カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Thanga Magan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/12/23 21:16   >>

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 ヒット作【Velaiilla Pattathari】(14)のヴェールラージ(監督)、ダヌシュ(主演/制作)、アニルド(音楽)が再びチームを組むとあって、この【Thanga Magan】も注目作となっていた。ヒロインがサマンタとエイミー・ジャクソンというのも大きな話題だった。一時は【Velaiilla Pattathari】のパート2かとも噂されたが、そんなことではないらしい。
 ちなみに、過去に同名の作品がラジニカーント主演であるが、それと本作は特に繋がりはなさそう。

【Thanga Magan】 (2015 : Tamil)
脚本・監督 : Velraj
出演 : Dhanush, Samantha Ruth Prabhu, Amy Jackson, K.S. Ravikumar, Raadhika Sarathkumar, Sathish, Adith Arun, Jayaprakash, M.S. Bhaskar, Poorthi Pravin, その他
音楽 : Anirudh Ravichander
撮影 : A. Kumaran
編集 : M.V. Rajesh Kumar
制作 : Dhanush, G.N. Anbu Chezhiyan

題名の意味 : 黄金の息子
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 12月18日(金)
上映時間 : 2時間1分

《 あらすじ 》
 ミドルクラスのタミル(Dhanush)は両親と公営団地で暮らしていた。彼は商業を学ぶ大学生で、いとこのアラヴィンド(Adith Arun)、友人のクマーラン(Sathish)と3人でいつも遊んでいた。父のヴィジャヤラーガヴァン(K.S. Ravikumar)は所得税局に勤めていた。
 ある日、母(Raadhika Sarathkumar)からの頼みで、タミルはクマーランと一緒に寺院へ行く。そこで女友達とお参りに来ていた女性に一目惚れする。彼女はヘーマー・デサウザ(Amy Jackson)という名で、父はイギリス人、母はブラフミンのハーフ、そして建築を学ぶ大学生だった。当初、タミルを嫌がっていたヘーマーも、結局は彼を愛するようになる。
 タミルとヘーマーが交際を始めて1年が経ったとき、二人はクマーラン、それにヘーマーの女友達(Poorthi Pravin)も連れて、4人でダージリンへ旅行に行く。しかし、その場にいとこのアラヴィンドも現れ、しばらく除け者にされていた彼は怒り、二度と顔を見せるなと捨て台詞を吐いて、去る。この旅行中に、ヘーマーはタミルに結婚後に住みたい家の図面を見せる。だが、この家屋は二人で生活するよう間取りされたものだったので、タミルは両親も住める部屋が必要だと提案する。しかしヘーマーは、これは私の夢だと言って譲らない。これが原因となり、二人は別れることになる。
 その後、あろうことかヘーマーはアラヴィンドと結婚することになる。すっかりふさぎ込むタミルに対し、父のヴィジャヤラーガヴァンは息子を自分と同じ職場で働かせ、ヤムナー(Samantha)という女性と結婚させる。タミルはヤムナーとの新婚生活の中で、次第に慎ましやかな幸福を取り戻していく。
 しかし、そんなさ中に不幸が起きる。父のヴィジャヤラーガヴァンはしばらく前から仕事上で問題を抱えているらしく、落ち着かない様子だったが、ある日、自分の管理している非常に重要なファイルが紛失していることを知る。ヴィジャヤラーガヴァンは近ごろ健忘症の兆候があった。それでいくら探してもファイルは見つからず、心労のうちに首つり自殺してしまったのである。
 タミルは父の自殺が解せず、関係者から話を聞いて回る。その結果、父は上役のプラカーシュ・クマール(Jayaprakash)からブラックマネーの5千万ルピーを隠すようにと預かるが、自分の家は狭くて安全じゃないという理由から、その現金の入ったカバンを別の人物に託していたことが分かる。
 その後、ひょんな経緯から、タミルは父がカバンを託した人物が誰なのかを知る。そして、この5千万ルピー入りのカバンと紛失したファイルの関係も見えてくる。タミルは父に着せられた汚名を晴らすべく、行動を開始する、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・お祭り映画ではない。【Velaiilla Pattathari】が爽快な作品だったし、ダヌシュの前作【Maari】(15)も威勢のいいマサラ映画だっただけに、同じようなノリを期待すると、がっかりする。しかし、本作は地に足の着いた家族ドラマとして見ると、なかなか良い内容を持っている。

・ただ、地に足が着きすぎてしまったようで、地味なのが不評の原因かな。映画というより、テレビドラマ向きの脚本だったかもしれない。

・前半と後半で雰囲気がガラリと変わる。前半はタミルと2人の女性(ヘーマーとヤムナー)を巡るロマンチックな展開で、後半は父の死を巡るサスペンスな展開となる。

・良いのは前半のほうで、モダンでインド人っぽくないヘーマー(Amy Jackson)と、インド人っぽすぎるヤムナー(Samantha)という、タイプが真逆な女性とタミルとの絡みがキュートに描かれている。どちらも良い。例えば、タミルとヘーマーとの長いキスシーンのある場面(写真下)とか、タミルとヤムナーの新婚初夜の場面とか。

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・しかし、せっかく好いムードで来ていたのに、後半のサスペンスが具合が悪かった。アイデアは面白いので、どうせならもっと起伏のある展開にしてもよかったと思う。映画としてまとめたというより、ちゃちゃっと出来事を繋いだだけ、という感じだった。

・テーマは、題名が示しているとおり、「タミル人の息子(男子)たるもの、かくあるべし」ということだろう。善き「息子」を描くのにタミル人もテルグ人も日本人もアメリカ人もないような気もするが、ざっくり言ってインド人には普遍的な「人」という観念がなく、人間として生まれた時点ですでに何らかの限定(宗教、カースト、言語、地域、性別、等)を受けたものとして認識される。そんなインドのタミル人にとって、息子はあくまでも「タミル人の息子」であり、そのロールモデルとして、本作の主人公は堂々と「タミル」という名前を付与されている。そして、そのタミルがどういう行動を取るか、ヘーマーとの恋愛、ヤムナーとの結婚、父の死への対応という3つの局面を通して、まるでケーススタディーのように描かれている。

・で、タミルは結局、西洋人とインド人(ブラフミン)のハーフで、親と同居したがらないヘーマーを斥け、名前からしてオーソドックスなヤムナーと結婚する。(このヘーマーは実際にハーフと設定されていたが、近ごろのアメリカ化した層のインド女性に置き換えることもできるだろう。)

・父の自殺を巡る展開でも、タミルはあくまでも善き息子として父の汚名を晴らすためにだけ行動し、通常のアクション・ヒーローのように、人々のために社会的巨悪と戦うというようなことはない。あくまでも「等身大」のヒーローとして、タミル人の一般大衆の共感を呼びやすく、「鑑」となるような人物設定がされている。そのせいで映画は地味になってしまったが、プロデューサー兼主演のダヌシュも監督のヴェールラージュも、あえてその線を取ったのだろう。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ダヌシュ(タミル役) ★★★☆☆
 今年も絶好調だったダヌシュだが、本作は控えめな役柄/演技で上手いところを見せている。十代のころのツルツル顔は違和感だったけど。それと、ちょっと太ったかな?
 (写真下: エイミー・ジャクソンと。)

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・サマンタ(ヤムナー役) ★★★★☆
 演技というほどのことはしていなかったが、ほぼ全編「若妻」役で、いつもの足サービス、尻サービスもなく、それでいて胸がキュンとなるいじらしさだったので、4つ星贈呈。

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・エイミー・ジャクソン(ヘーマー・デサウザ役) ★★★☆☆
 面白い人物設定、役回りだった。「父はイングリッシュ、母はブラフミン」と言っていたように聞こえたが、それで「Hema D'Souza」という名前は?だった。イングリッシュというのは「欧米人」ぐらいの意味で使っているのかな? それと、タミルが「ヘーマー・デサウザ」を聞き違えて、「ヘーマー・カサムサ?」と聞き返す場面が面白かった(「kasamusa」は「problem」という意味らしい)。ちなみに、吹き替えはアンドリヤ・ジェレマイヤがやっているようだ。

・タミルの父親、ヴィジャヤラーガヴァン役で、重要な役回りを演じたのは、K・S・ラヴィクマール。【ムトゥ】のオヤジも最近は監督業より俳優業で忙しいようだ。

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・タミルのいとこ、アラヴィンド役で、意外に重要な役回りだったのはアディット・アルン。彼はテルグ映画【Happy Days】(07)のタミル版リメイク【Inidhu Inidhu】(10)に出演していたようだ。そういえば、そんな顔をしている。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・アゲアゲな曲で知られたアニルドだが、今回はぐっと抑えた音楽だった。ちらっと各レビューを見た限り、評価はいまいちなようだが、私は良かったと思う。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・終盤のアクション・シーンで、リアルか特撮か分からないが、ダヌシュの脚がびんびん高く上がっていたのに驚いた。

◎ その他(覚書)
・映画の始めにタミルら3人が【7G Rainbow Colony】(04)を観に行くシーンがあった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 12月20日(日),公開第1週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),12:30のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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