カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kathakali】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2016/02/04 21:02   >>

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 クアラルンプールで観るタミル映画は、【Kathakali】か【Rajini Murugan】かで迷ったが、結局前者にした。理由は、【Rajini Murugan】が日本で自主上映されたというのもあるが、トランジットの限られた時間内で観るには、ランタイムが35分も短い【Kathakali】のほうが有り難いというのが大きかった。

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 さて、この【Kathakali】は、監督がつい先日の【Pasanga 2】(15)が好評だったパーンディラージ。こんなに短いスパンで、全く違ったジャンルの映画が公開されるとは驚きだ。
 主演はヴィシャール。私自身、【Avan - Ivan】(11)で評価を上げて以来、贔屓にしようと思いながら、結局は【Pattathu Yaanai】(13)しか観ていないという後ろめたさがあった。ヒロインは【Madras】(14)が良かったキャサリン。私的にはこれは押しポイント。

【Kathakali】 (2016 : Tamil)
脚本・監督 : Pandiraj
出演 : Vishal, Catherine Tresa, Madhusudhan Rao, Mime Gopi, Sreejith Ravi, Pawan, Karunas, D.R.K. Kiran, Jayaprakash, Lakshmi Ramakrishnan, Imman Annachi, Grace Karunas, その他
音楽 : Hip Hop Tamizha
撮影 : Balasubramaniem
編集 : Pradeep E. Ragav
制作 : Pandiraj, Vishal

題名の意味 : (古典舞踊劇の)カタカリ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : スリラー
公 開 日 : 1月14日(木)
上映時間 : 2時間5分

《 あらすじ 》
 ラクシュミバティ、通称タンバ(Madhusudhan Rao)はカッダロールの地方代議士で、漁師協会の長もしていたが、実質は同市を牛耳るヤクザだった。彼は二人の義弟を腹心として使い、敵対者を黙らせていた。また、カッダロールの漁師とチェンナイの漁師は縄張り争いをしていたが、タンバはその抗争でも音頭取りをしていた。タンバにはまた出来の悪い息子が一人いた。
 アムダン(アムダヴェール:Vishal)はアメリカでの5年の出稼ぎ生活を終え、故郷のカッダロールに戻って来る。それはミーヌ・クッティ(Catherine)との結婚式を挙げるためだった。アムダンはタンバ一族と確執があった。アムダンの兄ギャーナヴェール(Mime Gopi)はかつてタンバの会社で働いていたが、辞めて独立し、貝製品工場を始めたところ、タンバ一族の嫌がらせを受け、工場が壊され、父も片足を失うという憂き目に遭っていたのである。また、アムダンの友人サンバンダム(Pawan)も、政治家の父が代議士選挙でタンバに敗れて以来、タンバ一族を苦々しく思っていた。アムダンのもう一人の友人タワム(D.R.K. Kiran)は、今やタンバの運転手となっていたため、アムダンはショックを受ける。
 アムダンはチェンナイでミーヌ・クッティと一緒に結婚準備の買い物をする。その時、兄のギャーナヴェールから電話が入り、タンバが何者かに殺されたことを知る。アムダンは友人のタワムに電話し、命を狙われる恐れがあるから気を付けろと告げる。
 タンバ殺害を受けて、カッダロールでは暴動が起きる。それはタンバの妻(Lakshmi Ramakrishnan)と義弟たちが煽ったものだった。アムダンの兄はタンバ一族からの迫害を恐れて、家族を車に乗せ、逃走する。
 タンバ殺害の捜査には地元警察の警官サラヴァナ・ヴァディヴェール(Sreejith Ravi)が当たる。しかし、タンバは各方面から恨みを買っていたため、殺害動機を持つ者として、アムダンとその兄、サンバンダムと父の元地方代議士、娘の結婚のことで恨みを抱く繊維製品屋のオーナー(Jayaprakash)、チェンナイの漁師たち、そして、タンバの義弟たちと実の息子さえタンバを殺す理由があった。サラヴァナ・ヴァディヴェールはタワムからの通報を受け、アムダンを第一容疑者と定め、彼を逮捕しようと動く、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・面白い。子供映画でお馴染み(?)のパーンディラージ監督がサスペンス・スリラーにも冴えを見せるとは、驚きだ。いや、【Vamsam】(10)のようなアクション映画も成功させているのだから、要は器用な人なのだろう。

・ヒネリが連発する凝った脚本だった。正統的なサスペンス・スリラーと言えるが(正確にはタミルで今流行っているスタイルのスリラーと言うべきか)、ちょっと変わった構成でもある。映画は登場人物の紹介(それが割と丁寧に積み上げられている)から始まり、マサラ映画風のアムダンとミーヌ・クッティのラブコメ的展開が続くのだが、タンバが殺された時点から急に緊迫感のあるスリラーになる。

・時間的密度もずいぶん違っていて、ラブコメ編では回想シーン主体の間が大きな時間の流れだが、スリラー編になってからはわずか一夜の出来事がびちっと凝縮されて描かれている。こういう入口と出口が違うような映画にはいつも違和感を覚えるが、インド人は気にならないらしく、割と普通に見かける。

・本作の面白さの秘訣は、2つのスリルを配したことだろう。1つは「追っかけのスリル」で、殺人容疑を掛けられたアムダンは警察に追われるが、アムダン自身は家族や関係者を追っている。そのアムダンをタンバの義弟らが追い、さらにミーヌ・クッティも追うが、そのミーヌ・クッティを警察が拘束しようと追う。そんな訳で、いつ誰がどこで捕まるのか、ハラハラする。

・もう1つは「犯人探しのスリル」。これは当たり前のように思えるが、本作はうまく考えられていて、登場人物Aは登場人物Bが殺したと思っているが、Bは登場人物Cが殺したと思っている。同じくCは登場人物Dが、、、というふうに進み、真犯人は必ずいるはずなのに、それが誰なのかなかなか分からない。この展開が面白かった。

・これは一見人工的な構成のようにも思えるが、しかし多方面から恨みを買っている人物が殺害され、目撃者がいないという状況では、こういう事態も起こり得るわけで、そういった意味ではリアルだと言える。

・上はストーリー的な面白さという観点でまとめたが、映像的、聴覚的にも非常にセンスの良い作品に仕上がっている。特に冒頭のタンバの導入シーンと、タンバの殺害以降のシーンが良い。(本作はヒーローのアムダンより、悪役/殺され役のタンバのほうが入念に描かれている。)

・しかしそれだけでなく、前半のラブコメ編でも下のようなクットゥ・ダンスがしっかり入っており、なかなかな味わいだった。

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・チェンナイの漁師とカッダロールの漁師が対立していると描かれていたが、実際にそうらしい。私の生活には全く関係ないことだが、対岸の火事を眺めているようで、楽しい。

・題名がなぜ「カタカリ」なのかははっきり分からないが、カタカリ舞踊劇の激しさ、表現される情念の強さ、悪を滅する展開、濃いメイクに隠されて演者(犯人)が分からない等といった点を本作のイメージとしたようだ。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ヴィシャール(アムダン役) ★★★☆☆
 ヴィシャールらしく、ストレートな青年を好演している。彼の身体能力からすると、アクションなどは物足りない気もするが、そういう映画でもないので、OK。

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・キャサリン(ミーヌ・クッティ役) ★★★☆☆
 【Madras】に続いてタミル都市部のミドルクラス娘を演じることになったが、【Madras】に比べると役回りも小さく、印象度も低い。しかし、十分色っぽく、可愛かったので、私的には満足。それにしても、タミルとテルグで花開いたキャサリンだが、せっかくベンガルール在住で、デビュー作もカンナダ映画でありながら、使いこなせなかったカンナダ映画界はアホや。

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・タンビ役のマドゥスダン・ラーオ、警官サラヴァナ・ヴァディヴェール役のシュリージト・ラヴィなど、脇役にも面構えの良いのが揃っていた。

・コメディー的にちらっと登場していた太った女性歌手は、カルナース(本作でもアムダンのいとこ役で出演している)の妻のグレースさんだった。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽は【Thani Oruvan】(15)などで知られたヒップホップ・タミラーの担当。【Thani Oruvan】もカッコよかったが、本作も良い。歌は2曲で、前半限定だったが、どちらもよくできている。それよりも、BGMが良かった。このデュオも今後かなり活躍してくれそうだ。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★★☆

◎ その他(覚書)
・物語の主な舞台となった「Cuddalore」は、もしかしたら「カダルール」と表記すべきかもしれないが、映画中では「カッダロール」と発音されていた(ように聞こえた)ので、そうしておいた。ポンディシェリより18キロ南の港町のようである。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月23日(土),公開第2週目
・映画館 : GSC - Nu Sentral (Kuala Lumpur),14:00のショー
・満席率 : 2割
・備 考 : 英語字幕付き

 

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【Visaranai】 (Tamil)
 コリウッドのヴェトリマーランは怖そうな顔で目立つ存在なので、もう5,6本映画を撮っているかと思っていたら、監督としては本作が【Polladhavan】(07)、【Aadukalam】(11)に次いでまだ3作目だった。それにしては存在感が大きいのは、上記2作の成功と、プロデューサーとしても良い仕事をしているからだろう。特にダヌシュとの相性が良く、監督と出演者という関係だけでなく、プロデューサー仲間としても【Kaaka Muttai】(15)を送り出している。本作も監督がヴェトリマーラン... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/02/17 21:25

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