カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Rani Padmini】 (Malayalam)

<<   作成日時 : 2015/11/03 21:40   >>

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 最近、疲れのせいか、ストレスのせいか、ボーっとして気力が湧かない。それで映画を観たい意欲も甚だ低レベルなのであるが、とりわけ男くさいアクション映画は御免蒙りたい。そんな次第で、女性が主人公っぽいこの【Rani Padmini】を観ることにした。
 しかし、主役の女性というのが【How Old Are You?】(14)のマンジュ・ワーリヤルと【22 Female Kottayam】(12)のリマ・カッリンガルなので、気の弱い男が観たらショック死しかねない映画が出てきそうな心配もあったが、そこはアーシク・アブ監督に「お手柔らかに」と願うしかなかった。(ところで、アーシク・アブとリマ・カッリンガルが夫婦だったとは、この記事を書くまで知らなかった! どうもケーララ娘は職場結婚が多いような。)

【Rani Padmini】 (2015 : Malayalam)
脚本 : Syam Pushkaran, Ravisankar
監督 : Aashiq Abu
出演 : Manju Warrier, Rima Kallingal, Jinu Joseph, Sajitha Madathil, Dileesh Pothan, Soubin Shahir, Hareesh Khanna, Kunchan, Sreenath Bhasi, その他
音楽 : Bijibal
撮影 : Madhu Neelakandan
編集 : Saiju Sreedharan
制作 : P.M. Harris, V.S. Muhammed Althaf

題名の意味 : ラーニとパドミニ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ(ロードムービー)
公 開 日 : 10月23日(金)
上映時間 : 2時間22分

《 あらすじ 》
 ケーララ人のパドミニ(Manju Warrier)はギリ(Jinu Joseph)と結婚し、チャンディーガルで暮らしていた。パドミニは理学療法士、対してギリはカーレースに生きがいを感じている男だった。ある日、ギリはヒマーラヤのカーラリーに出場するために家を出る。しかもそれは、離婚請願書にサインしてまでの思い切った行動だった。夫のこの決断を解せないパドミニは、その真意を知るために、夜行バスでヒマーラヤに向かう。
 バスの中でパドミニはラーニ(Rima Kallingal)という活発な女性と知り合い、意気投合する。ラーニもケーララ人だったが、子供のころよりデリーに住んでいた。ラーニがバスに乗っていた理由は4人組のヤクザから逃れるためだった。ラーニのアパートの前にお尋ね者のヤクザ(Hareesh Khanna)が潜んでいたが、ラーニが警察に通報したため、恨みを買ったというわけである。
 パドミニとラーニはヒマーラヤの麓の村でバスを降りることになる。そこでラーニが件の4人組のヤクザに見つかってしまったため、二人は逃げざるを得なくなる。そこから彼女たちの思いがけない旅が始まる、、。

・その他の登場人物 : ギリの母(Sajitha Madathil),ニュースレポーター(Dileesh Pothan)とそのカメラマン(Soubin Shahir),山案内人(Sreenath Bhasi)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・なかなか面白い映画だった。というより、ちょっとレッテル貼りのしにくい異色な作品で、あらすじも書きにくかった。何はともあれ、一見をお勧めしたい。

・生硬なフェミニズム映画だったら嫌だと思っていたが、全然そんなことはなかった。物語の滑り出しはシリアスなタッチで、フェミニズム的メッセージ色の強い映画になりそうな気配だったが、後半では予想外の展開となる。で、これは男とか女とかの問題ではなく、人間が人間として生きていくために必要な魂の解放とか、カタルシスを描いた映画だということが分かる。もちろん、インドでは女性がこうした解放感、自由感を味わう機会が少ないという背景はあるにせよ、特にインドの男性中心社会を糾弾する意図はなさそうだった。

・ただ、女性が主役ということで、パドミニ(Manju Warrier)とラーニ(Rima Kallingal)のキャラクター造形には明確な配慮がなされていた。二人とも「インドの女はお淑やかで、従順であれ」という女性像に反するものだった。パドミニはインドの平均的な一般的主婦として現れるが、理学療法士としての仕事も重視している。これが義母との確執を生む原因となる(この設定は後の展開に面白い形で絡んでくる)。また、彼女は足が速く、子供のころ運動会の競走で金メダルを取るが、それを見て母が嘆くほどだった。(この設定も後に生きてくる)。

・ラーニのほうはもっと過激で、お転婆、男勝りという以上に、もはや「乱暴者」だった。映画的には面白かったが、しかしこの性格付けには疑問も感じた。確かに、女が男のように振る舞っても何も悪くはないのだが、ラーニのように「気に食わなかったら殴ってもいい、物を投げつけてもいい、お金に困ったら、人の物をちょろまかしてもいい」なんて教育はインドの男も受けていないはずだ。ちょっと行き過ぎたようで、これでは「インド女性はお淑やかで、従順であれ」という常識に対するアンチテーゼにはならないと思う。(【Nee-Na】のニーナの性格付けにも似たような疑問を感じた。)

・重要なことではないかもしれないが、本作はインターバルの入り方が変則的だった。ランタイムは142分だが、50分で早々と休憩になり、後半が90分もあった。しかし、その長い後半が面白く、長いとは感じなかった。

・パドミニとラーニの足取りは定かではないが、まずパドミニがチャンディーガルからバスでマナーリーまで行き、そこからさらに北上するバスに乗り、その中でラーニと出会ったようだ。二人はその後乗り物を乗り継いでラダックに至り、トレッキングを楽しんだ模様。

・とにかく、このヒマーラヤの光景が有無を言わさず美しい。ところが、このヒマーラヤの荘厳な姿を背景に展開される物語がバカみたいに人間くさく、滑稽じみたもので、笑える。この辺の脚本のさばきは面白いと思った。

・上で「レッテル貼りのしにくい異色な作品」と書いたが、本作は2つの点で最近のマラヤーラム映画の傾向を踏んでいる。1つは女性中心ということだが、もう1つはマラヤーラム映画でありながら、ケーララの街や村がほぼ出て来ないということ。後者は、昔からそういう映画もあったとは思うが、最近は【Neelakasham Pachakadal Chuvanna Bhoomi】(13)や【Bangalore Days】(14)など、違ったニュアンスの異郷物が作られているような気がする。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・マンジュ・ワーリヤル(パドミニ役) ★★★☆☆
 一見平凡な妻でありながら、微妙に夫、義母から受け入れられず、ヒマーラヤまで行く羽目になった女性をさすがに上手く演じている。しかし、主役が2人ということもあって、彼女の上手さが十全に楽しめたとは言えない。
 (写真下:ラーニ役のリマ・カッリンガル(左)と。)

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・リマ・カッリンガル(ラーニ役) ★★★★☆
 エネルギッシュで、直情的で、ずる賢くもある人物を面白く演じている。演技の質はさて置き、マンジュ・ワーリヤルを食ってしまった感もある。「女モーハンラール」を食ってしまうとは、彼女も大物になったものだ。

・ジヌ・ジョーセフ(ギリ役) ★★☆☆☆
 全然知らない人だった。よく見れば男前だが、映画中ではヘルメットにゴーグルという場面がほとんどで、顔があまり映らなかったのが気の毒だった。

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・ハリーシュ・カンナー(ヤクザのボス役) ★★★☆☆
 なかなか面白い役回りだった。というか、痛そうだった。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★★☆

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・主人公が2人の女性で、アクション映画でもないのに、面白いアクション・シーンがあった。

◎ その他(覚書)
・旅の途上でパドミニとラーニが投宿するロッジは、以前南インドから高名な御仁が泊まったことがあるという話で、宿主がその写真を見せたら、それがラジニカーントだった。「Bhallas Lodge」か何かという名前だったが、実際にラジニがこのロッジに宿泊したことがあるのかもしれない。

・映画中に2度ほど出てくる「スレーシュ、ラメーシュ」という台詞は、インドにいてテレビを見ている人なら誰でも知っているキャドバリー・チョコレート「5 Star」のCMに登場するキャラクターの名前。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 11月1日(日),公開第2週目(バンガロールで1週目)
・映画館 : Sangeet,11:30のショー
・満席率 : 2割

 

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【Iraivi】 (Tamil)
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