カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【1st Rank Raju】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/12/08 22:23   >>

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 新人監督によるオフビート・低予算映画がサプライズ・ヒットすることはしばしばあるが、この【1st Rank Raju】も公開後評判が良いので、観て来た。

【1st Rank Raju】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Naresh Kumar H.N
出演 : Gurunandan, Apoorva Gowda, Tanishka Kapoor, Achyuth Kumar, Sudha Belawadi, Anant Nag, Chandrashekar Gowda, Sadhu Kokila, Jai Jagadish, その他
音楽 : Kiran Ravindranath
撮影 : Praveen Shambu
編集 : Giri Mahesh
制作 : Manjunath V.K

題名の意味 : 1番のラージュ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー
公 開 日 : 11月27日(金)
上映時間 : 2時間24分

《 あらすじ 》
 ファースト・ランク・ラージュ(Gurunandan)は教育熱心な、否、教育バカな両親(Achyuth Kumar & Sudha Belawadi)のせいで、学校の成績で1番になることが運命づけられた男。彼が小学校3年生のとき、90パーセントの成績を収めながら順位が3番となったため、両親は大騒ぎするほどだった。おかげで大学でも3年続けて首席となり、表彰もされる。就職活動の時期となり、ラージュは意気揚々と第一志望の大手IT企業の面接を受けるが、CEOのサティヤムールティ(Anant Nag)は彼を採用しない。理由は、ラージュは本の知識しかなく、愛、友情、信頼、人生の楽しみ方などの知識、経験が欠如していたからである。サティヤムールティは、ラージュが卒業までの6カ月でそれらを身に付けたなら、採用すると約束する。
 ラージュの父は、今度は息子を「普通の青年」にするための完璧な「シラバス」を作成する。ラージュは大学で「ファースト・ランク・ラージュ」を改め、「ヴィシュヌ・ラージ」と名乗り、父のシラバスのとおりに行動する。そのためには不良グループと付き合う必要もあったが、ラージュはデーヴィッド(Chandrashekar Gowda)とメーリ(Tanishka Kapoor)の仲を取り持ったため、デーヴィッドのグループに入れてもらえる。
 最後のシラバスは「恋愛」であった。実はラージュはサンミタ(Apoorva Gowda)という女子大生に胸ときめくものを感じていた。そこでラージュの父は占星術師のふりをしてサンミタに接近し、彼女の好みを聞き出す。そして、自称「ムンバイの俳優」という男(Sadhu Kokila)に依頼して、「シャニ・カプール」という名の悪役を演じてもらい、ラージュとサンミタをくっ付けることに成功する。
 バレンタインデーにラージュの家でパーティーが行われ、デーヴィッドやメーリたちも来る。この場でラージュがサンミタにプロポーズし、恋愛シラバスが完了する予定だった。ところが、嫉妬したデーヴィッドの仲間が罠を仕掛けたため、デーヴィッドはラージュとメーリができていると疑い、ラージュに絶交を宣言する。また、ラージュのスマホに保存されていた父の教育指導ビデオが暴露され、サンミタもラージュに愛想を尽かす。
 すべてがぶち壊しとなり、絶望したラージュは、両親の許を去り、自分探しの旅に出る。そしてその途上で彼が見たものは、インドの教育制度に苦しむ子供たちの姿であった、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・コメディーは苦手とする私だが、これは笑えたし、今日のインド人の意識を知る上で興味深い事柄がてんこ盛りだった。ラスト20分はメッセージ色の強いシリアスな展開になるが、それまでは徹底したお笑いだった。ただ、カンナダ映画ではお目に掛かったことのない気の利いたコメディーがある反面、相変わらず伝統的なコメディー・トラックもあり、そこは苦しい時間帯だった。(コメディー映画にコメディー・トラックは要らないと思うのだが。)

・ランタイムは、ウェブ上の情報には2時間43分と2時間24分があったが、私の観たのは2時間24分だった。しかし、本編開始前の映倫認証にははっきり163分55秒と記してあった。きっと公開した後に、20分ほどハサミを入れたのだろう。それにしても、まだ15分ぐらいは切ってもよさそうに感じた。

・ストーリーの展開も、コメディー映画だから許せる範囲だが、拙いところがあった。そういった点で、本作はそれほど完成度が高いとは思えない。しかし、内容的には非常に好感の持てる作品だった。

・テーマはあらすじを読んで分かるとおり、インドの教育の問題だった。直球勝負でそれを風刺コメディーにまとめているが、分かりやすすぎて、日本人鑑賞者が観ると幼稚に感じるかもしれない。教育問題といっても、学校の成績(点数)のみに価値を認め、子供にそれを押し付ける親たちと、そうした風潮につけ込んで、教育をビジネス化する学校と教育大臣の問題が俎上に上げられている。

・前者では、主人公のラージュは教育パパ/ママのせいで、学業ではほぼいつも1番なのに、テニスボールとクリケットボールの区別すらつかない青年に育ってしまう。それで、IT企業の面接試験でCEOから実用的知識がない、「会社に何台もあるコンピューターにさらにもう1台付け加える必要はない」と指摘され、採用試験に落ちてしまう。そこで次に親はラージュを普通の若者にするためのシラバスを作成するが、ラージュにしてみれば教育内容が変わっただけで、どちらも与えられた課題をこなすだけということには変わりなく、人間的な成長には結びつかない。それで、すべてが台無しになったときに初めて、ラージュは親の影響から自立し、現実から直接学ぶことを覚え、成長を始める。
 (写真下: 頭が本というのも寂しいイメージだが。)

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・後者では、主にラスト20分で、自分探しの旅の中でラージュが目にする教育システムの問題という形で描かれる。そして、結果的にラージュは志望していたIT企業の職を蹴り、教育大臣になることを宣言する。この時、IT企業のCEO、サティヤムールティが「教育大臣になるためには教育は要らないぞ」と言う台詞が何ともパンチダイアローグだった。(このサティヤムールティという名前はマイクロソフトのサティヤ・ナーデッラとインフォシスのナーラーヤナ・ムールティを意識したものか?)

・かなり真面目なメッセージを持つ映画だが、構えたところや説教くさいところがなく、「ファースト・ランク・ラージュ」というトンチンカンな人物のトンチンカンぶりを描くことに徹したところが良かった。

・ラージュをありがちな若者に仕立てるシラバスに、バイクに乗せる、スポーツをさせる、パブへ行かせる、音楽を楽しませる等に混じって、「タトゥーを入れる」というのまであった。

・脚本・監督のナレーシュ・クマールという人はかなりの映画オタクのようで、デーヴィッドがメーリにプロポーズするシーンや、サンミタとラージュがカフェで話すシーンなどに映画ネタのギャグが使われていて、これは面白かった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・グルナンダン(ラージュ役) ★★★☆☆
 何ともルックスからして違ったムードを醸し出している男だった。テレビドラマの俳優らしいが、映画にも【Charlie】(15)という作品に出演しているようだ。本作のヒットで今後も映画出演が増えるかもしれないが、どんな役柄で使われるか興味津々だ。

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・アプールヴァ・ガウダ(サンミタ役) ★☆☆☆☆
 映画のヒロインをやるにはルックス的に微妙な女優だが、演技的にははっきりとずぶの素人だった。ただ、「結婚(永久就職)するのが第一目的で、学業には関心なし」という理由で、かばんの中には本がなく、化粧道具のみという設定は興味深かった。

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・タニシュカ・カプール(メーリ役) ★★☆☆☆
 ヒロインのアプールヴァ・ガウダさんより、こちらのほうが可愛かった。特にコメントはないが、どうもこの人はマンガロール出身で、ミス・マンガロールの勝者らしい。

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・脇役陣ではアチュート・クマール(ラージュの父役)とアナント・ナーグ(サティヤムールティ役)が普段どおり上手かった。

・サードゥ・コーキラは「頭を食う」系のコメディーで苛々したが、現地人にすれば、かなり面白かったようだ。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★☆☆☆☆
・音楽はキラン・ラヴィンドラナートという知らない人の担当だが、ポップで良かった。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★☆☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆

◎ その他(覚書)
・ラージュとサンミタがデートで観に行く映画の題名が「Gudly」だった。これは何かのパロディーのようだが、分からなかった。ちなみに「Gudly」は「鍬」のこと。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 12月5日(土),公開第2週目
・映画館 : PVR (Koramangala Classic),10:00のショー
・満席率 : 3割
・場内沸き度 : ★★★★☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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