カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Rathaavara】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2015/12/10 21:43   >>

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 【Ugramm】(14)の成功はカンナダ映画界にとって画期的なことだったと思う。カンナダの娯楽アクション映画といえば、テルグやタミルの真似事、というより、多くはリメイクという状況の中で、テルグやタミルとは非常に違った、スタイリッシュで、地方色豊かなアクション映画の可能性を示したからである。ただ、これも単発で終わっては意味がなく、スタイルとして定着するためには、後に続く作品がなければならない。そこで、この【Rathaavara】である。主演も【Ugramm】と同じシュリームラリで、ポスターやトレイラーも【Ugramm】とそっくり。となると、たんに二匹目のドジョウ狙いかなとも疑いたくなるが、とにかく観て来た。

【Rathaavara】 (2015 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Chandrashekar Bandiyappa
出演 : Sriimurali, Rachita Ram, Ravishankar, Chikkanna, Uday, Bhajarangi Lokesh, Charan Raj, Sadhu Kokila, Chitra Shenoy, その他
音楽 : Dharma Vish
撮影 : Bhuvan Gowda
編集 : Srikanth
制作 : Dharmashree Manjunath. N

題名の意味 : (主人公の名前。「腹心」という意味も。)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 12月4日(金)
上映時間 : 2時間11分

《 あらすじ 》
 ラタ(ラターワラ:Sriimurali)は代議士兼マフィアのマニカンタナ(Ravishankar)に仕えるヤクザ。彼はマニカンタナの忠実な腹心として、数々の殺人に手を染めていた。この一連の殺人事件に対し、警官のスーリヤカーント(Charan Raj)が捜査に当たることになる。
 女子大生のナワミー(Rachita Ram)は自分の周りに時おり現れる男(ラタ)に恋心を抱くようになっていた。しかし、この男が何者かは全く知らなかった。
 マニカンタナは州首相になりたがっていた。それで僧侶に託宣を伺ったところ、死んだヒジュラーの顔を見れば、望みが叶う、ということだった。マニカンタナは早速ラタにヒジュラーの死体を持って来るよう命じる。
 ラタは仲間のセーフティ(Chikkanna)とガンテ(Uday)を連れて、ヒジュラーの集住する地区に行く。そして、ヒジュラーの葬式が行われている場に忍び込み、遺体を盗もうとするが、ボスのマーデーヴィ(Lokesh)に阻止される。
 その後、ラタは深夜にマーデーヴィを縛り上げ、殺害する。翌朝、その遺体をマニカンタナの許へ届けようとしたとき、ライバルのラウディーたちに邪魔され、乱闘になる。その間に、死んだと思われたマーデーヴィが息を吹き返し、ラタに呪いをかけて、去って行く。
 その時からラタの周辺で不吉なことが起こり始める。ラタはヒジュラーを軽んじたことを悔い、それまでのヤクザ稼業も間違いだったと悟る。彼はマニカンタナと決別することにする。
 良心に目覚めたラタは、目の不自由なガンテに自分の片目を移植することにする。だが、そんな時にマニカンタナはラタを始末しようと、ラタと敵対していたサイードを利用し、命を狙わせる。また、警官スーリヤカーントも一連の捜査から犯人としてマニカンタナとラタを割り出し、逮捕へと向かう、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・ポスターやトレイラーは【Ugramm】そっくりだと言っても、【Ugramm】とは似ても似つかぬ映画だった。【Ugramm】を期待して観ると、がっかりする。確かに、映像やBGM、細かな編集、スリークなアクションなど、【Ugramm】のスタイルを踏襲しているが、内容的にはかなり違っている。本作は結末が悲劇的で、【Ugramm】のような爽快感がないのが苦しい。

・また、シュリームラリ演じる主人公も【Ugramm】と酷似しており、要は【Ugramm】のアガスティヤをそのまま本作に持って来たという感じなので、シュリームラリのファンなら、うれしい1本だと思う。

・陰惨なムードの暗黒街物で、あまり好きなタイプではないが、しかしコンセプト的には面白い点もあった。最も興味深い点は、ヒジュラーをテーマにしていることだ。私自身はヒジュラーに対して特に思い入れはなく、社会学の研究対象としては面白い存在で、映画や文学のモチーフにもよく使われていることは理解しているが、要はサリーを着たチンピラぐらいにしか思っていない。しかし、そうとは言い切れないものをヒジュラーは体現しており、多くのインド人にとってヒジュラーは文化的/宗教的に重要な位地を占めており、迷信的とはいえ、蔑にすると「どこか落ち着かない」という感覚を持っている。

・本作はそんなインド人の感覚(信念)をうまく捉えて、ヤクザのラタ(ラターワラ)が改心する物語に仕立てている。ヒジュラーに危害を加えたことにより、ラタの良心にカチッと痛みが走る瞬間がうまく描かれている。ヤクザが悔悟して足を洗うという映画は多いが、本作はかなり持って行き方がユニークだ。

・ちなみに、インド全土でそうなのかは知らないが、カルナータカ州では「ヒジュラー」というのは蔑称で、ヒジュラーたちはそう呼ばれるのを好まない。それで本作では「マンガラムキ」という呼び方が使われていた。

・題名、そして主人公の名前の「Rathaavara」は、『マハーバーラタ』の登場人物から取ってきた名前で、王などが最も信頼している人物、「腹心」、「片腕」という意味があるらしい。ちなみに、「Ratha」は戦車(戦闘に使う二輪馬車)のこと。

・改心したラタが、良心の表現として、自分の片目を目の不自由な友人ガンテに捧げるという展開になるが、これも何か神話的典拠がありそうだが、私は知らない。

・クリケット賭博をやるノミ屋のシーンがいくつかあった。これは前から気になっていたが、やっぱり存在するんだ。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・シュリームラリ(ラターワラ役) ★★★☆☆
 スカッと「Roaring Star」の冠タイトルを戴き、本作でもなかなかカッコよかったムラリだが、物語と作品全体のムードのせいで、魅力が十分に発揮されたとは言い難い。シガレットホルダーでタバコぷかぷかはグッドアイデアだが、音楽シーンの赤ボウタイにベストはちょっと、、。
 (写真下: ヒロイン、ナワミー役のラチター・ラームと。)

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 ちなみに、本作でラタが乗っていたレトロなバイクは、今はなき「Ideal Jawa社」製の「YEZDI」。

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・ラチター・ラーム(ナワミー役) ★★☆☆☆
 脚本が悪いせいで、ラタとナワミーのロマンス展開が足の引っ張りどころだった。薄暗い暗黒街の物語にカラフルな要素を加味する目的と、ヤクザながら純なところもあるラタの性格を描く目的でこのシーンを作ったのだと思うが、もっと工夫がほしかった。

・アンタゴニストでは、マニカンタナ役のラヴィシャンカルは毎度のことで特にコメントはなし。凄かったのは、【Bhajaranghi】(13)で怪人を演じて注目されたローケーシュ。今回もヒジュラーのボス、マーデーヴィ役がキモいやら怖いやら。

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 参考に、【Bhajaranghi】ではこういうことだった。

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 素顔のローケーシュはごく普通のお兄さんなのだが。(否、やっぱりキモっぽいかも。)

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・サードゥ・コーキラのコメディーは最悪に近いと思ったが、観客にはバカ受けだった。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ 音 効 : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・‘Hudugi Kannu’という歌ではシュリームラリ自身が歌っている上に、几帳面なダンスもしている。久々にムラリのダンスを見た。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・アクションは「ひと味違うぜ」ダニーの担当。水路の中でのアクション・シーンが良い。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 12月6日(日),公開第1週目
・映画館 : INOX (Jayanagar),15:25のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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2017/01/19 22:00

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