない。逆にチトラドゥルガの寺院で待つラヴィとガウリは、たまたまやって来た2人組の警官(チャンドラシェーカルとナーラーヤナスワーミ)が男(ゴーヴィンダラージュ)を殺害し、池に沈める瞬間を目撃する。ラヴィは2人組の警官に追われるが、何とか逃れる。ラヴィとガウリはトラックの荷台に乗り、ダワンゲレーに至る。
 ガウリとプーランダルの通話よりラヴィの足取りをつかんだスーリヤは、部下の警官チャンドラシェーカルとナーラーヤナスワーミを刺客として送り込む。一方、その後の捜査から、警官ゴーヴィンダラージュの射殺は偽装であり、ラヴィがゴーヴィンダラージュを撃ったのではないと確信したプーランダルは、ラヴィとガウリを救う方向で動く。
 ガウリとラヴィは、その後ムンバイから高飛びする計画を考え、カージャックとヒッチハイクを繰り返して、フッバッリを経てベラガーウィに至る。二人の滞在しているホテルを突き止めたプーランダルは、彼らを保護しようと乗り込む。だが、チャンドラシェーカルとナーラーヤナスワーミもラヴィの命を狙おうと迫っていた、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・期待していた「スーリの世界」が見られて、いたく満足した。コマーシャル要素におもねることのないぶっきらぼうな演出、庶民目線、ローカル目線、社会悪に対する厳しい視線、ちらっと心に触れるロマンスなど、スーリらしさが復活していて、うれしい。

・一見荒々しい作りだが、その実、脚本は緻密で、撮影のサティヤ・ヘグデも、音楽のハリクリシュナも丹念な職人技を見せていて、完成度は高い。難を言えば、ストーリー上で、悪の警視副総監スーリヤと手下の警官2人の3人だけでこちょこちょっと悪いことをしているといった感じがせこかった。スーリヤを演じたプラカーシュ・ベラワーディは悪くなかったが、別の顔でもよかったと思う。

・「ランタイム1時間38分の小品」と書いたが、実は本作は2部作となっていて、今作品は「Part II: Ginimari Case」。本作のエンディングで「Part I: Kaage Bangara」が来年の2月に公開予定と予告されていた。なんで「パート2」のほうが先に公開なのかは謎だが、深く考えないことにする。

・ちなみにパート2の「Ginimari Case」は言葉の意味では「鸚鵡のケース」となるが、意味が分からない。ただ、恋人のことを鳥に喩えることが多いので、ここでは「パート2・ロマンス編」と意訳しておく。また、パート1の「Kaage Bangara」は「雲母」のことだが、これも意味が分からない。ただ、「Kaage Bangara」の単語を日本語に置き換えると「鴉の黄金」という意味なので、やっぱり鳥が意識されている。たぶん、悪徳警官たちが「黄金」だと思って追い求めている物が実は「雲母」だったという喩えだと思う。

・その副題どおり、本作はラヴィとガウリのロマンスが主筋となっている。しかし、映画の冒頭で「パート1・雲母編」も10分ぐらい描かれており、これが効いている。ラヴィとガウリが墜ちた運命の逃走劇のバックグラウンドには警察の不正があるという、そのストーリーの組み方が憎かった。また、後編では「パート1・雲母編」が本格展開されると予想されるが、これは【Vishwaroopam II】や【Baahubali: The Conclusion】より楽しみだ。

・スーリ監督作品のリアリティーを保証するものとして「ローカル性」というのがあると思うが、本作でもカルナータカ州の地理が頭に入っている人には、ぞくぞくするようなロードムービーとなっている。参考に、本作の物語の舞台/ロケ地を示した画像があったので、載せておく。

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◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ヴィッキー(ラヴィ役) ★★☆☆☆
・マンヴィター・ハリーシュ(ガウリ役) ★★☆☆☆
 この主役ペアは、よく知らないが新人だろう。レビューでは割と高く評価されているが、私は2つ星と低めなのは、どちらも台詞がいまいちだったから。2人のうち、ガウリ役のマンヴィターさんのほうが、役柄も面白かったし、パフォーマンスも良かった。

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・プラカーシュ・ベラワーディ(スーリヤ役) ★★★☆☆
 先日紹介した【Aatagara】でも曲者を演じていたが、本作でも悪徳警官を渋く演じていた。舞台系の人だが、最近は映画にも本腰を入れ始めたのかな?

・ラージェーシュ(プーランダル役) ★★★☆☆
 ずいぶん太ってしまったが、ハンサム・ラージェーシュが善き警官を好演している。というより、このお方が脚本にも名前を連ねているのには驚いた。そういう才能もあったんだ。

・その他、【Ulidavaru Kandante】(14)で好印象だったシータル・シェッティさんも出演していた。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
・歌って踊ってということではないが、音楽シーンはしっかり入っている。それが歌のメロディーも挿入の仕方も良く、感動した。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・撮影は、多くの箇所でドローンを使った俯瞰撮影が行われたらしい。

◎ その他(覚書)
・後編の「雲母編」ではこのお兄さんが活躍しそうで、楽しみだ。

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◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月27日(日),公開第3週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),15:00のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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2016/10/05 21:02

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