カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kumari 21F】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2015/11/25 21:56   >>

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 テルグ映画といえば、比較的シンプルでストレートな物語を好む傾向にあるが、【Arya】(04)や【Arya-2】(09)、【100% Love】(11)などでお馴染みのスクマール監督はユニークで、ややこしいニュアンスのラブストーリーを得意としている。そんなスクマールがメガホンを取らず、制作・ストーリー・脚本を担ったのがこの【Kumari 21F】。
 早くに公開されたティーザーはヒロインのヒーバー・パテールが乙女チックにブランコに揺られているというもので、カワユいラブコメを想像したが、映倫認証は「A」。やはりスクマール作品、匂うぞ。

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【Kumari 21F】 (2015 : Telugu)
物語・脚本 : Sukumar
監督 : Palnati Surya Pratap
出演 : Raj Tarun, Heebah Patel, Noel Sean, Naveen Neni, Sudarshan Reddy, Hema, Tagubothu Ramesh, Satya Krishnan, Zara Khan(アイテム出演), その他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : R. Rathnavelu
編集 : Amar Reddy
制作 : Vijaya Prasad Bandreddi, Thomas Reddy Aduri, Sukumar

題名の意味 : クマーリ,21歳,女性
映倫認証 : A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 11月20日(金)
上映時間 : 2時間12分

《 あらすじ 》
 シッドゥ(Raj Tarun)は料理人としてシンガポールで働くのが夢の青年。彼はロウワーミドルクラスで、KGBコロニーという団地に看護婦の母(Hema)と二人で暮らしていた。父は不倫騒動で追い出され、別居していた。シッドゥにはシャンカル(Noel Sean)、スレーシュ(Sudarshan Reddy)、シーヌ(Naveen Neni)という友人がいたが、この三人はATM強盗などで小遣い稼ぎをする不良だった。シッドゥ自身がこの犯罪行為に加わることはなかったが、三人の隠れ処に食事と酒を届け、手数料をもらっていた。
 ある夜、シッドゥはクマーリ(Heebah Patel)という女性と出会う。彼女は駆け出しのモデル兼女優で、最近シッドゥと同じ団地に引っ越して来、半身不随の祖父と二人暮らしだった。クマーリはシッドゥに一目惚れする。シッドゥもクマーリの活発な性格に惹かれる。シッドゥはクマーリに誘われ、パブに行く。その際にクマーリは酒を飲み、タバコを吸い、シッドゥに「I love you」と言い、キスをする。しかも、そのいちいちの行為に対し、クマーリは「初めてなのよ」と注釈を入れる。
 クマーリの大胆な行動に当惑しつつも、シッドゥはクマーリを愛するようになる。だが、シャンカルら三人がそれに横やりを入れ、クマーリのように開放的で、モデルをしている女が処女であるはずがないと吹き込む。そういえばクマーリは、シッドゥには単なる友達だと説明しつつも、他の男と一緒にいることも多かった。シッドゥの心に彼女に対する疑念が生じる。そんなシッドゥに対しクマーリは「あなたは未熟だ」と告げ、距離を置くようになる。
 たまらないシッドゥは、悪友三人の作戦を取り入れ、マドゥという女性と交際を始め、これ見よがしにクマーリに見せつける。だがクマーリは動じない。逆にシッドゥの心は再びクマーリに傾く。そんなこんなの折に、シッドゥはシャンカルらから、クマーリは以前ムンバイにいたときはミーナという名で、売春もしていたという話を聞かされ、証拠のニュースビデオも見せられる、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・ふ〜む、やはり一筋縄にはいかない映画だった。監督はパルナーティ・スーリヤ・プラタープという新人だが、特徴からして、本作はスクマールの作品と見なしてもいいだろう。

・インド映画では、ラブストーリーに属する作品でも「恋愛そのもの」を主題としたものは希少グループに入るが、本作は20歳前後の男女が恋愛において感じる意識、経験する困難を考察した実験的な映画となっている。なかなかこういう脚本のインド映画はお目にかかれないので、新鮮だとも言えるが、さすがスクマールは直線的な語り方をせず、難しい弁証法を用いているものだから、非常に分かりにくかった。でも、個人的には好き。

・昔(このブログを始めるより前に)、インドの恋愛映画の作り手はどんなことを言いたがっているのかを、あれこれの作品を通して観察し、「インド映画・恋愛の三原則」というのにまとめたことがある。それによると、@が「信じろ(疑うな)」、つまり「あの人は本当に私を愛しているのか、他に好きな人がいるのではないか」と疑ってはならないということで、典型作としてタミル映画【Alaipayuthey】(00)を挙げた。 Aが「貫け」、つまり、何らかの妨害があっても、恋愛がそれに屈してはならないということで、典型作として【Nuvvu Nenu】(01)。 Bが「後悔するな」、つまり、その恋愛からいかなる悲劇が生じたとしても、後悔してはならないということで、典型作はタミル映画【7G Rainbow Colony】(04)。

・この分類だと、本作は@に入るなぁ、などと考えつつ、鑑賞していた。主人公のシッドゥはクマーリの言動に当惑し、悪友三人の悪魔のささやきもあって、クマーリの自分への愛と純潔を疑う。そんなシッドゥをクマーリは「未熟」と断じるが、後々になってシッドゥ自身も自分の未熟さを悟り、大人となる。

・しかし、どうもクマーリの人物像が極端すぎるので、私の感覚でも、クマーリの純潔を疑うのはごく自然なことで、「未熟」と責められてもなぁ、と思った。というより、私が観察する限りのインド女性像からしても、クマーリのようなインド女性がいるとは考えにくい。いや、特殊例として、いるには違いないし、スクマールもあえてこういう人物を登場させ、「こんな極端なケースでも、外見で女性を値踏みするのは良くない」と持って行きたかったのかもしれないが、やっぱりクマーリの人物像のせいで、作品全体の説得力を落としているように思う。

・ストーリーは、まずクマーリという女性がクライマックスまで「謎」として立ちはだかる。それに、シッドゥのいる団地で起きたレイプ事件や、シッドゥと父との関係なども「謎」として置かれ、ラブストーリーにミステリーっぽい要素が加味されて、面白かった。結末はタミル・ニューウェーブ映画っぽい意外なもので、これには賛否が分かれるだろう。

・クライマックスでシッドゥがクマーリの白いサリーを洗濯する場面はいじらしい。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ラージ・タルン(シッドゥ役) ★★★☆☆
 デビュー作の【Uyyala Jampala】(13)しか見ていないので、馴染みの薄い俳優になるが、頭は良さそう。スターの資質はないが、こういうオフビートな作品では使い勝手が良いと思う。ちなみに、【Uyyala Jampala】は面白いので、お勧めしたい。

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・ヒーバー・パテール(クマーリ役) ★★★☆☆
 タミル映画【Thirumanam Enum Nikkah】(14)の純情娘が好印象で、カンナダ映画【Adyaksha】(14)でも可愛かったので、個人的に注目している新進女優の一人。しかし、どうも彼女はまだティーンエイジの役が似合うようで、本作のぶっ飛びキャラのクマーリには至らないように感じた。頑張っていたが、衝撃度は低い。すごく魅力的に撮られている場面がある反面、そうでない場面もあったので、カメラさん(ラトナヴェール)に文句を言いたい。

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・シッドゥの悪友三人のうち、シャンカル役のNoel Seanという人が記憶に残る顔だった。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・DSPの音楽は騒々しくなく、良かった。

・興味深い音楽シーンは複数あったが、のっけの‘Bang Bang Bangkok’ではバンコクが、どんな社会的問題が起きようとも、相変わらず"No money, no honey"、"Good boy goes to heaven, bad boy goes to Bangkok"という街と見なされているのが分かり、安心した。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・オープニング・クレジットがスマホのスクリーンをモチーフとしたもので、すごくお洒落だったが、物語自体はスマホとは強い関係がなかった。

◎ その他(覚書)
・一般的なことか、この映画限定か知らないが、インド人はキスする前に「HALLS」を舐めるらしい。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 11月22日(日),公開第1週目
・映画館 : Movieland,16:30のショー
・満席率 : 4割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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【Ekkadiki Pothavu Chinnavada】 (Telugu)
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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/12/01 21:06

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